トップに戻る 2022年に登った山リストへ戻る 山名アイウエオ順
→0:15→ 絶壁展望岩 →0:40→ 美少年の滝 →0:50→ 阿武大橋 →0:40→ 滝橋
以前というのは平成21年(2009年)6月13日、今から13年以上前の事である。テレビ放送は丁度一年前だったので、当時はすぐにでもこのルートへ行こうかと思ったが、紅葉の時期は終わっていたため、次の予定は今年の6月頃のシャクナゲ・セッコクのシーズンだったがいつの間にか忘れていた。
最近紅葉の季節に入ったのでこの長門峡の秘境のことを思い出した。登山口は萩市川上長門峡隧道の滝橋側である。隧道の反対側に駐車スペースがあるので車を置いて登山を開始した。なお、駐車地の向かい側には阿武川を挟んで切籠切窓がそそり立っていた。
長門峡隧道を潜り出たところが滝橋で、この左側が絶壁展望岩を経て阿武大橋へ続く本日の登山口である。手製の案内には絶壁展望岩・ツルマンリョウ・シャクナゲ・美少年の滝・阿武大橋方面と表示されていた。 全行程図も置かれているので位置関係を頭に入れて登山道に入ることができる。ただし全行程に配置されている補助のロープについては安全を保証するものでは無いとあり、自己責任において安全を確かめないといけないのは言うまでもない。
途中で右に絶壁展望岩への近道(ツルマンリョウ・シャクナゲにも行けるとある)が分岐するが、順路なのでツルマンリョウを眺めるため左の道をとる。岩の上に続くロープを辿るため登山口からストックはリュックに入れたままで、これは水平道へ着くまでこの状態が続き、両手を使って補助ロープを辿る。
目印は赤または黄色のテープが木に巻かれているが、色があせ始めてわかりにくいところが目立ち始めていた。やがてアルミ製のハシゴを登り更にロープを伝って高度を上げる。この先の左右の分岐は右へ向かうと目印のテープに出会った。当日は目印が解らなくなると進んだ先で突然目の前に目印が現れた。
ツルマンリョウ・シャクナゲの案内を過ごし、少し足下が歩きやすくなった。坂の傾斜を感じながら尾根へ向かって高度を上げる。やがて突然という感じで左右に続く水平道に着いた。これで一安心で、ここまで一度も道を間違えることは無かった。それだけ慎重にルートを探していたと言うことだろう。
ツルマンリョウ・シャクナゲを鑑賞するたる進路を左(東)へとる。山腹につけられた足下の細い道が続き、足を踏み外せば下まで転がり落ちそうだ。慎重に足場を選んで進み、尾根の端に着いた。足下にはツルマンリョウの雄株が群生しており自生地の案内が置かれていた。実のなる雌株を鑑賞するには高度を上げないといけない。
尾根道を南へ進み、高度を上げればすぐにツルマンリョウの雌株の群生地に着いた。幸いにも3つの朱色の実を眺めることができた。これでツルマンリョウは鑑賞したので先ほどの分岐まで引き返したが、残念なことにシャクナゲ(東シャクナゲ岩)を確認することを忘れていた。ツルマンリョウの下へ向かうと東のシャクナゲ自生地があったようだ。
ロープを伝って急斜面を下りるとすぐに蕾のついたシャクナゲに出会った。更にロープを伝って高度を下げると西シャクナゲ岩に到着、眼下に阿武川と重塀岩を眺めることができた。この展望を眺めるために今日は朝早くから出発したのだ。素晴らしい展望に初めて満足することができた。
重塀岩の左上には本日のハイライトともいえる絶壁展望岩がそびえており、松の木が1本伸びていた。テレビではあの場所に着くために1時間かかると話していたことを思い出した。西シャクナゲ岩から分岐まで引き返し踏み跡を辿る。
