三坂山(みさかやま)岡山県真庭市

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2009年9月19日

舗装路終点 →0:20→ 首切地蔵 →0:10→ 登山口 →0:15→ 釜地蔵

 →0:10→ 三坂峠 →0:30→ 山頂 →0:15→ 十国峠 →0:10→ 三坂峠

 →0:05→ 釜地蔵 →0:10→ 登山口 →0:05→ 首切地蔵 →0:20→ 舗装路終点

全歩行時間 2時間30分

 いよいよ岡山県の山歩きの最終行程が始まる。遠くに行く際は、たいてい午前5時起床、6時に宿泊場所を出発、7時までに登山開始。とても規則正しい生活を送っている。本日向かうのは真庭市の三坂山。山陽と山陰を結ぶ大山往来や伯耆往来はすべてこの難路を越え、「三坂三里は五里でござる」と歌われた有名な難所、三坂峠(十国峠)に出会うことができる。

 また、三坂山は前回遠征時に登った櫃ヶ山の向かいに聳える山である。その際には、櫃ヶ山からの展望は霞んでおり、スッキリした三坂山を眺めることはできなかった。従って、今回は三坂山から櫃ヶ山がくっきり見えることを期待しながら登山口を目指す。

 計算してみると今回が420番目の山であり、登山回数は丁度400回目の記念登山。登って下りてを繰り返し、積み上げた結果の登山回数。長く山歩きをしていると、このような数字の記念日に出会うこともある。米子自動車道の湯原インターで高速道路を下り、国道313号を左折する。この先の左に現れる「樫西」の標識に従い左折、県道376号に入る。更に分岐は続き、やはり「樫西」の標識を見て右折、釘貫川に架かる鶴橋を渡る。

「樫西」の標識に従い国道313号を左折 県道376号を「樫西」の標識に従い右折

 川沿いを上流に向かえば「ここは釘貫」の案内があり。この先の右側に架かる三坂橋を渡る。なお、橋の手前には「ダチョウ牧場」、「大山みち」の案内が掲示してある。歴史ある信仰の道らしく道の左手には地神・大日如来の石碑、石仏などが祀られている。

釘貫地区で三坂橋を渡る 地神・大日如来の石碑、石仏が祀られている

 大山みちの案内に従い小橋を渡り左折、少し進むと右手に最後の民家を過ごし、ここで舗装路は終了する。林道の手前に車を置くスペースを見つけたので登山を開始。空を見上げると青空が広がり、今日も暑くなりそうだ。暫く未舗装の林道歩きとなるが、この足下の状態なら充分車で進入できることが分かった。

大山みちの案内に従い小橋を渡り左折 舗装路終点より登山を開始

 林道の左右には植林帯が広がり、足下には少し夏草の被る箇所もあるが、大した苦労もなく歩くことが出来る。間もなく前方が開け、右には立派な石碑が立っている。その横には金屋子神社・鉄穴流し・たたら製鉄の説明板が立っており、この付近はたたら製鉄の盛んな場所だったことが偲ばれる。

立派な石碑

 この先の開けた場所を進むと、右手に三坂山の山頂が見えてきた。山頂付近には強風が吹いており、木々が大きく揺れているのが見える。足下に小さな花々、前方に杉林、背後に尖峰を眺めながら進む。

三坂山山頂方面 背後に尖峰
前方に杉林を眺める 足下の花

 右手に休憩舎が見えてきたので近づくと、左には元文6年建立の首切り地蔵を見る。説明板には津山藩の過酷な圧政に耐えかねて蜂起した山中一揆(1726年)の顛末などが書かれている。また、休憩舎の手前に駐車スペースもあり、この地点までは乗用車で進入できることが分かった。

休憩舎に到着、ここまでは車で進入可能

元文6年建立の首切り地蔵と説明板(クリックすると拡大)

