黒滝山(くろたきやま)・白滝山(しらたきやま) 広島県竹原市・三原市

2007年1月14日

黒滝山・白滝山

参考コースタイム

忠海港 →0:10→ 地蔵院 →0:05→ 黒滝山登山口 →0:10→ 幸福の鳥居くぐり

 →0:10→ 観音堂  →0:05→ 石鎚神社・高尾山山頂

 →0:15→ 白滝山登山口(残り1km) →0:20→ 展望所 →0:10→ 白滝山

 →0:10→ 下の駐車場 →0:15→ 黒滝山・下山道分岐 →0:10 →山頂ひろば

 →0:10→ さくら堂 →0:15→ 忠海港

全歩行時間 2時間25分

 正月を過ぎ、いよいよ2007年最初の山歩きが始まる。朝6時過ぎに柳井を出発、コンビニにてガイドをコピーし玖珂インターから山陽道をひた走り、河内インターで下りる。途中のサービスエリアのトイレに寄ってびっくり、なんとシャワートイレになっていた。河内インターから国道432号を経由、竹原市街を抜けて国道185号を東に向かう。気持ちの良い海岸線を快適に進むと黒滝山の麓、忠海に到着した。

 本日の登山口は忠海港、この港からは休暇村の大久野島へフェリーが運行している。忠海港の公共無料駐車場に車を置き、登山を開始する。北には黒滝山の岩峰が聳え、早くおいでと呼んでいるようだ。快晴無風の穏やかな港を歩いて東に向かい、踏切を渡って道なりに進む。

忠海港を出発 JRの踏切から眺める黒滝山

 国道185号の興亜橋を渡り、ガソリンスタンドを左手に見て左折、右手に写真館を見て右折すると写真館の反対側の家の壁に健康への道100選の標識を過ごす。この付近には黒滝山への登山口標識が立ち並び、迷うことはない。そのまま道なりに進むと正面に黒滝山を見て道は緩やかに右にカーブしている。この付近にも登山口の標識が並んでいるのでとても助かる。

興亜橋を渡り左折する 写真館の横を右折する
正面に黒滝山が見えてくるので直進する 緩やかに右にカーブする

 道の角に大きな岩を見るのでこの岩を左折することになる。と、大きな岩に何か書いてある。「たゞ頼む 大悲の山や 五月晴」巌谷小波(いわや さざなみ)作の句である。この句の作者巌谷小波は児童文学の開拓者であり、尾崎紅葉の金色夜叉、間寛一のモデルとも言われている。巌谷小波が五月晴れの日に、この忠海の地を訪ねていたのだろう。本日は五月晴れではないが小春日和、とても気持ちの良い日であることは一緒みたいだ。

大きな岩を左折する 巌谷小波作 「たゞ頼む 大悲の山や 五月晴」

 しばらく句碑を眺めた後、更に坂道を進んで行くと地蔵院に到着した。このあたりで大切なガイドを忘れていることに気がつくが、案内板がしっかり整備されているのでそのまま歩き続けることにした。地蔵院から眺める瀬戸の展望も素晴らしいが、まだまだ本日の山歩きは始まったばかり、黒滝山は遠くに聳えている。

地蔵院に到着 地蔵院から眺める黒滝山

 地蔵院を出発し、墓地の間を抜けて行くと間もなく車道に着く。車道を少し右に回り込むと数台駐車できるスペースのある黒滝山登山口に到着した。登山口に入ると右手に不動明王の石碑を過ごす。その先には観音第十四番の石仏があり、西国三十三ヶ所巡りの観音霊場となっているようだ。

黒滝山登山口 観音十四番の石仏

 整備された遊歩道をゆっくり進んで行き、トイレの上の第一休憩所であるさくら堂に到着した。さくら堂にて眼下の展望を楽しみ、小休止を取った後、さくら堂手前の黒滝山の説明板を眺めて知識を仕入れさくら堂を出発する。

第一休憩所 さくら堂 黒滝山の説明板(写真をクリックすると拡大します)

 滑りやすい遊歩道を慎重に進むとすぐに白滝山への分岐を左に見るが道なりに黒滝山に向かうことにする。観音霊場十番の石仏標識を過ぎ、快適に進んでいると正面に乃木大将腰掛けの岩を見る。この岩からは忠海の町並みが箱庭のように広がり美しい展望だ。その先には観音5番の石仏と澄んだ霊水池、更に先には平山郁夫画伯スケッチの地を過ごす。

乃木大将腰掛けの岩 観音5番の石仏と澄んだ霊水池

 瀬戸の展望はどの場所から見ても美しく、一旦足が止まるとなかなか動けない。遊歩道途中の忠海観世音菩薩・勢至菩薩にいちいち頭を下げながら進んでいると幸福の鳥居くぐりの場所に着く。

