矢筈城跡(やはずじょうあと)島根県大田市 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2011年4月17日 冠巌登山口 →0:10→ 尾根へ直登地点 →0:20→ 岩の展望地 →0:25→ 冠巌手前 →0:10→ 冠巌先岩の展望地 →0:30→ 507mピーク →0:15→ 尖峰のピーク →0:25→ 冠巌先の展望地 →0:20→ 矢筈城跡 →0:25→ 笹ヶ峠 →0:20→ 矢筈城跡登山口 →0:05→ 冠巌登山口 全歩行時間 3時間25分(507mピークに行かない場合、歩行時間が1時間10分短縮される) 中国地方の県別百名山の著者、中島先生のご案内により、島根県の山歩きを続けている。今回は島根県大田市の矢筈城跡へ。石見銀山を起点とすれば、県道31号石見銀山街道を仁摩サンドミュージアム方面へ向かう。
大国地区に入ると、「冠・草木原」の案内が出ているので、分岐を南に採る。400m程度進むと、右手に潮川に架かる荷繰(えくり)橋が視界に入る。この橋を渡ると正面に、仁摩町文化振興会館が建っているのですぐに左折、そのまま道なりに進む。丁度橋の上から南を眺めると、山頂にアンテナ施設の置かれた矢滝城山が見えている。
しばらく道なりに進むと、道端に「石見銀山街道鞆ヶ浦道・矢筈城跡」の案内が置かれていることに気づく。南西方面に気をつけながら進むと、山脈の中に、天に突き出たような大きな岩が見えてくる。これが冠巌で、麓からでもしっかり存在感を感じると同時に、この巌を見ただけで、登山意欲が湧いてくる。
やがて冠スクールバス停留所へ到着、(この付近から冠巌への登山口まで1km程度なので駐車場所を早めに特定する。我々は、この地区の方のご厚意により、幸運にも庭先に停めて頂くことができたが、この地区の道路は奥へ行くほど軽四トラック仕様、大型車では、進入するにも方向転換をするにも苦労し、駐車場所にしても、なかなか良い場所は無い。くれぐれも無理な進入は、なさらないようご注意して頂きたい。)矢筈城跡・冠地区の案内を確認、のどかなかかしに癒される。 冠巌の登山口 矢筈城跡の案内に従い、更に道なりに進むと、左にトタン葺きの小屋を見てコンクリート製の橋に着く。この場所が冠巌への登山口である。橋の手前左側に冠巌への案内があるので、左側に注意しながら進むとすぐに見つけることができる。少々古くなった案内だが、しっかりとこれから向かう方向を指し示している。
案内には冠巌までは1kmと表示されており、冠巌へ向けての登山を始める。植林帯の下を進むと左に「冠巌の銘水」を確認、おいしい銘水が流れている。この先で沢を渡り沢の右側を進む。空は青く、周囲には桜も満開、のどかな田園風景が広がっている。 沢沿いを進む 沢沿いにつけられた細い道を進むと、小滝も美しい。小滝を過ごしたあたりで沢と別れ、植林帯の下を直進方向へ進む。石垣の組まれた平坦な場所を過ごすと、周囲は竹林と植林の混在した植生に変化する。左方向を注意しながら見ていると、テープの巻かれた場所に気がつく。
この場所が本登山の最初のチェックポイント。ここで、尾根方向へ向かって急な坂に取り付く。ジグザグに一気に高度を上げると尾根の端に着く。この先は尾根を外さないよう南へ向かって進む。丁度周囲は山桜が満開、お花見気分で気持ちの良い尾根道を進む。
足下には地積調査の杭もあり、急な坂道を越える。周囲の展望は木の間越しだが、青空の下なのでとても明るい。時折現れる古いテープに少し安心しながら尾根を進む。無造作に配置された岩は、とても良い感じで、やがて大きな岩を越える。岩の側には三つ葉ツツジも咲き始め、いよいよ春爛漫の季節を感じる。