そのまま谷を詰め、岩の上へ向かうと明確な広い道に着いた。これは山仕事に使われた道と思われる。明確な道を辿っていると送電線に使われる白いガイシが2つ置かれていた。かつてこの付近に送電鉄塔が置かれていた名残だろう。
快適な道がしばらく続き、頭上に紅葉の始まりを探す余裕まで出てきた。やがて「ウスギムヨウラン」の案内のある場所で絶壁展望岩への分岐が現れた。山道から右上へ続く道に入り、尾根へ着くと左右の分岐となる。左は重塀岩で、道は悪くヤブコギ気味と案内されていた。右が絶壁展望岩へ続く道であり、「あと5分ガンバレ」と書かれていた。
展望岩へ向かって苔の目立つ道を辿り、頭上に広がる紅葉を観賞しながら少しずつ高度を下げればすぐに展望岩に着いた。展望岩の中央には松の木が1本だけ立っており、下から眺めたときの目印となりそうだ。展望岩から眼下に重塀岩がそびえ、北西には朱色の麦谷橋が紅葉の中に鮮やかだ。
一度に5名が限度と言う広さの岩に向かってロープを伝って下りてみた。岩壁にはセッコクが多く残っていたので6月頃には白い可憐な花を咲かせるのだろう。ただし松の木に咲いていたセッコクは無くなってしまったようだ。セッコク岩から重塀岩などを眺め、ロープを伝って展望岩まで引き返した。
時刻は少し早いようだが展望を眺めながら昼食を摂り、展望岩を出発した。分岐まで引き返し快適な道を西へ向かう。進路は途中から一旦北へ向き、やがて南へ向かってつづら折れの生活道を下る。基礎の石組みがきれいに残っており、かつては牛馬が荷物を運んだと言われている。
広い道を下っていると炭焼き窯跡を左に過ごし、更に下っていると美少年の滝への案内が現れた。案内に従い左側へ向かうと草に覆われた炭焼き窯跡を左に見送り前方に沢が現れた。この先から沢に沿って少しずつ高度を上げるとすぐに全長20mと言われる大きな滝に到着、これが雁の瀬の滝(美少年の滝)である。
水量は少ないが見上げるほどの大滝には感激、しばらく頭上の大滝を眺めて小休止。さて、いよいよ最後の行程で阿武大橋へ向かう。分岐まで引き返し次の方向は少しヤブ化した下の方向で、草を分けて進むと左側にロープが現れた。今日は迷いそうになったときに向かった所がそのままコースとなっていた。
沢に下りてここでも向かう方向を失う。下を見ると阿武川なので水平方向を探すと山口県の石杭が見えたのでこの方向へ向かうとロープが続いていた。この先からは水平道を辿れば大丈夫なのだが、足下が細くその下は奈落の底状態。一層の緊張感を保ちながらロープを伝って進む。
右側に朱色の阿武大橋が見えてくれば終わりが近い、足下が歩きやすくなったと思ったらすぐに阿武大橋の横に下り立った。このときの達成感はすごいものだった。阿武大橋を出発、これから2.8kmの鋪装道を歩いて滝橋の先まで引き返す。
阿武川の先に広がる青い空と紅葉を眺めながら麦谷橋に着き、重塀岩を眺めその上にそびえる絶壁展望岩の位置をさがす。松の木が1本見えているのが展望岩の印で、この木はすぐに見つかった。更に鋪装道を進み展望岩を眺めていた人が立っている場所に立ち、展望岩の上にいる人が見えるか確かめたが、肉眼では見えそうに無かった。
この先も道の左右に紅葉を眺め、滝橋まで帰り着いた。再度登山口に入ってみたが、よくもこの場所から取り付いたものだと感心した。周辺の写真を沢山取って駐車地まで戻り登山を終了した。その後もう少し阿武川の上流へ向かってみると左側に堰が設置されていた。何の気なしにこの道を下り周辺を眺めて引き返した。ところがこの堰こそが秘境金郷渓の端に位置する江毛九郎堰だった。残念、もう少し丁寧に写真を撮っておけば良かった。
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