平山郁夫画伯スケッチの地より 勢至菩薩

 とてもかわいい鳥居が左右に並びその奥にはお地蔵様が鎮座されている。この鳥居を潜ることができれば幸せになれるそうだ。リュックを置いて早速鳥居くぐりを始める。最初は少しもたついたが、背が低く幅の狭い鳥居をくぐり抜けることが出来た。これで少しは幸せになるかも。

幸福の鳥居くぐり

 鳥居を過ごして背後を振り返ると、木の間越しに黒滝山の岩峰が近くなっている。遊歩道を更に進むとそこは展望所、忠海港と瀬戸の展望がますます美しい。大久野島に向かうフェリーは白い波紋を残しながら進んでおり、とても新鮮な風景である。ここまで来ると黒滝山の岩峰はもう指呼の先、素晴らしい岩峰を見ていると自然に歩が速まる。

瀬戸の展望所 岩峰を見上げる

展望所から瀬戸の展望

 展望地を出発、いざ岩峰へと進んでいると遊歩道は石段道に変わり、右手になにやら大きな岩を見る。標識を見てみると長寿の亀岩、本当に亀のような岩が座っている。ここで眼下の展望を眺めるため後ずさりをすると岩につまずき、典型的な尻餅をつく。あいたた・・・油断大敵だ。おしりをさすりながら先に進む。

遊歩道を進む 長寿の亀岩

 階段道を登って行くと、観音堂と山頂ひろばの分岐を過ごし、そのまま真っ直ぐ進んで僧行基が建立したと伝えられる観音堂に到着した。観音堂からの展望が素晴らしいのは勿論のこと、観音堂の上に聳える大岩に圧倒されてしまった。この大岩の上には石鎚神社が祀られている。

階段を登る 観音堂に到着

 まずは観音堂にお参りし、周囲を見回すと西の方に鐘突堂が立っている。鐘突堂では来た人が自由に鐘を突くことが出来るようだ。心を込めて鐘を突きながら沢山のお願いをする。その後、頭上の大岩を感嘆しながら見上げる。それほど素晴らしい光景である。観音堂での散策を終え、いよいよ頭上の石鎚神社に向かって進むことにした。

鐘突堂では鐘を突くことが出来る 観音堂にお参りする

観音堂から眼下の展望

 観音堂を出発、左手の祠にお参りし、その先に字の薄れた鎖場の標識を過ごすといよいよ待望の鎖場に向かうことになる。(鎖場を避けて安全な道を進む場合には、山頂ひろばへの標識に従って進むことができる)

 昭和30年7月に建立された黒滝山石鎚神社の鳥居の右手に一の鎖を見るので、慎重に岩場を登って行く。岩を掴みながら鎖に頼らないよう三点確保の要領にて高度を上げて行く。なかなかこの作業が嬉しくて、鎖場の途中から眼下の展望を楽しむ。間もなく一の鎖を登り切り一の鎖上の祠にお参りする。

一の鎖を登る 一の鎖上の祠

 祠の後ろには二の鎖が待っているが、この鎖は少し頑丈に結んであり鎖の遊びもなく、角度も急なのでしっかりと鎖を掴みながら登ることになる。一気に高度を上げて行く感覚で登って行くと大岩の上の石鎚神社に到着した。この石鎚神社は素晴らしい展望地であり、この場所からの展望はたぶんこの先忘れることは無いだろう。

二の鎖を登る 大岩上の石鎚神社
石鎚神社先の展望地 歩いてきた道を眺める

 風もなく穏やかな瀬戸の展望と青い空、瀬戸を行き交うフェリーは白い波を一筋の線のように残して行く。絶壁の展望地から眺める眼下の町並み、見るものすべてが美しい。歩いてきた道を目で追うこともできるので楽しみが倍増する。たっぷりと時間を掛けて展望を楽しんだ後、いよいよ黒滝山の山頂に向かう。

石鎚神社から眼下の展望

 少し岩峰から下り、登り返すとそこには大峯神社と出雲大社の祠が祀られており、ベンチに座って瀬戸の展望を楽しむことができる。目の前には岩峰の石鎚神社が聳えており、この場所から眺める石鎚神社はとても神々しい。大峯神社・出雲大社に参拝し、少し北に向かうと大岩が待っており、この大岩こそが黒滝山の山頂である。

石鎚神社から大峯神社・出雲大社を眺める 大峯神社・出雲大社に参拝
大峯神社から石鎚神社を眺める 黒滝山山頂

 黒滝山山頂にて記念写真を撮った後、大岩の上からの展望を満喫する。黒滝山の山頂を踏んだので次は白滝山に向かって出発する。このあたりは展望地が多く、少し場所を変えると素晴らしい展望が広がっている。北方面にはこれから向かう白滝山の山頂の岩が見えてきた。いったいどんな大きさなんだろうと期待が広がる。

