至仏山(しぶつさん)群馬県片品村

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2015年8月7日

鳩待峠 →1:00→ 山の鼻 →1:20→ 中間点 →1:20→ 山頂 →0:50→ 小至仏山

 →0:25→ オヤマ沢田代 →1:10→ 鳩待峠

全歩行時間 6時間 5分

登山行程図(地図をクリックすると拡大)

 2015年真夏の遠征の後半戦、本日は鳩待峠から燧ヶ岳と同じく尾瀬を代表する山の至仏山へ向かう。至仏山へ向かう一般的なコースは鳩待峠から西へ進み、オヤマ沢田代、小至仏山を経由して山頂へ至るものだが、このコースは往復のみのため面白味に欠ける気がする。そこで、今日は山の鼻から至仏山を目指し、高天原を経由して山頂へ着き、一周回りで鳩待峠へ戻ってくるコースを採ることにした。

登山口の鳩待峠 峠から至仏山を眺める

 午前5時過ぎに鳩待峠を出発、進路を山の鼻に向けて北へ進む。遊歩道に入れば緩やかに高度が下がり、左右にフキ等を眺めて整備された道を辿る。周囲には木々の背が高く、周りを見晴らすことはできないが、足下には貴重な高山植物を見つけることができる。

登山道入口 最初は下り坂

 木道は整備中の所もあり、絶えず歩きやすいよう保守作業が続けられている。西には至仏山の山頂部を見つけることもできるが、これは樹間越しなのですっきりした展望ではない。鳩待峠から山の鼻までは平坦な道を3.3km、その途中で鳩待峠から1.1kmの案内を過ごす。

整備された木道を辿る ノリウツギ

 途中には水場も用意されているので、遊歩道散策の場合には大して水分を用意しなくても大丈夫。周囲にはやがて霧がかかり始め、山頂部を見晴らすことができなくなった。今回登山でよく見かける白いノリウツギ等が現れれば、山の鼻までは残り1/3地点。クマに注意の案内やクマ除けの鐘などが配置してある。

至仏山 コオニユリ
川上川を渡る シシウド

 そこで勢いよく鐘を鳴らしクマ除けとする。もうお花畑は間近で、ホタルブクロやコオニユリ、アザミなどを観賞していれば、西に至仏山の山頂部が顔を出した。ビジターセンター前で川上川に架かる橋を渡り、シシウドやアカモノなどを鑑賞しているとすぐに公衆トイレの整備されたビジターセンターへ到着、鳩待峠からは約1時間の行程である。

ビジターセンター 至仏山荘
山の鼻 至仏山へ向かう

 ビジターセンターから山の鼻まではわずかで到着。この山の鼻から至仏山までは2.9Kmの行程で、この地点の標高は1400m。至仏山は2228mなので標高差828mを登ることになる。なお、この標高差は今回トレーニングをした広島市の白木山の標高差に近い。

草原には花が多い 草原に立ちこめる霧

尾瀬ヶ原に咲く花を鑑賞

 草原には朝霧が立ちこめており、至仏山の山頂から眺めれば、今いる付近は雲海の下だろう。山の鼻を出発、進路を南西に採り、至仏山へ向けてまっすぐ続く登山道に入る。今から向かう道は、植生復元と登山道再整備のため平成元年から同8年まで閉鎖され、多くの労力と費用を掛けて作業が行われたと案内されている。そこで、この登山道が登り専用の一方通行として利用されているわけである。

登山道入口 木道を辿る

 登山道に入ればまず前方に草原が広がり、その先に至仏山がそびえているはずだが、一面朝霧に包まれている。木道の周囲に貴重な植物を観賞しながら右に研究見本園への分岐を過ごす。やがて霧の中から前方に樹林帯が現れ、東面登山道に入る。この入口にもこの登山道が登り専用と説明されている。

足下に咲く花

 木道の整備された登山道に入れば、左右に笹が茂っている。すぐに朝霧の漂う付近を越えると朝日が登山道に差し込んでいる。足下はしっかり石で整備されており、とても歩きやすくなっている。登山道にオオバギボウシなどの花を眺め、背後を振り返れば樹間越しに尾瀬ヶ原に漂う雲海を眺めることができた。

花を観賞 雲海の先に燧ヶ岳(クリックで拡大)

 空を見上げれば、今日は快晴、昨日は仕事で東京へ行っていたが、その間この付近には雨が降っており、空気中に漂う塵などが洗い流されてとても澄んでいる。高度が上がる毎に眼下には展望が広がり、やがて雲海の尾瀬ヶ原の先、北東に燧ヶ岳が現れた。

