南アルプスの主峰 北岳(きただけ)山梨県南アルプス市 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2012年7月12日 毎年恒例となった、大星さんとの夏休みの遠征。今回は南アルプスの北岳、間ノ岳、農鳥岳へ向かう一泊二日の山旅である。 登山前日の午後3時過ぎに柳井を出発、山陽道、中央道を走って南アルプス市の増穂インターで高速を下り、更に身延町まで南下。県道37号を北上し午前3時半頃に最初の目的地、早川町奈良田温泉の駐車場へ到着。早朝の出発に備えてすぐに就寝する。
2012年7月13日 広河原アルペンプラザ →0:30→ 白根分岐点 →1:45→ 大樺沢 →0:25→ 二股分岐(バイオトイレ前) →2:00→ 小太郎分岐点 →0:40→ 肩ノ小屋 →1:40→ 北岳山頂 →1:00→ 北岳山荘 全歩行時間 8時間 0分 午前4時50分起床、5時15分に事前に依頼していたジャンボタクシーに乗り込み、登山口の広河原アルペンプラザへ向けて出発。5分程度で第一発電所前に到着し、トンネルの前のゲートが開くのを待つ。
このトンネルゲートが開くのは午前5時半なので、10分程度待ち出発。5時55分に広河原のアルペンプラザに到着した。ゆっくり休んだ後、6時35分に登山開始、北西方向へ進み、野呂川に架かる吊り橋を渡って右折すれば、6時40分に広河原山荘へ到着、ここでお茶と水を購入した。
山荘の左側より登山道に入り、緩やかな傾斜の坂を進む。標高1600m付近から眺めるの向かいの山(2219mピーク)はとても高く見える。登山道の途中には沢状態の場所もあり、水に濡れないよう慎重に進む。7時には左に堰堤を過ごし、ワイルドな岩の道を越える。
私にとってこのような岩道は珍しく、南アルプスを歩いているという実感が湧いてくる。この付近には水場が多く、沢の水はとても冷たい。7時4分に白根分岐点へ到着、二股(大樺沢)と白根御池へはそれぞれ約3時間、広河原へ20分と案内されている。アイゼンを車に忘れてしまったが、雪渓はたいしたことはないとの事前情報に基づき、この分岐は左の二股へ向かって進む。
沢の風景 7時12分に分岐を出発、手製のハシゴを越えると左に沢が見えてきた。豪快な流れを眺めているだけでとても涼しくなる気がする。沢沿いにつけられた登山道にはいろんな種類の橋が架けられている。この橋は7月の最初頃に全て修復されたもので、いろいろな方のご厚意によりこうして安全に登山ができることに感謝しながら進む。 沢に掛けられた橋を渡る 7時32分に河原へ着き、少し南へ向かって進めば、修復されたばかりの鉄製の橋を渡る。左下に沢を見ながら山腹につけられた道を進む。傾斜はたいしたことはないけれど、足下には滑りやすい小石などが多いため、滑らないよう慎重な歩行が要求される。
急な岩場を乗り越えると、8時21分に案内のある場所に到着、案内には広河原へ1時間30分、二股・チップ製トイレ1時間と書かれている。南西方向に見えているのは北岳から間ノ岳へ続く稜線だろうが位置関係はまだ分からない。8時25分に沢に架かる橋を渡り、20分の休憩、沢の南西方向に見える山はとても高い。
8時45分に橋の側を出発、岩の多い道を進むと左に雪渓を見る。やはりこの時期にも南アルプスには雪渓が多く残っているようだ。登山道の周囲を眺めていると、シダの芽のような植物を多く見る。岩道をもう少し進めば8時57分に広い雪渓の前に出た。雪渓の先の南西方向に高い稜線を眺める。この右に北岳がそびえているのだろうが、果たしてこの位置から見えるのかは分からない。
しばらく雪渓を進んでいると、右に迂回する道を見つけた。この付近でようやく周囲を見回す余裕が出てきたみたいで、足下にハクサンイチゲの花を見つけた。とても可憐な花である。先行の4名はアイゼンを装着し、そのまま雪渓を歩くようだ。我々は、雪渓を避けて右側につけられた道を進む。
二股分岐と北岳バットレス 平坦な雪渓歩きに比べ、歩くのには苦労はするが、私にはこちらの方がスイスイ進むような気がする。9時25分にバイオトイレに到着、南西には尖った岩山が印象的であり、これが有名な北岳バットレスだろうか、雪渓の先に見える岩山がとても印象的である。この地点は白根御池との分岐でもあり、北に白根御池小屋へ続く登山道が続いていた。
我々はこの地点で進路を西へ採り、9時44分に小太郎山分岐方面へ向かう。左に雪渓を見ながら岩のごつごつした道を進むが、これは南アルプス特有の道なのだろうか、ワクワクするような高揚感。鋭い岩山と雪渓の美しさを味わいながらどんどん高度が上がる。東を眺めると、遠くに鳳凰三山と呼ばれる、地蔵岳・観音岳・薬師岳を眺めることが出来る。
やがて進路は北へ向き、山腹につけられたジグザグな道を進む。周囲に少しずつ花が増えてきたので小休止を繰り返しながら高度を上げる。背後に広がる南側斜面を眺めると、雪渓が山の谷を埋め尽くしており、とても美しい。これが南アルプスの美しさと勝手に解釈しながらしばし眺める。
高度が上がるたびに背後に広がる展望は美しく、いつまで見ていても見飽きない。10時59分、突然目の前に雪渓が現れた。この雪渓の先に登山道が続いており、慎重に雪渓の上を進む。雪渓を越え、11時17分に木陰で休憩を兼ねて昼食を摂る。
