−古鷹山(ふるたかやま)・クマン岳(くまんだけ) 広島県江田島市

2006年12月10日

参考コースタイム

切串港 →0:20→ 弁財天 →0:05→ 古鷹山登山口石碑

 →0:15→ 古鷹山登山案内の立つ林道分岐 →0:15→ ソロプチミストの森標識

 →0:25→ 古鷹山1,343m標識(反射板) →0:10→ 古鷹山三角点

 →0:05→ 小用港からの登山道分岐 →0:10→ 古鷹山山頂

 →0:20→ 林道到着・クマン岳登山口 →0:10→ 帆立岩 →0:10→ クマン岳山頂

  →0:30→ ピラカンサスの下山分岐 →0:15→ 林道終点 →0:15→ 切串港

全歩行時間 3時間25分

 天候が穏やかなので今のうちに離島の山に向かう事にする。広島・江田島の古鷹山を目指して出発、玖珂インターから山陽道に乗り、廿日市インターで高速道路を降りて国道2号に入る。そのまま国道2号を進み、広島・宇品港に到着、駐車場に車を置き旅客ターミナルに向かう。切符売場にて切串港・小用港への出発便を聞き、早く出発する方と言うことで切串港へのフェリーに乗ることにした。

広島港宇品旅客ターミナル 宇品から眺める江田島方面

 フェリーの出発まで南方面の海を眺める。たぶん南正面の島が江田島だと思われる。また、右手に見えるのが似島と言うことは安芸小富士らしき山の形で判った。10時45分の便に乗り宇品を出発、フェリーの中にあるパンフレットにより正面に見える島が江田島であることを確認することが出来た。

宇品から眺める似島 フェリーに乗り込む

 しばらくはフェリーの船外にて瀬戸の展望を楽しむ。似島の西方面には宮島が美しく、江田島方面は逆光となっており、とても眩しい。宇品の海岸線を眺めていると東方面に続く道路の高架橋が長く続いており、まるで長く続く橋のようだ。北の呉裟々宇山方面には虹が架かっており、とても美しい展望が広がっている。その先中国山地は霞んでおり、雪でも降っているのだろうか。

フェリーから宇品を振り返る 宮島方面
東に続く宇品の海岸線 呉裟々宇山方面には虹が架かっている

 右手に似島を見るようになるとその奥の宮島がはっきりと見えてきた。素晴らしい海上散歩を楽しんでると、もう江田島はすぐ近く、瀬戸の島々を眺めながらの25分の船旅はあっという間に終わろうとしている。間もなく江田島切串港に到着、いよいよ古鷹山への行程が始まる。

中央の山が古鷹山 切串港

 島の山に登る際は標高0mからの登山となり、当然の事ながらすべて自分の足で歩かないといけないのだが、自分の足で大地を踏みしめてゼロから出発という感覚が大好きだ。江田島に上陸し、左手に売店兼休憩所を過ごし、その先で江田島町観光案内図を確認、これから進む行程を頭の中に入れて行く。

江田島に上陸 切串港のターミナル

 港を出発し、まず東方向に進むと長谷川の河口に着く。川を挟んで東の切串小学校では暖かな陽差しの下で球技大会が開催されており、とてものどかな風景である。この先長谷川に沿って上流に登って行くことになる。切串大橋を過ぎ、川沿いの緩やかな坂道をゆっくりと散歩気分で進んで行く。12月というのに暖かく、典型的な小春日和である。

切串小学校では球技大会が行われていた 長谷川の川沿いを上って行く

 登山開始から20分程度で舗装路は左に向き、正面に古鷹山を見ながら進んでいると、左手に弁財天が鎮座されているのでお参りをする。更に数分進むと正面に古鷹山登山口の石碑を見る。左上に江能水道企業団の切串浄水場を過ごすと林道の坂が少しきつくなる。相変わらず右手には畑を見ながら進み、ふと後ろを振り返ると切串港が遠くなっている。

弁財天 古鷹山登山口の石碑

 標識を見ると港からはもう2kmを歩いてきていることが判った。左手に道標(林道案内)を過ごし、その先では右に林道が分岐している。分岐の地点に古鷹山登山案内図が立っており、案内図を見るとクマン岳へも登ることが出来そうだ。当初の予定では小用港まで縦走することを予定していたが、案内図を見て心が動く。

