佐波山(さばやま) 山口県防府市

2006年4月9日(日曜日)

ガイド本 金光康資著 防長山野へのいざない

登山開始 →9:31→ 山頂到着 →10:27→ 山頂出発

 →10:44 → 下山終了 11:54

参考コースタイム

登山開始 →0:23→ 地積図根三角点到着 →0:20→ 展望地到着

 →0:13→山頂到着 →0:17→ 山頂出発 →0:27→ 地積図根三角点着

 →0:33→ 郡境之碑到着 →0:10→ 下山終了

登山時間 2:23

 朝起きると黄砂がひどく山が霞んでいる。少し展望が心配だが、本日は墨絵の風景を楽しむ事に切り替えて予定通り山口市の佐波山に向かう。防府から県道262号を山口方面に向かい、佐波山トンネル手前を防府市斎場に向かって左折する。そのまま道なりに西方向上に向かえば佐波山の登山口の防府市斎場に着くが、途中で少し歴史散歩。

山口に向かう佐波山トンネル手前を左折し防府市斎場に向かう

 斎場方面への分岐の手前を右に取り、歴史の道を散策することにする。舗装路の右手には「明治天皇鯖山御小休止阯」の石碑の標識、石碑の左手には公爵毛利元昭謹書による明治天皇聖蹟の大きな石碑が立ち、その奥には小さな祠が設置されている。この付近は江戸時代の始め、萩城と毛利氏の水軍根拠地である御船倉(防府市三田尻)を結ぶ、参勤交代の道として整備された街道「萩往還」であり、総延長53kmの歴史の道である。

明治天皇鯖山御小休止阯 明治天皇聖蹟の大きな石碑

 中国山地を越えるこのルートには険しい坂や峠が多く、道行く人たちにとっては苦労の多い旅であったそうだ。街道の途中には石畳が敷かれ、御駕籠建場(おかごたちば)や御茶屋が設けられ、現在復元された所もあるそうだ。この鯖山峠は市街地が一望できる見晴らしの良いところで、当時は二軒の茶屋が営業し、旅人の疲れをいやしていた等と説明板に記載されている。

 舗装路をもう少し北に進むと道の左手に享和2年(1802)に建てかえられた四角柱の「郡境之碑」があり、「従是南佐波郡」「従是北吉城郡」と彫られている。正しくここは歴史の道である。

 歴史散歩の後、登山口となる斎場に向かう。本日は友引であり、葬儀の予定もないようで、広い駐車場には斎場関係者と思われる車が2台駐車しているだけである。登山準備をしてすぐに駐車場を出発する。

斎場左手から奥に向かう 入口を観察すると目印の赤いテープを見る

 斎場左手から奥に向かい、供養塔を左に見て奥(西方向)の登山道に入る。特に「佐波山登山口」等の標識は無く、じっくりと入口を観察すると目印の赤いテープを見ることができるので、目印に従って山に向かうことにする。山に向かう道にはしっかりとした踏み跡があり、目印のテープもしっかりと巻かれており、道を間違えるようなことはなく、緩やかな坂を快適に進む。

踏み跡はしっかりしている

 左手に沢を見ながら進んでいると突然右手横からガサガサ、ダッ・ダッ・ダッと何かが動く音がする。びっくりして身構えるが、音が段々遠ざかるので少し安心する。狸だろうか?・・・。そういえば熊は居ないと思って鈴を付けるのを忘れていた。

シダの中の岩場 岩場を登る

 沢を渡り更に進むと岩場にシダの茂る場所に着く。ここまで15分が経過しており、この先シダ道を通るため、服装を完全武装に切り替える。湿った急な岩斜面を登ることになり、足場が滑りやすいため三点確保の要領で少しずつ登って行く。

滑るシダの道を登って行く

 岩場の上に立ち背後を振り返ると右田ヶ岳が墨絵のように広がっている。シダ道は向かって右側に続いており、だんだん斜面が急になる。足下がズルズル滑るので周囲のシダを掴みながら進んでいるとロープを見つけるがこのロープは切れている。急な斜面を滑らないように手当たり次第、周囲のシダを掴みながら登っているとイバラをしっかり掴んでしまい「ギャー」という叫び声が周囲に空しく響く。

