摩耶山(まやさん)兵庫県神戸市

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2014年2月24日

阪急王子公園駅 →0:20→ 山道入口 →0:45→ 虹の駅 →0:30→ 旧天上寺跡

 →0:15→ 摩耶山三角点 →0:10→ 掬星台 →0:10→ 旧天上寺跡

 →0:25→ 大日大聖不動明王 →0:50→ 雷声寺蔵王権現像 →0:20→ 新神戸駅

全歩行時間 3時間45分

登山行程図(地図をクリックすると拡大)

 前回に続いての神戸の山は摩耶山。江戸時代の画家、谷文晁の名山図譜に掲載されている名山である。山頂に設置された案内に寄れば摩耶山は、古来山岳信仰の場であり、大化2年(646年)、孝徳天皇の勅願を受け、インドの高僧法道仙人により仏教寺院が開創された。その後大同年間弘法大師空海によって、摩耶夫人像が奉安され、伽藍が造営された。これが摩耶山天上寺である。

 長い歴史の中で観音霊場や安産祈願の寺として信仰され、最盛期には多くの塔頭、僧侶を抱えた摂津地方第一の大寺だったと伝えられている。表参道である上野道や青谷道、また兵庫方面の人々は布引の東から山に入り天上寺に参拝した。昭和51年1月30日、天上寺は炎上、主要建造物のほとんどを消失した。その後、寺は開創の地と伝えられる元摩耶へ移転し再建された。神戸市では、旧境内地を歴史・伝説を有する史跡公園として整備を行っている。

阪急王子公園駅から眺める摩耶山 登山口は阪急王子公園駅

 前回の六甲山登山と同じく山陽新幹線の新神戸駅で下車。地下鉄で三の宮へ移動し、阪急電車に乗り換えて摩耶山登山口の王子公園駅へ着く。駅前から東へ移動し、西郷川を越えた先で左折する。そのまま道なりに坂を登ると、左下に遊具の整備された公園を過ごす。間もなく信号のある交差点へ着くので右折、この交差点の反対側に架かる橋は中原橋である。

分岐を左折 信号のある交差点を右折

 そのまま道なりに進むと、信号のある神戸高校前交差点を通過、従って王子公園から神戸高校を目指して進めば間違いない。この先右側に神戸高校の施設を眺めながら進み、間もなく高校の正門を過ごす。

神戸高校前交差点を通過 右に神戸高校を過ごす(クリツクで拡大)

 更に坂を進むと、左に「山麓リボンの道」の石碑を見る。当日はこの先より工事中だった。すぐに住宅へ突き当たるので右方向へ進路を採る。この先も道なりに進むと、摩耶菩提所の案内が掲示されている。右に墓地を過ごし、石段を登ればいよいよ摩耶山へ向かって登山開始である。ここまで摩耶山への案内は皆無に等しいので、入口にある「登山される皆様へ・・」の注意書きが唯一の標識のようだ。

突き当たりの住宅を右折 上野道入口

 すぐにベンチの置かれた休憩所が現れる。背後には木の間越しながら神戸の市街が広がり、この風景を励みに登山を続ける。右に堰堤を過ごし、一旦沢に下りて登り返すと、初めて「上野道ハイキングコース」の案内が現れる。これで道を間違えていないと言うことが分かったので一安心。

眼下に神戸市街の展望 上野道ハイキングコース案内

 少し進むとベンチの置かれた南の展望広場に出る。眼下には少し樹林が被るものの、美しい風景を眺めることができた。摩耶ケーブル下駅の案内を見て少し坂を下ると、三叉路に出るので分岐を左折する。なお、右折すれば摩耶ケーブル下駅へ向かうことになるので要注意

ベンチの置かれた展望地 ロープウエイ駅の分岐

 さて、整備された階段を登ると左上に東屋を過ごし、更に進むと展望広がる北の展望広場に出る。先ほどの南の展望広場より高度が上がった分、格段に展望が開け、更に美しい風景を眺めることができる。この先展望の開ける場所は限られるので、しっかり景色を眺めて展望地を出発、この先より「上野道を経て天上寺跡・摩耶山頂」の案内に従い緩やかな坂を登る。