道標(林道案内) 古鷹山登山案内図

 まずは古鷹山を目指して進むことにし、右手にきれいな池を見る。その左手には林道開通記念碑があり、この道を進んでも学校林を経由して古鷹山に行けるそうだが、しばらくは舗装路歩きを続けることにした。林道に戻り、舗装路を道なりに登って行くと北の展望が広がり、似島から宇品にかけての展望が広がってきた。

右手のきれいな池 似島から宇品にかけての展望

 古鷹山方面を眺めると岩峰が目立っており、ワクワクするような岩に感動する。間もなく公園のような植林祭広場に到着、反対側の一段高い場所は遊具のある子供の国のようだ。右手にソロプチミストの森の標識が立ち、その左に横木の階段道が見えてきた。この階段道こそが古鷹山に向かう登山道入口である。入口には指導標が立ち、古鷹山まで1.4kmと書いてある。ここまで港から丁度1時間が経過、快適な林道歩きだったので疲労感は全くなく、散歩の延長のような感覚である。

植林祭広場 「ソロプチミストの森」の標識から階段に向かう

 すぐに階段道に向かい、少し登ると南方面の木の間越しに海が見えた。明るい陽差しの登山路を更に進むと素晴らしい瀬戸の展望地に到着、あー素晴らしい景色だ。眼下には呉の港から倉橋島・東能美島・西能美島と続く島々、その間を駆け抜けているフェリー、明るい陽差しの中で海がきらきらしている。

展望地から南東方面の展望

 これから向かう山の稜線には反射板が見えてきた。これからこの稜線を超えて行くのだ。まだまだ山歩きは始まったばかり、これからどんな展望が待っているのだろうか、想像するだけでワクワクしてしまう。

西方面の展望、これから向かう山(右の山)には反射板が見える

 もう一度落ち着いて東の展望を確認する。対岸の呉市の海岸線には工場の煙が棚引き、三津峰山にはアンテナが見える。江田島湾にはカキ筏が沢山並んでおり、江田島がカキのむき身の生産量日本一であることもうなずける。展望地を出発、横木の階段道を進み アップダウンを続けながら少しずつ西に向かって進んで行く。

眼下に岩山を見る 階段道に向かう

 道は明確で歩きやすく、背後を振り返れば呉の灰ヶ峰の白いレーダードームがくっきりと見えている。手前の林道をたどると先程から歩いてきた道を一望することが出来る。広島市街を眺めると厚い雲が垂れ込めており、北と南の展望が江田島を挟んで全く違うことが新鮮な驚きである。北と南の展望の対比を楽しみながら階段道を登っていると全く疲れを感じない。

灰ヶ峰には白いレーダードームが見える 宇品方面の海は荒れてきた

 眼下に小用の港が近くなると、もう反射板は目の前に見えている。足下の花を踏まないように進み、ようやく反射板の後ろまで着いた。反射板の下には大岩が点在しており、やはりこの山は岩山のようだ。古鷹山まで1,343mの指導標を過ごし、平坦な道を進むと眼下には穏やかな江田島湾、対岸には西能美島が続き、南には大黒神島、更にその先には周防大島の嵩山までがくっきりと見えている。素晴らしい展望は歩を止めるので、しっかり時間をかけながらゆっくりと周囲の展望を堪能する。

足下の花

矢ノ浦港方面 西能美島方面

 この先倒木の箇所を抜け、滑りやすい土質の坂を慎重に行くと平坦地に着き、間もなく古鷹山へ380mの指導標の隣に立つ古鷹山の三角点に到着した。三角点にて記念撮影の後、指導標に従って真っ直ぐに進むが、だんだん坂を下りて行くことになり、向かいに岩山を見る事になる。ん、この山は古鷹山のようだ。ということはこの道は切串に降りる道のようだ。どうしてだろう?と三角点まで引き返す。

平坦な尾根道を進む 古鷹山二等三角点

 指導標をもう一度確認するとなんと指導標が90゜ずれていることが判った。古鷹山の主峰へは南方面に滑りやすい道を降りて行く事になり、急な斜面を降りて行くとベンチが設置されている。左下からは小用港からの登山路が続いており、下山はこの道を取ると博打岩を経由して小用港に着くことになるようだ。