大久野島に向かうフェリー 黒滝山から眺める白滝山

 と、右手下になにやら赤い幟が見える。これは平成19年に新調された稲荷社の幟のようである。稲荷社にはロープを伝って下りることができるので少し寄り道をしてお参りを済ませ、再びロープの助けを借りて縦走路に戻り白滝山に向かう。間もなく急な階段道が始まるので慎重に階段を下りて行き、そのまま進むと白滝山と黒滝山の下山道の分岐に到着した。

稲荷社に下るロープ 稲荷社に参拝
階段道を下りて行く 白滝山と下山道の分岐

 平坦な登山道を北に向かって進んでいると登山道は急に右に分岐し、分岐の先から坂の傾斜が増してくると同時に、左右にはシダが繁ってくる。尾根道に到着すると左右どちらを通っても白滝山に向かうという標識に出会うが、左に行くと600mで駐車場と標識に書いてあるので、車道を通らず行けそうな右の道を採ることにした。

右に分岐する登山道を進む 黒滝山・駐車場分岐

 整備された道を進んでいるとだんだん高度が下がっている。そのうち眼下に車道と登山口が見えてきたので少し安心する。間もなく白滝山へ1kmの標識の立つ登山口に下り立った。目の前には大好きな岩峰が広がっておりこれが元気の源である。整備された登山道に入り、緩やかに高度を上げて行く。

車道を渡る 白滝山登山口

 進むたびに岩峰が近づいてくるのがとても嬉しい。本当に整備された登山道はどこまでも歩きやすく気持ちがよい。白滝山と呼ばれるのは岩や道が白いからだろうかと思うほど明るく眩しい登山道を進んで行く。ほとんど疲れを感じないほど緩やかに高度を上げていると展望台まで200mの標識を過ごす。横木の階段道の先の遊歩道は少し狭くなり、だんだん滑りやすくなってきた。

歩いてきた遊歩道を振り返る 明るく眩しい登山道

 途中の岩の中に入り込み、周囲の展望を眺めることがとても楽しい出来事である。少しずつ寄り道をしながら高度を上げていると展望台に到着、しばらく瀬戸の展望を眺める。展望台から龍泉寺に続く道には白い道案内の石仏が並んでおり、その先には大きな岩の立つ白滝山が待っている。

整備された登山道 展望台の先には道案内の石仏が並ぶ

 白滝山まで300mの標識を過ごし、その先の地蔵菩薩にお参り、龍泉寺の石碑を右に見て石段を登って行く。龍泉寺の山門が見えてきたのでワクワクしながら進むと、なんと沢山の車が境内に駐車していた。今日は何か行事があるのだろうか。また、境内には所狭しと沢山の登山者がトイレ休憩中、白滝山がメジャーな山であることを痛感した。

龍泉寺の石段 龍泉寺

 白滝山への登山道は龍泉寺の左手から続いており、白滝山へ160mの標識を過ごして鳥居を潜り、石仏の並ぶ遊歩道を進んでいると岩の上部には沢山の石仏が置かれている。いろいろな表情の石仏があり、一つ一つをゆっくり眺めながら進んで行く。

龍泉寺の左から白滝山へ向かう 大岩には石仏が置かれている

 と、大きな磨崖仏を見つけた。素晴らしい仏像に見とれてしまい足が自然と止まる。この仏像は江戸時代に彫られたそうで、石に彫られた像はいつまでも残すことができることを再認識する。ぐるっと周囲の仏像を眺めながら大岩を回り込むと白滝山に到着、山頂には大きな岩が座っている。

岩に彫られた磨崖仏

 まずは山頂を目指し、西に向かうと鐘突堂が立っており、その先に白滝山の山頂標識が設置されている。この付近からは南から西・北と展望が広がっており、素晴らしいパノラマを満喫する。丁度昼になったので昼食を取り、ゆっくりしていると先程龍泉寺にいた登山者グループが大挙して登ってきた。

白滝山の鐘突堂 白滝山山頂標識

西方面の展望

 登山者が後ろのお堂の扉を開け始めたので何事かと思って見ていると、お堂の中にはオオカミの上に立ち、背後に火を纏った木像が鎮座されている。なにやら話を聞いていると火の神様と言うことだ。早速お参りをし、沢山のお願いをした。じっくりと木像を観察すると、左手に縄を持ち、右手には剣を持っているので、この木像は不動明王と思われる。昼食を終えたので次は八畳岩に向かう。