地積図根三角点の広場に到着する

 滑る岩場に取り付いて丁度10分で地積図根三角点の標識の立つ平坦地に到着、ここは眼下に登山口の斎場、その先に右田ヶ岳が広がる展望地となっており、西方面には目指す佐波山が見えてきた。この先左から右に尾根道をぐるっと回って山頂に向かうのだ。

眼下に斎場、その向かうには右田ヶ岳の展望

 途中には山桜も咲いており、桜の花見をしながら登ることができるようだ。いままで登山のベストシーズンを悉く外しながら来ていたが、本日は佐波山の花見登山が堪能できそうだ。登山道は西方向に向かって進んでおり、一旦坂を下り笹の茂る場所を通って行く。相変わらず周囲には目印のテープがしっかりと巻かれており、快適な道が続き嬉しくなる。

 実は佐波山に向かうにあたって、今の時期でないと薮がきつくて大変だという先入観があり、しっかりと薮に対する対策を取り入山したのだが、嬉しい方の期待外れであり、足下に境界標識を見るともう目の前には山桜が見えてきた。桜を下から鑑賞して更にシダ道を抜けて行くと再び足下に境界標識を見る。

途中の山桜で花見をする

 この先登山道は右に向かうのだが、この付近からは南から西に向かっての展望が開けている。南には西目山、少し西に向かうと楞厳寺山、その間には玉泉溜池が見える。地籍図根三角点からこの展望地まで10分の行程であり、展望地を出発し、この先最後の坂に挑む。

尾根道に到着するとすぐに平岩を左手に見る

 普段は邪魔だとしか思わないシダがこのような急坂には大変助かる。シダをしっかりと掴みながら足下を確認し、慎重に一頑張りすると尾根道に到着する。すぐ左手に平らな岩を過ごして緩やかな坂道を快適に進むと間もなく三角点の立つ佐波山山頂に到着した。

佐波山山頂の三角点

 山頂周辺には登頂記念プレートがいくつか掛けられており、佐波山は人気の山みたいだ。山頂から周囲の展望をゆっくりと楽しむ。まず東手前に右田ヶ岳、その奥に矢筈ヶ岳・後ろにはアンテナの大平山が広がり、南には西目山の山頂の電柱がはっきりと見える。その奥には瀬戸内海が見える筈なのだが本日は墨絵の世界が広がっている。

山頂からの墨絵の世界 左は右田ヶ岳 右には西目山

 場所を北に移すと北の方向にも展望は広がっており、遠く蕎麦ヶ岳を見るがやはり霞んでいる。モノクロの展望だが、こんな展望を望んでもなかなか見ることはできないのでしっかりと眼の奥に焼き付けておく。しばらく双眼鏡を引っ張り出し、周囲をあちこち散策、展望を楽しんだ後下山を開始する。

下山途中の展望地から玉泉溜池を眺める

 下山の目印の平岩を過ぎ、シダの斜面を快適に下りて行き、再び展望地で西目山・楞厳寺山を確認、山桜の美を堪能して地積図根三角点の広場まで戻った。

 ここでそのまま来た道を帰るのも新鮮みに欠けるので、昨年10月に「山口の山歩き」の「はちべえさん」が紹介されていた地籍調査の作業道を通り、下りてみることにした。この道へは広場から一旦北の方向に向かって進んで行く。踏み跡もしっかりしており、地籍調査の標識が続いているので迷うことはないようだ。

この標識に従って下る 岩の上には赤いペンキの標識がある

 北のピークに向かい、ピークから下りて行くのだが広場から10分進むと急なシダ道の斜面となり、シダを掴みながら慎重に下りて行く。足下の岩には赤いペンキが塗られており、地籍調査の標識が張られている。シダの中に踏み跡らしきものがあり、踏み跡に従って滑らないように下りて行くと急にシダが無くなった。改めて上を見ると、今更ながら急な斜面であることがわかる。

