二代木山(にだいぎさん) 山口県岩国市美和町

2022年12月3日の二代木山登山を見る

2005年8月28日(日曜日)

二代木山

登山口 秋掛交差点先登山口

ガイド本 金光康資著 防長山野へのいざない

登山開始  7:35 山頂到着  9:06 下山開始  9:40 下山終了 10:59

登山時間 1:31 山頂滞在時間 0:34 下山時間 1:19 所要時間数 3:24

 忘れられない写真がある。中島篤巳著「周防100山百景」の中の二代木山の項の「ハイライトの大岩」だ。四角の大岩の大きさはいったいどのくらいなのだろう。人の背丈の倍近くあるらしく、実際に自分の目で確かめてみたい。こんな思いから美和町秋掛の二代木山に登ることにした。

 朝6時過ぎに家を出ようとしたが少し雨が降っている。少し不安になったが天気予報では曇りのち晴れというので天気予報を信じて出発する。玖珂の山賊付近で雨がひどくなったので少し怯むが、登山口まで行き、もしも雨が止まなかったら帰ればいいんだと言い聞かせてかまわず進む。

 国道2号から国道187号を経由し小郷から美和方面に進入する。そのまま県道2号を通り美和町役場の側を通って一路登山口の秋掛交差点を目指す。秋掛交差点から少し進んだ右側が登山口となっており、その先の路肩に駐車して登山を開始する。東方面の山肌を見ると大きな岩がそそり立っているのが見える。これから登る行程を思い浮かべながら登山口に向かう。

登山口から見える大岩 二代木山登山口

 登山口に入ってすぐ右手には小さなお地蔵様が鎮座されており、早速に登山の無事をしっかりと祈願する。昨日祈願することも忘れてそのまま通り過ぎたことが悪夢の始まりだったので今日は余裕を持った登山を心がける。

お地蔵様にお参りする 民家の庭先を右折する

 民家の庭先を通って右に向き、沢沿いに行くと道は分岐し、右側の道を取るとイノシシ除けらしきフェンスがあり、扉を開けて中に入って行く。すぐに笹が被り、笹を掻き分けながら行くと突然上にテレビ受信用のケーブルが現れた。これから第一ピークまではこのケーブルが道案内となる。

沢沿いに進む イノシシ除けのフェンスの中に入る
道案内のケーブル 大岩を迂回する

 笹の薮道を両手で掻き分けながら進んで行く。踏み跡は何とか判別できるので立ち止まらずに進んで行く。突然目の前に一匹のマムシが出現し、思わず大きな声が出てしまう。これから先はマムシ注意のへっぴり腰で歩く事になる。なるべく地面近くの木を持たないようにし、石を掴むときにはしっかりと周囲を観察し、何も居ないことを確かめて石を掴む。

少しずつ秋掛の田園風景が広がってきた 第一のアンテナ 後方には大岩

 薮こぎ歩きを堪能しながら少しずつ高度を上げて行くと登山開始から30分で第一のアンテナの下に到着した。目の前には秋掛の登山口から見えていた大岩が聳えている。アンテナの先を右折すると大岩の少し下側にかすかな踏み跡があり、大岩を左手に見ながら巻いて行くと踏み跡は少しずつ上に向かって進んでいる。

足下の岩に目印 笹の茂る急斜面を登る

 大岩を迂回しながら道が続いているようで、その先からは笹の道となり、今度は一気に大岩と大岩の分岐に向かって登るように道が続いている。急な笹藪道をゆっくりと登って行くと山頂方面の岩山と展望の大岩の分岐に到着した。展望は帰りに楽しむことにして、そのまま右の岩に取り付き、山頂を目指す事にした。

岩の割れ目に沿って登る

 この岩山には斜めに割れ目が走っており、この割れ目の間に足を突っ込み、両腕で岩にしがみついて体全体を使いよじ登る。なかなか初心者の単独行には難しい関門だったが執念で登りきり、第一のアンテナから10分足らずで無事山頂に向かう岩山の上に立つ。

 ここからは待望の「ハイライトの大岩」を見る。この岩を見たいがためにわざわざここまで来たので、感慨無量である。噂に違わぬ素晴らしい大きな岩、確かに人の背丈の倍近くはある見事な岩で、やはり来て良かったと思わせる岩だ。

素晴らしい「ハイライトの大岩」 
左上の岩は背丈の倍近くある
更にケーブルに沿って登る

 この岩を見たことで目的は達成したも同然であるがやはりピークだけは踏みたい。いつの間にかピークハンターになってしまったようだ。滑りやすく細い岩道を気をつけながら進んで行く。まだまだ薮の坂道は続くので気を引き締めて登って行く。更に5分で右手に重ね餅岩を見る。上の餅は本当に綺麗な餅で、この岩も近くに行くと大きい。この先少し坂がゆるんで安心する。

重ね餅岩 笹の道を更に進む

 更に歩くこと10分、登山開始から55分で第一のピークに到着した。ピーク上には共同アンテナが設置してある。ここからが大切なところで少し先に進むと羅漢山が近くに見えて素晴らしい展望が開けている。また、前方に山頂らしき山が待っているがこれは685mピークでうっかり進むと大変なことになる。

第一ピークのアンテナ 羅漢山が見える

 二代木山へはアンテナの所まで引き返すとその先に朽ちかけたテープが巻いてあることが分かる。東の方向を見ると730mピークの山が直線距離にして約200m先に見える。これが第二ピークでまずはこのピークを目指す。東方向に下る笹道を落ち着いて探すとかすかな踏み跡がある。尾根を外さないようにゆっくりと降りて行く。

