笠戸島縦走(尻高山・高壺山・砲台山・白浜山・摺鉢山・天狗岩) 山口県下松市 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2010年1月24日 深浦バス回転場 →0:25→ 尻高山林道登山口 →0:40→ 尻高山 →0:40→ 地図上の分岐(117m鞍部) →0:30→ 高壺山 →0:15→ 砲台山端のレンガ造りの遺構 →0:20→ 地蔵峠 →0:35→ 江の浦貯水池 →0:30→ 白浜海水浴場駐車場 →0:20→ 白浜山→0:15→ スカイ2号標識 →0:30→ 232mピーク →0:12→ 摺鉢山 →0:13→ 232mピーク →0:08→ 天狗岩 →0:22→ 212mピーク →0:15→ 本浦スカイ1号標識 →0:15→ 本浦漁港 全歩行時間 6時間25分 ※ 尻高山への登山道が整備されています。 尻高山への詳細は「尻高山・高壺山」を参考にして下さい。登山時間も大幅に短くなっています。 「山口県の山(山と渓谷社)」の著者、中島先生のご案内により、先週に引き続き山口県下松市の笠戸島へ。今回は以前から構想を練っていた、笠戸島の縦走を実行する。 本縦走の行程は、最初に笠戸島の端に位置する尻高山へ登り、引き続き高壺山・砲台山に残る旧日本軍の遺構を眺め、江の浦へ。更に白浜山の山頂を踏み、232mピークを経由し、摺鉢山の山頂へ。摺鉢山からは一旦232mピークまで戻り、絶壁の天狗岩へ。最後は本浦の港を目指す、夢のようなルートを採る。
登山口は、深浦バス停から西へ海岸線を約500m進んだ先にあるトイレの置かれた広場。通行等の邪魔にならない場所に車を置き、登山を開始する。広場先から西へ向かって舗装路を進み、すぐに海岸線を左折。棚田を眺めながら南西方向へ進む。間もなく右へ外野山林道が現れるので右折、西に見えるアンテナへ向かって進む。
周囲には石垣が綺麗に組まれている。眼下に深浦の湾を眺めながら進むと、間もなく右にアンテナを過ごす。産業廃棄物の最終処分場を過ごした先で、木の間越しながら笠戸湾の展望が広がってくる。
やがて舗装道は未舗装道へ変り、間もなく右の広場を過ごす。なお、ここまで車で乗り入れることも可能である。左方向へ進路が変わった先で、折り返すように左上へ上る道が現れる。これが尻高山へ向かう登山口であり、今回の縦走の起点となる。 尻高山への登山道入口 入口から高速道路のような広い道が続いており、防火帯の伐採作業に感謝。広い防火帯を快適に進み、背後を振り返れば木の間越しながら笠戸湾と太華山の展望が広がっている。間もなく伐採された防火帯は終了、いよいよヤブ道に入る。
この先にも赤いペンキが続いており、いろいろな目印が続いているので山頂までは導いてくれるようだ。ヤブの中に入ると踏跡が続いており、更に目印のテープを巻きながら進む。但し、踏跡の途中には、通りにくい所もあるので、迂回しながら高度を上げる。
尾根にはシダの茂る場所もあり、このようなところでは、シダを迂回し山腹を進むように進路が設定してある。やがて踏跡は尾根に向かって直登し、尾根へ着くと同時に右方向へ続いている。
この先で少々歩きにくい場所が続くので、苦労しながら進む。平坦な尾根道を進むと間もなく尻高山の山頂に到着、ここには先程海岸線で防火帯についてお聞きした、下松のOさんが待っていた。ここで一緒に山頂写真を撮り、再度防火帯についてお話をお伺いした。
山頂からは東方面の展望が開けており、高壺山から砲台山へ向かう稜線が美しく、右には祝島と小祝、高壺山から右の稜線を目で追うと、海には火振岬がとても眩しい。丁度昼になったので尻高山で昼食を摂り、昼食後は尻高山から再びヤブ道を下りて行く。
周回道は南西方面なら少し右寄りへ、北西方面ならすぐに左折 どちらの道もすぐに合流する この道は割と新しく切り開かれた道らしく、時折自然林を迂回しながら下りて行かなければならない。登るよりは楽だが、いくつか擦り傷を作りながら苦労して下る。やがて防火帯と出会い、一安心。これから先は快適な道が続く。
少し進めば地図上の「象の肩」への分岐、更に下りて行くと鞍部へ着き、地図上の分岐(117m鞍部)を過ごして高壺山へ向かう。先週下った道を今日は登り返している。周囲に展望はないものの、自然林がとても美しい。
