白馬岳−2(白馬鑓ヶ岳・杓子岳・白馬岳)白馬鑓温泉小屋から白馬山荘まで 長野県白馬村他 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
トップに戻る 2014年に登った山リストへ戻る 山名アイウエオ順 2014年9月 2日目 白馬鑓温泉小屋 →0:45→ 草原 →1:00→ 大出原 →1:00→ 主稜線分岐 →0:40→ 白馬鑓ヶ岳 →1:15→ 杓子岳 →1:25→ 白馬山荘 →0:15→ 白馬岳 →0:10→ 白馬山荘 全歩行時間 6時間30分 白馬岳登山の二日目、昨日は猿倉荘から白馬鑓温泉小屋まで移動し宿泊。小屋泊の朝は早く、午前5時前に起きて周囲を散策したが、とても寒いので温泉に入る勇気は無かった。その後5時半過ぎより朝日が昇り始め、運良くご来光を眺めることができた。雲海から昇る朝日はとても美しいものである。周囲はよく晴れており、朝日を浴びた鑓温泉小屋も素晴らしい。
白馬鑓温泉で眺めるご来光 朝日を浴びた鑓温泉小屋の風景 早朝の鑓温泉の露天風呂と展望(クリックで拡大) 午前6時過ぎに食堂へ移動し朝食を摂った。朝食は焼きシャケ、ゴボウのきんぴら、タマゴ等が並び、煮染めと海苔が別に付いていた。味噌汁とご飯はおかわり自由と言うことである。ご飯と味噌汁をそれぞれ二杯ずつ頂き、満腹になった。お弁当は「信州の秘湯 神泉の湯 白馬鑓温泉小屋」と書かれた紙に包装された豪華鳥弁当である。 鑓温泉小屋の朝食とお弁当
午前7時過ぎに鑓温泉小屋を出発、前方に見えてきたのはとんがった山で、青空の中に浮かび上がっているように見える。その下には白い雪渓、周囲には緑の草原が広がり、この景色だけでも感動の美しさ。昨日より見慣れているトリカブトの花を眺め、足下に岩の多い道を進む。
途中には水場が多く、本日も水の心配は無用のようだ。トリカブトの紫に雪渓の白、これに青空に映える尖峰が入れば当然美しい構図である。眼下には鑓温泉小屋と昨日歩いた行程が見えており、こちらの展望もなかなか良い。左に雪渓を眺めながら西へ向かって高度を上げる。この途中から進路は右方向へ変わって雪渓から離れ、やがて沢を越えれば岩場に取り付く。 南西に見える山は、下から眺めていたときには尖峰に見えていたが、高度が上がるにつれ山頂部がなだらかに変化している。足下には「この先滑りやすい 岩場鎖場あり」と注意書きがあり、ストックを仕舞って三点確保で高度を上げる。滑りやすい岩場には鎖が渡され、鎖を補助に一気に高度を上げる。周囲を眺めていると、少しずつ霧が掛かり始め、山の天気が変わりやすいことを体験している。 これから先は三点確保で
山腹につけられた狭い場所を鎖を伝って通過、眼下を見下ろせば、目がくらみそうな岩場である。間もなく岩場を通過、前方に天狗尾根に続く山並みが見えてくれば、平坦な草原の前に着く。ここで急に流れ込んできた霧が視界を覆うものの、少し待っていると霧は晴れ、茶色の山とその左には最初尖峰に見えた山が並んでいる。 草原から眺める風景(クリックで拡大)
北には白馬鑓ヶ岳へ続く稜線が見えるはずだが、この方角は依然霧に包まれている。山の色は白っぽく、いかにもアルプスの山並みという感じがする。これから尾根へ向かってこの山々を眺めながら高度を上げる。登山道は岩の道で足下不安定、滑らないよう慎重に歩を進めなければならない。高度が上がるにつれ、茶色の山の頂はますます尖り始め、その先の山はますますなだらかな頂に変化している。一方、鑓ヶ岳へ向かう稜線は相変わらず霧に包まれている。
ここで、足が悲鳴を上げ、けいれんを起こし歩けなくなってしまった。振り返れば岩手県の金鶏山以来の登山であり、一ヶ月以上トレーニングから遠ざかっていたこと、先週二日間稲刈り作業があり、しっかり全身を動かしたことなどを思い出した。やはり登山には普段のトレーニングが欠かせないものである。と、あきれていても前に進めないので即効性の薬を飲み、急場をしのぐことにした。すると1分もしないうちに何の支障も無く歩けるようになり、けいれん状態から回復した。
この先で野いちごらしき実を見つけたので食べてみたが、とてもまずかった。熟していなかったためだろう。更に登っていると、茶色の山の左側付近へ霧が発生し、鑓ヶ岳方面の霧は少しずつ取れ始めている。これは気流の影響により霧の流れが変化しているのかも知れない。やがて足下は岩場状態から白っぽい砂利道に変わり、ここで天狗尾根方面を眺めると山小屋が見えてきた。 大出原から眺める風景
