屋久島 世界自然遺産の縄文杉 (じょうもんすぎ)鹿児島県屋久島町

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2011年10月19日

荒川登山口 →0:50→ 小杉谷小中学校跡 →0:25→ 楠川分かれ

 →1:20→ 大株歩道入口 →0:20→ ウィルソン株 →1:20→ 縄文杉

 →1:20→ ウィルソン株 →0:15→ 大株歩道入口 →1:00→ 楠川分かれ

 →0:25→ 小杉谷小中学校跡 →0:50→ 荒川登山口

全歩行時間 8時間05分

 午前3時起床、朝食後午前3時50分に民宿を出発。そのままバス停の屋久杉自然館入口へ行くと、まだ登山者は誰も来ていなかった。そこで一番に受付をすませたので、当然バスへ乗る順番は一番である。受付の人が「今日は残念な天気だ」とか「宮之浦は大雨」とか言っているので少々不安になる。

荒川登山口 トロッコ列車

 午前4時40分発のバスに乗り屋久杉自然館前を出発。午前5時20分に縄文杉の登山口である荒川登山口へ到着、ぽつりぽつりと雨の降る感じはしたが大した雨ではないので安心した。

トロッコ軌道の橋 渓谷

 ツアー客などに対してガイドがこれから向かう行程などについて説明をしているので急いで登山口を出発、一番でトロッコ軌道へ飛び出した。ヘッドライトの明かりを頼りに、足下に広がるトロッコ軌道を進む。緩やかな坂を下ると小杉谷・縄文杉の案内が立っている。案内に従い分岐を左折、トロッコ軌道につけられた橋を渡る。周囲を眺めていると、トロッコ軌道の周辺には待避所が設けてあり、トロッコが来た場合には安全な場所が確保されていた。

トンネルを抜ける 延々と続くトロッコ軌道

欄干のない橋

 

縄文杉へ向かう欄干のないトロッコ軌道の橋(動画)

 淡々と歩いているのだが、枕木の位置が歩幅と合わないため、少々窮屈な思いをしながら歩かなければならない。やがて川に架かる橋に着くと、この橋には欄干が無く、万一足を踏み外せば川の中に転落しかねない。なかなかスリルがあり、この橋は慎重に小股で通過する。まだ暗いので恐怖心は少ないが、明るくなったらとても怖い橋である。

小杉谷橋 渓谷を埋める岩
小杉谷小・中学校跡 小杉谷休憩舎

 登山口から約50分で小杉谷橋を渡り小杉谷小・中学校跡を通過する。この付近からトロッコ軌道の上に木道が渡されており、とて歩きやすくなっている。足下がグニュッとするので何かと思って確認すると、大きなウシガエルだった。この先このカエルがたくさん軌道上にいた。

楠川別れ 辻峠から白谷雲水峡へ続く道

 周囲が暗いとやはり疲れを感じることなく歩くことができる。やがて楠川別れに到着、この場所は辻峠を経て白谷雲水峡へ続く分岐である。小杉谷小・中学校から楠川別れまでの所要時間は25分、まだまだ快調に飛ばしている。もう少し進むと案内板が設置され、大株歩道入口まで3.7kmと表示されている。

バイオトイレ 三代杉

 この付近より雨が降り始めたのだが、空を見るとまだ明るい。これはそのうち雨が上がるものと信じて進むのだが、なかなか雨は止まない。右にバイオトイレを通過、この先で三代杉を観賞し、いくつかの橋を渡る。橋から川を眺めていると、大きな岩が無造作に転がっている。これは大規模な土石流により流されたものと推測される。

大株歩道入口と渓谷

 石塚山の見える場所を通過、更に進めば午前7時51分に大株歩道入口へ到着した。なお、この間にとうとう合羽を着て万全な態勢で歩くことにした。登山口からこの大株歩道入り口までの所要時間は約2時間半、早いのか遅いのかわからないが、全く疲労感はない。この先のトイレに立ち寄り、水場にて水分を補給して大株歩道に入る。