シダの道を振り返る この道を下りてきた

 岩の間を通り抜けると眼下に斎場の下にある駐車場が見えて来る。もうここまで下りてくれば残りはあとわずか、更に慎重に下りて行くと檜の倒木帯に下りるまでの間の道が荒れている。

 周囲の木に掴まり慎重に下りて行き、檜の倒木帯を左方向に行くと小川家墓地に到着、すぐ右に向かえば舗装路に着き、少し南に向かうと登山前に散策していた郡境之碑、その先には明治天皇鯖山峠御小休所址があり、その奥の祠に登山の無事を報告する。

今回下山時に使用した地籍調査用の踏み跡への道は次の通りである。

(後日、このコースは立入禁止の私道を通っていることが判明、別のコースを末尾に記載してある)

 右手に「明治天皇鯖山峠御小休所址」その先左手に「郡境之碑」を過ごしたすぐ左に木の杭が4〜5本立っているのでこの中に入って行く。右手に「小川家墓地」を見て左折し、檜の倒木帯の中に入って行く。奥まで入った後右の斜面に取り付けはすぐに地籍調査用の踏み跡に入る。踏み跡に着くまで3m程度急な斜面を登ることになるが、一旦踏み跡が判別できればその先は明確な標識が続いているので道を間違えることは無い。はちべえさんのおっしゃる通り、斎場を避けて佐波山に登ることができる。

郡境之碑を左手に見て進む 郡境之碑の先の左に杭が立っており
右に小川家墓地を見て左折
檜の倒木帯を進む 倒木帯の先を右斜面へ向かう

 無事に舗装路まで到着したので登山口の斎場に戻ることにする。斎場への帰りは一本道であり、天気も良く静かな道を快適に進む。ところが・・・静かな割にはブハブハと重量感のある鼻を鳴らす音がする。

 なんだ!なんだ!電柱の横に茶色い物体が居る。ブハブハ鼻を鳴らしているのは大きなイノシシだ!目の前10mの所で必死で木の根を食べている。その後ろには小さなウリ坊が2匹うろうろ・・・、突然にガサガサとウリ坊が逃げる。

イノシシが木の根っこを食べている イノシシ駆け出す

 しまった気づかれた!、ン・・・親のイノシシはまだブハブハ鼻を鳴らしながら根っこを食べている。そうだ写真を撮ろう、じっくり構えて写真を撮る。イノシシはまだ根っこを食べている。今度は動画を撮ってみよう。イノシシはまだ気が付かない。じっくりとイノシシを観察していたら突然イノシシが動き出した。危ない、こちらに来るのか・・・と身構えるとイノシシは山の奥に向かって一目散に駈けだした。

 

餌を食べるイノシシ

 早い早い、あっと言う間に林の中に潜り込んだ。始めて野生のイノシシと出会うことができてものすごく幸せな気分だ。ウキウキしながら、興奮しながら駐車地へと戻り、登山を終了した。

 この付近にはイノシシが多いのだろうか、登山道に入ってすぐにガサガサ音がしたのは、イノシシのような気もする。

 斎場を出発し国道に出る前の対岸には美しい桜が咲いている。素晴らしい桜を観賞することができてこれ以上の幸せはない。

国道上の山桜を観賞

 

 はちべえさんより、このコースの入口である杭の付近に「私道につき立入禁止」の札があることについて連絡がありました。私道を通らずに地籍調査用の踏み跡へ行くには、郡境之碑の右手から急な斜面をよじ登れば大丈夫です。

 呉々も立入禁止の場所には入らないでください。

 また、このあたりに昔、斎場関連施設があったそうなので、佐波山には今のところ斎場関連施設を全て避けて登るルートは無いそうです。

 前の山 嶽山 を見る

 次の山 面貌山・神田山 を見る

歩いた足跡  

登山口周辺の地図はこちら 山口市 佐波山 登山口付近のMAP

登山リスト(あいうえお順)に戻る

登った山のリストに戻る

トップに戻る