空の開ける明るい場所を通過、鞍部から登り返す付近に新しい分岐(大浦峠)があり、左(北)へ下りれば深浦に下りる最短ルートのようだ。但し途中にはシダの茂る場所もあり、季節によっては非常に苦労を要する。なお、右(南)へ下りれば海岸へ出るそうだ。ここには四角い岩が1個置かれているので目印となる。
新しく切り開かれた分岐を過ごし、更に高度を上げる。途中で背後を振り返れば尻高山が木の間越しに見えている。あの山の山頂に立ったことがとても嬉しい。岩の多く美しい場所を通過、火振島が右下に見える展望地にて小休止を取る。
この先で斜面を登り、平坦な場所に着くと縦走路の中央に立派な大木を過ごす。更にもう少し進むと高壺山の山頂に到着、火振岬方面へ向かう尾根へちょと寄り道。山頂手前(西)へ少し進み、左に赤ペンキの塗られた石の方向へ進むと旧日本軍の遺構が残っている。レンガ造りの遺構をいくつか眺めた後、高壺山の山頂を出発。
右にいくつかの遺構を眺めながら急な坂道を下る。やがて右方向へ進路が変わり、周囲には枡の形をした遺構が増えてくる。更に縦走路を進むと縦走路下に大規模な遺構が現れた。遺構の前に立ち、レンガ造りの造作を眺めていると、当時の建設のご苦労が偲ばれる。この辺りの遺構については、高壺山の登山記も参考にして頂きたい。
この辺り一帯は砲台山と呼ばれ、このような旧日本軍の遺構が多い。やがて砲台山の東端に着き、本縦走前半のハイライトとも言える、レンガ造りの遺構に到着、この建物はとても素晴らしい。小休止の後、砲台山を出発。この先は右に木の間越しの瀬戸内海を眺めながら急な坂を下る。坂の途中で一ヶ所のみ、光から田布施・平生・上関方面の展望が広がっており、ここから眺める景色は最高に美しい。 笠戸島縦走 前半のハイライト 旧日本軍の遺構
もう少し下ると変則四差路を通過。この先に続く坂を登り返す。足下に特徴的な模様の「波印海軍省標石」を過ごし、建物の基礎の跡とレンガなどを足下に見る。この先で坂を下ると、左に深浦方面からの道が続いている。
そのまま道なりに東へ向かうと、変則四差路の地蔵峠に到着、ここから右(南)方向へ下りると沖浦観音へ向かうことができる。なお、左の道を採ると小深浦への下山道、我々はそのまま北へ向かって進む。なお、沖浦観音については沖浦観音・砲台山・高壺山周回コースを参考にして頂きたい。
相変わらず広く歩きやすい道が続き、間もなく右へ下りる分岐が現れる。ここを直進すると三角点を経由して深淵方面へと向かうが、この先にはシダが茂り道が荒れている。縦走路は右へ続いているので、右折し急な坂を下る。この先を道なりに進むと、やがて頭上が開けて明るくなり、瀬戸を展望する場所が現れる。
再び周囲を自然林に覆われながら高度を下げると、目の前には大きな貯水タンクが現れた。これは江の浦貯水池である。貯水池の左を抜け、少し下りると右への分岐が現れる。これが縦走路である。
そのまま分岐を右折、左に新笠戸ドックの社員寮を過ごし、少し坂を登れば左に分岐が現れた。この分岐を下りれば新笠戸ドックの社員寮に出る。現在歩いている縦走路途中には、いろいろなエスケープルートが走っているので、目的や体力に合わせて様々なコース取りをすることができる。明るい縦走路の東下には小島が見えており、遠くには光市の虹ヶ浜と工場群の展望が木の間越しながら広がっている。この辺りは久し振りの展望にホッとする場所である。
更に進むと左に第29番・30番の二体の石仏が鎮座されている。この先で交差点と出会うが主路を採り直進、左右にシダの目立つ明るい坂道を進む。石の目立つ場所からは、立つ位置を変えながらこれから向かう99mピークや光方面と瀬戸の展望を眺める。しばらく展望のない道を進んでいたので、ぱっと開ける明るい展望に疲れも吹き飛ぶ。西に新笠戸ドックの工場を眺めていると、とても大きな工場であることがわかる。ここで山勘研究所のはちべえさんと偶然の遭遇、そし感激の握手。しばらくお話を伺った後、お別れし、更に防火帯を進み縦走を続ける。
