氷ノ山(ひょうのせん) 鳥取県八頭郡若桜町

2006年9月22日金曜日

氷ノ山

参考コースタイム

氷ノ越登山口 →0:50→ 氷ノ越 →0:30→ 仙谷分岐 →0:20→ 氷ノ山山頂

 →0:15→ 仙谷分岐 →1:25→ 仙谷コース入口 →0:40→ 氷ノ越登山口

全歩行時間 4時間 0分

 前日遅く氷ノ山キャンプ場に到着し、ゆっくり就寝の後、朝4時過ぎに起床、大雨だ!・・・、そんな馬鹿な!・・・、やはり氷ノ山は試練の山なのか・・・、もう一眠りする。

 次に起きたのは5時過ぎ、霧が深いが雨は止んでいる。良かった、これなら何とかなりそうだ。もう少し横になり5時半に起き出して周囲を散策、その間にコーヒーを沸かす。

 散策を終えて車に戻ってみるとなんか車の格好がおかしい。んー・・・大変だ、後輪右側のタイヤの空気が無い、パンクだ!これは困った。急いでタイヤを交換する。ところが、スペア用のタイヤにもあまり空気が入っていない。

 なんと言うことだ、登山前からこんな状況では落ち着いて登山ができないじゃないか・・・と思うがまあ、どこでパンクをしたから判らないが、ここまで無事に到着したのだから前回の試練に比べれば大したことではない。

扇ノ山方面は霧の中

 ゆっくりと朝食を取り、食後のコーヒーを飲み干し、登山準備をしていよいよ氷ノ山に向かうことにした。周囲にはまだ霧がかかっており、扇ノ山方面は霧の中である。氷ノ山登山道の標識に従い登山口に向かう。

駐車場を出発 最初の花を観賞する

 駐車場から右手に調理場所を過ごした所では勢いよく水が流れており、この付近で本日最初の花に出会う。沢山の花に歓迎され、しばらく足を止めて美しい花々を鑑賞する。登山開始からの美しい風景に感激しながら登山口へ向かうことにした。

氷ノ越登山口 きれいな花が出迎えていてくれた

 正面にトイレ棟を見て右手に氷ノ越登山道が続いている。登山口には標高910mの標識が立っているが私の高度計では940mとなっている。登山道に入ると道は左方向に向かい、すぐにきれいな花が出迎えていてくれるのでますます嬉しくなる。その先には獣除けの電線が渡された場所があり、電線を過ごすと前回雪のため撤退した場所を過ごす。

左右には獣除けの電線 前回撤退した場所

 平坦な植林帯の中を進んで行くと更に美しい花が左右に咲いている。一つ一つの花をゆっくり観賞するものだからゆっくりと時間が経過して行くのが判る。登山口から10分で氷ノ越へ1.3km標識を過ごす、キャンプ場の入口付近からは500m程度の場所になるようだ。

美しい花が左右に咲いている

 周囲に展望のない檜の植林帯を進んで行くといつの間にか山腹をジグザグに進むようになり、すぐに左手の沢と別れる。すると同時に横木の階段が現れ、ジグザグな道を歩いて高度を上げて行くようになる。氷ノ越へ1.0km標識を過ごすとその先で「氷ノ山登山道」(旧伊勢道)の標識を左手に見る。

山腹をジグザグに進む 「氷ノ山登山道」(旧伊勢道)の標識

 足下の石畳がとても印象的でこの道が昔からの信仰の道であることが判った。交通手段の乏しい時代に、この道を歩いて遠く伊勢までお参りをしていたのだ。自分が信仰の道を歩いていることがとても嬉しくなる。

 信仰の道を少し進むと右手に氷ノ越まで0.8kmと標高1000mの標識を過ごし、その先では横木の階段道の側を沢が流れており、この付近はお花畑のように沢山の花が咲いている。冷たい沢の水を飲み、顔を洗い少し休憩を取る。

横木の階段道の側の沢 ジンジソウ

 ゆっくりと花を観賞した後、横木の階段道を進んで行く。氷ノ山に向かう道には通常の標識以外にも「わかさ氷ノ山自然ふれあいの里活性化協議会」による標識が500mおきに設置されていることが判った。

「わかさ氷ノ山自然ふれあいの里活性化協議会」による標識 階段道を登り高度を上げて行く

 沢を過ぎた付近からは横木の階段道を進み、高度を上げて行くことが判る。ただこの付近からは少しずつ木の間越しの展望を得ることができるので、周囲が明るくなってくるのが判ってきた。更に200mを進むと氷ノ越への標識を右に過ごしその先には氷ノ越登山道の説明板が立っていた。