 首切り地蔵を過ごすと足下の夏草は急に勢いを増してきた。左右に続く植林帯を眺めながら更に進めば登山口に到着。左には大山みち、右には三坂峠の説明板が置かれている。

 この説明板には、山陽と山陰を結ぶ大山往来や伯耆往来はすべてこの三坂の難路を越え、「三坂三里は五里でござる」と歌われた難所であること。津山藩は頂上付近に茶屋を設け、旅人の便宜を図ったこと、茶屋守の給米が十石であったことから十石峠の名がついたこと、十国峠の名前の由来は峠の頂きから十州が望めることなどが説明されている。

夏草の勢いが増してきた 登山口に到着

 登山道はすぐに右へと折り返し、折り返した先には「南無妙法蓮華経」と書かれた大きな石碑が置かれていた。今までの林道から登山道に入り、足下に変化ある道が続いている。少し進んで橋を渡れば、足下には滑り易い石が目立ち、滑らないよう注意しながら進むことになる。

「南無妙法蓮華経」と書かれた石碑 橋を渡る

 すぐ右手に休憩舎を過ごし、左右に笹の広がる道を少しずつ高度を上げる。植林帯の中に僅かに残された自然林を眺め、その先で再び休憩舎を過ごす。向かいの石室には釜地蔵が置かれており、その横には釜地蔵の説明板が立っている。

 地蔵菩薩は中世以降最も庶民に親しまれ、進行されてきた仏様であり、釜地蔵は大山往来の難所である三坂越えの通行安全を祈願して建立された事やその由来は石室の内に祀られていることに起因していること等が説明されている。

休憩舎を過ごす 石室の中に祀られている釜地蔵

 釜地蔵を過ごし、樹林の下につけられ登山道を進めば、右手に道案内の石杭を見つける。石杭には「右久せ」、「左山しやう」と彫られている。高度が上がるに連れ周囲は明るくなり、やがて案内板の立つ峠に到着した。

道案内の石杭 道祖神の峠に到着

 峠を右に向かえば三坂山山頂、左には展望岩があると説明されている。峠を少し下りれば立派な道祖神が祀られており、険しい三坂の峠越えを見守ってきた道祖神の前に立てたことに感激した。登山道に入る前に展望岩へ向かってみる。

峠の道祖神 峠の案内標識

 峠から山頂方面とは逆の左へ向かうと、すぐに展望が開ける。展望岩からは眼下に杉の植林帯、西には三坂山の山頂方面を見晴らすことが出来る。下から山頂方面を観察すると山頂付近には露岩が多いことに気がついた。また、山頂手前には急な斜面もあり、最後に難所が待っている予感。でも明るい山頂が待っているのは間違いなさそうだ。

展望岩から三坂山 展望岩からは眼下に植林帯が広がる

 さあ、山頂を目指すことにする。再び峠に戻り、入口から急な斜面に取り付き、尾根道を西へ向かう。峠から山頂までは約700m、標高差200m弱を一気に登る。少し進めば笹の刈られた跡があり、とても歩きやすくなっている。

斜面に取り付く 笹が刈られている

 登山道はとても広いので快適に進み、すぐに急な斜面に取り付く。刈られた笹が足下に残り、滑り易い斜面を登れば尾根に着く。前方に植林帯を眺め、更に笹の道を進めば先程眺めた露岩が近くなっている。

滑り易い斜面を登る 尾根に立てば展望が開ける

 この先も笹の道は続くが、引き続き広く刈られているので歩きやすい。ところが突然刈られた笹の道が終わり、この先は足下に踏み跡を確認しながら笹を分けて登ることになる。さあ、ワイルドな笹こぎが始まった。笹の背丈が段々高くなるが、踏み跡は確かなので迷うことはない。この先の小ピークに着けば進路は突然左へ向く。

刈られていた笹道が終わる 小ピークに着けば進路は突然左へ

 峠からここまで500mを走破、もう山頂までは200m。一旦ピークからは少し下り、再び斜面に取り付く。相変わらずの笹道だが、なにせ背丈以上の笹藪、笹をこぐたびにサワサワと楽しい音が聞こえてくる。間もなく岩の目立つ場所の上に立つと、この先には急な斜面が見えてきた。