すぐに無造作に岩の横たわった99mピークへ到着。海側の岩の上からは、下松の茶臼山が美しく、光の虹ヶ浜海岸から室積海岸へ続く海岸線とその先の峨嵋山までが一望。更にその先には室津半島、遠くには四国まで見晴らす展望地である。また、眼下の青い海には小島がちょこんと顔を見せており、近くにも美しい景色が広がっている。 99mピークからの展望 展望の99mピークを出発、整備された坂を下りていると進行方向の上には次の目標、白浜山の肩の部分と白浜山が見えてきた。木の間越しながら東に光市の展望、西に新笠戸ドックを眺めながら下りると、白浜山の手前の肩の部分に露岩を見つけた。縦走路があの岩に続いていれば展望を得ることができそうだ。
坂を下りると左に墓地を過ごし、その先には新笠戸ドックを眺めることができる。更に坂を下れば広い駐車場に到着。この入口にはスカイ3号の案内が立っていた。従って、起点は何処になるのか判らないが、いままでスカイ3号の遊歩道を歩いていたようだ。
広い駐車場を東へ進むと石碑が立っていた。「これはインドネシア船乗組員22人遭難慰霊碑である。平成16年9月7日上陸した台風18号により、インドネシア船籍貨物船トリ・アルディアント号(6,350トン)がこの海上で遭難座礁し、インドネシア人乗組員22名の尊い命が失われた。この不幸な出来事が二度と起きないよう、ここ笠戸島から世界へ広がる七つの海がいつまでも穏やかで、平和で有り続けるよう祈念して遭難慰霊碑が建てられた」と説明してある。慰霊碑には「潮騒の岬 常しえに 穏やかなれ」と石に刻まれていた。本日はとても穏やかな海、西には小島がまるで海に浮かんでいるようにも見えた。
駐車場から北へ進み、舗装路を越えると「スカイ3号ハイキングコース入口」の案内が立っている。本浦へ4.6kmと案内されており、笠戸島完全縦走の終着点、本浦までこのコースは続いている。入口より入ると進路はすぐに左方向へと変わるが、整備された防火帯が続いている。背後を振り返れば、新笠戸ドックとその先には歩いてきた稜線を見晴らすことができる。高度が低いので砲台山はその頭のみを見せている。
やがて周囲に岩が目立ち、サンキライの赤い実を足下に眺めていると、展望の岩が見えてきた。先程から気になっていた露岩は、縦走路横から眼下を眺めるように積まれている。岩の上に立つと、これは素晴らしい。思わず声が出るような展望が広がっている。海に浮かぶように見える小島とスカイブルーの海、先程まで居た駐車場広場と展望の99mピーク、更に遠く砲台山、そして手前には木の間越しながら近代的な新笠戸ドックの工場。この自然とマッチした展望は必見であり、もっと空気の澄んだ日には正に感動的な風景となる。 展望岩からは美しい景色を眺める事ができる 白浜山手前の岩から眼下に広がる展望(動画) しばらく展望を満喫した後、展望岩を出発、次は白浜山の肩へ向かう。明るい縦走路を少し進めば、白浜山の肩の部分に到着、眼下には新笠戸ドックの工場、遠くに砲台山を眺めることができた。はっきりと展望をながめることができるのは、この辺りが最後。美しい展望を頭の中に焼き付けて、縦走路を進む。
平坦路を少し進めばいよいよ白浜山へ向けての急登が始まる。滑り易い道をジグザグに高度を上げると、とうとう砲台山と高壺山を見晴らす場所を通過。もうここまで来れば山頂は目の前、緩やかな坂道を進むと、白浜山の山頂に到着、ここには三等三角点が置かれている。中島先生と恒例の記念撮影、山頂からの展望は無く、すぐに出発する。
少し下りると岩の多い場所を通過、まるで枯山水のような風景を眺める。気持ちの良い木漏れ日の自然林を眺めながら坂を下ると、やがて電柱(タオノウラ6)の立つT字路に着いた。この分岐は左折するのだが、右の主路を通ると東風浦へ2kmと案内されている。
さて、T字路を左折し、少し進むと明るい畑が現れ、更に進むとスカイ2号の案内の立つ分岐が現れた。縦走はこの分岐を右折する。4年前に摺鉢山へ登り、下りてきたのが丁度この場所である。当時、この案内は一体何なんだろうと疑問に思っていたが、ハイキングコースの事だった。
