久松山(きゅうしょうざん) 鳥取県鳥取市

2006年4月29日(土曜日)

ガイド本 中国百名山

登山開始 →8:59→ 山頂到着 →10:06→ 山頂出発

 →10:41→ 下山終了 11:16

参考コースタイム

登山開始 →1:07→ 山頂到着 →0:35→ 山頂出発 →0:35→ 下山終了

登山時間 2:17

 昨日午後9時半に柳井を出発、この連休を利用して日本二百名山の氷ノ山・三百名山の那岐山・扇ノ山へ向かう。柳井のコンビニでガイドをコピーし、時間が遅いので中国自動車道を通り、津山インターで下りて国道53号を北上、夜食と飲み物・明日の朝食などをコンビニで仕入れ、氷ノ山の登山口に向かってひた走った。

 今回の遠征の為に愛車に設置した、ワンセグ対応のナビ(ゴリラ)の案内に従い、国道53号を走り、岡山県から鳥取県に入り、国道482号・29号を経由し、午前3時過ぎに氷ノ山キャンプ場に無事到着した。

 登山口を確認すると氷ノ山に登る際には、なんと・・「アイゼン」が必要だと書いてある。うーん・・!、困った、アイゼンなんて持ってはいるが使ったことはない。まあ行けるところまで行って駄目なら引き返そうと宿泊の場所を探し、氷ノ山高原の宿「氷太くん」の付近が照明により明るいので、この駐車場に車を置き、車中で眠ることにした。

 車の中を整理し、ビールをたらふく飲み、シュラフで寝ることにしたがなかなかこれが暖かくて気持ちがよい。眠る格好も思っていた以上にしっくりしており、時計を見ると4時を過ぎているので寝ることにした。駐車場の照明が明るく安心できるなあと思っているとすぐに寝入ってしまった。

 午前6時過ぎに目が覚めた。結局2時間程度しか寝ていないが頭はさえているようだ。顔を洗い、昨日買っておいたおむすびを頬張り、登山準備をする。スキー場の付近に三の丸コースの説明板もあったが、本日は分かり易い氷ノ越コースを採ることにする。氷ノ越コースの登山口の駐車場には登山客は誰も居らず、今日の登山の一番乗りのようだ。

高原の宿 氷田くん付近からの展望 氷ノ山 氷ノ越コース登山口

 登山口には「登山道にはまだ雪が多く残っており、登山道が分からないところもあります。登る場合は冬山用の装備を調えましょう。(瓶岩周辺はアイゼンが必要です)」と書いてある。この説明を見て少しビビる。まあ行けるところまで行って駄目なら引き返そうと午前7時に氷ノ越コースの登山道に入る。

 すぐに登山道に倒木があり、これを跨いで通過する。その先を右にカーブすると目の前には早速雪の道が待っていた。ここまでわずか3分である。少し雪道を進んでみるが、アイゼンを今まで使ったこともなく、雪の中の歩き方も自己流の知識しかない。

雪の道と出会う 綺麗な展望

 ここで一思案・・・・、このまま進むか引き返すか・・・。

 引き返すことにした。自信の無い場合は撤退する。車まで戻り荷物を車に積み込み、またまた思案、帰ろうか?・・・。でもせっかくここまで来たのだから・・・、近くの低山に登ることにした。

扇の山方面の展望

 鳥取市内周辺の山に目星をつけて登ることにする。今回は中国百名山の本しか持ってきていないので、この中からこれから行く山を探す。まずは展望の良さそうな鳥取市内の久松山(きゅうしょうざん)に向かって7時半に氷ノ山の登山口を出発する。

満開の山桜 お伊勢参りの道しるべ

 曲がりくねった道を戻っていると、途中に伊勢道の道標があったので散策、その上に神社があったので参拝するが、この神社は現在修復中であった。国道482号から国道53号に戻り、若桜街道を鳥取市に向かって進む。目指す久松山の登山口は鳥取城の城跡である。

 鳥取県立博物館の駐車場に車を置こうとしたが、本日は博物館でイベントがあるため駐車場は満車、付近の法務局にある臨時駐車場に車を置き登山を開始する。お城のお堀に沿って進み、県立博物館を左に見る。博物館の反対側には明治40年5月、大正天皇が皇太子時代に宿泊された仁風閣(じんぷうかく)の白い建物を見る事ができる。仁風閣では本日バレエの発表会があるようだ。

久松山全景 重要文化財 仁風閣

 正面に向かって進むと突き当たりを右に向かい、お城の門を潜って石段を進んで行く。少し石段を登るとすぐに広い西の丸に到着、その先の一段高い場所には三階櫓跡があり、櫓跡から眺める市内の展望が綺麗だ。この城跡周辺は久松公園として整備されており、もう何人かの人がベンチに腰掛けて休んでいる。低いこの場所からでも素晴らしい景色なので、山頂からはどんな展望が広がっているのだろうと段々期待が広がってくる。

鳥取城 二の丸跡 三階櫓跡

 西の丸の奥の方には稲荷神社が建っているので参拝する。この稲荷神社の右手から石の階段の登山道が続いている。苔むした石の階段は風情があるがなかなか手強いようだ。少し登ると「中坂道 山上ノ丸への道 山頂まで約25分」と表示されている。ちなみにお城の門の反対側(西方向)には「西坂道」があり、昔は鳥取城の大手道だったようだが、現在は廃れているそうだ。説明では目印のテープを伝って行けば山頂に着くらしい。

