阿蘇高岳(あそたかだけ) 熊本県阿蘇市 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2008年 3月 8日 阿蘇高岳 阿蘇山東駅 →0:20→ 高岳1120m標識 →0:25→ 高岳750m標識 →1:00→ 岩場のロープ →0:40→ 仙酔尾根分岐 →0:25→ 高岳東峰 →0:35→ 高岳 →0:30→ 中岳 →0:20→ 火口東展望所 →0:70→ 阿蘇山東駅 全歩行時間 5時間25分 前日12時前に山口県を出発、高速道路を走り、熊本インターで下りる。国道57号線沿いの「道の駅 大津」には午前4時過ぎに到着。仮眠の後、阿蘇山登山口の仙酔峡ロープウェイ「阿蘇山東駅」へ向かう。途中往生岳方面から雪の阿蘇山を眺める・・・が、どこが阿蘇山だか解らない。今回もお世話になっている大星さんより雪山へのお誘いを受け、九州まで同行させて頂いた。
阿蘇山全景 仙酔峡道路を通り、仏舎利塔を右に見て仙酔峡のロープウェイ山麓駅(阿蘇山東駅)に着いた。駐車場から北東方面には久重連山が美しく、硫黄雲を眺める事ができた。さあ、これから日本百名山の一つ、阿蘇山に登る。
駐車場から西に向かい、木製の花酔い橋(はなよいばし)を渡る。春にはミヤマキリシマが満開となり、まさに花酔い状態になる橋なのだろう。橋を渡って左に進み、整備された遊歩道を道なりに進んで行くとすぐに階段を登る事になり、階段の先には記帳所が設置されていた。進行方向の反対側にも階段が続いているので登ってみると、沢山の遭難碑が設置されていた。阿蘇山ではそんなに遭難や事故が多いのだろうか。この時点で、私の阿蘇山登山に対する感覚は、美しい山と言う程度のものだった。
記帳所まで戻り、足下に雪の残る登山道を進んで行く。登山道は小さな石が地面にくっついた状態になっており、とても歩きやすくなっている。周囲の展望が美しく、正面の山の上には澄み渡るような青空が広がり、背後には外輪山が万里の長城のように続いている。青い空が続く中、ロープウェイの山上駅(火口東駅)付近にのみ白い雲が滞留しているのが唯一の不思議である(これは後ほど噴煙と言う事がわかった)。
駐車場を出発して20分で「駐車場から720m地点」の標識に到着、高岳までは1120mである。周囲には大小様々な形の溶岩が点在し、自然の芸術を楽しむ。この付近から黄色いペンキの目印を確認しながら進む事になる。但し、通常の登山道のような定められた道はなく、目印に向かって自分の道を作りながら進む事ができる。従って今日の登山道はマイ登山道だ。 周囲には大小様々な形の溶岩が点在 周囲の岩を注意して見ていると雨により浸食されたのか、小さな穴が空いているものが多い。高度が上がるたびに開ける展望が美しく、景色を堪能しながら進むので歩く速度は当然ゆっくりである。間もなく「駐車場から1090m、高岳まで750m」の標識を過ごす。既に全体の半分以上登ってきた事がわかり少し安心する。 浸食された岩が多い 目の前に大きな岩が現れれば横に迂回して先へ進む。変化に富んだ登山道を歩いていると時間の経つのも忘れてしまいそうだ。左手にはのこぎりの歯のような鋭い岩峰が続いており、この岩峰を眺めているだけでワクワクしてくる。左手に見える岩峰と雪化粧をした山肌、周囲に広がる青い空、どこまでもこの楽しい溶岩の道が続いて欲しいと願いながら進んでいると、先ほどの「高岳まで750m標識」を過ごして1時間が経過していた。
突然前方に越える事のできない大岩が立ち塞がり、踏み跡は左の雪の中に続いていた。雪道歩きが初心者の私は、大星さんに先頭を譲り、後からついて行く事にした。急な斜面であるが、雪道は滑る事も無く、難なく岩壁の場所まで着く事ができた。眼下には急な斜面が広がっているが、この雪の状態ならまだ安心だ。
次はどちらに向かうのかと周囲を見渡すと、山頂に向かって右方向にロープが渡してあり、岩壁の斜面を右に迂回して上の斜面に向かう事になる。まずは大星さんがこの難所に向かい、その様子を観察して私も後を追う。ロープを使って用心深く進んで行くが、足下がとても心配。滑り落ちないようロープの助けを借り、しっかりと足を踏ん張ってこの難所を通過、出た所は雪の積もった急斜面である。 これから向かう難所、ロープを使って左から右へ進む ロープを伝って進む(写真をクリックすると拡大) 同じ場所を上から見ると・・・(写真をクリックすると拡大) 眼下は当然絶壁に近い場所なので、立って歩くにはとても勇気が必要だ。足下は小さな岩や小石が溶岩にくっついた状態、更に小岩や小石の凍結している場所は滑りそうで怖い。最初はストックを使いながら進んでいたが、もし滑ったら・・・、頭の中で想像する。目の前の急な岩場の光景と、眼下に切れ落ちた斜面を再び眺めた途端にものすごい恐怖心、思わず重心を落とし、これから先は四つ足で進む事にした。
両手両足に神経を集中し確実な岩を掴んで高度を上げて行く。もし滑ったら・・・、そうか、遭難碑になるのだ。たくさんの遭難碑の立っている理由が解った。ますます慎重に進んで行くと1ヶ所岩の脆い場所があり、びっくりしたが大事に至らず無事通過する。
