玉山(ぎょくさん・ユイシャン)排雲山荘から玉山山頂、塔塔加登山口まで 台湾

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2009年4月16日

排雲山荘 →0:40→ 圓峰山屋分岐 →1:08→ 風口 →0:23→ 山頂

 →1:21→ 排雲山荘 →1:31→ 白木林休憩亭 →2:23→ 塔塔加登山口

全歩行時間 7時間26分

 眠れないなあと思いながら横になっていたらしっかり熟睡していた。先生の「朝になった!」との声で起きる。あわてて起きれば午前4時、寝袋を整理し荷物を整えていたら4時半になった。朝食は台湾では恒例となったおかゆ。多分昨日のご飯の残りだと思う。不要なものを予備のザックカバーに包んで山荘に置いて行く。但し、この時間になってもまだ寝ている人がいるのは疑問だ。玉山には登らないのだろうか。

 午前5時18分排雲山荘を出発、いよいよ玉山主峰3952mへ向かう。外は未明より雨が降っているのでカッパを着込む。風は吹いていないので傘を差し、周囲は暗いので当然ヘッドライトを装着して進む。右手にトイレ左手に水場のタンクを過ごし、本日最初の83番の橋を渡る。

排雲山荘を出発 足下は暗い

 すぐ左手にはタンクが2つ設置されていた。これは飲料水の濾過用施設かも知れない。多くのホースが山荘に向かって延びている。足下には大小の岩が点在しているので躓かないよう気をつけて進む。ガイドの施さんからはゆっくりゆっくり歩くように注意がある。やはり高度の関係で空気が薄いため、無理は禁物である。周囲には冷松が茂り、霧の立ちこめる中に立つ緑の松は美しい。

最初の500m標識 足下には岩や石が点在

 滑り易い登山道を慎重に進めば間もなく500m標識、玉山主峰まで残りは1.9kmである。排雲山荘からは17分の行程だった。昨日とほとんど同じペースであり、そんなに疲れは感じない。足下には相変わらず大小の岩や石が点在しており、とても歩きにくい。

周囲には霧が立ちこめる 少しずつ周囲は明るくなる

 周囲にこれから咲き始める玉山シャクナゲのつぼみを見ながら進む。いかに歩きにくい道かというと、500m標識からもう200m先(圓峰山屋へ1.5kmの分岐)まで22分の時間を要した。周囲の山肌を見上げれば、なんと白い雪が目立っている。今更ながらに高度が上がっていることを実感する。

圓峰山屋へ1.5kmの分岐 説明板にも雪が残っている

 この付近には森林限界の説明板が設置してあり、森林界線:最高的謙卑と書かれている。分岐を左に取り、玉山主峰の標識を見ながら緩やかな道へ向かう。足下の木にもシャーベット状の雪が積もっており、少しずつ温度も下がっているようだ。施さんが山頂方向を説明してくれるのだが、霧がかかっており山頂を確認することは出来なかった。

シャーベット状の雪 山頂方面

 もう少し進めば霧が飛ばされ、山頂方面には岩壁が見えてきた。間もなく500m標識を通過、残りは1.4km、前の標識からは30分程度かかっている。いよいよこの先から高度が上がり始める。急な坂を登れば山腹につけられた特徴的な一本の道を進む。上下に樹林は生えて居らず、砂利や岩の点在する中につけられた道を歩いている感覚が感動的である。但し、足下を一歩外せば真っ逆さまに下に落ちそうな場所なので、慎重に歩くことになる。

背後を振り返れば急な坂道 振り向けば岩壁

背後の岩壁の下には一本の道が続いているのが見える

 進行方向に向かってペンキの案内が続いており、これは日本でもよく見かける光景である。間もなく500m標識に到着、残りは0.9kmで前の標識からは26分の行程である。少しずつ歩く速度が遅くなっているようだ。山頂方面には雪が白く目立ち、少しづつ山頂に近くなっている事を実感しながら歩いている。

周囲に雪が白く目立ち始めた

折り返しながら高度を上げて行く 進行方向を示す赤いペンキ

 明らかに空気が薄くなっているのでますます歩く速度はゆっくりになる。もうここは海抜3794m、碎石坡の説明板を過ごせば、もう日本の富士山の標高3776mを越えている。この付近で多くの下山者とすれ違う。これから先は岩の道が続き、補助の鎖が渡された場所を慎重に登る。

