岩木山(いわきさん)青森県弘前市〜青森ねぶた祭り

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2013年8月5日

リフト駅→0:12→鳳凰ヒュッテ→0:23→山頂→0:18→鳳凰ヒュッテ→0:10→リフト駅

全歩行時間 1時間 3分

登山行程図(地図をクリックすると拡大)

 岩木山(いわきさん)は青森県弘前市・西津軽郡鰺ヶ沢町に位置し、円錐形の山容から津軽富士とも呼ばれている。津軽平野のどこからでも見ることができる独立峰で青森県の最高峰である。また、山頂部は、岩木山・鳥海山・厳鬼山(岩鬼山)の3つの峰で形成されており、日本百名山にも選定されている。

津軽平野へ昇る朝日 水田の先の岩木山

 この岩木山は、山岳信仰の山であり、山頂には岩木山神社奥宮が祀られている。岩木山神社では毎年旧暦8月1日に例大祭「お山参詣」(国の重要無形民俗文化財に指定)が催されている。このお祭りは津軽地方最大の農作祈願祭で、多くの人々が深夜に山頂登拝し、御来光を拝むもので、岩木山の頂上が見られる地域の住民の多くが参加しているそうだ。

りんご園と岩木山 岩木山山頂部にかかる雲

 登山前に岩木山神社を目指す。天気予報では午後から雷雨の予想なので、岩木山神社からの往復だと、雨に遭う可能性が高い。従って、本日はスカイライン経由とする。津軽平野のりんご園越しに眺める岩木山は、とても美しい山容で、津軽富士と言われることもうなずける。

岩木山神社大鳥居 大鳥居の先に山の字の岩木山

 午前6時半に岩木山神社へ到着、早速神社へ参拝する。入口の大鳥居越しに眺める岩木山は山の形をしている。ただし、心配なのは山頂付近に少しずつ雲がかかり始めている事である。1628年建立の朱の楼門を潜り、中門の前に出る。時間が早いせいか、北門鎮守の額の掛けられた中門は固く閉ざされていた。

朱の楼門 岩木山神社中門

岩木山神社の風景

 そのまま左へ向かうと岩木山神社奥宮登拝口の石柱が置かれている。石段を下ると岩木山百沢登山道(奥宮参拝道)の案内が置かれていた。案内には、「岩木山は、中世以降修験道の峯入り修行の場となる。山で霊魂が再生するという古い観念は、修験道や山岳仏教とつながって盛んとなった。

岩木山神社奥山登拝口の石碑 岩木山登山道入口

 これが次第に供養となり五穀豊穣祈願の山かけや、成人儀礼のお山参拝(登拝行事)に発展した。山頂まで約6kmには、七曲がり、坊主転ばし、鼻こぐり等苦行に必要な難所があり、二十六神(天然石)の巡礼を経て約4時間、奥宮(山頂)に達する。」と記されている。少し先には山頂まで4時間15分の案内が立っていた。

中門 御神水

 境内に引き返し、中門の前で岩木山神社へ参拝、次に神社右へ移動し、御神水と言われる湧き水を頂く。この湧水は、岩木山に入山する人が身体を清めるために「禊所の水」として利用されているそうだ。大きなひしゃくで御神水を汲み、のどを潤す。とても冷たくて美味しい湧き水である。

楼門を引き返す 高照神社大鳥居

 岩木山神社を出発する際に岩木山を眺めると、もう山頂付近はすっかり雲に覆われていた。津軽・岩木スカイラインの通行には時間制限があり、少々気を使う。少し時間が余ったので近くの高照神社へ参拝しておく。この神社は、吉川神道を信奉した弘前藩四代藩主の津軽信政の逝去の際、五代藩主の信寿がその遺言に従って神葬をし、廟所、本殿を建立した。その後歴代の藩主により、随神門などが整備された。