氷ノ越登山道の説明板 周囲は明るくなってきた

 この先ブナ林・キャラボク等の説明板が登山道の左右に並び始める。足下に砂利を敷き詰めたような場所を過ごすと再び横木の階段道が現れる。階段道を少しずつ高度を上げて行くと右手に氷ノ越まで0.3km標識を過ごす。

やはりきれいな花を観賞しながら進む

 もうすぐ氷ノ越だと思うと歩みが早くなりそうだが、山頂までは先が長いので速度を抑えて進む。階段道をもう一がんばりすると、まもなくその先に氷ノ越が見えてきた。背後を振り返ると登ってきた景色が見えるはずなのだが霧に隠れてはっきり識別することができない。

登ってきた階段道を見下ろす 背後の展望は雲に隠れていた

 いよいよ氷ノ越到着である。氷ノ越には立派な避難所が立ち、地蔵尊が祀られている。標識によると氷ノ越からはキャンプ場まで1.8km、春米集落まで4.8km、氷ノ山まで2.8kmとなっている。また、北に進めば鉢伏山、東に進めばわかさ鳥取県若桜親水公園へと続いているようだ。ここでは当然南方面の氷ノ山に向かうのだがその前に避難小屋を見学することにした。

氷ノ越の地蔵尊 旧伊勢道の標識

 いままでこんな施設を見たことが無く、いったい避難小屋の中はどうなっているのかと興味を持って扉を開けてみる。ドアの鍵は掛かっておらず、中に入るといろりもあり、この中で宿泊することもできるようだ。避難小屋の確認も済んだのでお地蔵様にお参りをして氷ノ越を出発する。

氷ノ越の避難小屋とその内部

 標識にはこの付近が標高1250mと書いてある。この付近から氷ノ山の山頂を確認しようとするのだが霧が掛かっておりよく見えない。左右にはネマガリタケの背が高く展望を得ることはできない。それでも美しいブナ林を鑑賞しながら進むことができるのでとても幸せな気分で歩くことができる。

氷ノ山山頂方面には霧 美しいブナ林

 足下の良く踏まれた道には大小の岩や石が転がっており、とても良い感じで歩いて行くことができる。ブナ林とネマガリタケのバランスが絶妙で、素晴らしい風景が続いている。氷ノ越を出発して氷ノ山山頂まで1.5kmの標識を過ごし、足下に大きな石が目立ち始めると、もう氷ノ越からは15分を過ぎており、そんな折、ふと見た足下に手足をばたばたしながら動く生き物を発見。

ブナ林が続く 大きな岩が目立ってきた

 よく見ると子イモリでなかなかかわいい動きをしている。子イモリを見ながらの小休止の後、快適なブナ林を進んでいるとようやく東方面の氷ノ山国際スキー場方面の展望が開けてきた。ただしすぐに霧に隠れてしまうように不安定な展望である。

子イモリ 氷ノ山国際スキー場方面の展望

 山頂まで残り1km標識を過ぎると前方に岩山の古敷岩が見えてきた。この付近から背後を振り返るとようやく歩いてきた稜線を少し見ることができた。やはりネマガリタケの背が高く、周囲が全く見えないようだ。氷ノ越から30分で仙谷コースとの分岐に到着、ベンチに座り込み少し休憩を取る。

歩いてきた稜線を振り返る 仙谷コースの分岐 

 この仙谷別れは氷ノ山山頂まで0.5km、仙谷コース登山口まで1.9km、氷ノ越まで2.3km、キャンプ場まで4.1kmである。西方面を眺めると遠くの山々の稜線が美しい。この付近が標高1400mであり、周囲にはこの場所より高いのは山頂方向のみである。

仙谷コース分岐から西方面の展望 古敷岩に向かって出発する

 休憩の後いよいよ山頂に向かって出発する。まずは目の前に見えるのが古敷岩、岩の固まりのような山が目の前に立ちふさがるように聳えている。この方向に向かって進むのだが斜面には大きな岩が続きとても嬉しい。滑りそうな岩を慎重に踏みしめて一歩一歩登って行く。これがいかにも山歩きらしいな等と感慨に浸りながら登っている。そして南方面の展望がいきなり開けた。

古敷岩を見上げる 登山道には大きな岩が転がっている

 おー!と言う言葉以外出ない。晴れた空に浮かぶ雲と素晴らしい稜線が続いている。西には立ちふさがるような古敷岩、しばらく立ちつくして見ていた。もう山頂まで500m、山頂へは古敷岩の左側を抜けて進んで行く。

