摩天崖(まてんがい) 島根県隠岐郡西ノ島町

2023年 6月 5日の摩天崖ウオーキングを見る

2008年 6月 2日

国賀海岸休憩所 →0:40→ 摩天崖山頂 →0:25→ 摩天崖の展望所 →0:10→ 国賀海岸

全歩行時間 1時間15分

摩天崖

 隠岐の島の山散策を続けている。昨日(6月1日)は隠岐の島町の大満寺山、本日午前中は西ノ島町の焼火山へ登った。焼火山を下山し、由良比女神社とイカよせ浜を散策、由緒ある由良比女神社を出発し、国賀海岸に向かって進む。

国賀トンネルを抜ける 大山隠岐国立公園 国賀

 国賀トンネルを抜けると周囲の緑が美しく、まるで別世界に居るようだ。「大山隠岐国立公園 国賀」の案内板を眺めて、左の道が国賀海岸と思い込み、坂道を下りて行くがこれは全く違っていた。着いたところは行き止まりの波止、しかしながらこの場所から眺める展望は素晴らしいものだった。

美しい海と赤尾展望所方面

 行き止まりの場所から引き返し、国賀方面に向かって進む。今度の分岐は右が摩天崖、左が国賀海岸、この分岐は国賀海岸から摩天崖を目指すため左の道を採る。すぐに遊歩百選の標識の立つ駐車場に到着、車から降りて眺める周囲の景色、正しく声を失う程の美しさだ。

皇太子殿下・皇太子妃殿下御野立所の石碑 駐車場先の展望所

 この遊歩百選、西ノ島ウォーキングコースは、日本の代表的な観光地や景勝地、地域が誇る美しい自然、歴史遺産の中から「一生に一度は訪ねてみたい百カ所」に選ばれている。駐車場から南に向かうと皇太子殿下・皇太子妃殿下御野立所の石碑が建ち、眼下を見下ろすと奇岩の並ぶ天上界、尖った観音岩が美しい。

赤尾展望所方面

天上界と観音岩

国賀海岸の展望(動画)

 周囲の展望を肴にお弁当を食べて腹ごしらえ、こんな贅沢な事はない。と・・・、草刈りをしていた年配の方が近寄ってきて、民宿をしているので次回来た時には宜しくと、連絡先を書いて頂いた。

国賀海岸の休憩所 コンクリートの橋を渡る

 さあ、いよいよ摩天崖へと向かうのだ。リュックを背負って駐車場を出発する。遊歩道を歩いて下の休憩所まで下り、コンクリートの橋を渡るといきなり現れる通天橋、まさに天上界に通じる橋のようだ。

国賀海岸の奇岩

通天橋

通天橋と国賀海岸(動画)

 アルカリ玄武岩の溶岩が、長年の風波により浸食されて出来た自然の芸術品をしばし眺める。背後には天上界と百済観音の姿にも見えることから観音岩と呼ばれるローソクのような細い岩が立ち、少し角度が変わるだけで全く違った景色に変わる。

少し高台から眺める天上界と観音岩

少し上から眺める通天橋

 これから先は時を忘れる旅が続く。遊歩道を進み、少し高台から眺める景色も素晴らしい。ここで海岸脇の国賀神社に書いてあった文章を思い出した。

 火野葦平氏の隠岐島寄譚よりの引用で、「三百メートルある摩天崖をはじめとする粗面玄武岩の断崖絶壁には亀島、烏帽子岩、佛岩、乙姫御殿、通天橋、鬼ヶ城などの名がついているがこの絶勝を筆舌で表現することは出来ない。頼山陽は耶馬渓を見て筆を投げたといふがその十倍もすばらしいこの國賀を見たら眼をまはすかもしれない」と書かれていた。確かに腰も抜かすかもしれないなと思いながら周囲の絶景を眺める。

遊歩道を進む 木製階段

 遊歩道から木製階段を渡るとそのまま自然の牧草地に通じており、周囲にはのんびりと牛や馬が休んでいる。良く踏まれた自然歩道は一旦右に振れた後で緩やかに坂道を登り、この先で左に折り返すと板で作られた歩道を進む。目の前には平原が広がり、海側に展望地を眺めるが絶景は最後のお楽しみ、そのまま摩天崖に向かって進んで行く。

摩天崖の展望地 牧草地を進む

背後に広がる展望

 自然の中でのんびりした風景を眺めるのは久しぶりだ。親牛の横で寝ている子牛の横を抜けると、子牛がびっくりして立ち上がる。ゴメンゴメンと子牛君達に謝りながら歩いている。この草原の中では人間は全て不審者のように見られているに違いない。遠くには馬がくつろいだ格好で寝そべっている。

牧草地でくつろぐ牛や馬

 平原を過ぎると少し傾斜のある場所となり、国賀浜からは1.2kmを歩いてきている。もう摩天崖までは400mだ。美しい緑の草原を独り占め、この時間は観光客が一人も居らず、ゆっくりと摩天崖に向けて草原を歩いて行く。背後を振り返ればますます美しい展望が広がり、美しいとしか言いようがない景色がまた素晴らしい。

背後に広がる平原

遊歩道が続く 周囲にはのどかな風景

摩天崖はもうすぐ

 青い海と青い空に緑の草原、想像していた以上の展望に感激しながら摩天崖を目指す。日本海の透明度は想像以上に高く、海の底まで見えているようだ。間もなく牧草地との境である鉄の扉を開け、摩天崖へと続く遊歩道に入る。

