出羽三山霊場 羽黒山(はぐろさん)山形県鶴岡市 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2012年6月23日 随神門 →0:45→ 三神合祭殿 →0:35→ 随神門 全歩行時間 1時間20分 出羽三山登山、月山の次は羽黒山へ向けて出発、この時間帯はとても焦っている。12時28分に月山八合目を出発、13時12分に月山ビジターセンター前を通過。この先の有料道路を通って羽黒山の山頂に向かう選択もあるが、やはり麓から羽黒山を目指したい。そこで有料道路の入口を通過して麓のいでは文化記念館の駐車場へ車を置き、羽黒山へ向かう。 また、羽黒山神社へ山形市方面から向かう場合、東北中央道を北へ進み、山形ジャンクションを左折、山形道を北西から西へ向けて進む。月山インターで高速を降り、月山花笠ラインを走り、この先の湯殿山インターから再び山形道に入る。すぐに庄内あさひインターで高速を下り、県道44号を北へ約12km進む。羽黒町黒瀬地区の交差点を右折し県道47号へ入り、道なりに県道を約7km進めば、羽黒山神社の大鳥居前に着く。
ここで出羽三山についておさらいをしておく。出羽三山は、月山、羽黒山、湯殿山の総称であり、古くから山岳修験の霊場として知られている。開山は約1,400年前、第32代崇峻天皇(すしゅんてんのう)の皇子である蜂子王子が三本足の霊鳥に導かれ、羽黒山に登拝し、羽黒権現を感得、山頂に社を創建したのが始まりとされている。皇子は更に月山権現と湯殿山権現を感得し、三山の開祖となった。以降、羽黒派古修験として全国に広まった。
駐車場から少し下り、出羽三山神社の石碑を過ごし、この先の大鳥居を潜れば由緒のある随神門の前に出る。随神門は、元禄年間(約280年余前)秋田矢島の藩主矢島公の寄進であり、もと仁王門と称したが、明治の神仏分離の結果、仁王尊を他に移して随神像を安置する事となり、随神門と呼ばれるようになった。
また、随神門の右には、この奇岩を通し、天を祭ったと伝えられる天拝石が置かれている。随神門を潜りいよいよ羽黒山へ向けて出発、すぐに特別天然記念物、羽黒山の杉並木の案内を見る。山麓の随神門から山頂に至る延長1.7kmにわたる羽黒山参道の杉並木は、樹齢300年以上を経た巨杉が並び、その樹勢がきわめて旺盛であることが、指定の理由である。なお、ミシュラングリーンガイドには羽黒山参道と杉並木が三つ星で紹介されている。
随神門を潜り、石段中唯一の下り坂である「継子坂(ままこざか)」を下り、多くの社を過ごす。この先で祓川(はらいがわ)に架かる赤い神橋を渡る。祓川は月山に源流を発し、古来より出羽三山に参拝する人々は、全てこの祓川で身を清めたそうだ。川を挟んだ対岸にも社が祭られており、この社の背後には須賀滝が流れ落ちている。但し、この方面には帰りに参拝を予定する。
赤い神橋を渡ってもう少し進むと、天然記念物の翁杉が左にそびえている。樹齢千年以上と言われる山内随一の大杉を眺めていると、とても神聖な気持ちになる。この杉には多くの枝がついており、まだまだ千年以上この地に立っていることだろう。昔は爺杉と並んで婆杉がそびえていたそうだが、今から110年前の明治35年(1902)に台風で失われてしまったそうだ。
爺杉の先で国宝羽黒山の五重塔に出会う。永平年間平将門の建立と伝えられる高さ29.9mの五重塔は、東北地方では最古の塔であり、とても風格がある。ここで、五重塔を見学後に駐車場へ戻り、有料道路を通って山頂の出羽三山神社へ向かう選択もあったが、羽黒山は私にとって登山同様。年初に登った高尾山と同じくミシュラングリーンガイドで三つ星の評価のある、美しい杉並木を眺めながら羽黒山の山頂を目指す事にする。 石段と杉並木 五重塔の先からは一の坂が始まる。最初から急な坂に息が上がるが、まだまだ先は長い。階段の先から左へカーブしており、先が見えないのが唯一の救い。と、先が見えれば美しい杉並木が続いている。この杉並木を眺めることができるだけでもこの石段を歩く価値がある。なお、この石段の合計は2446段、四国の金刀比羅様でも1368段、羽黒山の階段は金刀比羅様より更に千段以上長い。
美しい杉の美林を眺めながら石段を進むと左には火石と案内のある大岩が木の柵で囲まれている。昔はこの石が火を放ち、麓がまだ浜だった頃には、漁師などが頼りにしたと言われている。火石の先の左に社を過ごし、更に石段を上る。目の前にすごい石段の坂が見えてきたと思ったら、この坂が二の坂である。急な石段に少しひるむが、もうここまで来たら登るしかない。
一歩一歩石段を踏みしめながら登ると前方左に茶店が見えてきた。ここが有名な二の坂茶屋である。ここの名物は力餅とのことだが、この時点では次に湯殿山へ向かおうと思っていたので休憩無しでそのまま茶店を通過する。茶店では多くの人が涼んでおり、冷たい飲み物を飲んで休憩している。 二の坂茶屋 さて、私はそのまま石段を登る。やがて少し緩やかな石段となり、快適に歩を進める。右側に注意していると、三日月塚(芭蕉塚)の案内が立っている。少し奥へ向かうと石灯籠や石塔が置かれている。案内には、『翁羽黒山留杖の折、羽黒の句「涼しさや・・・・」の発句の処。塚碑の両側に小灯籠あり』と紹介されている。さて、三日月塚を過ごし、左右に杉を眺めながらどんどん進むと進路は少し左に向き、いよいよ最後の三の坂にとりかかる。この坂も急な坂なので、一歩一歩慎重に石段を登る。
