槍ヶ岳 槍ヶ岳山頂〜新穂高温泉まで(やりがたけ)長野県松本市・大町市、岐阜県高山市 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2011年9月18日 槍ヶ岳山荘 →0:30→ 槍ヶ岳 →0:20→ 槍ヶ岳山荘 →2:30→ 槍平小屋 →0:40→ 藤木レリーフ →1:30→ 白出小屋 →0:50→ 穂高平小屋 →1:05→ 新穂高温泉 全歩行時間 7時間25分 午前4時に電気がついた。ゆっくり起き出し窓を開けると霧に包まれている。今日の天気は良いはずだが、これでは御来光は見られそうにないと思った。荷物を整えて5時過ぎに朝食会場へ。朝食は魚に豆の佃煮、だし巻き卵、酢の物などとても豪華である。これにみそ汁が付いているのでご飯のお代わりは当然である。その間に御来光がとても綺麗に見えていたようだが、これは事前の調査不足であった。
急いでカメラを取りに行き外に出たが、既に朝日は霧に包まれていた。それでも何枚か感動的な写真を撮ることができた。周囲を覆っていた霧は少しずつ飛ばされ、目の前に展望が開けてきた。午前6時に再度槍ヶ岳へ向けて登山開始、楽しい岩場へ向かう。
山荘横から山頂までは標高差130m、距離にして約200mの行程である。左に祠を過ごし、足下の滑りやすい砂利状の道に入る。周囲の岩を観察してみると、やはり一定方向に亀裂の入った柱状節理のように見受けられる。三点確保で少し岩場を登って背後を振り返れば、朝日を浴びた槍ヶ岳山荘がとても美しい。
穂高連峰はまだ霧に包まれており、笠ヶ岳も霧の中、しかしながら美しい風景である。と、山荘横には三角の影が見えている。これは明らかに槍ヶ岳の影である。 眼下に槍沢から続くジグザグの登山道がくっきり見えており、この道を歩いてきたと言うことがよくわかる。岩場に付けられた最初の階段を登り、○印の案内に従い高度を上げる。上を見れば急峻な岩場だが、手がかり、足がかりがあるので難なく登ることができる。未だ穂高連峰には雲がかかり、すっきりした展望を得ることはできない。わずかに笠ヶ岳の山頂部は雲の上に出ているので、なんとか名峰の片鱗を眺めることができた。
さて、山頂に向かう道はますます厳しく、ほとんど垂直な岩場を岩をつかみながら登る。これはとてもわくわくする眺めだ。青空に向かって多くの人が何かに取り付かれたように登っている。穂高連峰を眺めていると、段々霧がとばされ、穂高のたくましい稜線が少しずつ姿を現し始めた。更に穂高岳の先には明らかに標高の高い山が雲の上に顔を出している。
穂高岳を眺めながら高度を上げていれば、間もなく山頂へ続く二段の階段の前に着く。右と左の階段を比較してみると左側の方が明らかに難所のように見える。急な角度の階段をゆっくり登れば、岩のせり出した部分では、つま先立ちで階段を登らなければならない。このあたりはやはりおしりがムズムズする場所である。二段目の階段を登り切れば、昨日も登った槍ヶ岳の山頂へ到着。狭い山頂には大勢の登山者が祠に向かって待機、順番に祠の前で記念撮影をしている。
快晴の槍ヶ岳山頂風景 眼下に影の槍ヶ岳、周囲に広がる美しい展望を眺める。いろいろな山が見えているが、どの山が何という名前なのかさっぱりわからない。でも素敵な展望であることには間違いない。やがて祠の前に着き記念撮影、快晴の空の下なのでとても美しい写真を撮ることができた。