11時40分に木陰を出発、周囲に咲く花を眺めながら進めば、長いハシゴ状の道が現れ、このハシゴ道の先にはベンチの置かれた展望地が待っている。11時54分に展望地へ到着、東方面を眺めると、南アルプスの鳳凰三山、地蔵ヶ岳・観音ヶ岳・薬師ヶ岳の稜線が素晴らしい。山腹につけられた緩やかな傾斜の道を少し進むと案内板があり、肩ノ小屋へ50分、北岳山頂に1時間30分、白根御池小屋へ1時間30分、白根御池小屋経由で広河原までは3時間20分、二股(大樺沢)へは1時間20分と書かれている。
この先より尾根へ向かって急な坂に向かう。斜面には一面黄色のシナノキンバイが咲き、まさにお花畑という感じだ。更に坂を踏ん張り、12時25分に小太郎分岐点へ到着、周囲を見回せば明らかに雲が増えている。この時点で北の小太郎山方面は見えるが、これ以外の方向には雲が懸かり始めている。
小太郎分岐から眺める風景 足下に咲く花を観賞して12時37分に分岐を出発、この先尾根道を進む。東からの風が雲を運び、この尾根で雲がさえぎられている。まさに目の前の風景がこの状況である。ワイルドな岩場を越え、緩やかな尾根道を進む。足下には不安定な岩や小石が散在しているが、南アルプスを歩いているという実感が湧く道である。
13時5分に案内板の建つ場所に着く。もう肩ノ小屋まで15分、小太郎点分岐まで15分と書かれている。周囲の花を観賞しながら進むと、いつの間にか霧が視界を覆い始め、13時23分に肩ノ小屋へ到着。ここで小雨が降り始めたので合羽を着る。肩ノ小屋でお茶と水を購入、ここまで1リットルの水分を消費している。これからの天気を聞くと午後からは雨で、明日も雨とのこと。この状況なら明日の方が天候は悪いようなのでそのまま肩ノ小屋を出発することにした。
北岳肩ノ小屋の風景 13時49分に肩ノ小屋を出発、霧のため視界は悪くなっている。雪渓を眺めながら進むと14時7分に両俣分岐点へ到着、案内には北岳山頂へ20分、肩ノ小屋へ15分、白根御池小屋へ2時間、更に広河原へ4時間、両俣小屋へ4時間と書かれている。この先に続く岩道はとてもワイルドでワクワク。霧の広がる道を黄色の目印を眺めながら進む。
左に背の低いハイマツを眺め、少しずつ高度を上げて行く。もう山頂かと思いながら進むと、霧の先にまた山脈が続いている。目標が見えないと言うことは終点も突然と言うことでもあり、岩の道を進めばやはり突然に平坦な場所が現れた。14時39分に三等三角点の置かれた北岳山頂へ到着。日本で2番目に高い山頂3193mより周囲を眺めるが、霧に覆われて何も眺めることはできない。 北岳と山頂風景 大きな山頂標識の東側には、お地蔵様が祀られている。山頂にて600回目の記念登山の写真を撮り、15時に山頂を出発。鎖の渡された急な斜面を下る。これもワイルドな道である。岩場に咲く可憐な花を眺めながら慎重に下り、15時13分に吊尾根分岐点へ到着。この地点から八本歯のコルへ30分、北岳山荘へ50分、北岳山頂へは20分と案内されている。
急斜面とお花畑 この地点では電話が繋がるので、北岳山荘へ宿泊の予約を入れる。さて、我々はこのまま北岳山荘へ向かう。この先は南アルプスの醍醐味、岩場と岩場の間に咲くお花畑の光景が続く。いつまで眺めていても見飽きない花と危険な岩場。時折霧が途切れれば、雲の織りなす芸術的な世界が広がる。15時47分に案内の立つ場所に着く。もう北岳山荘へ20分、間ノ岳へ2時間、八本歯のコルへ50分、北岳山頂へ40分である。
吊尾根分岐の風景 ごつごつした岩場を抜け、お花畑を観賞しながら進むと、眼下に赤い屋根が見えてきた。本日宿泊予定の北岳山荘である。雪渓の下に建つ北岳山荘へ16時10分に到着、宿泊料金7900円を支払い部屋に入る。9人部屋に6人の、余裕ある宿泊である。
夕食前にストーブの前に座って大星さんと1本500円の缶ビールで乾杯。夕食は17時30分からで、やはり山小屋の料理は豪華だ。ご飯はお変わり自由で2杯頂き、残ったおかずでもう1本ビールを飲んで満腹状態。
腹ごなしに山荘の外を散策し、周囲の展望を眺める。丁度霧が晴れているので周囲に広がる展望は素晴らしい。北には雄大な北岳がそびえており、初めて眺める北岳に感激。南には中白根山が近く、その稜線の先には日本で4番目の高さの間ノ岳も見えている。ほんの一瞬の展望にしても、白根三山よりの素晴らしいプレゼントを頂いたような気になる。但し、小屋の外はとても寒いので長くは立っていられない。
北岳山荘前から眺める北岳と間ノ岳の風景 部屋に戻れば18時30分、明日の準備をすればもうすることは無い。周囲の宿泊者はいびきをかき始めたので一緒に横になる。でも高山病特有の頭の重さ、のどが詰まった状態はまだ続いており、なかなか寝付けない。そのうち左右の足が攣り始めた。これにはしばらく悩まされたが、寝る態勢を変えてなんとか克服、無事就寝することができた。 大樺沢 北岳バットレスと雪渓 雪渓 小太郎山 北岳山頂 展望 北岳 間ノ岳 前の山 展望台の文珠山・嘉納山 を見る 次の山 間ノ岳・農鳥岳 を見る
登山口周辺の地図はこちら 山梨県南アルプス市 北岳 登山口付近のMAP |