間もなく前方左右に大きな岩壁が見えてきた。この岩壁と岩壁の間を通って上に向かう事ができるようだ。高度を上げるたびに周囲の雪の模様が美しくなり、斜度も少しずつ緩くなってきた。二本足で歩けるようになるともう仙酔尾根分岐は近い。ロープの場所からゆっくり歩きの40分で分岐の標識に到着した。この分岐から駐車場まで1570m、高岳まで220m、東峰まで500m、月見小屋までは290mの距離となる。 左右に立ちふさがる岩壁
雪道を歩く 標識近くにリュックを置き、東峰方面に向かう。周囲の展望の素晴らしさに感激しながら歩くので当然ゆっくり歩きは続いている。周囲の岩にはエビのしっぽみたいな雪が張り付いており、この風景も美しい。
遠くに久重連山の噴煙を眺めながら進み、正面に天狗の舞台と呼ばれる場所を眺めると一旦下り、天狗の舞台の下を右へ迂回しながら進む。この舞台は遠くから見ると小さく見えていたが、近くに寄ると大きい事が解った。
更に西に向かい、坂を登ると正面に美しい岩峰の展望が開けてきた。この岩峰は東岳から直線距離で4km先に聳える根子岳である。本日何回目の感動だろうか、美しい展望に言葉も忘れて眺めている。岩の上に腰掛けて長い間根子岳の展望を楽しみ、更に遠くに霞んでいる祖母山・傾山方面を眺める。いずれこの方面の山に登る日も来る事だろう。 根子岳 天狗の舞台から高岳方面 周囲の展望を心の中に焼き付けて東峰を出発、途中天狗の舞台の上に立ち周囲360度の展望を満喫する。リュックを置いた場所に戻り高岳を目指して出発、雪を頂いた高岳はとても素晴らしい。平坦な道を進み、少し下りて雪の積もる登山道を登り返せば高岳に到着、早速記念撮影を開始する。 阿蘇高岳
青い空の下、高岳山頂から広がる周囲の美しい展望をゆっくり満喫したので高岳を出発、次は中岳を目指す。急な斜面をまっすぐに下りて行くのだが、しっかりと踏みしめられた雪道なので滑る心配は全くない。一気に高度を下げて行き、中岳に向かう細い道を進んで行く。途中で「中岳へ670m」の標識を過ごし、岩でできた尾根道を進む。 中岳へ続く道 周囲の景色は当然美しく、足下に広がる岩もキラキラ光る雪も芸術品のように美しい。間もなく中岳に到着、眼下の噴火口より白い噴煙が立ち上っている。火口にはゼブラのストライプが美しく、またまた感動を新たにする事になった。しばらく周囲の展望を眺めた後、昼食の場所を求めて中岳を出発する。
ゼブラのストライプ 噴煙を眺めながら下山するという事はとても贅沢な事であり、足下が安心なのでまるで日々の散歩のような感覚で下りる事ができる。「中岳から240m、火口東展望所770m」の標識を過ごし、左手に岩壁を過ごした先で風をよける場所を見つけたので遅い昼食を摂る。美しい周囲の展望と火口に立ち上る噴煙を眺めながらの昼食、豪華なショーを見ているようだ。昼食の後はコーヒータイム、今回も濃いめのゴディバのコーヒーをゆっくりと楽しむ。これが一番の楽しみだ。
昼食を終え、周囲の展望を満喫したので下山を再開する。すぐに遊歩道の先(火口東展望所)に着き、眼下に見える噴煙を無心に眺める。これは素晴らしい展望である。展望所には「ここから先は充分な登山の準備が必要です」と書かれている。確かに阿蘇山登山には充分な登山準備が必要である事を痛感した。 展望所から火口を眺める 展望所を出発し、遊歩道を通ってロープウェイの山頂駅に着いた。山頂駅から駐車場までの距離は1490m、まだまだ歩く事ができる。この先の遊歩道には50m毎に標識が設置してありとても励みになる。そして駐車場に着くまで右手に広がる尾根を眺めながら今日の登山コースを頭に描く。いずれにしても急なコースを通った事は間違い無い。 歩いたコースを振り返る 山頂駅からはきっちり1時間で駐車場に到着、美しい阿蘇山の登山が終了した。雪景色が美しく、澄み渡るように美しい青空の日に登山ができた事に感謝、駐車場を出発した。
阿蘇高校付近から県道11号(やまなみハイウェイ)に入り、くねくね道を進むと城山展望所に着く。ここから眺める阿蘇五岳の展望は、お釈迦様が仰向けに寝ている姿に似ており、少し霞んだ展望を感心しながら眺めた。いつもの事ながら自然の造形美には感激する事ばかりだ。 阿蘇五岳の展望 展望所を出発し、次は楽しみにしていた温泉を目指す。更に県道を進み、うぶやまを通過、国道442号を右折し北滝ロマン道路を進む。久住高原荘の先に進むと久住山への登山口と駐車場があり、ここから歩いて行くとその奥に本日の温泉である赤川温泉赤川荘が建っていた。入口で入浴料500円を支払い、奥の温泉に向かう。周囲には温泉特有の硫黄のにおいが立ちこめ、まるで湯治場にいるようだ。 赤川温泉赤川荘で入浴 暖かい温泉に入りフゥー、楽しかった一日の行程を振り返る。この温泉は白濁した硫黄冷鉱泉、加温掛け流し、外には源泉露天風呂も用意されており、露天風呂の先には美しい滝も眺める事ができる。源泉が飲めるというので冷泉の中に辛抱して入り、奥から流れ込む源泉を手で掬って飲んでみた。硫黄の香りが口いっぱいに広がり、体によても良さそうな感じがした。冷泉から急いで温泉に引き返したら、体がポカポカしてきた。 充分に温泉で温まったので赤川温泉を出発、夕食後には長者原の駐車場まで戻り、二人で夜遅くまで大宴会、一日たっぷり楽しんだ。 根子岳 阿蘇高岳 中岳
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