注意書き いよいよ大株歩道へ

 ここには縄文杉への日帰り登山客に対しての注意書きがあり、遅くとも午前10時までには出発するようにと書かれている。縄文杉まで往復で4時間程度かかるそうだ。また、この先縄文杉までトイレはないとも書いてある。この先より写真を撮るため三脚を出すが、この先へ続く道は、まさしく登山道。少々険しい道が続くので三脚は再びリュックに仕舞うことになった。

ウイルソン株

 険しい道を進むこと15分で翁杉を通過、更に5分で大きなウイルソン株へ到着した。この付近で雨は本降りとなり、カメラを出すのは大切な写真を撮る場所に限られる。このウイルソン株はとても大きく、こんなに大きな切り株を見たのは初めてである。切り株の中は雨宿りのできる場所で、実際に中で休憩している人がいた。

大王杉

世界遺産登録地の案内 夫婦杉

 この先雨の中を淡々と進むのだが、大王杉はとても大きく感動するほどの幹の太さだった。更に二本の杉が合体した夫婦杉を過ごし、アップダウンを繰り返せば、ウイルソン株からは80分、大株歩道入口からは100分で待望の縄文杉へ到着した。縄文杉の手前に柵が設けてあり、縄文杉の近くには行けないが、とても大きな縄文杉はまだ立ち続けている。樹齢7200年とも言われる大木が目の前に聳えている。これはすごい感動を受ける風景である。

縄文杉

縄文杉 世界遺産の森に聳える霊木

 縄文杉を過ごして、もう少し先の休憩所へ行き、雨宿りを兼ねて小休止。行動食を食べた後に休憩所を出発、もう一度縄文杉に立ち寄る。今度は霧に包まれてさきほどよりも展望が悪くなっていた。もうこれで帰ろうと縄文杉に別れを告げて出発した。しばらく歩いていたが、さて、果たして縄文杉は生きていたのだろうか。青々とした葉を見ていないような気がしたのでもう一度引き返し確認した。

再び眺めた縄文杉 メデューサの木

 再び眺める縄文杉には、青々とした葉が残っており、確かに生きていた。これはすごいことだ。目の前に7200年生きた縄文杉が立っており、しかもまだ生きている。この木はこの先千年以上は生きているだろう。そのとき自分は当然生きていないが、私の家族または親族の誰かがこの同じ木を見に来るかも知れない。そうするとこの木を通して未来の家族と会話をすることができるのかも知れないと思った。

 感動の縄文杉を眺め、いよいよ想い出の場所を出発。いろいろな思いを持ってこの木を見ていると、やはりすごい木であることがわかる。この先荒れた道を下りるのだが、雨により増水した登山道はとても分かり難く、ルートを探すのがとても楽しい作業となってきた。

ウイルソン株 トロッコ軌道

 久しぶりにルートを確認しながら慎重に下山、途中で夫婦杉、大王杉、ウイルソン杉を確認しながら大株歩道入口へ到着。更にトロッコ軌道を下る。引き返すに連れ、雨脚は弱くなり、やがて雨は止んでしまった。やはり縄文杉から遠ざかると雨脚は弱くなるようだ。

小杉谷小・中学校跡 懐かしい写真

 明るくなったトロッコ軌道は、全く単調な歩きなので少し苦労するが、小杉谷小・中学校跡に飾られている写真には心が和んだ。昔にぎわった場所が、今は廃墟となっている現実をまざまざと見せつけられたが、ほのぼのとした生活が、この地で確かに営まれていた証拠、それがここに置かれている写真の中にある。とても哀愁を感じる写真である。

 この先の橋を渡り、大岩を眺めながら登山口を目指す。やはり欄干のない橋を通過するのは少しの勇気が必要であり、慎重に小股で歩く自分がとてもいとおしく感じる。やがて荒川登山口へ到着、到着時刻は午後2時半で午後3時発のバスに乗り込むためのベストの時間に到着した。

