歴史を刻む一字一石塔から鬼ヶ城を極める 下関の急登を制覇する縦走記 山口県下関市

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2004年 3月20日の鬼ヶ城・狩音山石印寺コースを見る
2012年10月21日の北浦スカイライン縦走(鬼ヶ城・狩音山・竜王山)を見る
2025年 3月 7日の鬼ヶ城・狩音山石印寺コースを見る
2025年10月19日
駐車地 →0:30→ 一字一石塔 →1:10→ 鬼ヶ城 →0:20→ せきんじ岐れ

 →0:50→ 石印寺コース登山口 →0:15→ 駐車地

全歩行時間 3時間 5分
登山行程図(地図をクリックすると拡大)

 山口県下関市にそびえる名峰、鬼ヶ城と、静かに歴史を刻む一字一石塔を目指す登山へと出発しました。今回の登山口は、鬼ヶ城の石印寺コース入口となる県道244号線沿いの、民家前から南へ少し進んだ場所にあります。
石印寺コースへの入口から県道を南へ進みます 一の瀬第2配水場を過ごします

 民家横の「鬼ヶ城登山道入口」の案内板を目印に南へ約450m進むと、左手に「一の瀬第2配水場」の施設が見えてきます。この施設を通り過ぎ、さらに300mほど南下すると、左手に鋪装された広い駐車スペースが現れました。ここに車を停め、総勢7名での縦走が始まります。

広い駐車場に車を置いて登山を開始 駐車場東の池越しに眺める一字一石塔と鬼ヶ城

 駐車地の東側には池があり、そこから南東を望むと、まず眼前に標高252mの小高いピーク、すなわち一字一石塔が立つ場所が見えました。その奥には、堂々たる姿の鬼ヶ城がそびえ立っており、これから挑むルートを一望することができました。

民家を過ごし県道沿いを南へ進みます 「下関・中国道・黒井」方面を示す案内板へ向かいます

 歴史を語る一字一石塔を目指していよいよ7名の仲間たちと登山開始です。駐車場を出発し、県道244号線を南へ。最初の民家を左手に通り過ぎると、「下関・中国道・黒井」方面を示す案内板が前方に現れます。

防獣柵の中に入り、県道を右に見ながら進みます
広い作業道を進みます
 私たちはこの案内板の左手から防獣柵の中に入り、登り勾配の舗装道へと進みました。右側には、山口県特有の鮮やかなオレンジ色のガードレールが続いています。やがて舗装道は終わり、道幅の広い未舗装の作業道に変わります。
倒木を迂回します 急登が続きます

 道中、倒木が目立ち始めますが、仲間と声をかけ合いながら慎重に迂回。清々しい自然林の下を一列縦隊で進むにつれて、地形図が示す通り、坂の傾斜は次第に厳しくなっていきます。

一列縦隊で急登に向かいます 一字一石塔

 容赦ない急登の連続に、短い休憩を挟みながらも着実に高度を上げていきます。そしてついに、平坦な標高252mの山頂に到達。そこには、途中から折れてしまっているものの、威厳を保った石塔が静かに佇んでいました。これこそが一字一石塔です。

奉納大乘妙典一字 一石塔

 石塔には「奉納大乘妙典一字一石塔」の文字と、明治16年5月に建立されたという歴史が刻まれており、しばし厳粛な気持ちに包まれました。この塔は、仏教経典の一字一字を小さな石に書き写して地中に埋めた「経塚」の上に建てられた、供養・祈願のための歴史的な遺構です。塔の周囲に並べられた丸い石が、当時の人々の篤い信仰心を現代に伝えてくれているようでした。

一字一石塔周囲の風景 わずかに坂を下ります

 歴史を感じる小休止を終え、いよいよ鬼ヶ城への本格的な直登ルートへと進みます。一字一石塔からわずかに下り、すぐに登り返す鞍部(あんぶ)付近では、木々の幹に深い傷跡がいくつも見られました。「熊の引っ掻き傷かもしれない」と、自然の厳しさを肌で感じながら、緊張感を持って先を急ぎました。

熊の引っ掻き傷でしょうか すぐに急登が始まります
急登 ウスヒラタケ
 鞍部を越えると、再び激しい急登が始まり、一気に高度を稼ぎます。周囲は明るい自然林に覆われているため、清々しい気持ちで登り続けることができましたが、そんな中、ウスヒラタケを発見。山の恵みを無許可でいただくわけにはいかず、その姿を写真に収めるだけに留めました。
どこまでも続く急登です 根を張り巡らせた巨木