高照神社随神門 本殿へ参拝

 このように吉川神道の教えに基づいた建造物群で現存するのは珍しいそうだ。なお、本殿をはじめとする建物8棟と信政公墓二基が重要文化財に指定されている。さて、朱の橋を渡り随神門をくぐり、本殿へ参拝した。手前の門は崩落しており、最近は寂れているように感じた。宝物殿まで持っているのにこの寂れようは一体どうしたことだろう。先ほどまで居た岩木山神社がとても立派だっただけに、対照的な神社である。

津軽・岩木スカイライン入口 岩木山八合目1,625m

 周辺散策が終了したので津軽・岩木スカイラインへ向かってみる。入口へ着くと、少し先にゲートがあるようなので奥へ向かう。7時半にゲートに着いたが、すぐに開門となり全長9.8km、69のカーブを登り切り、岩木山8合目の駐車場へ着いた。途中1ヶ所交互通行があったが、先頭だったので何も問題なく登ることができた。なお、スカイラインの往復料金は1750円である。

駐車場から眺める展望 リフト乗り場の少し上には雲が垂れている

津軽・岩木スカイラインから眺める風景

 リフト前から山頂方面を眺めるが、途中から先は雲に覆われている。眼下を見下ろす展望地まで向かってみると、厚い雲の下にゴルフ場などの展望を眺めることができた。天気予報の午後から雷雨も間違いないように思える。さて、時刻は午前8時、リフトの営業開始は午前9時、1時間あれば上のリフト駅まで歩くことができそうだ。登山道はリフト横から続いているので、地道に歩こうと思っていたら、リフト運転の準備が始まった。

リフトで9合目へ リフト駅を出発

 少し待っているとリフトの運行が始まったので、往復料金の800円を支払い、リフトに乗った。約10分の空中散歩で9合目の鳥の海(鳥海山)へ到着。眼下に広がる展望は、雲に覆われているが、快適なリフトの旅である。

標高1470mの岩木山鳥の海噴火口 鞍部へ下る

 標高1470mの岩木山鳥の海噴火口を出発、岩の目立つ道を左方向へ下る。前方に岩木山の勇姿が見えるはずだが、厚い雲に覆われている。鞍部へ着けば、直進方向が岩木山、折り返すように左側へ下ると駐車場方面へ着く。ここは当然直進方向の岩木山へ向かってへ進む。周囲に見えているのは岩・岩・岩、岩木山は岩山のようだ。

眼下に広がる展望 山頂へ向かう
リフト駅方面 岩場が続く

 眼下を見下ろすと、少し雲が切れて手前側を眺めることができる。背後を振り返れば、リフト終点方面は見えているが、鳥海山の山頂付近には雲が押し寄せている。この山域がとても高いことを如実に表しているようだ。

岩場につけられた木の階段 岩場を見下ろす

 さて、少し進み岩場の登りに取りかかる。ごつごつした岩場を慎重に登るが、ストックがかえって邪魔になりそうだ。このような岩場は、三点確保により手を使って登る方が安全な気がする。そこで、ストックを仕舞って、岩を手掛かりにして登ることにした。

津軽平野の風景

リフト駅方面

 ここで一瞬ではあるが、眼下の展望が開け、遠くまでの景色を眺めることができた。美しい展望をしばらく眺めた後、岩木山を目指す。背後を振り返れば、リフト駅付近は雲が無くなり、すっきりとした展望が広がっている。右に岩の塊の大倉石を過ごし、少し坂を登ると左に鳳凰ヒュッテが建っている。このヒュッテは、昭和39年、秋田県立大館鳳凰高校の山岳部生徒4名が下山途中に遭難し、無くなった事により、彼らの御霊を鎮めるため、また、再び悲劇の起こらぬ事を願って建てられたそうだ。内部を見学しようとしたが、この時期は入口が閉ざされていた。

大倉石 鳳凰ヒュッテ

 避難小屋の先から岩場の急登(第二御坂)が始まる。登山者が多いため、右側通行をするよう注意されている。背後を振り返ると、大倉石がとても大きいことが分かる。急な岩場を慎重に登ると少し平坦な場所に出る。