眼下に龍泉寺 不動明王

 八畳岩は本当に大きな岩で、沢山の人が岩の上でくつろいでいる。八畳岩の上に立ち、瀬戸の展望を楽しむ。南には四国の大三島、その左手には多々羅大橋で繋がった生口島が続いている。この後時間があれば生口島の観音山(火滝山)に向かう予定にしている。今日は黒滝山・白滝山・火滝山と登り続けるつもりである。その先遠くには四国連山が続いており、今日は素晴らしい展望である。

八畳岩に向かう 八畳岩と正面の生口島

 北から少し左に目を向けると広島空港がはっきりと見えており、その奥には二つの山が続いている。双眼鏡で眺めてみると左手の方は山頂の半分程度が刈払われており、この山容は間違いなく鷹ノ巣山である。従ってこの右手の山はカンノ木山と言うことになる。時間の関係でカンノ木山には未踏なので、次の機会にカンノ木山登れば、この白滝山が見えるのだろうか。

白滝山から瀬戸の展望

北方面の展望

 北から少し東側に目を移せば大峯山と龍王山を見ることができる。いずれこの方面にも行くことになるのだろうか。周囲の展望を楽しんだ後、いよいよ白滝山を後にする。磨崖仏をもう一度しっかり眺めて龍泉寺に戻る。

鷹ノ巣山とカンノ木山、手前には広島空港 龍王山

 龍泉寺のお堂にお参りをした後、石段を下り、舗装道を通って駐車場方面に向かう。道案内のお地蔵様を眺めながら快適な舗装道を下りて行くと、下の駐車場に到着した。駐車場から白滝山までは530mと標識に書いてあり、ここまで車で乗り入れれば白滝山まで簡単に登ることができる。

龍泉寺から八畳岩を見上げる 下の駐車場から龍泉寺への入口

 東屋の横から黒滝山への縦走路に入り、階段道を進んで行く。背後には白滝山の大岩が見えるので振り返るととても嬉しくなる。登山道を更に進むと先程右に向かった黒滝山への分岐に到着、この先滑りやすい道を下りて行くことになる。後は快適な縦走路を何の心配もなく進み、下山道と黒滝山の分岐に着いて一思案、山頂ひろばに行ってない。下山道はいかにも楽そうだが、もう一度黒滝山からの展望も眺めてみたい・・・と言うことで、急な階段道を登り返すことにした。

下の駐車場横の東屋 東屋の後ろから黒滝山に向かう

 展望のためには長い階段道も何のその、一気に高度を上げて行き黒滝山に到着、再びの展望を楽しむ。陽差しの角度が変わった分、新鮮な展望が広がっている。山頂からの展望を楽しんだ後、左に続く山頂ひろばへの道に向かう。すぐに山頂ひろばに到着、宗忠神社には天照皇大神が祀られており、ひろばには大きな灯籠が立っている。

黒滝山から生口島・大三島方面の展望

山頂ひろばの宗忠神社 山頂ひろばの大きな灯籠

 休憩用の東屋、展望台と整備されたひろばにびっくりする。しばらく山頂ひろばで休憩を取った後、もう一度下山道に向かおうかと迷ったが、素晴らしい展望を楽しみながら下る誘惑には勝てず、そのまま瀬戸を眺めながら来た道を引き返すことにした。

山頂ひろばの展望所 下山途中に黒滝山の岩峰を振り返る

 石鎚神社を振り返るたびに岩峰を思い出し嬉しくなる。展望台を過ぎ、幸福の鳥居くぐりを眺め、乃木大将の腰掛けの岩を過ごすとさくら堂に到着、この先は墓地を避けて車道を渡り、コンクリートの道を下りて行くことにした。

霊水池 登山口の標識下のコンクリート道

 歩道の左右にはオレンジ色の八朔がたわわに実っており、甘酸っぱい香りの中を下りて行く。ふと背後を振り返ると梅の木の間から黒滝山の山頂を窺うことができる。梅の花の咲く時期に見るとたまらない光景だろうと頭に描く。その先の突き当たりは忠海中町4丁目8番地、分岐を左に取ると登山口の歌碑のある4丁目7番地となる。後は来た道を引き返し、駐車場所の忠海港に到着、黒滝山・白滝山の登山を終了した。

 岩峰と瀬戸の展望の黒滝山、磨崖仏の白滝山は素晴らしい思い出の山となった。

梅の木と黒滝山 忠海港に到着

黒滝山の岩峰

観音堂から大岩を見上げる

石鎚神社の祠

石鎚神社

黒滝山から忠海の展望

黒滝山

白滝山の八畳岩

磨崖仏

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歩いた足跡  

登山口周辺の地図はこちら 竹原市 黒滝山 登山口付近のMAP

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