 急登の連続に体力を削られつつも、傾斜が緩む場所を見つけては小まめに休憩を取り、次なる急坂へ向かうエネルギーをチャージ。登山道の脇には、大地を掴むように根を張り巡らせた巨木が立ち、その圧倒的な生命力に勇気づけられました。

狩音山

 ふとした樹間越しには、雄大な響灘に浮かぶ島、そして北東にそびえる狩音山の姿が垣間見え、疲れを忘れさせてくれる至福の瞬間となりました。

ますます傾斜はきつくなります 巨岩の始まり
巨岩の上へ向かいます 巨岩を見上げます

 延々と続く急登にも体が慣れ始めた頃、突如として巨大な岩が目の前に現れ、行く手を阻みます。巨岩を横目に高度を上げ、さらに大きな岩をよじ登って展望を期待しましたが、残念ながら木々の間に視界が遮られました。

巨岩の上を出発 右に巨岩を過ごします
頭上が明るくなれば山頂は目の前です 山頂から登ってきた来た方向を眺めます

 最後の巨岩の上で一息入れた後、いよいよ山頂直下の岩場へと挑みます。岩をよじ登り、一気に高度を上げた瞬間、前方がパッと明るくなりました。目の前に遮るものがなくなり、頭上に青空が広がる。ついに鬼ヶ城の山頂に到着です。

鬼ヶ城山頂 記念撮影
竜王山 響灘
 山頂には三等三角点、八大竜王の石碑、そしてピッケルと鐘を組み合わせたモニュメント、山頂標識などが設置されており、登頂の喜びを静かに噛みしめました。この日は曇り空でしたが、視界は良好。山頂からは、雄大な響灘はもちろん、竜王山、勝山、四王司山(しおうじやま)、天狗防(てんぐぼう)、首かたげ山(くびかたげやま)など、下関の山々が一望できました。
四王司山と勝山 首かたけ山と天狗防

 登頂の達成感とともに、山頂でいただいたお菓子を囲んで談笑がスタート。この素晴らしい展望を「肴」に、皆で賑やかに昼食を広げ、至福のコーヒータイムを楽しみました。山頂での大休止は、登山の醍醐味の一つです。

山頂を出発し下山を開始 岩場を下ります
水平道から響灘を眺めます 急な傾斜にはロープが渡されています
鬼小屋を巣過ごします せきんじ岐れを左折

 名残惜しい山頂での大休止を終え、下山を開始します。岩場を慎重に下り、水平な道に出たところで再び響灘の雄大な景色を堪能しました。ここからは急な斜面を下り、「鬼小屋」の横を通過。そのまま道なりに北東へ進み、「石印寺(せきんじ)岐れ」で左折。今回は、北浦スカイライン沿いの狩音山へは立ち寄らず、石印寺コースを下ります。

慎重に下ります 下山途中に展望を眺めます
石印寺コースの登山口です 県道へ向かって分岐を左折します

 今年3月にも歩いた懐かしい道を下り、無事に石印寺コースの登山口へと帰り着きました。今回は、更に車を停めた県道244号線沿いの駐車地まで戻らないといけないため、約200m北西へ歩き、左手の分岐から進路を西にとり、道なりに進んで県道へ向かいます。

県道に着き左折します 一の瀬第2配水場を過ごします
登山口へ着き、鬼ヶ城の展望地へ向かいます 正面に鬼ヶ城、右下に一字一石塔の場所を眺めます

 朝の出発時に目印とした「一の瀬第2配水場」の施設を経て、無事に今回の駐車スペースへ帰り着くことができました。今回の縦走で改めて感じたのは、鬼ヶ城へ至る登山道は、まさに急登の連続であるということ。安全かつ確実に登頂するためには、焦らず、こまめに適度な休憩をとり、体力を回復させながら歩を進めることが、何よりも重要だと痛感しました。下関の歴史と絶景を肌で感じる、思い出深い一日となりました。

一字一石塔
巨岩へ向かいます
巨岩を右に過ごします
鬼ヶ城山頂
響灘
竜王山
四王司山と勝山

首かたげ山と天狗防
池の先に鬼ヶ城と一字一石塔
 前の山 高場山 を見る

 次の山 日暮ヶ岳 を見る

歩いた足跡  
登山口周辺の地図はこちら 山口県下関市吉見 駐車場 登山口付近のMAP
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