快適な尾根道を楽しんでいるのもつかの間、前方に大きな岩が現れた。この岩の右を抜け、前方を見ると大きな岩が進行を阻んでいるようだ。とりあえず、この岩にへばりつき、木の根をつかみながら右方向の足場の良い場所へ移動する。崖っぷちの岩の上に立てば、本日初めて周囲の展望が開けた。
出発の冠地区は見えないが、周囲に広がる山々は眺めることができる。この岩をほぼ垂直に進めば進行方向となるのだが、これはとても怖くてできない。進行方向の南(左)へ向かって迂回、足場の確かな場所を選びながら南方向へ平行移動。この先で踏み跡を確認し、一気に高度を上げる。その際に、周囲の木々をつかみながら登ることは言うまでもない。
ようやく大岩の上に到着。先ほど眺めていた岩の真上に着いたことになる。岩の端へ向かい、眼下に広がる展望を眺めれば、少し高度が上がっただけで格段に視界が広まっていた。露岩の上からは、馬路高山がとても近いことがわかる。この先より坂の傾斜は益々増し、明確な踏み跡を辿れば岩の大きさも増してくる。 馬路高山と眼下に冠集落 やがて前方に麓から眺めていた冠巌が出現、これには疲れも吹き飛ぶくらいの感動。冠巌は一段高い場所にそびえているようだ。と・・、目の前には次の関門が現れた。再び岩が進行方向をふさいでいる。歩ける場所は切り立った岩の上のみで、眼下は切れ落ちた懸崖。足を踏み外せば、死なないにしても、とても痛そうだ。
しっかりと岩をつかみ,細い足場を確認しながら進む。この岩場の難点は、岩がもろくなっており、運が悪いと、岩がすっぽりと取れてしまう。まさに三点確保以上の慎重さでゆっくり進む。案の定、岩のもろい場所をつかんでしまったが、これは想定内だったので無事事なきを得た。 通ってきた岩場 なんとか岩場を通過、目の前には待望の冠巌が現れた。麓から眺めていた巨岩に対面、この感激は言葉では言い表せない。周囲の景色を眺めた後、次の関門へ向かう。この冠岩、進行方向へ向かって右側の岩をつかみながら進む。
やはり眼下は懸崖、下を見れば身震いがする。こんな危険な場所にいるのがとてもうれしい精神状態。先ほど以上の緊張感を持って三点確保、先ほどより距離も長く、とても楽しい。また、この岩は割としっかりしており、岩が取れたり滑るような危険度は少し軽減されている。ただし、懸崖から転落したら、とても痛いことは同じである。
冠巌の通り方(動画) 冠巌を振り返る やがて岩場を渡りきると手も足もガクガクふるえ、しばらく立ち上がることはできなかった。この先は、少しの岩場を進むと矢筈城跡への分岐へ到着。そのまま右(西)方向へ下れば矢筈城跡へ着くことができる。我々は、時間の余裕があるので左(東)方向へ行き、展望広がる岩の上で小休止を採る。 矢筈城跡 矢筈城跡から馬路高山(右端)へ続く稜線 眼下に広がる冠地区 周囲を見回せば、これは大展望。北には出発地の冠地区、東には仁摩最高峰のピーク、南に向かって尖峰のピークと後ろに控える矢滝城山、山桜の美しい山々が続き、西には最終目的地の矢筈城山、更に北には馬路高山、周囲360度の展望は素晴らしい以外の言葉はない。 仁摩最高峰と尖峰のピークと矢滝城山 ここまで来たのだから、ついでに仁摩最高峰の507mピークを踏むことにした。岩の展望地から東のピークへ向けて一旦坂を下り鞍部へ着く。この先急な斜面に取り付く。時折現れる古い赤テープに励まされながら、急な斜面を踏ん張れば、やがて坂の傾斜が緩み始める。進路は緩やかに右カーブを描き、南方面へ向かうと平坦な507mピークへ到着。この場所が仁摩最高峰とのことである。但しこのピークには、特に標識等の案内は置かれていなかった。なお、この場所から矢滝城跡がとても近いことがわかる。 矢滝城山から続く展望 我々はこの先にある尖峰のピークにも登ってみることにした。但し、山頂周辺が平坦すぎるので、道に迷いやすい。従って目印のテープを巻きながら南方面へ向けて緩やかな坂を下る。やがて踏跡の確かな西へ向かう道が現れたので坂を下る。鞍部に着くと周囲には大きな岩が目立ち、この岩を眺めるだけでも来た価値がある。そのままピークへ取り付き着いた場所は意外と狭いピークだった。このピークで昼食を摂り、あらかじめ巻いていたテープを回収しながら、仁摩最高峰を通過、急な坂を下り、少し登り返して展望岩へ戻った。
