槍ヶ岳 槍沢ロッジ〜槍ヶ岳山荘〜槍ヶ岳山頂まで(やりがたけ)長野県松本市・大町市、岐阜県高山市 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2011年9月17日 槍ヶ岳二日目 槍沢ロッジ →0:35→ ババ平キャンプ場 →0:30→ 槍沢大曲り →2:20→ 播隆窟 →1:10→ 槍ヶ岳山荘 →0:25→ 槍ヶ岳 →0:20→ 槍ヶ岳山荘 全歩行時間 5時間20分 午前5時に起床、トイレに行くと外からは豪雨のような雨音が聞こえた。これは大変だと思うが、今日は雨を覚悟している。午前5時半に朝食、食堂へ行くとおみそ汁に鮭とだし巻き卵と野菜に煮付け、とても豪華である。ご飯のお代わりまでして今日も満腹状態。
雨なのでリュックの中身がぬれないように装備品をビニール袋で包み、カッパを着て万全の態勢で午前6時50分に槍沢ロッヂを出発、槍ヶ岳までは残り5.9kmである。少し進んだ槍見岩のところで合羽が暑いので脱ぐことにした。この時点では雨は小雨なので濡れる心配は少ない。この槍見岩の上にそびえる岩山は、槍ヶ岳のように見えている。
周囲に霧の流れるこんな天候だが、この岩山はとても幻想的に見えている。足下は大小の石や岩のちりばめられた道なので、滑らないよう注意しながら進む。進行方向には岩山が見えているが、そこまで行くには岩道を通過しなければならない。 岩の道が続く
槍→や◎と白いペンキで描かれた案内に従い、少しずつ高度を上げる。間もなく赤沢岩小屋の案内を過ごし、もう少し進むと左右に真っ青なトリカブトを眺める。この先で岩の積まれた場所に着けば、この場所がババ平キャンプ場。槍沢ロッジからは900m、槍ヶ岳までは残り5kmである。カラフルなテントの張られたキャンプ場を出発、進行方向に見えている稜線は東鎌尾根と思われる。
本日のような天候だと、あっという間に稜線は霧や雲にさえぎられるようだ。相変わらず川の右手につけられた平坦な岩道を進むと水場へ到着。冷たい水でのどを潤せば、疲れも取れるような気がする。五郎沢を過ごし乗越沢を通過、やがて槍沢大曲りに着く。ここで水俣乗越への分岐を過ごし、川沿いに進むがまだまだ傾斜は緩やかである。
やがて少しずつ坂の傾斜がきつくなり、周囲にお花畑のなごりを眺めながら高度を上げ始める。間もなく登山道はジグザグに高度を稼ぎ始めるので、歩く速度も遅くなる。背後にV字谷を眺めながら少しずつ高度を上げ、足下にはリンドウ、トリカブト、サラシナショウマなどの花を眺める。
谷には上流から流れてきた大小の岩が堆積し、まるで岩海のような景観を見せており、注意して周囲を見回せば、岩海の端には小規模ながら雪渓が残っていた。周囲はお花畑のようだが、花の季節は過ぎてしまったようだ。足下は岩の点在する滑りやすい状態で、急な坂も続いていおり、ゆっくり歩きが続く。
トリカブトを眺めて少しの坂を登れば、天狗原への分岐へ到着、この付近より携帯電話の電波が入り始める。小休止の最中にぽつりぽつりと雨が降り始め、この先からは合羽を着て登ることにする。時刻は午前9時前、登山開始からは約1時間が経過している。
天狗原分岐を過ごして5分で滝見岩の案内を過ごすが、霧が出ているため、どこに滝が見えるのかわからなかった。この先より滑りやすい岩道を辛抱しながら登ることになる。やがて山腹につけられた道を西方向へ進む。岩の間から水が流れているので水を汲むのに丁度良い。岩を眺めていると1500と白いペンキで書かれていた。後でわかったことだが、これは槍ヶ岳山荘までの距離だった。
すぐにホースで水を引いてある水場へ到着、ここで水筒の水を入れ替えた。この水は冷たくてとても美味しい。周囲はそれこそ岩・岩・岩の状態で、見渡す限り岩ばかり。進行方向は岩に白いペンキで描かれた矢印や◎で示してあるので迷いようがない。坊主岩屋下の案内標識を確認、この場所からはヒュッテ大槍へ分岐しており、600m先と案内されている。
岩に書かれた案内に従い、岩海を登ればすぐに播隆窟へ到着、案内には「槍ヶ岳初登はん・開山をなしとげた念仏行者播隆が、そのつど利用した岩屋。播隆行者は、五回槍ヶ岳登山をしたが、天保五年(1834)の第四回登山の時は、この岩屋で五十三日間も篭もり、念仏を唱えた」と説明されている。 播隆窟 足元に咲く花 播隆窟を出発、足下にいくつかの花を眺めて小休止。進行方向には霧が流れ、槍ヶ岳を確認することはできない。間もなく1000mのペイントを通過、坂の傾斜がきつくなり、足下はますます滑りやすく気が抜けない。それでも少しずつ高度が上がり、残り900mの案内を通過すれば、殺生ヒュッテとの分岐へ到着、この分岐から槍ヶ岳まで1km、殺生ヒュッテまでは150m、槍ヶ岳山荘までは700mである。