石段を登る 眼下に広がる展望

 時折現れる道案内の丁石を眺めながら、整備された道を辿る。頭上に送電線の走る地点では、最近樹林が伐採された形跡が残っていた。とても明るい登山道に安心感も広がり、送電線の先に広がる神戸の市街はまさに大都会である。足下は六甲山系特有の風化した花崗岩質の道に変わり、滑り易いので注意を払いながら高度を上げる。

丁石とベンチ 風化した花崗岩質の道
樹林の伐採された明るい登山道 電線越しの展望

 右に廃屋を過ごし、進路が右方向へ変わればロープウエイの虹の駅へ到着。平坦な展望地から眼下を眺めるが、展望は木々によりさえぎられている。むしろロープウエイ駅に向かい、ロープウエイの下りのホームの方が展望は良いようだ。北には摩耶山山頂の掬星台(きんせいだい)のロープウエイ駅とアンテナが見えているが、まだ遠い道のりである。

緩やかな坂道の先に摩耶ロープウエイの「虹の駅」

ロープウエイ駅から眺める風景 北にそびえる摩耶山(クリックで拡大)

 舗装された道を登り、山頂へ向かうロープウエイの虹の駅前を通過し、この先に続く石段を登る。右に建つ赤い鳥居の高尾大明神へ参拝、本日の登山の無事を祈願する。更に進むと次第に足下には雪が目立ってきた。まさかアイゼンは必要ないだろうと、昨日リュックから取り出したことが気になる。

山頂へ向かうロープウエイの虹の駅 石段の先に高尾大明神(クリックで拡大)

 右にお堂の中に安置された石仏を過ごせば、左にはベンチの置かれた休憩所が現れる。ただし、展望は木の間越し以下で、ほとんど展望を望むことはできなかった。ここで初めて登山者に出会った。人気の山にしては何故少ないのだろうか?、などと思いながらのんびり歩きが続く。

石仏の安置されたお堂 平坦な休憩所

 足下に雪のない場所は凍結しており、足場を選びながら慎重な歩行が要求される。すぐに三丁の石柱を過ごし、次に宝篋印塔を過ごす。少しずつ信仰の建造物が目立ち始めると石段が始まる。石段の周囲も凍結しており、慎重な歩行が要求されるのでますます時間がかかる。

山頂の先はアイスバーン 宝篋印塔

 やがて丁字路へ到着、右が天上寺で左は下山に使用する青谷道である。ここは天上寺へ向かって右折、この先で天上寺の仁王門を潜ると予想していたが、現在仁王門は崩落の危険があり、この方面への進行は禁止されていた。案内に従い右の迂回路を採ると、足下にはアイスバーン状態の道が続いている。滑っては大変なのでストックを地面に突き刺しながら慎重な歩行を続ける。

青谷道出合い 仁王門への分岐
アイスバーンが続く 石段を登る

 左に炭焼きの跡の遺構を過ごし、やがて天上寺仁王門から続く石段の前に着く。急な石段を登り、踊り場的な場所に着くと、左に50mで「摩耶の大杉さん」と案内されていた。一体どんな大杉だろうかと向かってみると、これは大きい。なんと幹回り8m以上の大杉である。案内によれば、麓からでも見える大杉である。但し、昭和51年の旧摩耶天上寺大火災の後、火を被ったことが原因で枯れてしまっている。

摩耶の大杉(クリックで拡大) 摩耶山史跡公園の旧天上寺跡(クリックで拡大)

 枯れても存在感ある大杉を見学し、さらに階段を登ると、広く平坦な摩耶山史跡公園の旧天上寺跡へ到着した。広い敷地内に建造物は残っておらず、全て消失しているようだ。残っているのは手水鉢のような漱水舎跡や灯籠跡などの石材によるものに限られている。眼下を見下ろす展望地からは、神戸の市街や大阪湾などが一望で、のんびり休憩を取るのにちょうど良い場所である。