南方面の展望は素晴らしい 西に立ちふさがるような古敷岩

 古敷岩の横の滑りやすい道を慎重に進んで行くと、その先には横木の階段道が続いており、ゆっくりと登って行くことになる。階段道を登りながら左手に広がる氷ノ山国際スキー場方面の展望が素晴らしい。

古敷岩の横の滑りやすい道 横木の階段道が続く

 よそ見をしていると転倒するのでとにかく山頂に向かうことを優先することにした。雲の流れと稜線の展望が素晴らしい。雲が流れてゆく度に展望が変わるのが嬉しくてゆっくりと時間を掛けて山頂を目指す。それまで東方向に向かっていた登山道は急に角度を変え、真南に向かうことになる。

氷ノ山国際スキー場方面の展望

もう目の前には山頂しか見えないのだ・・・

と、思うのだが山頂には霧が立ちこめており、はっきりと山頂を見ることができない。

山頂に何か影が見える

なんだ?・・・家みたいだ

とんがり屋根の家だ

霧が晴れた!

山頂の避難小屋だ

素晴らしい、霧が晴れてはっきりと山頂が見えてきた。

まるで登頂を待っていたかのように今まさに霧が晴れた。

もう後は一歩一歩山頂に向かうだけだ、と・・背後の北方面を振り返る。

おー!なんて素晴らしい展望なのだ、雲が自分の立っている位置よりも低いことが判る。

さあ、いよいよ氷ノ山山頂だ、山頂には大きな避難小屋が立っている。

氷ノ山山頂は標高1510m、ようやく中国地方第二の高峯に立つことができた。

氷ノ山山頂と避難小屋 南の展望所

 早速に山頂にて記念撮影、山頂から南斜面には展望所が立っている。また、避難小屋の南側には須賀ノ山神宮跡の祠が立っており、登山の無事を感謝し参拝をする。避難小屋を見学すると中にはやはり何人も泊まれるような施設になっていることが判った。さあ、いよいよ周囲の展望を眺めることにしよう。

須賀ノ山神宮跡の祠 避難小屋の中を見学

 避難小屋の横から東方面を見渡す展望所に向かう。眼下の展望は本当に素晴らしい。ただ口を開けて美しい展望を楽しんでいる。本当に素晴らしい展望に出会った時には声がでないようだ。

氷ノ山山頂より北から東方面の展望

氷ノ山国際スキー場方面

 正しく素晴らしい展望の氷ノ山である。落ち着いて周囲を見直してみると氷ノ越からの縦走路をはっきりと確認することができ、避難小屋も当然確認することができた。また、氷ノ越の避難所から更に東方面に避難所があることも判った。いずれにしても素晴らしい展望だ。

山頂より西方面の展望

 また、北方面には鳥取の市街と日本海を見ることができた。ただ、扇ノ山は雲の隠れて見ることができないようだ。西方面には春米集落の棚田が広がり、とても新鮮な感じがする。ここで南斜面に立っている展望所に移動する。

鳥取の市街と日本海 春米集落の棚田

 移動の途中右手には「尼工氷ノ山ヒュッテ跡」を過ごす。展望所は正確には「氷ノ山頂上休憩所」であり、ソーラーシステムを利用したトイレも設置されている。展望所の二階に上がり周囲の展望を確認する。

氷ノ山頂上休憩所から南方面の展望

氷ノ山頂上休憩所から西方面の展望

 西方面には那岐山があのあたりとは判るのだが雲が山頂部を覆っているようだ。しかしながら後山はなんとか確認することができた。地図を開いて周囲の山々を確認することは久しぶりだがとても嬉しい作業である。

那岐山は雲に覆われていた 階段道を下りて行く

 ゆっくりと周囲を観察し展望所を後にして山頂に引き返す。山頂に戻ったと同時に4名の女性登山者が山頂に到着、記念写真のお手伝いをして山頂を出発することにした。山頂から素晴らしい展望を眺めながらの下山は本当に贅沢なものである。

先ほどまで霧に隠れていた展望

 横木の階段道を慎重に下りて行き、先ほどまで霧に隠れていた展望を楽しみながら下りて行く。古敷岩まで下りてきてじっくりと観察すると、古敷岩に向かってかすかな踏み跡があることが判った。よし!行ってみよう、と・・登ってみることにした。

古敷岩より眼下の展望を眺める 登山路には2名の登山者がいる

 急な岩場を慎重に進み、着いたところは岩の行き止まり、これ以上先には行けないので眼下の展望を楽しんだ後、下りて行くことにした。ところが・・・足下が狭いものだから下りるのが大変、スリルのある岩場を楽しむことができた。