ピークから笹道を少し下る 岩の目立つ場所

 これが山頂手前の最後の難所、急な岩斜面に取り付けば周囲には強風が吹き始めた。風に吹き飛ばされないよう岩を掴んで慎重に登れば、間もなく前方に明るい光が射し、草をかき分けながら進むと突然平坦な三坂山の山頂に到着した。二等三角点の置かれた明るい山頂には、大きな山頂標識が立っていた。

岩斜面が見えてきた 三坂山山頂

 山頂から西を眺めれば、櫃ヶ山から星山へ続く稜線の中に五輪山・扇山、この方角から眺めれば先日歩いた縦走路を全て眺めることが出来る。北には蒜山三座が見えるはずだがあいにく山頂部は雲の中に隠れている。

星ヶ山から櫃ヶ山へ至る展望

大山・蒜山の山頂部は雲の中

 更に右に目をやれば尖峰の美しい雨乞山、その右には霰ヶ山、遠く右奥の山は津黒山のように見える。更に東には一際高く聳えている山が見える。方向からすれば泉山のようだが地図を忘れたためはっきりしない。明るい空の下、ゆっくり周囲に広がる展望を眺めた後、十国峠へ向かって下りることにした。

霰ヶ山方面

東の展望

三坂山山頂からの展望(動画)

 十国峠への道は岩が多く、露岩の上からは素晴らしい展望が広がる。眼下の展望を楽しみながら下りて行けば、峠の展望岩から眺めた岩場に到着。絶壁の岩の上に立ち、眺める展望はとても美しい。

眼下に広がる展望 峠の展望岩から眺めた岩場に到着

 岩場の先から植林帯に向かって下り、左に大岩を眺めながら高度を下げる。間もなく「国名起源の地」の石碑に到着、この場所から山頂までは400mと案内されている。足下には「十石茶屋跡と國名紀元之の地」の案内が倒れていた。

 落合〜久世〜三坂山〜釘貫〜湯原と続く大山みちの中で最も険しいところが三坂山越えであったとされ、昔はこの山道に盗賊が出没し。冬ともなると積雪と吹雪のため道を失い凍死するものが少なくなかったそうだ。案内を読み、この三坂越えの厳しさを改めて認識することができた。

植林帯を下る 左に大岩を眺めながら高度を下げる

十国峠に到着

 十国峠を出発、大山みちを通り、一周回りで峠まで戻る。少し坂を下れば左側が崩れており、ロープが渡されていた。そのまま道なりに下りて行けば、大山みちは左にカーブし、植林帯の中につけられた平坦な道となる。右に崩壊しかけた場所を過ごせば、道祖神の石碑の立つ峠に到着。峠から三坂山の山頂を踏み、一周回りで戻ってきた。

山頂方面を眺めながら進む 植林帯の先には道祖神が待つ

 再度展望岩まで行き、三坂山の山頂を確認すると足下にはマツムシソウが咲いていた。この花を見つけたのが一番嬉しい出来事で、この花と出会えばとても幸せな気持ちになる。花見山・若杉山、そしてこの三坂山、いずれも楽しい山ばかりである。

三坂山で眺めた花

 楽しい思い出を残しながら登山口まで引き返す。下りは早く、釜地蔵、登山口を通過し林道を下りる。首切り地蔵を過ごした先から雨乞山の北方面に、一際大きく高い山を眺め、背後を振り返れば、三坂山が美しい。この先も快適な林道を下れば間もなく駐車場所に到着、無事に三坂山の登山を終了した。

三坂山 一際大きく高い山

首切地蔵

南無妙法蓮華教の石碑

釜地蔵

道案内の石杭

三坂峠

三坂峠先の展望岩

展望岩から三坂山

山頂

星山〜櫃ヶ山

三坂山の露岩

十国峠

「国名起源の地」の石碑

 前の山 東郷山 を見る

 次の山 泉山 を見る

歩いた足跡  

登山口周辺の地図はこちら 岡山県真庭市 三坂山 登山口付近のMAP

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