眼下に広がる展望 左尾根コース・右森林浴コース

 小休止の後、北に位置する本堂跡を右に過ごし、奥へ続く道へ向かう。正面には三権現社跡が石段上に配置され、石段手前から山頂へ続く道は左右に分岐している。左は尾根コース、右は森林浴コースである。本日のような雪の残る登山道では、この選択が大変重要である。私の選択は、暖かそうな尾根コース。ところが、このコースは急な坂が続き、石段はほとんどアイスバーン状態。そこで石段の凍結していな場所を選びながら、四つん這いで高度を上げる。

滑り易い危険な道が続く

 進退極まっても足下はスリップしやすく、引き返すにはとても危険な状態。一旦滑り始めたら途中で止まることはできないだろう。苦労しながら高度を上げると、ようやく平坦な奥の院跡に到着。へなへなと座り込む程ではないが、大きな作業が終わった気がした。奥の院の案内に寄れば、本堂の背後約330mの地にあった奥の院は、法道仙人によって建立されたと伝えられ、行者堂ともよばれる修験道者の行場の一つであり、内部には不動明王と弘法大師蔵とが安置されていたそうだ。

奥の院跡 少しは歩きやすい雪道

 この先よりシャーベット状の雪道を進み、わずかな坂を登れば朱の鳥居の鮮やかな天狗岩大神が祀られていた。案内に寄れば、奥の院の北の山頂にあるこの天狗岩という巨石は、広さ八畳ともいわれ、伝説によると摩耶山の僧が山中に出没する天狗を封じ込めたところだという。行者岩とも称され、今日でも修験道者が信仰の対象としているが、古い山岳信仰の磐座(神が降臨するといわれる巨石)だったのだろう。

天狗岩大神 石丸猿田彦大神

 この岩の名も、その北方から布引市ヶ原に至る山道、天狗道の名も、ともにそこで修行する山伏の姿を見た山麓の農民が、山伏たちを天狗と思って名付けた名前であろうと説明されている。天狗岩大神の先には、石丸猿田彦大神の石碑も置かれており、雪の残る大岩が印象的である。

摩耶山三角点 舗装道はアイスバーン状態

 天狗岩大神を左に見て奥へ進むと、摩耶山の三角点が置かれている。標高698.6mの山頂周囲には樹林が多く、展望を得ることは出来ないが、雪に覆われた山頂は滅多に見られるものではない。山頂にて記念撮影の後、展望広がる掬星台へ向かう。

広く平坦な掬星台

 道なりに坂を下ればアイスバーンの舗装道へ到着、滑り易い道を慎重に進む。明るい道を進むと、間もなく広く平坦な掬星台へ到着、足下はアイスバーン状態となっており、とても滑り易くなっている。慎重に南へ移動すると、眼下には神戸の市街と大阪湾が広がっている。なお、この掬星台は、手で星が掬えるほど美しい夜景を眺望できることから、その名が付けられた。

掬星台は公園化されている

 昼は市街地や港を一望でき、夜は地上に星をちりばめたような夜景が満喫できる。この掬星台から眺める夜景は、長崎、佐世保と併せて日本三大夜景の一つに挙げられている。掬星台の西に建つアンテナ横には、摩耶ロープウエイの星の駅が見えているが、本日は運行していないようだ。眼下を見下ろす展望地でカップヌードルとおむすびの豪華昼食を摂り、その後はのんびり珈琲タイム。

周辺を散策

 眼下にはポートアイランド、神戸空港、メリケンパーク、ハーバーランド、三の宮、登山口の王子公園、神戸大橋など神戸の主要な施設が一望である。少し霞がちではあるが、眼下に広がる展望を楽しむことができた。その間にも掬星台へは登山者がぽつりぽつりと登ってきている。そのほとんどがアイゼンを装着しており、この登山道の状況では、必要不可欠なアイテムであることは明白である。

眼下には神戸市街と大阪湾の展望が広がる(クリックで拡大)

 さて、下山のルートについて、地元に方に相談するが、南斜面につけられた山寺尾根、傾斜の緩やかな天狗道など、いずれのコースも危険を孕んでいる。そのうち、森林浴コースには補助のロープが途中まで渡されて居るという情報を頂いた。そこで、森林浴コースを採り下山を開始する。