右に殺生ヒュッテを過ごし、左に雪渓を眺めてジグザグにつけられた道を進む。500m、400mと山小屋までの距離が近くなるに連れ、休憩回数が増えてくる。不思議なことに登山者全体が一定のリズムで歩き続けており、前方の登山者が小休止を取れば、後続者も同様に休憩を取っており、それぞれの間の距離は遠くなることも近くなることもない。やがて槍ヶ岳分岐へ到着、この分岐からは西岳・大天井岳へ向かうことができるようだ。
頭上を見上げれば、霧の中に建物が見えてきた。いよいよ槍ヶ岳山荘へわずかな距離であり、少し進めば本日の宿泊地、槍ヶ岳山荘へ到着した。到着時刻は午前11時54分、山荘前の温度は14度、少々寒いくらいである。山荘内に入りチェックイン、一泊二食付きの料金は9千円。この場所での料金は決して高くないと思う。
喫茶にて暖かいコーヒーを飲み、荷物を部屋へ入れて、槍ヶ岳へ向かうことにした。山荘から山頂までは200mと案内されている。柱状節理に見える岩を過ごし、ペイントに従って岩場に挑む。岩は意外としっかりしており、ぐらぐらすることは比較的少ないようだ。
悪天候の槍ヶ岳 岩場を登る山ガール 一つ一つの岩の安全を確認しながら慎重に高度を上げる。いわゆる三点確保で確実に安全に岩を選びながら進む。周囲は霧の中なので全く展望はない。従ってそんなに恐怖を感じることなく登っている。間もなく最初の難関のハシゴ前に到着、ほとんど垂直のハシゴを一気に登る。これはなかなか楽しい作業である。 岩を超えれば鉄ハシゴが待っている 途中で岩がせり出し、靴の先でハシゴを踏む場合、おしりがムズムズするのが新鮮な感覚である。すぐにハシゴを登り切り、下を眺めれば、ぞくぞくするくらいの急角度だ。小規模なハシゴを登れば、この先手がかり、足がかりが無いため、岩に打ち込まれた鉄製の杭をつかんで進む。この辺り、どこに手を置き、どこに足を下ろすか慎重に判断しながら登らないといけない。 ハシゴを超えればミニハシゴ また、この付近は登山道と下山道が違うので、対向者の下りる状況を眺めながら、登ることができる。この先が槍ヶ岳登山の最大の難所、二段のハシゴが待っている。右と左のハシゴが設置されているが、当然左の登山用の方が、角度がきつく登り堪えがありそうだ。とにかく力を込めてハシゴをつかみ、一段づつ慎重に高度を上げる。最初のハシゴは小手調べ、すぐに上の段へ到着して一安心。さあ最後のハシゴにとりかかる。 足場の細い場所に先は二段のハシゴ 再び右と左のハシゴを見比べると、やはり左の登山用の方が角度が急である。ハシゴに向かう。少し登って下を見下ろすが、霧が多いので恐怖感はない。中央付近で靴の先端が岩にあたり、靴の先頭部でハシゴを踏みしめる。これはぞくぞくする瞬間である。一歩一歩高度を上げ、最後のハシゴを登れば日本で5番目の高峰、槍ヶ岳の山頂に到着、狭い山頂の手前に三角点を確認、その先にある祠の前に立ち槍ヶ岳登頂達成である。
悪天候の槍ヶ岳を下山 周囲を見回せば、霧に包まれて全く展望なし。山頂にはもう2組3名の登山者がおり、それぞれ記念写真を撮り合う。我々も祠の前でパチリ、深い霧の中、大星さんとツーショットを取ることができた。その後、みんなが山頂を下りたので、文字通り山頂独り占め。これで展望があればと思うのだが、今日の天候であれば、雨の降らない状況で山頂に着くことができ、これでも大満足の登山であった。
しばらく山頂にて独り占め状態を楽しみ、いよいよ山頂を出発する。急なハシゴを下るが、下山はやはり登る以上に気を遣う。ハシゴはどんどん下りれば大丈夫だが、岩場は滑らないよう慎重に下る。鎖を伝い、途中で山ガール2名が登るのを眺める。人が登るのを眺めるのもなかなかおもしろい。最後のところで、道を間違えそうになったが、無事山荘に戻った。山荘では水が1リッター200円だが宿泊者は無料と書いてある。
宿泊所へ荷物を運び、濡れた合羽、ザックカバー、スパッツ等を干し、遅い昼食を摂る。槍ヶ岳へ登る前に水を入れていたご飯はもう食べ頃になっており、これにカップヌードルが本日の昼食である。その後山荘内を散策し、5時半になったので夕食を摂る。おかずは酢豚に野菜にサラダ、とても豪華な夕食である。大星さんとビールで乾杯し、ご飯をお代わりし、本日も満腹である。 食堂にて豪華夕食 その後部屋に帰り、荷物の整理をしたり、入れ替えたりでいつの間にか消灯時間の8時半。ところがなかなか寝付かれず、結局遅くに寝たみたいである。午前1時過ぎに一回トイレに行ったくらいで、本日はなんとか寝ることができたようだ。 前の山 槍ヶ岳 上高地〜槍沢ロッヂまで を見る 次の山 槍ヶ岳山頂〜新穂高温泉まで を見る 登山口周辺の地図はこちら 槍ヶ岳 登山口付近のMAP |