青空が広がる 雲海が広がる

 手前の樹林に尾瀬ヶ原の雲海、更に燧ヶ岳と申し分ない展望である。この先高度が上がるにつれ、雲海は流されて尾瀬ヶ原の手前付近が見えてきた。早朝のそれも一瞬の美しい風景を眺めることができたのはとても幸運な出来事である。

ニッコウキスゲ 蛇紋岩

 しばらく眼下に広がる展望を眺めていたら、懐かしいニッコウキスゲの花を観賞することができた。さて、快晴の空を眺めて至仏山登山を再開する。展望地からは足下に岩が増えてくる。この岩は蛇紋岩なのでつるつる滑り、しかも急登が続くので岩の上を通過するのに難渋する。

少しずつ霧が流されている(クリックで拡大) 急登が続く

 進行方向には抜けるような青空、足下には滑り易い蛇紋岩の急登、背後には美しい雲海と燧ヶ岳と多くの見所を楽しみながら高度を上げる。尾瀬ヶ原を振り返る度に雲海が消えて行く様も珍しく、美しい光景である。この東面登山道は蛇紋岩が多く滑り易いが、眼下に広がる尾瀬ヶ原や燧ヶ岳を見晴らしながら登れば、これ以上のものはない。

更に急な岩場 雲海は消えた

 岩場の急登もなかなか楽しく、滑り易い事を頭に入れておけば、危険度も少ない。尾瀬ヶ原では至仏山と燧ヶ岳の中間地点の竜宮小屋付近まで雲海が消えてしまい。残っているのは竜宮小屋から見晴付近までになってしまった。

鎖場 尾瀬ヶ原と燧ヶ岳

 やがて中間地点の表示のある地点へ到着、足下には相変わらず蛇紋岩の目立つ道が続き、尾瀬ヶ原や燧ヶ岳には少しずつ霞がかかってきた。左右にハイマツを眺めながら慎重に高度を上げる。やがて大岩が現れるが、ここには鎖が渡してあるので難なく通過。岩上からは雲海の消えた尾瀬ヶ原の先に燧ヶ岳がそびえている。

ハイマツが迫る 青空に映える花

 間もなくベンチの置かれた休憩所を通過、至仏山への案内を確認して一気に高度を上げる。前方を眺めればなんとも急な坂が続いている。ただし、横木の階段が整備されているので、見た目ほどの苦労はなく、快適に階段を登ることができる。休むことなく高度を上げているが、背後に広がる展望は、階段を一歩登る毎に格段に広がる。

展望地を過ごす(クリックで拡大) 階段を登る

階段が続く 高天原(クリックで拡大)

 見た目の美しい蛇紋岩の続く急登をしばらく辛抱していれば、やがて木道の整備された山頂や尾瀬ヶ原を見晴らす展望地へ出る。この先からは山頂方面を眺めながらゆっくり木道を登ることになる。周囲に背の高い樹林はなく、快適な登山道を進んでいると、木道の周囲にいろいろな花を観賞、この付近が高天原と言われるところだろう。

高天原はお花畑

 足下に咲く花を観賞しながら、木道を辿りハイマツの間を抜ければ、岩の多い至仏山の山頂へ到着した。山頂には二等三角点が置かれ、周囲には遮るもののないパノラマが広がっている。

至仏山山頂

 南東には日光白根山がそびえ、その左には平坦な山容の男体山が顔を出している。北東の尾瀬ヶ原の先に燧ヶ岳がそびえ、その左奥には会津駒ヶ岳が霞みながらも存在感を示し、北に平ヶ岳、その左には雲の間から越後駒ヶ岳が顔を見せている。

越後駒ヶ岳(クリックで拡大) 会津駒ヶ岳と燧ヶ岳(クリックで拡大)

男体山と日光白根山(クリックで拡大) 武尊山(クリックで拡大)

 また、南には武尊山、その左に霞みながら赤城山が見えており、更に左には皇海山と続く。美しい展望を肴に紅茶を飲み小休止、山頂で飲む紅茶やコーヒーは、一番のご馳走である。しばらく周囲の展望を眺めた後、下山を開始する。下山は小至仏山等の山頂を踏んで一周回りで鳩待峠を目指す。

至仏山を出発 花が多い
小至仏山へ向かう(クリックで拡大) 山頂を振り返る

 岩の道に入ればすぐに足下に可憐な花が顔を出す。大岩の間を下り、山頂方面を眺めると山頂の右に会津駒ヶ岳、更に右には燧ヶ岳が続いている。贅沢な風景を眺めながら更に下山を続ける。