周囲が少し平坦になると「大出原」のポイントへ到着、この北側には雪渓が残っていた。少し目を上に向ければ、それまで霧に覆われていた鑓ヶ岳へ続く稜線に青空が張り出し、とても美しい風景に変わった。青空の下、お花畑を眺めながら少しずつ高度を上げる。大星さんは遠くに見えているが、とても追いつけそうに無い。岩の多い道を着実に高度を上げると、足下は白い砂利道に変わる。
背後を振り返れば霧は雲に変わり、雲が南から北へ向かっているのが見えている。少しでも早く稜線へ立たなければ展望が無くなりそうな予感に駆られ、少し急ぎ足となる。白い砂利道に入り、小刻みなジグザグを描きながら高度を上げていると、鑓ヶ岳へ続く稜線手前には大岩がそびえている。この岩は青空に映えてとても美しい。 やがて主稜線の分岐へ到着、この分岐を左に採れば天狗尾根、右に採れば白馬鑓ヶ岳方面となる。ここでは鑓ヶ岳を目指して分岐を右折。ところが、稜線を吹く風がとても冷たく、軍手では手がかじかんでしまうので防水手袋へ変更。また、半袖では凍えそうなので、この上に服をはおり出発した。鑓ヶ岳を眺めると、山頂付近に白い標識が立っているようだ。
山腹につけられた道を辿り、全体的に白っぽい山へ向かって進む。長野県側は切れ落ちており、滑り落ちないかとひやひやしながら歩を進める。背後を振り返れば、歩いてきた稜線が一望、これはたまらない風景である。天狗尾根方面を眺めていると、雪渓の左側の平坦な場所には山小屋が見えており、その下には茶色の尖峰がそそり立っている。 鑓ヶ岳の山頂へ向かっているが、山頂に向かうにはなだらかな道と直登の道があり、ここでは手前の直登道を採った。このコースは小刻みなジグザグを繰り返し、一気に高度を上げる。右の長野県側は絶壁のように切れ落ちており、足がすくみそうになる。やがて白っぽい鑓ヶ岳の山頂2,903mへ到着、ここには三等三角点が置かれている。
山頂からは周囲360度の展望が広がっているが、少しずつ周囲に雲が目立ち始めた。天狗尾根方面にも雲が張り出し、天狗山莊先の天狗の頭までしか眺めることができない。雲が晴れれば杓子岳から白馬岳まで見晴らす展望地だが、この方面は霧に包まれ、時折杓子岳が垣間見える程度である。丁度居合わせた方に写真を撮っていただき、鑓ヶ岳を出発する。 山頂から坂を下っていると、杓子岳へ向かう稜線が少し見え始めた。やはり白い道が続いている。山腹につけられた道を下り、少しずつ高度を下げる。鑓ヶ岳方面を振り返れば、青空に映えて美しい山頂が見えている。東の長野県側は、急峻な岩場となっており、西の富山県側はそれに比べるとなだらかである。長野県側と富山県側の風景を交互に眺めながら稜線を歩くのも又楽しい。
やがて鑓ヶ岳先のピークから杓子岳方面へ向かって急斜面を下るが、目の前に杓子岳の山頂部が見えてきた。これを一旦下って登り返すのはなかなか大変な労力だが、杓子岳へ向かうにはガレ場の急斜面を下らないといけない。 落石を起こさないよう慎重に坂を下り、鞍部に着いたところで丁度お昼になった。そこで鑓温泉小屋の弁当を頂く。ご飯の上には、たれのついた焼き鳥がたくさん乗っており、最高のご馳走である。甘いたれを味わいながらお弁当を完食、すぐに杓子岳へ向かって出発する。
それにしても右側の長野県側の切れ落ちた断崖は感動ものであり、その先には市街地が雲の切れ間から見え始めた。進行方向の杓子岳の先には白馬岳が顔を出し、その下には本日宿泊予定の白馬山荘が見えている。目的地が見えたことにより少し元気になり、杓子岳へ向かう坂にとりかかる。
小刻みなジグザグを繰り返した先で緩やかな傾斜の坂に変わる。するとすぐに巻き道と杓子岳への分岐が現れる。ここでは杓子岳へ向かって右道を採り、滑りやすい白い砂利道に入る。背後には鑓ヶ岳、北には左に旭岳、右に白馬岳が顔を出し、贅沢な展望が広がっている。 杓子岳へ向かって斜め上に登山道は続き、いったいいつ山頂へ向かうだろのか・・・と、進んでいたら、杓子岳の山頂は北側に置かれていた。周囲を見回していると、雲の高さが低いので、手前の山々は眺めることができるものの、遠くまで見晴らすことはできない。斜め上に続く登山道を辿っていると、ようやく前方に杓子岳の山頂が現れた。山頂方向を眺めると、長野県側が切れ落ちていることが明確にわかり、この尾根に立つこと自体に勇気が必要である。
