山(はらやま) 島根県邑智郡邑南町

2008年7月6日

原山

林道駐車地 →0:05→ やまんば洞窟標識 →0:15→ 谷の起点

 →0:10→ 残り100m標識  →0:05→ やまんばの洞窟 →0:20→ 電波塔

 →0:15→ 山頂三角点 →1:00 →駐車地

全歩行時間 2時間10分

 N先生との山歩き、今回は邑智(おおち)郡邑南(おおなん)町(旧石見町)の原山。8時過ぎに由宇を出発、岩国インターから高速道路を走り、浜田道を通って瑞穂インターで下りる。高速道路を下りた交差点を石見町・断魚渓への標識に従って左折、県道327号を北上し原山雲海ロードに入る。長い原山トンネルを抜けると、右手には邑智郡の名前の由来にもなった島根県最大の於保知(おおち)盆地(矢上盆地)ののどかな風景が広がる。

 トンネルを抜けて1.3km程度進んだ先の交差点を小掛谷方面に向かって左折、交差点から700m程度進むと分岐が現れるのでこの分岐を左折する。(この分岐を過ごし、そのまま峠の原バス停まで行き、バス停側の交差点を左折しても良い)更に700m程度進むと右手に立派な神社を過ごした先に交差点が現れる。原山へはこの交差点を左折する。

交差点から700m程度進んだ分岐を左折 神社の先を左折

 周辺で草刈りをしている人がいたので原山への道を尋ね、併せて「やまんば」の伝説についてお聞きした。田植えをしているといつの間にか山姥が手伝ってくれるが、昼食時間になると居なくなる。そして午後になり、田植えを始めると山姥が戻ってきて田植えを手伝ってくれるそうだ。ほのぼのとするような山姥の逸話に思わず顔もほころぶ。(末尾にやまんば伝説とやまんば祭りについて記載)

原山方面を眺める(左端にアンテナが立つ、山頂は手前の山に隠れて見えない)

 やまんばの岩屋の位置と登山口についてお聞きして交差点を出発、交差点から700m程度進んだところのカーブに付けられたガードレールにペンキで登山口と書かれており、その奥には林道原山線の標識が立っている。この場所が原山への登山口となる。

林道への入口(拡大) 標高505m、原山登山口

 標高505mの林道を東に向かって出発、林道には草の勢いも感じられるが緑の青葉はとても美しい。林道を5分も進むと右手に「やまんば洞窟案内」の標識が立ち、この地方のやまんばについて説明されている。

目印の林道原山線標識 林道を東へ進む

やまんば洞窟案内
 「岩見地方には山姥にまつわる民話が多く残っています。山姥といえば普通恐ろしい老女ですが石見町の山姥は心の優しい老女です。その山姥がすんでいたと伝えられているのがやまんば洞窟です。洞窟の周囲は昔から樹木の伐採がされておらず自然林が残っています。」

やまんば洞窟案内 登山道入口

 案内板には原山とテレビ中継所、洞窟の位置などが記されており、現在地からの行程を頭に入れることが出来る。「これより山姥洞窟まで700m」の標識を過ごし、山道の中に入る。檜の植林帯につけられた登山道を進むと足下には白い花を見ることが出来た。

檜の植林帯を進む 足下の花

 周囲には背の低い笹も目立つが、歩くのに支障はない。短い間隔で洞窟までの距離を示す案内板が設置されているのでとても励みになる。山道に入り5分程度で周囲に炭焼きの跡を過ごす。足下にはミヤマシキミの実が青く、まだ初夏の色をしている。間もなく横木の階段が現れ、この先から少し坂の傾斜が増してくる。

案内板が設置してある 炭焼きの跡
傾斜がきつくなる 横木の階段を登る

 途中にはロープの渡された場所もあり、少しずつ高度を稼いで行く。この付近で洞窟まで残り460m標識を通過、洞窟までの行程の1/3を歩いている。周囲には樹木の説明板が掲示してあるので一つ一つの木の名前を覚えながら歩くと良いみたいだ。

ロープの場所を過ごす 植林帯を過ごす

 しばらく坂を登ると、岩の目立つ尾根に着き小休止を取る。この付近で涼しい風が吹き始めたのでとても心地よい。10分程度休憩した後平坦な道を進むと右手に谷の起点が見えてきた。

岩の目立つ尾根で小休止 谷の起点を右に過ごす

 この先からは再び急な斜面に取り付き、残り247m標識を過ごすと低い笹の茂る登山道をジグザグに折り返しながら高度を上げる。周囲に咲くヤマアジサイが美しいので小休止、この先で少し平坦道となり東へと向かう。

笹の茂る登山道をジグザグに折り返す ヤマアジサイ

 北面には木の間越しにきれいな山が現れ、山腹に付けられた道を進むと正面に大岩の目立つ場所が現れた。右手に洞窟まで100m標識を確認、岩壁を右手に見ながら沢を渡り、細い道を進むと進行方向右手に大きな岩が見えてきた。