下山は森林浴コースを採る ロープの渡されたコース

 元来た道を引き返し、森林浴コースへの入口を見ると、確かにロープが渡されている。これなら何とか下山をすることができそうだ。ロープを掴みながらアイスバーン状態の登山道を下っていると、背後からトレイルランニングをする人が走って下りてきた。足下が滑るこんな状態なのに、すごいものだと関心してしまった。

坂が緩やかになるとロープは終了 旧天上寺跡を通過

 そのままロープを補助に下ってると、いつの間にか坂の傾斜が緩くなり、補助のロープも無くなってしまった。この先は慎重に下れば大丈夫、やがて登山時に分岐した三権現社跡へ到着。丁字路を南へ進み、無事天上寺跡へ到着した。天上寺跡から石段を下り、登山時に使用した上野道への分岐が左下に現れるが、そのまま直進して青谷道に入る。

左に上野道を過ごし、青谷道に入る 長い石段の下り
杉の木の下に何か祀られている 大日大聖不動明王

 足下はやがて急な石段の下り坂に変わるが、慎重に下れば大丈夫。自然林の下を快適に下ると、大きな杉の木の下には何かが祀られていた。すぐに現れる岩の湿地帯を抜ければ、不動瀧御禊場の大日大聖不動明王の施設を過ごす。背後を振り返れば木の間越しに滝が見えており、これが不動の滝かもしれない。

不動瀧御禊場の大日大聖不動明王 滝を過ごす

 更に坂を下ると左右の分岐が現れ、右が旧摩耶道、左下に続く道は青谷道と案内されている。最初は青谷道を採る予定だったが、旧摩耶道は新神戸駅まで続いていることが分かった。そこで、急遽旧摩耶道を採り、新神戸駅を目指す事にした。ベテランの山ガールの皆さんが先行しているので、その後をのんびり追いかける展開となっている。

左青谷道、右旧摩耶道 旧摩耶道は緩やかなアップダウンがある

 旧摩耶道は緩やかな傾斜で続いており、時折アップダウンも現れる。山腹につけられた道だが、総じて歩きやすい道である。また、足下はしっかり踏み固められており、歴史ある道であることは間違いないようだ。背後が明るくなったので振り向くと、摩耶山山頂のアンテナなどが見えていた。時折、左下に青谷の案内が現れるが、そのまま旧摩耶道を下る。

踏みしめられた道 背後に摩耶山
右に学校林道への分岐を過ごす 左に東山尾根への分岐を過ごす

 やがて右へ学校林道の案内を過ごし、すぐ先では左に東山尾根を経て労災病院方面の分岐を過ごす。この先急な坂を下ると、雷声寺まで0.6kmの案内を過ごす。ここまで来れば終着点は間近、頭上を覆う樹林も薄くなり周囲が明るくなる。更に坂を下ると 擬木にクサリの渡された防護柵が現れ、間もなく蔵王権現の祀られた場所へ着く。案内には、雷声寺を経て熊野町へ0.2kmと案内されており、新神戸駅はもう目の前である。

クサリの防護柵が現れる 蔵王権現
住宅街の坂を下る 新神戸駅

 石段を下り、多宝塔や金毘羅山講堂などの施設を過ごす。この先より住宅地に入って階段を下り、くもち幼稚園、末廣稲荷大明神、熊内八幡宮などを過ごすと金網越しに電車が見えてきた。いったいどこの駅だろうかと電車を見ていると、なんと新幹線の新神戸駅だった。まさにトンネルとトンネルの間の駅であり、住宅地の道路よりも低い位置にあることが新鮮な驚きだった。間もなく新神戸駅へ到着、無事摩耶山登山は終了した。

新神戸駅へ到着

阪急王子公園駅から眺める摩耶山

神戸市街の展望

仁王門

摩耶山史跡公園の旧天上寺跡

掬星台

掬星台から神戸市街と大阪湾

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歩いた足跡  

登山口周辺の地図はこちら 兵庫県神戸市 登山口付近のMAP

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