岩場の急登(二のおみ坂) 大倉石が大きい

更に続く急登

 そのまま道なりに進み、山頂へ向かう最後の坂へ取りかかる。すぐに長平登山道の分岐を過ごし、ごつごつした岩場を登る。足下が不安定なので、慎重に足場を選ばないと身体がふらついてしまう。雲の舞う登山道なので自分の居る位置はさっぱり分からないが、とにかく上へ上へと高度を上げる。

山頂へ続く道は霧に包まれている 岩場と木の階段が続く

険しい岩の道

 突然前方の視界が開けると鐘の置かれた岩木山ま山頂へ到着した。山頂には岩が無造作に転がっており、周辺を移動するのに苦労するような状態だが、山頂標識の先に置かれた一等三角点に触り、更に反対側に祀られた岩木山神社奥宮へ参拝した。これで岩木山の山頂へ無事登った事になる。

岩木山山頂 岩木山神社奥宮
一等三角点 左はトイレ棟

岩木山山頂風景

 周囲に広がる雲が晴れるのを待つため、昼食を採ることにした。カップヌードルを作っていると、おむすびをリュックに忘れたことに気がついた、こんな事は良くあることなので大したことではない。真夏に暖かいカップヌードルを食べるのは、とても美味しいものである。

山頂の風景

 時折雲は切れるのだが、大展望を望む事はできなかった。周辺散策でトイレも見学、このトイレはバイオトイレで、用を足した後は自転車のペダルを踏まなくてはならないようだ。でも山頂にトイレがあるのは、とても助かる。

なかなか展望は開けない

岩木山の山頂から眺める風景

 のんびり山頂で休憩した後、下山を開始する。時折雲は切れるのだが、眼下に展望を望むことはできなかった。リフトに乗り、駐車場まで戻り上を眺めると、最初と同じく、少し上からは厚い雲に覆われていた。

嶽温泉山のホテル

 岩木山登山を無事終えて、少し汗をかいたので近くの嶽温泉、山のホテルの温泉に入って汗を流すことにした。マタギ館の案内に従い山のホテルへ到着、1階で入浴料500円を支払い2階へ行き温泉へ入る。この温泉はとても刺激臭が強く、硫黄泉と言うことがうなずける。

硫黄泉の嶽温泉 岩木山の山頂は雲に隠れている

 温泉の案内には、「津軽にとって、偉大な父である秀峰岩木山の南麓に良質の湯が湧いてから約330年。以来嶽温泉は岩木山の豊かな自然とともに、湯治場としてたくさんの人々に親しまれてきました。泉質は硫黄泉。神経痛、糖尿病、リュウマチ、婦人病、心臓病などに効果があります。」と書かれている。日帰り温泉なので、大浴場ではないが、とてものんびりリラックスできる温泉である。

弘前市のねぶた村 弘前ねぷたの館

 しっかり温まって、嶽温泉を出発、次は弘前市内の観光をする。最初に向かったのは弘前ねぷたの館で、国の重要無形民族文化財に指定されている弘前ねぷた祭り(8月1日〜7日)の由来は、「坂上田村麻呂が蝦夷征伐の際に始めた」というおとぎ話や、「夏の睡魔を追い払うねむり流し(精霊流し)が始まり」という説や、「津軽藩祖為信が京都で豊臣秀吉に大灯籠を見せたのが始まり」などと、さまざまな説があるそうだ。

弘前ねぷた

 ねぷたの形は、扇形が主流となっており、正面の絵は鏡絵といい三国志・水滸伝などの勇壮な絵が描かれ、後面は見送り絵といい対照的な愁いを含んだ美人画が描かれている。前提灯を先頭にして、ねねぷたの引き綱に連なった子供たちを中心に老若男女が、笛や太鼓、鉦の哀愁を帯びた囃子に合わせて「ヤーヤドー」と掛け声をはりあげて城下町弘前を練り歩くとのこと。