岩場を下る 至る所で花を見る

 下山方向には小至仏山、その右には武尊山がそびえており、こちらも堪えられない風景である。西には谷川岳が見えているはずだが、霞がちなので確認しづらい。明るい登山道を快適に下り、鞍部からハイマツ帯を登り返せば、岩の目立つ小至仏山の山頂(2162m)へ到着する。この地点が至仏山から1.1km、鳩待峠へは3.4kmである。

小至仏山が近くなる ハイマツの間を進む

小至仏山山頂

 時刻は11時に近くなってきたので、展望広がる山頂でおむすびをほおばる。素晴らしい展望を眺めながらの昼食は、心に残るものである。しばらく谷川岳と思われる付近を眺め、次回は谷川岳へ向かう決意を固める。

これから辿る道が見えている 岩場を下りる

 さて、至仏山を出発すれば、前方にはこれから下る尾根道が見えている。岩の目立つ地点を通過、この先には整備された木道が続く。木道の左右に咲く花を観賞しながらの下山なので、ただ歩いているだけで楽しくなる。間もなく隠れそうな燧ヶ岳や尾瀬ヶ原の展望を眺めて岩場を下る。

長い木道が続く 尾瀬ヶ原(クリックで拡大)

 ハイマツとシャクナゲが登山道の左右に目立ち、シャクナゲのシーズンは美しい花を観賞することができるのだろう。この山には別のシーズンにも登りたいものである。ベンチの置かれた展望地を通過、笹の茂るオヤマ沢田代に着けば笠ヶ岳への分岐を通過する。地塘の美しいオヤマ沢田代で小休止、青空と湿原のコントラストが美しい。

オヤマ沢田代(クリックで拡大)

 オヤマ沢田代を出発、鳩待峠までは残り3.1kmである。ここから木道の階段を下れば標高1980mのオヤマ沢の水場へ到着、美味しい水を飲むことができた。リュックにはスポーツドリンク3リッター、水1リッターを入れていたが、もうスポーツドリンクは残り少なくなっているので水分補給をしておく。

オヤマ沢の水場 最後に尾瀬ヶ原と至仏山を眺める(クリックで拡大)

 少し下れば山腹につけられた登山道に出るので、山頂方面から燧ヶ岳へ掛けての展望が戻るものの、やがて周囲にそびえる木々の背が高くなり、間もなく展望が消える。鳩待峠へ2kmの案内を通過、南に武尊山を眺めながら左右に笹の茂る木道を下る。最後に燧ヶ岳の展望が隠れると、もう樹林の下を辿るしかない。

笹の先に武尊山 木道の左右に笹

 鳩待峠へ1kmの案内を通過、緩やかな傾斜の登山道を下って鳩待峠へ到着した。これで一周回りの登山は無事終了、美しい展望広がる登山だった。鳩待峠付近からヘリコプターの音がしていたので気になっていたのだが、このヘリコプターは木道用の資材を運搬しているようだ。

鳩待峠へ到着 ヘリコプターで資材運搬

 至仏山の山頂から見えていた付近から山頂方面の写真を撮り、駐車料金2500円を売店へ支払った。鳩待峠の名物と言われる花豆ソフトクリームを頂き、体をクールダウン。本日の登山はこの一山のみなのでゆっくり駐車場を出発。明日登山予定の男体山の登山口へ向かうことにした。

花豆ソフトクリーム 鳩待峠を出発

 明るい道を下り、日光へ向かって国道120号に入る。前回登山をした日光白根山の登山口を通過、金精峠を越えて栃木県日光市に入る。坂を下る途中に男体山を見晴らす展望地があるので小休止。、中禅寺湖の上にそびえる男体山は美しい山容をしている。間もなく中禅寺湖の湖畔に着き、登山口の二荒山神社を確認した。

男体山 二荒山神社

 今日までが登拝祭と言うことで、今から登ることもできるそうだが、至仏山へ登ったばかりなのでやめておく。中禅寺湖越しに男体山を眺めてみたが、山頂部には雲がかかっていた。今日の内に日光見学のできるところまでしておこうと、東照宮付近まで行ったが、主な観光施設の観覧時間は午後4時半または5時頃までなので翌日に回すことにした。

二荒山神社へ参拝 やしおの湯

とらやさんの味噌担々麺

 この付近にやしおの湯と言う温泉を見つけたので汗を流し、その後は日光市内に移動し、夕食は担々麺で有名な「とらや」へ行き、味噌担々麺を頂いた。本日のすべての行事は午後7時までに終了した。

雲海

急登

尾瀬ヶ原と燧ヶ岳

高天原

至仏山山頂

小至仏山の後に武尊山

小至仏山

木道

オヤマ沢田代

 前の山 赤城山 を見る

 次の山 男体山 を見る

歩いた足跡  

登山口周辺の地図はこちら 群馬県片品村 至仏山 登山口付近のMAP

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