なだらかな坂が続く 海抜3794m、碎石坡の説明板
ジグザグな道を下る人たち 岩壁に補助の鎖が渡されている

 間もなく500m標識を通過し山頂まで0.4km。前の標識からは35分を要した。もう少し進めば、風除けの施設の中に入る。休憩中の登山者をかき分けながら前に進むと、ようやく先生達に追いついた。ここで山頂に向かう前の最終チェック、防寒の用意をして施設の上に出る。すぐにすごい風の吹く場所に出た。

足下の不安定な場所を通過 眼下は切れ落ちている
風除けの施設 この先は凄い風が吹いている

 風に吹き飛ばされそうなのでしっかりと鎖を掴みながら慎重に登る。途中には鎖の切れた場所もあるので特に慎重になる。吹き付ける風に負けないように登り、背後を振り返れば改めて急な斜面であることを実感する。雨はいつの間にか雪に変わり、足下には雪が積もり始めている。

少し進んで風除けの施設を振り返る 鎖から手を離せない
足下には雪が積もり始めた 急な斜面を登ってきた

 岩場の道幅は狭く、斜度も急になり今までの楽々登山から急に命がけの登山に変わってきた。鎖を話せば真っ逆さまに落ちそうな岩道を、めいっぱい慎重に登れば少しずつ高度も上がっている。

岩場の道幅は狭い 吹雪の中を慎重に進む

山頂手前の斜面に向かう

斜面から見下ろせばこの風景

 間もなくガイドの施さんが山頂に到着、次いで先生が到着、最後に私も山頂に着き感激の握手。とうとう3952m、東北アジア最高峰の玉山山頂に立つことが出来た。風除けの場所からは23分の行程、山頂到着時間は午前7時58分、排雲山荘からの通算所要時間は2時間40分である。

玉山主峯3,952m

玉山山頂に到着(動画)

 山頂には日本でよく見かける三角点のような四角い施設が置かれており、二段重ねの石段の上には玉山主峯、標高3952公尺(m)と書いた石碑が置かれている。周囲には雪が降り続き、風裏で施さんが作った温かい飲み物を頂くと、体も温まってきた。風が強いので三脚は使えず、二人ずつでの記念撮影、この吹雪の中での記念撮影は一生忘れることはないだろう。

吹雪の中の記念撮影 雪の山頂

 山頂滞在はわずか26分の午前8時23分、風が強いので出発することになった。狭い足下は積雪により、滑り易くなってきたので慎重に下りる。下山方向を見下ろせば急な斜面を引き返していることが分かり、鎖を片手に慎重に下りる。最初に施さんが急な斜面を下りて行き、次に先生が続き、最後に先生の下りた後を私が下る。一歩間違えれば死の恐怖、少々大げさだがこの玉山登山では事故も多いそうだ。

斜面を慎重に下りる

玉山より急斜面を下りる(動画)

 施さんの必死の励ましの意味が分かるだけに、ここで死ぬわけには行かない。但し、手袋が防水で無いため、凍傷にかかる程度は諦めないといけないかも。2つめの手袋を装着し、鎖をしっかりと掴んでいたらやはり手袋の中が濡れてきた。ゆっくり、本当にゆっくり時間を掛けること23分、山頂から風よけの場所に到着した。従って登りも下りも全く同じ時間を要したことになる。

狭い足下 鎖を伝って間もなく風口

  すぐに500m標識を通過、排雲山荘までは2kmである。岩壁に渡された鎖を補助にジグザグな道を慎重に下りる。間もなく3794m地点に設置された碎石坡の説明板を過ごす。下山の際に急な坂を登ってきたことを改めて認識、息が上がるのも当然だと納得した。

滑り易い道を下りる

 残り1.5km標識までは22分、山腹につけられた砂利道を滑らないよう慎重に下る。狭い道なのでふらつけば足を踏み外しそうな場所だ。間もなく周囲には緑が戻ってきた。あたりを見回すと背の低い木が多いので、この付近は風が強い場所と思われる。もう少し下れば少しずつ樹木の背が高くなってきた。

山腹につけられた道を下りる 一旦滑れば止まりようがない

 足下に500m標識を通過、排雲山荘までは1.0km、前の標識からは11分の行程である。岩の点在する坂道なので滑らないよう慎重に下りている。間もなく圓峰山屋への分岐を通過、頭上には樹林が戻ってきたので雨除けになる。足下に注意しながら慎重に下りれば500m標識を通過、もう山荘までは0.5km。前の標識からは11分の行程である。

