魚切山(うおきりやま)・狐ヶ峰(きつねがみね) 山口県山口市

2005年12月11日(日曜日)

魚切山〜狐ヶ峰

登山口 動物愛護センター前駐車場

ガイド本 中島篤巳著 山口県の山

登山開始 10:46 陶垰到着 11:07 魚切山到着 11:28 魚切山出発 11:53 陶垰到着

 12:08 狐ヶ峰分岐到着 12:34 狐ヶ峰到着 12:46 狐ヶ峰出発 13:34 狐ヶ峰分岐到着

 13:49 馬頭観音到着 13:56 下山終了 14:17

登山開始 0:21 陶垰到着 0:21 魚切山到着 0:25 魚切山出発 0:15 陶垰到着

 0:26 狐ヶ峰分岐到着 0:12 狐ヶ峰到着 0:48 狐ヶ峰出発 0:15 狐ヶ峰分岐到着

 0:07 馬頭観音到着 0:21 下山終了

登山時間 3:31

 今日は中島篤巳先生著、新版「山口県の山」の最後となる山口市の魚切山に登るため、8時を過ぎて柳井を出発、高速道路を経由して山口南インターで降り、国道2号を小郡方面に向かい、陶小学校入口交差点を右折し、登山口である動物愛護センタへーに向かう。

 登山の前に今から600年以上前に陶弘政により創建された臨済宗東福寺派萬松山正護寺に参拝する。寺内には平安初期の作品である木造薬師如来座像が安置されているそうだ。富永有隣先生招魂之碑を見て正護寺を出発する。

臨済宗東福寺派萬松山正護寺に参拝 正護寺の石仏

 動物愛護センター入口付近に駐車場があるので車を置き、早速登山を開始する。「陶来楽夢山歩登山入口」の道標には右に陶垰・魚切山登山口、左に馬頭観音と表示されている。馬頭観音は安政7巳正月吉日(1860年)の建立で、寄進者の名前が書かれており、登山口からは約600m先に鎮座していることが説明版に記載されている。

魚切山登山口 登山口標識

 正面には山口市指定文化財の陶峠下(すえがたおした)一里塚があり、秋穂の港から山口に通じる秋穂街道のものであるそうだ。自然石を約1mの高さに積み重ねたもので、平面は一辺約2m余りあるが、角などは正しくなく自然に丸くなっている事等について、説明版に記載されている。

ほとんど完全な形の一里塚 登山道に入る

 一里塚の右を通って登山道に入る。道は広く歩き易くなっている。枯れた沢を渡り、道は少し右を向く。夏場に茂っていた竹も刈られており、その先にシダも現れるが、こちらもしっかりと刈り払われており充分に整備されている。

シダや竹が刈り払われ整備されている 眼下に陶地区の展望が広がる

 ほとんど真っ直ぐに続いていた道は段々ジグザグ道となり、ゆっくりと高度を上げて行く。足下には滑りやすいゴロ石が転がっており滑らないように慎重に歩いて行く。南方面には少しずつ展望が広がり始め、眼下の陶地区から阿知須町のきらら浜までが綺麗な展望を見せている。南天の紅葉に心を慰められながら歩いていると登山開始から21分で歴史の陶垰に到着した。

南天の紅葉 陶垰に到着

 この秋穂街道は大内時代に、都や諸大名からの使者が山口に通う「お上使道」としてよく利用されていたようだ。かつて大内輝弘が大内家の再興を目指し、大友宗麟の軍勢を率いて秋穂に上陸し、この垰を越えて山口に攻め入り、敗退するときもこの垰を越えたそうだ。明るい垰にて小休止、秋穂街道の歴史を頭に思い浮かべながら先人も眺めたであろう秋穂方面を振り返る。

 まずは左に分岐する馬頭観音分岐を見てその先、右側の魚切山への分岐に入る。登山道は緩やかな坂が続き、さほど疲れを感じない。よく踏まれた尾根道をゆっくりと進んで行く。眼下に登山口の動物愛護センターと残してきた車が見える。木の間越しの展望を眺めながら進んで行くと進行方向に倒木帯が現れ、倒木帯を迂回すると同時に坂が急になる。

