2006年3月21日(火曜日) 岩屋山 ガイド本 金光康資著 防長山野へのいざない 登山開始 →11:44→ 山頂到着 →12:32→ 山頂出発 →12:44 → 下山終了 12:59 参考コースタイム 登山開始 →0:48(ロスタイム15分・奥の院参拝時間を含む)→ 山頂到着 →0:12→ 山頂出発 →0:15→ 下山終了 登山時間 1:15 鹿野の烏帽子岳に登った引き続きに向かいの位置に立っている岩屋山に向かう。国道315号を徳山から鹿野に向かい、鹿野の市街から長野山方面に向かう県道12号を進み周南市の鹿野総合支所を左手に見て、天神山公園入口を左手に過ごし斎場への分岐を右に見て進むと坂を下るようになる。この付近から左手、西方面の山を見ると山の中央にハッとするような大岩を見る。 県道から見る岩屋山 ライオン? よく見てみるとライオンのように見えるのでライオン岩とも呼ばれているそうだ。登山口は烏帽子岳と同様柿木原集落であるが、集落付近には適当な駐車場所が無く、通行の邪魔にならないように少し鹿野方面に戻った坂の途中の山側に広い駐車スペースがあるので車を置き、柿木原集落に向かって下りて行く。 柿木原橋を渡り正面の民家の横を通る 右手にお堂とバス停・カーブミラーを見て、反対側西方向に向かって柿木原集落に向かう道に入る。渋川に掛かる柿木原橋を渡ると正面に鉄工所を見る。鉄工所には小さな犬が繋がれていたがこの犬はおとなしい犬で吠えることはなかった。道は左にカーブし民家の横を通り過ぎると、この民家には二匹の犬がおり、一斉に吠え始めた。 民家の横を抜けると林に向かう 民家を通り過ぎてその先の分岐を右・左・右・左と道なりに進むと檜の植林帯に入る。すぐにお地蔵様を見るので早速お参りをし、その先右手の墓を過ごした奥に岩屋山観音堂が立っている。観音堂の横にはこの観音堂の説明板が立っており、説明板には次のことが書かれている。 観音堂手前のお地蔵様にお参りする 岩屋山(いわやさん)観音堂(かんのんどう) この観音堂は、最初、漢陽寺の支配下にありましたが、今からおよそ150年ばかり前(江戸時代の末ごろ)お堂がこわれたのでしばらく本尊の観音さまを他所にうつしたことがありました。 今のお堂は、その後20〜30年のちに建てられたもので、もとの本尊をむかえた村人たちは、希望がかなえられ、たいへん喜んだといわれています。 本尊は如意輪観音(にょいりんかんのん)で、弘法大師(こうぼうだいし)・不動明王(ふどうみょうおう)がいっしょに安置されています。 おくの院はお堂のうら山の岩屋にあって、如意輪観音・不動明王が安置されています。 観音堂に参拝する 観音堂の境内はよく掃き清められており、右手には手水鉢が置かれ、とても神聖な場所であることが感じられた。観音堂にお参りし、゜観音堂左手の山に続く道に向かう。登山道は一本調子の急な坂で、最初から息が切れる。最近の運動不足を痛感するところである。 大岩の下に出る 真っ直ぐ進んでいた道はクマザサの繁る場所を過ぎると大岩の下に出る。上を見上げると岩の大きさに改めてびっくりする。元の道に戻り、急坂につけられたジクザグな道を進み高度を稼いで行く。 途中には倒木もあり、慎重に迂回しながら登って行くと観音堂からは10分程度で大岩の横に着いた。大岩には手摺りが設置されており、足場になる場所には踏み跡が見受けられる。手摺りに沿って進んで行けば先程の観音堂の説明にあった通り岩屋があり、岩屋の中には如意輪観音・不動明王が安置されているはずである。 錆びた手摺り 下は断崖絶壁 足下には踏み跡がある しかしながら、手摺りは茶色にさびており、強度を確かめるため触ってみると適当な弾力があり、とても頑丈な柵とは言えない。足下は断崖絶壁の状態であり、高度は少なくとも50m程度はありそうだ。 もし足下が滑ったら・・・ 柵が外れたら等と考えていると怖くて先に進めない。もっと下調べをしていれば命綱でも持ってきたのに・・・ と考えていると雨が降り始めた。 