槍ヶ岳の山頂から眺める穂高連峰と富士山と槍ヶ岳山荘 周囲に広がる展望をしばらく眺めた後、階段を下る。もう穂高連峰を覆っていた雲は完全にとばされ、澄んだ空気の先に穂高連峰を眺めることができた。周囲の美しい展望を眺めながら下山を続け、最後に赤い実を眺めて槍ヶ岳山荘まで戻った。山荘前から眺める槍ヶ岳はとても美しい山である。
いよいよ槍ヶ岳山荘を出発、新穂高温泉へ向けての下山を始める。トイレ棟の横を過ぎれば山荘からは100m地点の槍ヶ岳キャンプ場入口で、ここから穂高岳へは9km、新穂高温泉へは14.4kmである。斜面に張られたテントを過ごし、少し下ると正面南には穂高岳へ続く稜線が見えてくる。西に広がる稜線には未だ雲がかかり、遠く南東方面には富士山の三角錐がくっきりと姿を現している。
間もなく飛騨乗越の分岐へ到着、そのまま道なりに南へ行けば南岳だが、我々は槍平を経由して新穂高温泉へ向かうコースを選択するため右へ進路を採る。西には雲に隠れた稜線が続いているが、とても明るく美しい。急斜面にジグザグにつけられた道を折り返しながら下る。これは登るのに苦労しそうだ。それにしても南に広がる稜線は美しい以外に言葉が見つからない。
足下は滑りやすい小石の点在した道なので、慎重に歩を進めれば、すぐに転倒してしまいそうだ。と、右の斜面の先には更に美しい稜線が広がっている。この山々の名前が解らないのが残念だ。西には屋根の赤い山小屋が見えており、これが鏡平山荘だとすれば、雲の架かる西の稜線は弓折岳から大ノマ岳、抜戸岳更に笠ヶ岳へと続く山脈と推測される。
目の前の北の稜線は、槍ヶ岳から双六岳へ続いているが、この稜線上には沢山の登山者が歩いている。いつの間にか周囲は草原に変わっており、季節毎の花の咲くお花畑のようだが、この季節は丁度端境期のようで、花を見つけることは出来なかった。相変わらず急傾斜の道を下るが、周囲の展望が素晴らしいので一向に疲労感はない。足下に大きなイチゴを見つければ、千畳乗越への分岐へ到着。
東の岩上には宿泊した槍ヶ岳山荘の一部が見えており、飛騨乗越の分岐から下りてきた急斜面を見上げれば、本当にきつい斜面であることを実感する。この付近で弓折岳から笠ヶ岳へ続く稜線の間に奥丸山へ続く稜線が割って入ってきた。この稜線部には幹の白い木が目立っており、とても印象的な景観である。ちょうど目の前に見える木が同じ種類のようなので、観察してみるが、勉強不足で何の木なのか解らなかった。
特徴的な木を過ごせば森林限界は終了、明るく美しい稜線を眺めながらの下山は、頭上を覆う樹林に遮られることになりそうだ。すぐ前方(南西)に丸い山が見えてきたのは奥丸山だろうか。目の前の稜線からは一つ先の山脈のように見えている。もう少し坂を下ると登山道は南に向き、左の山裾を眺めると穂高岳から続くギザギザな稜線を眺める。
足下には大小の岩が転がり、いわゆるガレ場という場所が続くので慎重に下る。間もなく最後の水場(LAST WATER)と書かれた水場に到着、水筒の中に入っている山荘の水と入れ替える。ここの水はとても冷たくておいしい。すぐに登山道に水の流れる場所を通過、枯れた木と青空の美しい場所にて小休止。空が青いと全てのものが美しい。