やがて杓子岳の山頂2812mへ到着、ここで大星さんと本日始めて会う。山頂での記念撮影の後、周囲に広がる展望を眺める。長野県側には雪渓が広がり、遠くに市街地が続いている。北には白馬岳の山頂、その下に白馬山荘、更に白馬村営の頂上小屋と続いている。その左には旭岳が見えるはずだが、山頂部が雲に覆われている。北アルプスの美しい風景を眺めることができて、感動的なひとときである。
杓子岳の次は後立山連峰最高峰の白馬岳へ向かう。急斜面のガレ場を一気に下り、縦走路へ着く。登るには時間が掛かるが、下るのはあっと言う間。斜面の途中から杓子岳を振り返れば、鑓ヶ岳へ向かう登山者がアリのように小さく見える。杓子岳の北側は当然切れ落ちているが、その切れ落ち方がすごい。しばらくその切れ落ちた稜線を眺めていたが、すごいとしか言いようのない風景である。
白馬岳はといえば、左の富山県側はなだらかなのに長野県側は鋭角に切れ落ちている。こちらも豪快な山容である。そして山頂下のなだらかな部分に白馬山荘、その下の雪渓の横に白馬村営頂上宿舎が建っている。白馬岳へ向かう縦走路は緩やかな傾斜の坂で、白い登山道を少しずつ高度を上げる。白馬岳の直下には大雪渓を経由して来る登山道が見えており、白馬岳の右には小蓮華山も顔を出し始めた。贅沢な景色を味わいながら少しずつ坂を登るのは最高の気分である。
まずは頂上宿舎手前の丸山のピークに向かうため、岩場を越える。やがて丸山のピークに立つが、ここで周囲に雲が張り出し、視界が悪くなってしまった。丸山から下り始めると、頂上宿舎のテント場にはいくつかテントが張られていた。右に頂上宿舎を過ごせば、目の前に現れたのが日本最大の山小屋の白馬山荘である。すぐに現れる交差点は東に大雪渓、西に旭岳、北に白馬岳、南に唐松岳と案内されていた。白馬山荘方面には絶えず雲が流れており、一瞬で景色が変わるように山莊が見え隠れしている。 午後2時26分に白馬山荘へ到着、まずは宿泊手続きをする。ここでは一泊二食と明朝のお弁当を申し込み、宿泊料等の料金が10600円、個室料は二人個室で別に7500円だった。1号棟の212号室に荷物を運び、すぐに白馬岳の山頂を目指した。山頂部には雲がかかり、風も強く吹いている。滑りやすい急斜面をのんびり進むと、右には何かのモニュメントが置かれていた。これは帰りに寄ることにしてそのまま山頂を目指す。 白馬岳を目指して山荘を出発
周囲は霧に包まれて展望はない。ただし、長野側は雲の下に市街地を眺めることができた。山頂に続くまっすぐな道を辿れば、山莊からぴったり15分で後立山連峰の最高峰の白馬岳山頂へ到着した。 白馬岳の山頂風景 一等三角点の置かれた山頂には、山頂標識と周囲の山々を案内するプレートの置かれたモニュメント、一等三角点が置かれているものの、とてもシンプルな山頂である。山頂からはやはり長野県側が切れ落ちており、山頂部が少しずつ崩落しているのかも知れない。これ以上山頂に居ても展望は得られないので下山を開始した。
途中左側に立つモニュメントの下に行くと、これは「白馬岳開発之恩人 松沢貝逸氏」のプレートだった。更に下山を続けていると、大星さんより雷鳥がいることを教えて頂いた。言われる方向を眺めていると、遠くで雷鳥が動いていた。しばらく珍しい雷鳥を眺めて白馬山荘まで戻った。 白馬山荘の食堂風景と夕食 部屋でゆっくり休憩を取り、午後5時を過ぎたので夕食を摂るために食堂へ向かった。夕食のメインはハンバーグで大きいものだった。これ以外にポテトサラダ、ブロッコリー、アスパラ、漬け物などに味噌汁とご飯、とても贅沢な料理である。ご飯と味噌汁をそれぞれ2杯おかわりをして今日も満腹。その後は売店へ行き、ジャックダニエルを飲むためのマグカップを購入、更に日本酒のワンカップを購入し大星さんと祝杯。消灯時間の8時半過ぎから翌日朝の5時までしっかり就寝した。 白馬鑓温泉 天狗尾根方面 白馬鑓ヶ岳へ続く稜線 そびえ立つ大岩 白馬鑓ヶ岳 鑓ヶ岳山頂 杓子岳 杓子岳山頂 断崖 白馬岳 杓子岳 白馬村営頂上宿舎 白馬山荘 白馬岳山頂 前の山 白馬岳−1 猿倉荘から白馬鑓温泉まで を見る 次の山 白馬岳−3 白馬山荘から栂池まで を見る 登山口周辺の地図はこちら 長野県白馬村他 白馬岳 登山口付近のMAP |