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今回は麓に祀られた佐々木小次郎の墓所と併せた紹介記事の取材のため伊良尾山へ登ることにした。山口市から国道315号を辿り伊良尾山の登山口のある阿武町の福賀地区に着くと、「ここは福賀生まれる名産地」の看板が建ち、周囲にはのどかな田園風景が広がっている。
登山口へ向かう起点は、地域の特産品などを販売する「福の里直売所」で、この店から北へ約300m進み「益田47km、須佐16km」の案内板を確認したら右上に続く分岐に入る。道なりに舗装道を進むと、左に貯水施設を過ごし、更に進むと左への作業道が現れる。この作業道の手前側にイラオ山への登山口案内が置かれている。なお、国道からは約1km入った地点である。
登山口の麓側が少し広くなっているので車を置いて登山を開始した。最初は植林帯なので歩きやすいがすぐに草木が腰くらいの高さに繁り始め歩き難くなる。これを抜けると背の低い植物が一帯に茂っている。これを踏みしめながら高度を上げる。
やがて荒れた作業道を横切り一段上の森に入る。足下には昔整備された横木の階段が残っている。この先からはほとんど真っ直ぐ北へ向かう。周囲には青葉が美しく、足下は歩きやすい。快適な道に安心していると前方に茨の混じる草木が茂ってきた。そこでこの草木に向かって中央突破を図っていると、この中には山椒の木が混じっていた。
茨に負けずどんどん高度を上げてゆくと背後に木床山や十種ヶ峰などの展望が開けてきた。更に高度を上げれば赤い山肌が前方に見えてきて、間もなく作業道に着いた。この道は「林道専用道東イラオ山線」で、砂利道のようだがとても走りやすそうだ。ただし、この道は林道専用道なので一般人が車で走ることはできないのかも知れない。
平坦な西台、東台などを眺めて一段上へ向かう。赤土の露出した道を斜めに登れば周囲は植林帯に変わり、そのままわずかに高度を上げればあっけなく伊良尾山の山頂に着いた。三等三角点の置かれた山頂からは樹幹越しの展望であり、先ほどの作業道からの展望の方が優れている。
さて、山頂から平坦な尾根を北東方向へ進む。すると先ほどの林道専用道イラオ山線と出合い、更に奥へ進むと手水が置かれ、灯籠一基の奧に竜神社が祀られていた。この竜権様こそが福賀集落の護り神で、福賀に住む人々の安泰を願っているそうだ。
山頂尾根を引き返し、再度三角点に触った後、林道に下り、周囲に広がる展望を眺める。それにしても露出した赤土の鮮やかさは素晴らしい。以前隠岐諸島を旅行した際、知夫の赤壁を眺めたことがあった。この赤壁は知夫に勝るとも劣らない赤壁である。下山は元来た道を引き返した。
下山後この地区の観光地「剣豪佐々木小次郎の墓」を見学した。案内が多く掲示されているので迷うことなく入口へ着き、整備された道を進めば墓所に着いた。案内には次のように記されている。
佐々木小次郎は、慶長17年(1614)4が13日巌流島の決闘に破れた。その当時妻のユキは懐妊中であったが切支丹の信者で折柄の厳しいキリスト教の禁令のため、夫の遺髪を抱き多くの信者とともに安全な居所を求めて山陰の地に逃れた。
ユキはここ寺ヶ浴真言宗正法寺に身を寄せ、仏門に入って尼となり、墓を建てて夫の冥福を祈った。我が子に対する因果応報を断ち切るために、小次郎の名を「古志らう(墓石右側面に刻す)」と替えて記したという。
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