よく踏まれた尾根道 眼下に登山口が見える

 坂の右側にはロープが渡されており、これから先は左右の木の助けを借りながらゆっくりと高度を上げて行く。陶垰から20分弱で急な岩場を通り抜け、岩場を過ぎると南方面に疲れが吹き飛ぶような素晴らしい展望が広がっている。

ときらら浜方面の展望 岩場を抜ける

 南から西に向かってきらら浜から小郡方面への胸の空くような展望、西には狐ヶ峰の山頂が近く見える。もう目指す魚切山は間近と一歩一歩進んで行く。一歩進む毎に眼下の展望が広がり、ワクワクしながら歩を進めて行く。岩場を過ぎると数分で展望の魚切山山頂に到着した。

平坦な魚切山山頂 黒河内山へ続く道

 魚切山山頂からは今まで見ていた南から西方面に広がる展望と同時に北から東方面に向かう展望も開けてきた。北方面の東西鳳翩山の山頂には雪が積もっており。東鳳翩山から東に向かっての展望がまた素晴らしい。北東方面の眼下には山口市街が箱庭のように広がっており、その奥、徳地町方面の山々はしっかりと雪を被っていることが判る。

魚切山から山口市街の展望

魚切山からきらら浜方面の展望

 東側には黒河内山に向かう踏み跡があるが、今日は次の山の予定もあるので陶垰に向かって降りて行く。展望の岩場にて西方面の展望を満喫し、一気に陶垰まで駆け下りる。陶垰からは馬頭観音の道標に従い、西に向かっての急な坂を登って行く。

 登り始めからいきなりの急坂に息が切れるが、背後に広がる魚切山や南に広がる山口湾の展望を眺めながら息を整える。シダの道が続くが綺麗に刈り払われておりとても歩きやすい。急な坂を左右の木を掴みながら苦労して登ると一旦平坦な道となり一安心、息が整った頃に再び急坂が始まる。

急な坂に取り付く 背後に広がる魚切山

 周囲の展望を楽しみながらゆっくりと高度を上げて行き、ピークに到着するとすぐに下りとなる。一旦鞍部に降りた後登り返し、先に進んで行くと前方に狐ヶ峰への道標を見つける。登山道を少し右に振り、更に進んで行くと鎌でシダを刈り払われている方がいた。お話を聞くとこの付近をホームグラウンドにされている方で、登山道の整備を続けておられるとの事だった。この方のおかげで本日の快適な山歩きができたので、早速感謝を申し上げた。

シダが綺麗に刈り払われている 瀬戸の展望が美しい

 道をお尋ねすると、ここから10m程度先に分岐があり、少し前に馬頭観音に向けて2名の登山者が分岐の左側に降りて行ったこと、右に行くと約15分で狐ヶ峰に行く事ができるとの説明を受けた。また、狐ヶ峰方面の登山道は山口の平川地区の人が、自分と同じように草を刈り整備していること、魚切山から黒河内山への道は薮道で1m以上の薮を掻き分けて進むことになるが、山口の山岳会の人たちのトレーニングコースとなっているため、草を刈らずそのままにしていること等をお聞きした。

狐ヶ峰への道標 歩きやすいシダの道

 先に進むと、確かに狐ヶ峰の道標を見て約20m程度、草を刈っている方と別れて10m程度で右に分岐する道を見つけた。良く説明を聞いていなければ見過ごしそうな道が右上に続いている。目印のテープもほとんど朽ちており、注意して見なければ分からないような所である。

狐ヶ峰分岐 右の松の木に目印のテープあり 刈り払われたシダの道

 狐ヶ峰に向かって右上の分岐に登って行くと背後に再び展望が開ける。少し茂るシダ道を北方面に進んで行くと程なく刈り払われたシダ道となる。やはり地元の方が登山道を整備されているようだ。

 道を整備された方のご苦労に感謝しながらゆっくりと進む。狐ヶ峰に向けて整備された尾根道を進み、最後に急な坂を登り詰めると再び尾根道に着く。そのまま平坦な道を少し進むと広々とした狐ヶ峰山頂に到着した。分岐からは12分程度の行程である。