美しい海の色 鉄の扉

眼下に広がる展望

 入ったところは大山隠岐国立公園摩天崖遊歩道、更に遊歩道を登ると標高257m、切り立った一枚岩状の断崖としては日本一の頂に到着した。眼下を見下ろすと天上界・通天橋付近には観光船が到着、海からの美しい展望を眺めている。

摩天崖山頂

摩天崖の上から眺める展望(動画)

 摩天崖からは周囲360度の展望が広がり、真下には深く青い海が覗いている。周囲に何も遮るもののない展望が美しく、こんな景色を見るのは初めてだ。

乙姫御殿

監視所跡 休憩所

 少し北方面には東屋の建つ休憩所が設置され、その手前には旧日本軍の監視所跡も残っている。何時までもこの場所から美しい展望を眺めていたいのだが、フェリーの出港時間を考えるともう出発しなければならない。後ろ髪を引かれる思いで山頂を出発、緑の草原を下りて行く。

摩天崖を振り返る

摩天崖の草原を歩く(動画)

 眼下に広がる世界がまた素晴らしい。うっとりするような切れ落ちた断崖、草原をゆっくりと歩いている馬、ゆっくりとした時間がこの場所には残っているようだ。切れ落ちた断崖を眺めながら下りていると登山時に過ごした平原を海に向かって進む。海に近づくに従って摩天崖の断崖が広がって行き、平原の先に着くと同時に摩天崖の全貌が現れた。

摩天崖

 あまりにスケールが大きすぎると、その大きさが分からなくなると言う事を初めて知った。海面から頂きまで257mあるのにその高度差を感じない。草原にいる牛や馬が米粒ほどにしか見えないのも頷ける。説明板には次のように書かれている。

摩天崖

 前方の垂直にそそり立つ絶壁が摩天崖で、その高さは257mにも及びます。この雄大な絶壁は、島前カルデラの外輪山を形成するアルカリ玄武岩の溶岩台地が、日本海の強い風波によって浸食されできたものです。岩肌を見るとわかるように、溶岩流の間には火山灰や火山礫が積み重なって凝灰岩となり、それが交互に積み重なっています。このような凝灰岩部は柔らかいため特に激しく浸食を受け、このような絶壁が形成されています。

摩天崖の展望(動画)

展望地から眼下に天上界が美しい

 波だけではなく風にも浸食されなければこんな形にはならないだろうなと納得して展望地を出発、この展望地からは摩天崖のみならず天上界・通天橋方面の展望も優れている。草原を下りながら通天橋・天上界を眺める。本当に贅沢な展望を独り占め状態で休憩所に戻った。

国賀神社 気になった花

 レンタカーを戻す時間まで残り1時間、荷物を急いで整理し、そのままフェリーに乗れる状態にして国賀海岸を出発、途中で草刈りの作業をしている人たちに挨拶をして進む。もう一方の海岸で眺めた花が気になったので寄り道をして写真を撮り浦郷方面に向かう。この時点で既に午後2時を過ぎている。

 赤尾展望所への分岐まで着き、思い直して展望所に向かう事にした。但し、2時20分までに展望所に着かなければ引き返すと言い聞かせて坂道を登る。間もなく赤尾展望所への分岐を右折し、急いで進むと2時15分に赤尾展望所に着いた。ただし、展望所まで行く時間は無いので、駐車場から少し引き返した場所にて摩天崖の展望を眺める。

赤尾展望所の手前から眺める国賀海岸

赤尾展望所から眺める展望(動画)

浦郷港と焼火山

 少し霞んでいるがこれも素晴らしい景色である。眼下に広がる展望を楽しんだ後、いよいよ別府港に向かって出発する。遠くに焼火山、眼下には浦郷地区を眺めながら下りて行く。別府港まで戻るが、もう黒木神社に参拝する時間は残っていない。神社の外から境内を眺めた後、別府港に戻りレンタカーを返却、無事西ノ島の散策が終了した。

黒木御所

 フェリーが出港するまでお土産を購入し、沢山の荷物を持って船内に入った。荷物は客室に置き、甲板の一番良い場所を陣取る。フェリーは汽笛を鳴らして別府港を出港、目の前には焼火山が聳えていた。

焼火山 中ノ島

 楽しい隠岐計画は無事終了、晴れた空と西ノ島・中ノ島・知夫里島をデッキから眺める。時間と共に遠くに見えていた焼火山が霞み、とうとう見えなくなった。さらば隠岐の島、楽しい思い出をありがとう。

見えなくなった 船の周囲は晴れている

 中国地方は雨だというのにフェリーの付近のみ晴れている。これは七類港に着くまで続き、雨に降られることなく午後6時過ぎに七類港に到着した。車に荷物を積み込み七類港を出発、左手に見える宍道湖が美しく、その先には大山が見えている。

七類港に到着 大山

 美しい景色を写真に納め、松江を経由して家路を急ぐ。三次インターから高速道路に乗り、玖珂インターに着いた。柳井に着くと午後11時前、丁度七類港からは5時間の行程だった。

 

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歩いた足跡  

登山口周辺の地図はこちら 島根県隠岐郡西ノ島町 摩天崖 登山口付近のMAP

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