荒川登山口へ到着

 なお、民宿へ戻って天候のことを聞くと、麓の安房地区には雨は降っていなかったそうだ。屋久島の自然環境の多様性には全く恐れ入ってしまった。本日は、雨の中でも縄文杉を見ることができて、とても幸せである。

雲の下は雨 今日も豪華夕食

屋久島最終日

 翌日は屋久島最終日、のんびり午前6時に起床するとほとんどの宿泊者は出発していた。やはり屋久島の朝は早い。午前7時に初めての朝食を摂る。品数も豊富でとても美味しかった。民宿を出発し、本日最初の訪問は益救(やく)神社、ここには天津日高彦火火出見命(山幸彦)が祀られているそうだ。神社左手には益救神社仁王像が安置されている。この石像は凝灰岩でできており、左側が口を開いた阿形、右側に口を閉じた吽形の「金剛力士」で対をなすたくましい仁王像であり、1831年に寄進されたと案内されている。

民宿で初めての朝食 お世話になりました

益救神社と仁王像

 次に向かったのは屋久島環境文化村センター、ここには屋久島の歴史から文化に至る展示物などがあり、大型スクリーンで屋久島の自然などを観賞、たっぷり時間を取って観光をした。次に向かったのはおみやげ物の店。宮乃浦には大型の土産物店が多く、時間を掛けてほとんどの土産物を購入、特においしかったのは飛魚のみそ漬けと鯖のみそ漬け、鯖関係の海産物が多かった。お菓子などもたくさん購入し、ケースに入るか不安なほどだった。

屋久島環境文化センター 展示物

 宮乃浦を出発して再び安房を目指す。そのまま屋久杉自然館へ行き、やはり展示物の観賞。ここには屋久杉についての多くの展示物があり、特に縄文杉の折れた枝が展示されているのにはびっくりした。この枝の樹齢だけでも千年、すごいものである。この枝には直接触ることもできるし、においをかぐこともできる。これだけでもこの自然館を訪問する価値がある。

屋久杉自然館 樹齢千年 縄文杉の枝

 館内には昭和42年1月1日の南日本新聞一面が掲示されており、「生き続ける縄文の春」の見出しの、縄文杉発見の記事をじっくり眺めることもできた。この資料館にてゆっくり時間を掛けて資料を眺めた。最後に映像スクリーンを眺めて資料館見学は終了、資料館を出発した。

縄文杉発見の記事(写真をクリックすると拡大) 屋久杉

 屋久杉自然館を出る頃には雨が降っていたが、尾之間地区に入ると海側は晴れていた。ところが、モッチョム岳の山頂付近には雲がかかっており、屋久島の気候の多様性には改めてびっくりする。ここまで来たのは、干潮前後しか入ることのできない平内海中温泉の水没した状態を見るためである。すぐに温泉へ到着、案の定浴槽は完全とは言えないが水没していた。

潮の満ちた平内海中温泉 モッチョム岳には雲が架かっている

潮の満ちた平内海中温泉

 それでも足下から温泉が湧いているのか、浴槽内は温かだった。潮の満ちた温泉を眺めた後、平内海中温泉を出発、空港へ引き返しているとだんだん天気が下り坂になり、とうとう雨が降り始めた。屋久島の気候は本当に複雑である。ひまわり畑とモッチョム岳を眺め、更にお土産をいくつか追加し、空港に到着した。

屋久島蕎麦 飛魚入り さらば屋久島

 空港のレストランで屋久島蕎麦を食べたら、飛魚の塩焼きが付いておりとても美味しかった。屋久島はやはり飛魚なのだろう。飛行機は定刻に屋久島空港を出発、楽しい屋久島旅行はあっという間に終わってしまった。

トロッコ軌道

大王杉

縄文杉

小杉谷地区

平内海中温泉

プロペラ機

 前の山 宮之浦岳・黒味岳 を見る

 次の山 恐羅漢山・旧羅漢山・砥石郷山 を見る

登山口周辺の地図はこちら 鹿児島県屋久島町 登山口付近のMAP

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