東方面が刈り払われた広い狐ヶ峰山頂

 狐ヶ峰山頂は東側が伐採されており、北東から東方面にかけて素晴らしい展望が広がっている。少し遅いが狐ヶ峰にて昼食を取る。本日はとても寒いのでお湯を沸かしてカップラーメンの用意をする。その間に周囲を見回していると登山ノートがインスタントコーヒーの空き瓶に入れてあるのを見つけた。

 早速に登山ノートを拝読すると、ここ狐ヶ峰は山口大学のワンゲル部のリーダー養成の研修地となっている事等が書いてあった。この登山ノートは10年以上前から設置されているようで、今から11年前の平成6年の本日、尊敬する金光氏が登頂され、書き込みをされた文章を見て感激した。まるで11年前の金光氏にお会いしたような不思議な気持ちになった。

 山頂にて記入する登山ノートにはその当時の純粋な思いが記載されており、再び同じ山に登った際、昔の自分と再会できる楽しみもあるようだ。私自身以前は登山ノートがあっても記入することは無かったが、最近は積極的に書き込みをすることを心がけている。

狐ヶ峰から陶方面の展望

狐ヶ峰から山口市街の展望

 じっくりと登山ノートを読んだ後、山頂から東に広がる特徴ある蕎麦ヶ岳・真田ヶ岳を確認、徳地町の日暮ヶ岳方面は山頂に雪が積もっていることが確認できた。いよいよ季節は冬、これからは凍結と雪に気をつけながらの登山となる。

 狐ヶ峰山頂を出発し分岐に戻っていると、先程までシダを刈られていた方と再びお会いした。分岐まで降りると狐ヶ峰に行っている間にシダが綺麗に刈られており、狐ヶ峰への分岐も格段に分かり易くなっていた。分岐を右に取り馬頭観音を目指す。

馬頭観音の分岐 分岐を下る

 急な下り坂を降りて行くとまもなく鞍部に到着した。鞍部には馬頭観音への道標が設置されており、鞍部を少し下ると再び馬頭観音の道標があり、道標の右側に立派な馬頭観音が鎮座されている。本当に綺麗な馬頭観音であり、寄進者4名の名前がはっきりと書かれていた。馬頭観音にお参りをした後、再び急な坂を下りて行く。

綺麗な顔の馬頭観音 足下には滑りやすいゴロ石

 足下には滑りやすいゴロ石が転がっており、滑らないように慎重に降りて行く。登山道自体は明確で、目印がしっかりとしているため私のような初心者でも迷うことはないものと思われる。急な坂をゆっくりと降りて行くと「馬頭観音まで250m」の案内版を右に見る。少し坂が緩やかになるかと思ったらまだまだ急な下り坂が続く。

 「馬頭観音まで250m」標識を過ぎて3分で沢を超え、更に10分程度で動物愛護センター横に到着した。そのまま整備された道を降りて行き、登山口である一里塚を左に見て登山を終了した。

 陶垰下の一里塚を見て登山開始、陶垰から魚切山を往復し、狐ヶ峰に至り、最後に馬頭観音に参拝するこのコースは展望のみならず、歴史も感じる素晴らしい一周まわりの縦走路だった。

 

・・・・・「山口県の山」の踏破を終えて・・・・・・

 平成17年8月に中島先生が新・分県登山ガイド34「山口県の山」を山と渓谷社より発行されました。早速このガイド本を購入し、新たに加えられた山の踏破を目指して始めた「山口県の山への道」も本日現在、山口市の魚切山を残すのみとなりました。

 本日陶垰から魚切山に登り、馬頭観音に参拝して帰る予定のところ、偶然にも登山道を整備されている方と出会い、狐ヶ峰への道を教えて頂きました。また、狐ヶ峰でも偶然登山ノートを拝読し、その中に尊敬する金光氏の文章を見つけて感激、金光氏と同じ場所で登山ノートに書き込みをすることができました。素晴らしい展望と感激を与えてくれた魚切山・狐ヶ峰に感謝をしつつ、動物愛護センター前を出発しました。

一里塚

陶峠

魚切山山頂

魚切山から東西鳳翩山

瀬戸の展望

狐ヶ峰山頂

狐ヶ峰から山口市街の展望

馬頭観音

 前の山 城山(湯野) を見る

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歩いた足跡  

登山口周辺の地図はこちら 狐ヶ峰 登山口付近のMAP

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