やがて左に縁結びに霊験あらたかな埴山姫神社が現れる。この特別お守りの縁結守はとても有名らしい。埴山姫神社を出発するが、それにしても急坂が続く。この付近で先が見えないため、少々オーバーペースとなり、この上の八幡神社に着いたところで小休止を取る。
八幡神社から少し登れば進路は右へ向き、緩やかな傾斜となるので少し安心。左にお食事処の斎館を過ごし、足下を眺めれば石段に彫られた徳利とおちょこを見る。もう少し進むとようやく朱の大鳥居の前に着くが、杉並木の下に建つ大鳥居はとても風格を感じる。
羽黒山神社三神合祭殿の風景 大鳥居を潜り、左に蜂子社を過ごせば、すぐに出羽三山霊場の羽黒山神社、三神合祭殿へ到着。これはすごく大きな神社で、参拝するための階段も急な斜面である。向かって左には湯殿山神社の額が掛けられ、中央には月山神社、右には出羽神社の額が掛けられている。折しも神社内では神舞が奉納されており、荘厳な雰囲気漂う神殿である。昔から月山、湯殿山は冬期積雪のため登拝できないため、羽黒山へ三神を祀ると伝えられているそうだ。三神合祭殿は神仏習合時代の名残を留める特異な造りで、高さ28mもの茅葺き屋根は東北一の規模を誇る。内部は総漆塗りで平成12年に国の重要文化財に指定されている。 羽黒山 三神合祭殿 神社から下りると神社の向かいには鏡池がある。案内に寄れば、この池に多数の古鏡が埋納されていたそうだ。これで出羽三山の三社合祭殿への参拝は無事終了。時刻は午後2時半、このまま駐車場まで引き返せば、駐車場着は午後3時半、更に湯殿山へ着くのは午後4時半と予想される。
次の湯殿山神社の状況がよく分からないので、本日の予定はこの羽黒山で終了することにし、これから先はのんびりと周囲を散策することにした。鐘楼は切妻造りの茅葺きで、山中では五重塔に次いで古い建物である。また建治元年(1275年)の名のある鐘は、口径1.68mで、中世以前のものとしては、東大寺鐘に次ぐ巨大さ。大鐘は昭和48年に、鐘楼は平成12年に国の重要文化財に指定されている。
参集殿を過ごし、そのまま駐車場方面へ向かっていると、ジュースの自動販売機を見つけたのでコーラを一気のみ。更にお茶を1本購入した。この先で先祖の霊魂を祀る霊祭殿に参拝。出羽三山は往古より先祖の御霊の鎮まり給う霊場のお山としても深い信仰をあつめており、羽黒山では三神合祭殿へお参りの後、霊祭殿でご先祖や所縁の御霊のご供養をする習わしがあるそうだ。境内に飾られた色鮮やかな風車がとても印象的である。
駐車場には大勢の観光客がおり、とてもにぎわっている。この茶店で売っている玉こんにゃくに人が群がっていたので1串100円を支払い、食べてみた。からしの塗られたこんにゃくはとても美味しい。本日はろくなものを食べていないことを思い出し、もう1串玉こんにゃくを食べておなかを満たす。これはお土産にぴったりの山形名物である。
鏡の池越に眺める三神合祭殿 さて、土産物店の散策も終了したので山頂から駐車場へと戻ることにした。途中で再度三社合祭殿へ参拝し、参拝記念の御朱印を300円にて購入、これでこの神社での目的は達成した。鏡の池越しに出羽三山霊場羽黒山、三神合祭殿を眺め下山を開始。快調に階段を下り、一気に二の坂茶屋まで下る。
二の坂茶屋でも展望を眺めながら玉こんにゃくを頂くが、先ほどの茶店の味とは少し違うようだ。なお、茶店からは鶴岡の市街眺めることができた。二の坂茶屋を出発し、駐車場まで戻り、汗をたっぷり含んだ服を着替える。
ホテルへ引き返す途中、道路に建つ羽黒山大鳥居を振り返る。これは高さ20m、幅15mの両部鳥居で、大きさでは東北第一位を誇り、文字通りの大鳥居に感激した。ホテルへ向かう自動車専用道路は大渋滞で、とても時間が掛かった。それでも高速道路に入り、月山湖PAから眺める月山はとても綺麗である。 花笠まつり 東北四大まつりの山形花笠まつり ホテルに荷物を置き、本日最後のイベント、東北四大祭りのひとつの「花笠まつり」の会場へ向う。午後7時からの出発なので終わりの時間がとても気になる。山形駅を挟んで東方面へ向かうと、とてもにぎやかな集団が出番を待っていた。この先頭の位置から北方向へ向かうとこの位置が花笠まつりのメイン会場だった。 花笠まつり めでためぇーでぇーたぁーあぁーのぉー、わかぁーまぁーあつさぁあーまぁーあーのぉーお、の花笠音頭と、やっしょーまかしょのかけ声を聞いていると、とても楽しい気持ちになる。9時過ぎまで楽しい踊りを観賞して、山形の最後の夜は最高の盛り上がりである。 爺杉と五重塔 羽黒山 三神合祭殿 前の山 出羽三山霊場 月山 を見る 次の山 山寺 宝珠山立石寺 を見る 登山口周辺の地図はこちら 山形県鶴岡市 羽黒山神社 登山口付近のMAP |