スカイ2号に入ると、早速擬木の階段が現れた。とても整備されたハイキングコースである。しばらくは自然林の下をジクザグに登り、自然林の良さを身体全体で味わう。岩の多い場所などもあり、変化に富んだコースなので飽きることはない。途中にいくつか中国電力の鉄塔巡視路への分岐もあるが、道なりに主路を進めば道に迷うことはない。 坂を登るとやがて平坦路に着く やがて尾根を左に見ながら山腹を進むことになるが、すぐに尾根道に戻る。緩やかな傾斜の坂道を進んでいると、やがて232mピークに到着。このピークは摺鉢山方面と天狗岩・本浦方面への分岐でもある。まずは北(左)方向に向かい摺鉢山の三角点を目指す。
ピークから少し下れば、後はほとんど平坦な道を進む。間もなく分岐が現れ、左に下りれば大城へ1kmと案内されている。更に緩やかなアップダウンを繰り返しながら縦走路を進むと、広く整備された見晴らしの丘へ着く。ここにはベンチが置かれており、休憩するには丁度良い場所である。
もう少し進むとピークへ到着、ここが摺鉢山の山頂である。山頂には三等三角点が置かれているので恒例の記念撮影。周囲を見まわしても展望はない。時間が許せばもう少し坂を下ってみよう。苔の美しい登山道を下ると、間もなく整備された21世紀希望の森に着く。更に進んで西山まで行けば摺鉢山や大城などの展望を眺めることができる。このあたりの情報は、摺鉢山の登山記を参考にして頂くと良い。
見晴らしの丘を出発、擬木の階段の整備された縦走路を引き返し、間もなく摺鉢山の山頂を通過。更に232mピークへ向かって引き返す。やがて232mピークに着き小休止。木の間越しに北東方面を眺めると、下松茶臼山から光方面へと続く山脈等を眺める。また、その手前にはこれから向かう212mピークを確認することができた。
さあ、いよいよ天狗岩・本浦へ向けて出発。整備された防火帯は続いており、ピークから一気に下ると、すぐに平坦路に着き、縦走路途中にはベンチの置かれた広場が現れる。広場からは右への分岐を採り、少し進むと足下に岩が目立ち始め、突然目の前に展望が現れた。これが天狗岩のようだ。 眼下は絶壁であり、岩の上に立てば、瀬戸の展望が美しい。空気の澄んだ日には、やはり四国まで見晴らす展望が広がっている。しばらく展望を眺めた後、縦走路へ戻る。
絶壁の天狗岩から眺める展望(動画) ベンチの置かれた広場を通過、緩やかな坂を登る。周囲には松の木が多く、まるで日本庭園のような景色が続く。木の間越しの展望を眺めながらアップダウンを繰り返し、ピークに着くと左には共同アンテナが立っていた。
このピークを越えてすこし下り、もう一度登り返すと212mピーク手前に広場があり、この広場から南に瀬戸の展望、北には笠戸大橋を眺めることができた。212mピークを越え、少し下ると大岩の目立つ場所に到着。無造作に置かれた岩の造形美をゆっくりながめる。
大岩を通過すると同時に急な下りが始まる。但し、この付近にはロープが渡してあるので、ロープを伝いながら慎重に下りれば大丈夫。少し平坦な道となり、左にアンテナを過ごすと再び急な下り坂が始まる。ここにもロープが渡してあるので、ロープを伝いながら下山を続ける。
やがて竹林帯を通過し、頭上に電柱の走る場所に着き、少し下りればコンクリート舗装の道に到着。この道の側にはスカイ1号の案内が立っており、その左には第16番の石仏が置かれていた。この場所が本浦側からのハイキングコースの登山口である。横に笠戸島自然休養林の案内を確認し、コンクリート舗装の道を下りる。
すぐにアスファルトの舗装路へ到着、そのまま本浦小学校へ向かって進み、小学校の手前で右に折り返すような道に入る。この先は道なりに北へ向かうと、予め車を配置した海岸線へ到着。二日がかりの笠戸島大縦走は無事成功した。
今回通った縦走路は、一番最初に登った尻高山を除けば、登山初心者にも無理なく歩けるルートである。また、本コース上にはエスケープルートが沢山あり、それぞれの体力または目的に応じて、コース取りをすることもできる。なお、笠戸島の登山計画を立てる際には、本登山記以外に沖浦観音・砲台山・高壺山周回コース、摺鉢山の登山記も参考にされることをお勧めする。 はなぐり岩 火振岬 砲台山と高壺山 大木 遺構 新笠戸ドック 瀬戸と小島 砲台山と高壺山 ミニ岩海 遊歩道 天狗岩 漁港 前の山 高塔山(津海木) を見る 次の山 蓋井島城山・大山 を見る 登山口周辺の地図はこちら 山口県下松市 白浜山 登山口付近のMAP |