北面に見える山 平坦な笹道を進む
やまんば洞窟100m標識 沢を渡る

 この岩が大変大きく、その大きさに圧倒されながら高度を上げて行く。足下の岩にも気をつけながら進むと、100m標識から5分で目指す山姥の洞窟に到着した。一段高い場所にある洞窟の入口から中を覗くとこの洞窟は意外と深い事がわかった。しばらく山姥の洞窟を観賞した後、洞窟を出発する。

右に大きな岩壁を見ながら進む 斜面を登る
洞窟手前の岩 やまんばの洞窟

 少し引き返して岩の多い場所を抜けて尾根へ向かう。間もなく岩の点在する尾根道に着き、そのまま樹林の下を進んで行く。回りでブンブン音がするので何かと思い木の下を眺めると日本ミツバチの巣があり、沢山のミツバチが周囲を飛び回っていた。

岩の多い場所を進む 日本ミツバチの巣

 そのまま尾根道を快適に高度を上げて行くと突然前方が開け、電波塔の建つ展望地に到着した。電波塔からは東に石見冠山が美しく、その先には少し霞みながらも三瓶山が美しい。眼下を見下ろせば島根県最大の於保知(矢上)盆地が一望、この場所は素晴らしい展望地だ。なお、現在この付近では地上デジタル放送用のアンテナ設置工事中で、周囲には重機も置かれていた。

尾根道を進む 展望地に着いた

 昼を過ぎていたのでこの展望地にて昼食を摂る。昼食後には美味しいコーヒーを飲み、ゆっくりくつろいだ後、いよいよ原山の山頂を目指す。工事中の場所を通過し、細い作業道を西へ向かい、中電電柱「原山42」の少し先に左方向への踏み跡があり、この踏み跡に従って斜面を登って行く。

作業道を西に向かう 中電電柱「原山42」の先を左方向へ向かう

 すぐに左方向からの登山道と合流し、右へと進めば中央に穴の掘られた広場に着く。南側へ少し下るとその先に「原山山頂→」の標識が立ち、この標識に従って少し平坦路を進むと二等三角点の原山に到着。

踏み跡を辿って登る 穴の掘られた広場に着く
山頂への標識 原山山頂

 山頂周囲には樹木の勢いが強く、西方面へとわずかに展望が開けている。山頂にてN先生と恒例の記念写真を撮り、周囲を眺めると名残の山法師の花を見つけた。山頂からの展望はほとんど無いので作業道まで戻り、これから先は林道を通って下りることにした。

山頂にて記念撮影

山法師 眼下に広がる展望

 林道途中から原山の山頂を眺め、南には丸瀬山、その先には阿佐山・三石山・天狗石山と美しい山々が続いている。NTTの無線中継所を過ごし、林道の周囲に美しい花を観賞しながら歩く事1時間、無事駐車地まで戻り一周回りのハイキングコースの周遊が終了した。

原山方面 阿佐山

 但し、最後に歩いた林道は夏場だと炎天下を歩く事になり、足にも体にも堪える下山となるので、林道から阿佐山などの展望を眺めた後は、元来たコースを引き返す方が無難と思われる。

 麓の萩原バス停付近に「智河内(ちごうち)たたら跡」の標識を見たので見学をした。足下にはたたら製鉄の後に出るというスラグ(金糞が)落ちており、お土産に頂いて帰った。この付近から眺める原山方面は本当に美しい。

智河内(ちごうち)たたら跡 萩原バス停から眺める原山方面

 いよい真夏の登山シーズンに突入、夏の日射しの中の風景は本当に素晴らしい。

 

原山のやまんばの岩窟とやまんば伝説について

 原山の麓にある小掛谷の先の大石では、田植えの季節にたくさんの早乙女を雇って田植えをしていたそうです。雇い主が昼食の用意をするため早乙女の数を数えると雇った人数よりも一人多いので、昼休みに昼飯を一人分多く用意するのですが、昼食後には一人分の昼食が余っていました。そこで働いている早乙女の数を数えるとやはり雇った人数より一人多かったそうです。また、お茶の時間にも同様で、ちゃんと早乙女の人数を数えて用意しておきますが、全員が休憩し終わるとやはり一人分余っていたそうです。

 心優しい山姥は、原山の岩窟から田植えの手伝いをするため麓に下りてきて、お手伝いが終わったら山の岩窟に戻っていたと伝えられています。

 この地域ではやまんばは山の神であり、田の神。心優しいやまんばに感謝して、毎年8月14日にやまんば祭りを開催、地域の5つの自治会が趣向を凝らした山車を繰り出し大変賑わうそうです。

本日眺めた花

 

洞窟案内板

岩の道

やまんばの洞窟

やまんばの洞窟(動画)

日本ミツバチ

日本ミツバチの巣(動画)

アンテナの展望地から石見冠山

アンテナの展望地から京太郎山

山頂からの展望

林道から原山

阿佐山

原山

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歩いた足跡  

登山口周辺の地図はこちら 島根県邑智郡邑南町 原山 登山口付近のMAP

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