展望岩から仁摩最高峰を振り返る。歩いた稜線が一目瞭然、とても感慨深い景色である。やはり稜線を歩いたことにより、景色にも愛着がわくものである。また、この景色はたぶん忘れることはないと思う。展望岩から少し西へ引き返し、左(南西)方面へ。矢筈城跡へ向かう踏み跡が続いており、緩やかな傾斜の坂を下る。
樹林の中につけられたトンネル状の道やヤセ尾根を進む。途中には大岩なども配置されており、なかなかワイルドな道が続く。桜の花越しに冠巌を眺める場所もあり、最後に美しい景色を眺めることもできた。椿の花の道を抜け、背後を振り返れば、仁摩最高峰と尖峰ピークと矢滝城山が美しい。
やがて足下に石畳状の岩が見えてくれば、いよいよ城跡へ向かっての急登が始まる。目の前に現れる木々を手がかりに、急登を踏ん張れば広く平坦な矢筈城跡へ到着。山頂には「矢筈城跡本丸」の標識が立ち、山頂北端には四等三角点が置かれている。この山頂から南へ下ると、すぐに郭跡を見つけることができる。従って、この山の山容を理解していれば、標高450m付近から南方面へ迂回し、郭跡を眺めながら山頂を目指す方が楽に登れる。
矢筈城跡山頂 矢筈城跡の山頂風景(動画) 郭跡 山頂にて記念撮影の後、北へ向けて出発すると、すぐに素晴らしい展望地へ到着する。まさしく周囲360度の展望広がる岩の上からは、北に馬路高山、眼下に冠集落、東に山吹城跡と仙の山、その先には山陰の名峰三瓶山と続く。 馬路高山方面 冠地区と遠くに三瓶山 冠巌と仁摩最高峰 日本海まで見晴らす展望 矢筈城跡先の展望地から眺める周囲360度の展望(動画) 西には浅利富士の室神山と日本海を見晴らし、本日一番の展望を想い出に下山を続ける。少し坂を下れば広く平坦な場所へ到着、この付近も郭跡だったのかも知れない。踏み跡を探しながら急な坂を下る。
周囲に穴の開いた岩が目立ち始めると、やがて平坦な場所へ到着。この場所が笹ヶ峠である。こんなところにと言う感じで案内が立ち、矢筈城跡まで0.6km、柑子谷地区へ4.0kmと案内されている。
笹ヶ峠を出発、よく踏まれた道を東へ向かって下る。気持ちの良い自然林から檜の植林帯へと周囲の植生が変わり、笹ヶ峠からは15分で竹製の橋を渡れば、のどかな田園地帯に出た。この入口には矢筈城跡の案内が掛けてあり、この方向から城跡を目指す場合の登山口となっている。
田園越しに背後を振り返ると尖峰が美しく、周囲に咲く桜やツツジがとても鮮やかである。南には仁摩最高峰と冠巌先のピークが美しくそびえている。もうこの先は快適なあぜ道が続き、やがて最奥の民家前を通過、この付近にも矢筈城跡の案内が置かれている。舗装道に出ればもう安心、そのまま坂を下れば登山口へ到着。無事周回の登山は終了した。 矢筈城跡登山口 冠地区から眺める仁摩最高峰・冠巌・矢筈城跡へ至る稜線 冠巌が大きい 矢筈城跡 冠巌と馬路高山 冠地区の展望 尖峰のピークと矢滝城山 展望岩から眺める冠巌 矢筈城跡 日本海の展望 三瓶山・冠巌・仁摩最高峰 矢筈城跡先の展望地から眺める冠巌 前の山 稲荷山 を見る 次の山 石見城跡 を見る 登山口周辺の地図はこちら 島根県大田市 矢筈城跡 登山口付近のMAP |