正面に穂高の右端の稜線を眺めながら下ると岩海のような場所を通過する。この場所は雨が降ると川になるのかも知れない。この先で樹林の中に入ると真っ赤なマユミの実がたわわに実っている。少しの針葉樹林を抜けると右に川が見えてきた。そのまま川沿いに下ればすぐに槍平キャンプ場に到着、トイレと水場を通過した先が槍平小屋である。ここには広い休憩所があり、南岳との分岐点でもある。 槍平小屋 トリカブトやマユミの実を眺めていると、足下は木道へ変化。針葉樹林を眺めながら坂を下れば、正面に槍ヶ岳の稜線が見えてきた。雲の架からない稜線はとても美しく、坊主頭のように見える山が印象的である。幾分逆光気味ながら美しい稜線に感激、感激さめやらぬ間に岩海の場所に着く。この岩海の付近で進行方向を見失ったが、○印を確認すれば水平方向へ移動することが解ったので無事通過することが出来た。
山の一部が光って見えたので双眼鏡で調べてみると、光っているのは雪渓のような感じがした。この先足下に岩道が続き、眼下には岩の多い清流が見えている。この中に一際大きな四角い岩が見えたのでしばらく観賞、これは本当に大きな四角岩である。やがて川のほとりに着くと、岩に何か埋め込んであった。近づいて見ると藤木レリーフと書いてあり、藤木九三氏のレリーフと説明されている。
もう少し進むと大きな河原に出る。岩の多い河原から南東方面の展望が広がり、正面には落差の大きそうな滝がある。滝の上には雪渓が白く、稜線には坊主頭のような丸っこい形の山があり、美しい景色に声を失う。位置からすると北穂高岳のようだが、やはりこの付近の地理には疎い。
沢に架かる橋を渡って昼食を摂り、約1時間の休憩の後、河原を出発。右に犬のように見える岩を過ごし、少し進むと左手上の滝谷避難小屋を眺める。周囲は樹林に覆われて展望は無く、足下に咲く花などを眺めながらのんびり歩く。もう先ほどまで見えていた北穂高岳はすっぽりと雲に包まれ全く見えなくなってしまった。
進行方向の南西方面に双子のような山を眺めるが、こちらも雲に視界を覆われそうだ。足下にブドウ谷の表示を過ごし、頭上にはダケカンバの木を眺める。これから先も岩の多い道が続き、慎重に下山を続ければ突然白出沢に着く。ここは砂防堰堤の工事中であり、工事用の橋を渡り西を眺めれば、中崎尾根には雲が湧いているように見える。
北には北穂高岳が見えるはずなのだが、やはり雲に覆われて何も見えない。橋を渡ればこの先は右俣林道、すぐに奥穂高への登山道を左に過ごせば、この先は何の心配もない林道歩きである。
自然林の下、美しい木漏れ日を眺めていると牛の放牧された牧場を過ごす。牧場先に建つ穂高平小屋へ到着、小屋にて冷たいビールを飲んだ。とてもうまかった。のどが渇いていたのであっという間の一気のみ、それほどおいしかった。穂高平小屋越に穂高連峰の稜線を眺めて小屋を出発、林道を淡々と下る。
林道沿いに下りていれば、なんと林道をショートカットする近道があるのに気が付いた。そのまま橋を渡り林道のゲートを通過、この林道は許可がなければ通ることは出来ないようだ。林道入口からは20分程度で新穂高温泉の最奥駐車場へ到着、この先は観光客で賑わう温泉街を下る。
途中で新穂高ロープウエイ、ホテル、温泉などを通過。バス停到着時刻は午後4時15分。バスの発車は4時55分なので充分時間がある。おみやげ物を売っている新穂高ロープウエイの店まで戻り沢山のおみやげを購入。その後バスに乗り、平湯温泉を経由してアカンダナ市営駐車場まで戻った。本日の温泉は奥飛騨温泉郷のひらゆの森、暖かい温泉にて登山の疲れを取り、岐阜県高山市の道の駅「奥飛騨温泉郷上宝」へ行き就寝となる。 前の山 槍ヶ岳 槍沢ロッヂ〜槍ヶ岳山荘〜槍ヶ岳山頂まで を見る 次の山 焼岳 新中の湯温泉コース を見る 登山口周辺の地図はこちら 槍ヶ岳 登山口付近のMAP |