岩の点在する坂道 圓峰山屋への分岐

 岩の点在する急斜面や階段状の岩道を下れば山荘前の施設を過ごし、右手に沢山のホースを見ながら下れば排雲山荘に到着、前の標識からは14分の行程である。山荘到着時間は午10時9分、山頂からは休憩時間も入れると1時間46分の行程だった。もう山荘に休憩者は居らず、私たち二人の荷物が部屋の外に出されていた。宿泊していた部屋は掃除が終わって鍵が掛けられており、中に入って休むことは出来なかった。

階段状の岩道 山荘前の施設

排雲山荘に到着

 置いてきた荷物をリュックに詰めていると施さんが昼食の用意をしてくれた。昼食は暖かいラーメン、この山中、昨日来で一番美味しい食事だった。沢山作ってくれたので2回もお代わりをした。それほど美味しいラーメンだった。おなかがいっぱいになったので施さんをせかして下山を開始する。その間にも外国人が数人この山荘に入ってきた。この人達は玉山だけでなく、この周辺を縦走しているそうだ。

寝室入口 昼食は暖かいラーメン

 山荘出発は午前11時5分、これから雨の中、塔塔加登山口まで8.5kmの行程を歩く。山荘を出発し、石段を下りれば最初の橋は82番、左右に矢竹の茂る登山道を下れば13分で500m標識を通過、残りは8km。一旦木の階段を下り。登りかえせば次の500m標識を通過、残りは7.5km、この間は14分の行程である。

山荘を出発 鎖の渡された道

 右手の岩壁に設置された鎖を伝って下れば500m標識を通過、残りは7kmである。この間は13分の行程。もう少し下り、山羊の糞を見つけた先は大峭壁、この先で64番の橋を渡れば、次の500m標識を通過、前の標識からは16分の行程で残りは6.5kmである。周囲に鐵杉の大木が目立ち始めると、足下には62番の橋を通過、落石注意の崖を通過すれば、標高は3138m、間もなく500m標識を通過、残りは5.5kmこの間の1kmは23分の行程である。

大峭壁 鐵杉の大木

 断崖につけられた道には補助の鎖が渡されており、断崖を見下ろすと目舞がする。この先には木で作られた階段が待っている。雨に濡れているので滑らないよう慎重に下れば白木林休憩亭に到着、前の標識からは12分の行程である。ようやく腰を下ろして座れたので一安心。ゆっくりと休憩を取る。ここには登山者の一団が休憩中だったが、順次山荘に向かって出発、いつの間にか誰もいなくなってしまった。残っているのは我々だけで、おなかを空かせた鳥やリスが休憩舎の中で大運動会。休んでいると寒くなってきたので休憩舎を出発する。

断崖につけられた道 断崖を見下ろす

白木林休憩亭

白木林休憩亭では小鳥とリスの運動会(動画)

 白木林休憩亭の先で残り5km標識を通過、降りしきる雨の中を下れば10分で残り4.5km標識、更に11分で残り4km標識を通過、10分で3.5km標識を通過する。この辺りは一気に下っている。残りの距離が少なくなってきたところで花や植物の写真を撮り始める。残り3km標識までは23分の時間を要した。この付近でカメラの調子が悪くなりレンズが曇ってきた。

周囲が曇ってきた 孟祿亭

 14分で残り2.5km標識を通過、更に14分で2km標識を通過した。もう残りは僅かだ。ツツジの花を撮りながら孟祿亭を通過、13分で残り1.5km標識を通過した。雨が降り止み周囲に展望が広がり始めた。霧の切れ間から対岸の山が見えてくると、とても幻想的な風景であることを実感する。周囲に広がる展望を眺めながらゆっくり歩けば23分で次の標識を通過、残りは1kmである。

対岸の山 孟祿断崖

足下に咲く花

 足下に大きなアザミを過ごせばもう残り0.5km、前の標識からは10分の行程である。これから先も足下に咲く花や植物を眺めながら下れば、午後3時25分塔塔加登山口に到着、前の標識からは15分の行程だった。迎えの車の中にリュックを積み込み、登山事務所に向かう。

塔塔加登山口に到着

 事務所に入ると私たちは拍手で迎えられ、小休止の後登山証明書の交付を受ける。立派な証明書を管理人より頂き記念撮影、これはとても楽しい儀式であった。中島先生との記念撮影を終え、玉山登山は無事終了した。それにしても今日も一日よく歩いた。

登頂証明

山頂方面

風口から山頂に続く急斜面

もうすぐ山頂

山頂

水墨画のような風景

孟祿断崖

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