ねぷたの内部も見学できる

 ねぷたの数は、青森市や五所川原市が20台から30台なのに対して、弘前では今年81台が出陣を予定している。これはすごい数である。昨日は五所川原のねぶたを見学し、本日は青森のねぶたを見学する予定なので、この弘前市のねぷたはねぷた館での見学のみである。

弘前城の東内門 弘前城

 ねぷた館の次は弘前城の見学で、ここでは韓国ドラマの「優しい男」のロケがあったそうだ。東門を潜り、東内門の先に弘前城が見えてきた。周囲には桜の木が多く、春のお花見時期にはたくさんの人が花見を楽しむことだろう。朱に塗られた下乗橋の上から眺める弘前城はとても美しい城である。なお、この下乗橋付近も「優しい男」のロケ地だったそうだ。

三内丸山遺跡 竪穴住居跡

 弘前城見学の次は青森市を目指して進む。たまたま出ていた三内丸山遺跡の案内に従い、縄文時代の遺跡を見学することにした。特別史跡三内丸山遺跡は、江戸時代から知られている有名な遺跡で、平成4年から始まった発掘調査では、縄文時代前期から中期(約5500年前から4000年前)の大規模な集落跡が見つかっている。

掘立柱建物跡 大型掘立柱建物

 たくさんの竪穴住居跡や掘立柱建物跡、盛土、大人や子供の墓などのほか、多量の土器や石器、貴重な木製品、骨格製品などが出土したそうだ。縄文シアターで基礎知識を学んだ後、実際に遺跡を見学する。竪穴式住居、掘立柱建物などを見学し、一際スケールの大きい大型掘立柱建物、大型竪穴住居などを間近に眺める。

大型竪穴住居とその内部

 一体どのような理由でこんな大きな建物・構造物を作ったのだろうか。大きな建物を眺めていると、時の経つのも忘れてしまいそうだ。更に、発掘現場を見学してみると、4500年前竪穴住居跡から出土した土器が無造作に出土した状況で置かれている。このような状況で見つかったことが明確に分かり、縄文時代にタイムスリップしたような錯覚に陥りそうだ。

遺跡発掘場所 遺跡から発掘された縄文式土器

さんまるミュージアムで展示されている貴重な文化財

 4500年の間に堆積した土の量は、わずかに1m程度。この土は4500年前の歴史をそのまま今に伝えている。最後にさんまるミュージアムで貴重な出土品を見学、重要文化財の縄文ポシェットや大型板状土偶などを時間を掛けて眺めた。

青森ねぶた祭り

青森ねぶた祭りの風景

 青森観光の最後は青森ねぶた祭り見学。車を強引に青森駅前まで走らせると、意外にもスムーズに駅前駐車場に入れることができた。駅前の屋台にてB級グルメの黒石つゆやきそばを注文、青森に来て初めて地元の料理を食べることができた。これは焼きそばにつゆが入っており、とても食べやすく美味しい料理である。

青森ねぶた祭り

青森ねぶた祭りの風景

 夕食の後はいよいよねぶた祭り観光。青森市の中心街で幅の広いねぶたを見学。午後7時から9時までたっぷり2時間の演技だったが、時間があっという間に過ぎるほどの豪快なお祭りだった。お祭りの途中で雨も降り始めたが、立っている場所がアーケードの下だったので大して濡れることはなかった。昨年は山形花笠まつりを見学したので、東北四大祭りの二つを見学し終わったことになる。

岩木山

岩木神社から眺める岩木山

岩木神社

登山途中に広がる展望

大倉石

二のおみ坂

一等三角点

山頂

山頂の風景

弘前城

山内丸山遺跡 大型掘立柱建物跡

青森ねぶた祭り

 

 前の山 白神岳〜五所川原 立佞武多 を見る

 次の山 恐山と釜臥山 を見る

歩いた足跡  

登山口周辺の地図はこちら 青森県弘前市 岩木山 登山口付近のMAP

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