登山口の稲荷神社 稲荷神社右手の階段を登る

 久松山は市民の皆様に愛されている山のようで、登山道の一角には常連さんの名札まで設置してあり、皆さん毎日登っておられるようだ。山頂からは何人もの方が下りて来ており、ゆっくりしていると後ろから登山者に追い越されていた。少し進むと左手に八幡宮址の標識があり、この先沢を渡り少し急な斜面を登ると1合目の標識が立っていた。

 以後この標識は山頂まで続いているようだ。途中の展望は無いが、本日は特別暑く、こんな時には樹木が日よけとなり、風がとても涼しく感じる。4合目先には手摺りが整備されており、お城の門を潜って25分で五合目、久松御坂大権現の社(中坂善神御神殿)に着き、登山の無事を祈願した。

5合目 久松御坂大権現の社 5合目先の石段とツツジ

 5合目を過ぎた先の石段付近には綺麗なツツジが咲いており、とても美しい。今日はツツジの花で充分に楽しめそうだ。登ってきた道を振り返るとこんな坂を良く登ってきたものだと感心する。しっかりと前を見て、今回初めて使用のダブルストックによる4本足歩行、これが非常に安定がよい。一気に登っていると少しずつ木の間から展望を垣間見ることができるようになった。

 7合目付近では、石の階段道に負けそうになりながら少し休憩を取る。樹木が茂っており、日射しが直接射さないのがとても嬉しく、風が冷たくて気持ちが良い。椿の花が沢山咲いている場所を過ぎると9合目に到着、ここには水場がある。細い流れではあるが水が流れているので、手ですくって飲もうすると、手が痺れるくらいに冷たい水である。飲んでみると誠に美味しく冷たくて気持ちがよい。何杯も水を飲んで喉の乾きを潤す。

9合目手前の椿 最後の水場の水は冷たい

 さあ、いよいよ山頂に向かって出発だ。左手に登山道の崩壊場所があり、気をつけて進む。右に登り返して進むと正面に馬酔木の白い花が咲き、その横には鳥取城山上ノ丸の説明文が立っている。この鳥取城は戦国時代の末に織田氏と毛利氏の対立から二度に渡って羽柴秀吉からの攻撃を受けたそうだ。

白い馬酔木の花 鳥取城 本丸跡

 説明板を右に過ごして本丸跡に到着、城主の池田長吉が慶長7年(1602年)から行った城内大改築の時に掘った「車井戸」を左に見て進んで行くと一段高い場所が久松山山頂である。階段をゆっくり登って山頂に立つ。あーすっごい眺めだ。思わず声を上げる。眼下には西から北に向かっての大展望が広がっている。

鳥取城 太閤ヶ平に向かう階段 太閤ヶ平

 落ち着いて周囲を眺めてみると、千代川が日本海に向かって南から北に真っ直ぐ注いでおり、千代川の西には大きな湖山池が見える。湖山池には沢山のヨットが浮かんでおり、のんびりと練習をしているようだ。

久松山山頂から西の展望 正面には湖山池

 湖山池の右手には鳥取空港の広い敷地が広がってており、そのまま北方向に向かって眺めていると日本海にぽつんと浮かんでいる海士島がかわいい。その手前に白い砂浜が見える。よく見てみると鳥取砂丘だ。砂丘に向かって沢山の人が歩いている、みんなが同じ方向に同じ早さで歩いている。まるでアリの行列のようだ。まさかこんな所から鳥取砂丘を見ようとは思わなかった。また、砂丘の広さを改めて認識することができた。

久松山山頂から北の展望 右手の砂浜は鳥取砂丘

 南西方向に目を向けると遠く雪を戴いた山が見える。これは左が高鉢山・右奥が三国山のようだ。まだ山頂に雪が残っているとはさすがに千メーター級の山である。大山も空気が澄んでいれば見えるそうだが今日は霞のため確認することができない。せわしくメモを取っていると地元の人が話しかけてきたのでお話を聞く。

 良く晴れた空気の澄んだ日には隠岐島の島前・島後を見ることができるそうだ。最近はなかなか隠岐を見ることができなくなったとのことである。また、大山は湖山池の左端(南側)の先に見えるそうだ。

久松山山頂から南の展望 眼下に鳥取市の市街地が広がる

 素晴らしい展望に満足して下の檀、本丸跡から南方面の展望を眺める。やはり少し霞んでいるため那岐山・滝山は見ることができなかった。しかしながら眼下に広がる市内の展望は素晴らしい。いつまでも見ていたい風景が広がっており、立ち去り難い思いを断ち切って下山を開始する。

 急な坂を慎重に4本足で下りて行く。すぐに9合目の水場に到着、冷たく美味しい水を頂き更に下りて行く。急な石段を滑らないようストックで調整しながら下りて行くと滑る気がしない。すぐに5合目の社に到着、ここで木の間越しの展望を少し楽しんだ後、石段を更に下りて行く。

 下りていると急な坂を登ってきたことが改めて分かった。八幡宮址を過ごし登山口の稲荷神社に登山の無事を報告、二の丸からの石段を下りていると目に青葉、カエデの若葉が眩しい。少し下りて白い仁風閣を眺めていると仁風閣の後ろの広場ではバレエの発表会が行われており、優雅にバレリーナが踊っているのをしばらく眺めていた。

仁風閣ではバレエの発表会 9合目付近で見かけた花

 青空の下でのバレーの発表会はとても気持ちが良さそうだ。その先のお城の門を潜ればもう登山口、お堀の側を通って登山口の法務局まで戻った。素晴らしい展望の広がる久松山は素晴らしい山だった。

 前の山 春日山 を見る

 次の山 二上山 を見る

歩いた足跡  

登山口周辺の地図はこちら 鳥取市 久松山 登山口付近のMAP

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