細い岩場 古敷岩から岩場を下りて行く

 古敷岩を振り返り、どこにいたのかを確認することがとても嬉しかった。この先下から上がってきた登山者があんな所に登るのか?と聞いてきたので古敷岩のことを説明すると、あんな所なら登れないと思ったと言っていた。確かにその通りだと思う。

←が行き止まりの場所 仙谷コースの分岐に到着

 この先大岩を慎重に下りて行き仙谷コースとの分岐に到着した。氷ノ山山頂からは500mを下ったことになる。周回コースを取ることが今回の目的なので、仙谷コースを下りて行くことにした。

 最初こそ緩やかな下りが続いていたが、5分も下ると急な斜面が始まった。眼下の展望は木の間越し程度となり、ブナ林の中の急斜面を慎重に足を痛めないように下りて行くことになる。

急な斜面を下りて行く

 仙谷分岐から200m下った場所にて標識を通過、眼下にはようやく木の間越しの展望を得ることができた。仙谷コースの下山途中にも沢山の花が咲いており一つ一つをゆっくり楽しみながら下る。ただし、足場が不安定なので極端にゆっくりと下りて行く。

 仙谷分岐から15分程度でロープの渡された場所を過ぎ、更に3分で右手に美しい滑滝を見る。その先では鎖の渡された岩場を下りて行き、ようやく一息をつく。このあたりからは下を見ても上を見ても急な斜面であることを実感する。先ほど山頂にて会った4名の女性はこの仙谷コースを2時間程度で登ってきたそうだ。その健脚に恐れ入る。

ダイモンジソウ 美しい滑滝

滑滝の風景

 相変わらずの急斜面の中、美しい花はあちこちで咲いており、ゆっくりと時間を掛けて花を鑑賞しながら下りて行く。細い道が続くので慎重に下りているとやはり転落注意の看板が立っていた。

キツリフネ トリカブト

 山頂より下山開始から35分で再び鎖の渡された岩場の急斜面を下り、その先の沢を渡って少しずつ高度を下げている。沢を何度か渡り、岩場の道を慎重に下りながら、仙谷分岐からは1時間程度で「氷ノ山山頂より1.2km」標識の場所に到着した。

鎖場を下る アキノキリンソウ

 更に400mを下り、「氷ノ山頂上から1.6km」標識を過ごした先の分岐を右折し、いよいよ下山は終盤となる。道なりに植林帯の中を下り、1.9km標識を右手に過ごし下山を続けていると草原のスキー場に到着した。スキー場の横にはアルパインヒュッテが立ち、この時期のスキー場の一部は畑になっていた。

草原のスキー場に到着

 この先舗装道をゆっくりと下りて行き、分岐を右に取ればキャンプ所への近道となるが、スキー場下の石が気になっていたのでそのまま氷ノ山三の丸コースの登山道方面に向かって下りて行くことにした。三の丸コースの横を通り過ぎ、広い舗装道の手前の標識を確認すると、氷ノ越登山道まで2.5kmを歩くことになる。

アルパインヒュッテと氷ノ山 キャンプ場は遠い

 この先の分岐には夫婦石が置かれていた。なかなか珍しい石なのだが、それぞれは別々の場所で見つかり、この場所に置かれているそうだ。この先安全な舗装道を心配もなく歩いて行くことになる。

夫婦石と説明板

 周囲の花を観賞しながらゆっくりと高度を上げて行き、キャンプ場に戻って行くことにした。途中では日本の棚田百選の春米集落の棚田を鑑賞した。収穫の時期の黄金色の展望がとても素晴らしい。

日本の棚田百選の春米集落の棚田

 棚田を鑑賞した後、左手に氷太くんを過ごし、いよいよキャンプ場に向かって戻って行くのだが、途中で氷ノ山山頂にて出会った元気な4人組と再会、お互いに健闘を讃え合って別れた。

氷太くんの施設 県境方面

 キャンプ場まではもう一がんばり、折り返しの坂を登りようやく氷ノ越登山口に戻り着いた。素晴らしい!・・・と言う以外、言葉の見つからない氷ノ山登山が終わった。予想以上の素晴らしい山だった。

氷ノ越の地蔵尊

古敷岩

氷ノ山山頂

山頂から氷ノ山国際スキー場

山頂から北方面

展望所から南方面

西方面の展望

右いせ道・左やま道石碑

 前の山 大岡山を見る

 次の山 扇ノ山を見る

歩いた足跡  

登山口周辺の地図はこちら 八頭郡若桜町 氷ノ山 登山口付近のMAP

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