目印のテープを見つける 笹の道に向かう

 すぐに鞍部に到着し登り返す。少し進むと目の前には岩山が立ちはだかる。真っ直ぐ登るには技術が無いので、左方向に3〜4m程度迂回する。すると真っ直ぐ上に登る踏み跡が確認できたので、腕と足との合同作業でゆっくりと慎重によじ登る。下は絶壁に近いのでここが踏ん張りどころ、岩の上に出ればもう大丈夫だ。後方には羅漢山・米の餅山が綺麗に広がっている。素晴らしい景色は元気と勇気を与えてくれる。

鞍部には踏み跡がある 730mの第二ピーク

 少し登るとすぐに730mの第二ピークに到着した。第二ピークから二代木山山頂に向かう前に山頂へ向かう注意点を再確認する。まず、二代木山山頂は第二ピークから見ると南南東方面にあり、直線距離では約500m先だが登山道は一旦東方面に約400m程度進んだ後、方向転換をして南方面に200m進んだところとなる。まずは東方向に降りる踏み跡を探し、尾根を外さないように慎重に降りて行く。

二代木山方面 踏み跡不鮮明な鞍部

 最初は急な斜面を降りることになり、滑らないようにゆっくりと降りることを心がける。鞍部には5分程度で到着するがここから最後の関門が待っている。尾根がだんだん分かり難くなってくるのでじっくりと慎重に進む。途中には思い出したように朽ちた目印のテープが残っており、道を間違えていない事を確信しながら進む。この尾根歩きは短い登山経験の中で唯一学んだもので、間違えたかなと思うと必ず引き返し記憶のある場所から再出発することを心がけている。              

 二代木山では行きはなんとか分かるにしても帰りが心配なので、帰るために周囲の景色を頭の中にたたき込みながら進む。尾根を歩き続けていると突然道は南方向に変わり、いよいよ山頂への道が開けてくる。目の前には大きな舟岩が現れた。本当に舟の形をした岩が目の前にあり感激した。舟岩の上から周囲の景色を見ようとするが周りの木々の背が高く全く見えない。

舟岩到着 二代木山三角点

 ゆっくり進んで行くと坂は急になり、前方には光が見えてきた。いよいよ山頂が近いことを感じて少し安心する。急な最後の登りを楽しみながら進むといきなり山頂三角点との対面となった。更に山頂を求めて進んで行くと標高最高点を過ぎた先に大きな岩があり、その先にも背丈程度の小岩が立っている。

山頂の大岩 山頂標識

 更に南方面に進んで行くとようやく登頂記念プレートが1つ掛けてあったので間違いなく二代木山山頂に立ったことを確認した。登頂プレートのある場所は展望に乏しいので岩の立っている場所まで戻り、小さい方の岩の上に登り西方面に開けた展望を楽しむ。遠くには水ノ尾山から平家ヶ岳に続く稜線が広がっている。また、近くに見えるのは成君寺山だろうか。本郷村の標高の高い場所にある民家がよく見える。一息ついてようやく二代山山頂にいるという自覚が湧いてきた。当然の事ながら苦労した山ほど印象に深いもので、この山も忘れられない山となることだろう。

山頂からの展望 二代木山山頂

 山頂に満足したので下山を開始する。踏み跡が不鮮明なので尾根を外さないように気をつけながら降りて行く。舟岩を過ぎ、その先の西方面へターンの場所でやはり踏み跡が分からない。方向はコンパスで確認できたので落ち着いて踏み跡を探すと西方面にちゃんと踏み跡を確認した。少し進むとやはり踏み跡不鮮明となったがこれも時間を掛けて周囲の景色を思い出し元の踏み跡を見つけることができた。どうもこの2ヶ所が間違えやすいポイントみたいで1つ目は東方面へのターンの場所、次が東にターン地点から鞍部との中間点手前付近である。

下山を開始する 舟岩を越える

 一旦鞍部に降りる事ができれば、第二ピークへの登りは笹が茂っているものの、踏み跡はすぐに確認できるので安心して第二ピークに戻ることが出来る。第二ピークに登り返し第一ピークに向かって降りて行く。

羅漢山 米の餅山

 登りでよじ登った場所を降りて行くが登るよりも降りる方が神経を使うようだ。慎重に手と足で安定を保ちながら降りて行き、安全な所に降り立った。笹の道を歩いて第一ピークのアンテナまで戻り小休止をする。ここまで無事にたどり着いたので残りの行程も慎重に降りて行く事を念じて降りることにした。

上は展望の大岩から見る法華山から羅漢山に続く稜線 下は秋掛の展望

 少し降りて重ね餅岩と記念写真、もう少し降りてハイライトの岩で記念写真を取る。最後に展望の大岩にて法華山から羅漢山に続く稜線、秋掛の田園風景をじっくりと堪能した後、一気に降りて行く。笹藪の道を楽しみながら一歩一歩道を踏みしめて降りて行き、秋掛の登山口まで降り立った。最後にお地蔵様に本日の登山の無事を報告して登山を終了した。

 夢にまで見たハイライトの大岩は忘れられない思い出となりそうだ。

展望岩から羅漢山

秋掛の田園風景

ハイライトの大岩

重ね餅岩

舟岩

山頂の大岩

山頂の岩からの展望

 前の山 ダツヤ山 を見る

 次の山 日暮ヶ岳 を見る

歩いた足跡  

登山口周辺の地図はこちら 二代木山 登山口付近のMAP

登山の軌跡 二代木山

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