もう考えている時間はない、雨により足下が滑りやすくなるともっと危険な状態になるはずだ、沢山の先人があの岩屋に参拝しており、事故があればこの先は通行禁止になっているはずだ・・・と思い聞かせてさびた手摺りを掴む。 やはり手摺りが細く心許ない。右手で手摺りを掴み左手は岩にしがみつく。足を一歩踏み出す。登山靴でしっかりと岩の感触を確かめる。一歩踏みしめては手摺りの位置を先にずらす。体重をしっかりと岩に預ける。 断崖の上を歩いている 下を見ると断崖の上を歩いていることが判る。ドキドキしながら移動する。目指す岩屋が視界に入ってきた。もう少しで岩屋に着くと思ったら少し安心する。 岩屋の中にも手摺りを見つけ右手で掴む。岩屋の中の如意輪観音・不動明王に対面、手摺りに両手ですがりつき、岩場の上で正座、一心にお祈りをする。「・・無事元の位置に戻れますように・・」 奥の院の岩屋に参拝する 岩屋の中は四つに仕切られているようだ 正座していた足を岩場に降ろすと足がガクガクしており、手は震えている。行きはよい良い帰りは怖い。心を落ち着け、元の位置に戻りたいと思うのだがなかなか第一歩が出ない。ただ手摺りは意外と丈夫であることが判ったので、足下さえ間違えなければ大丈夫、ゆっくりと足下を見ながら、眼下の景色を楽しむ余裕も持ちながら、無事元の位置に戻ることができた。 手摺りに掴まりながら、奥の院の岩屋から引き返す 足場のしっかりした場所にたどり着きようやく安心、足はガクガク、手はブルブル震えている。山に登り始めてこんなに怖い思いをしたのは初めてだ。この岩屋に参拝する場合は命綱としてロープの用意があれば安心して行けるものと思われる。 岩屋参りの興奮は収まっていないが、雨が降り続いているので急いで山頂に向かう事にした。急な斜面を木に掴まりながらよじ登る。半藪状態の道を上へ上へと進んで行き、岩屋の場所から6分で岩屋山山頂に到着した。 岩屋山山頂に到着 山頂は丸っこい岩の上にあり山頂の標識は無い。眼下には柿木原集落と田園風景が広がり、南方面には金峰山がすぐ先に見え、北東方面には雨が降り続くのにも拘わらず長野山のアンテナがはっきりと見える。 岩屋山山頂から金峰山方面の展望 山頂にてゆっくりとしたいところだが雨の勢いが強くなってきたので急いで下山をすることにした。下山は北に続く踏み跡に従って下りて行くと北への道と東に向かう分岐が現れたので、東(右)への分岐を取り下りて行く。 山頂から柿木原集落を見る 踏み跡は確かで迷うことはなく急いで下りて行くと、次第にクマザサの道となり、雨露でずぶ濡れの状態となる。雨に濡れることは苦にならないので、踏み跡に従って下りて行くが、段々踏み跡が不鮮明となり、とにかく真っ直ぐ下りて行くと、再びクマザサの中を掻き分けて下りて行くことになった。 クマザサの中を下りて行く しばらく我慢して下りていると鉄工所の前の道に着いた。鉄工所の屋根の下で雨宿りをしていたが、雨の勢いが一向に収まらないので車まで戻ることにした。ゆっくりと雨に打たれながら舗装道を車まで戻り、登山を終了した。 岩屋山の岩を観察すると、奥の院はライオンの鼻の部分であり、岩の中心部であることが判った。よくぞあんな所に行ったものだと感心しつつ岩屋山を後にした。雨に打たれてずぶ濡れになり、寒くなった体を温めるため、この先北の方向にある石船温泉に向かって出発した。 石船温泉に入り温まる 県道を北に向かい1km程度進んで行くと間もなく左手に石船温泉が見えてくる。石船温泉は弱アルカリ温泉でPH7.5程度、源泉掛け流しだそうだ。露天風呂に入ると桜の木が植えてあり、沢山の蕾をつけており、もうじきお花見シーズン到来である。温めのお湯にたっぷりと浸かって温まって帰った。 岩屋山奥の院への命がけの参拝は、この先一生忘れることのできない思い出となりそうだ。 ライオン岩 たよりない針金の手すり まさに命がけ 足下は絶壁 岩屋へ参拝 岩屋にも手すりがありました 帰りはもっと大変 前の山 烏帽子岳 を見る 次の山 嶽山 を見る登山口周辺の地図はこちら 岩屋山 登山口付近のMAP |