三角点先から左の滑りやすい道を下りる 小用港からの登山道と出会う

 岩の目立つ道を進むと古鷹山へ200m、古鷹山二等三角点に300mの標識を右に過ごし、ベンチを過ぎると右手に切串方面下山道・トイレ600mの標識が立っている。正面には岩山の古鷹山がそびえており、ワクワクするような山容だ。

 さあ、古鷹山に向かおう。

切串方面下山道・トイレ600mの標識 古鷹山山頂を見上げる

 最初に岩の道を進むと、すぐに残り140m標識を左手に見る。正面には細い鎖の渡された岩場が現れた。慎重に足場を選んで少しずつ岩を登って行く。あー今、鎖の渡された岩場を登っている。

鎖の渡された岩場を登る

 少しずつ高度が上がっている。岩の上に登り、登ってきた地点を見下ろす。うーん、この瞬間がたまらない。少し登るとまた鎖が渡してある。岩をゆっくりと登って行く。幸せの瞬間だ。

登ってきた地点を見下ろす 更に鎖の渡された道が続く

 岩に渡されたロープの助けを借りながら、岩の急斜面に沿って高度を上げて行き、山腹の岩に渡された鎖を伝って少しずつ登って行く。間もなく広島市街が見渡せる展望地まで着き、太い鎖に助けられながら最後の試練の岩場を抜ける頃には、嬉しくてしょうがない。

ロープの渡された岩の急斜面に取り付く 鎖の助けを借りて進む
眼下に切串港が見えてきた 最後の岩場を抜ける

 眼下を見下ろし、登ってきた岩場を確認する。鎖が終わりになると左手にお地蔵様が鎮座されているのでお参りをする。無事にここまで来られたことに感謝する。

岩場を見下ろす お地蔵様にお参りする

 その先の坂を進むと、大きな八方園の方位板の立つ古鷹山の主峰に到着である。山頂には方位板の他、古鷹山の由来の説明板、五省訓の由来等が設置されており、西に進むと岩場の展望地となっていた。古鷹山山頂からは周囲に素晴らしい展望が広がっている。

八方園の方位板 古鷹山頂上の石碑
古鷹山の山頂風景・方位板を見る 山頂西の展望の岩

 まずは山頂西の展望の岩から南方面に東能美島・その先の倉橋島、西に向かって西能美島・更に宮島までの展望が素晴らしい。特にカキ筏の並ぶ展望には思わず見とれてしまうほどの素晴らしさだ。北方面には出発地の切串港が広がり、広島市街の展望も素晴らしい。

古鷹山から南の展望

古鷹山から西の展望

 方位板の場所に戻り南の展望地に行くと呉から倉橋島に向かっての展望が広がり、方位板の北にある展望の岩からは切串港から広島市街、呉市に至る展望が広がっており、どの方向を見ても感激の展望だ。

古鷹山から北の展望、眼下には切串港

古鷹山から東の展望

 再び山頂西の岩場にて西方面の展望を楽しみながら遅めの昼食を取る。昼食後にはゆっくりとコーヒータイム、堪えられないおいしさだ。さて、これからどうしようか。

1.来た道を引き返し、博打岩を経由して小用港まで縦走する。

2.クマン岳まで行き切串港に引き返す。

クマン岳への指導標 クマン岳へ向かう縦走路

 クマン岳に向かうことにした。クマン岳に向かうにも鎖場を再び楽しもうか、西の縦走路を取るか悩んだが西の縦走路を取ることにした。岩場の先に向かい、急な階段道を下りて行く。急な坂を慎重に下りていると古鷹山に向かう指導標が整備されていることに気がつく。この道は林道から続いており、比較的よく歩かれているようである。12月と言うこともあり、冬枯れの縦走路はとても歩きやすくなっている。

急な階段道を下りる 古鷹山を振り返る

 途中で古鷹山を振り返りながら特徴的な岩を楽しみ、山頂からは20分で林道に到着、林道から古鷹山へは1km程度の行程のようだ。林道を数メーター下りると左手にクマン岳への登山口を見る。急な階段道に取り付き、いよいよ江田島最高峰クマン岳に向かうことにした。

クマン岳登山口標識 クマン岳に向かう

 最初のピークに着き、これから向かう方向を眺めると素晴らしい岩峰が待っていた。特に次のピークに見える尖った岩、どんな岩なんだろう。近くまで行けるのだろうか。再びワクワクしながら急ぎ足となる。ピークから一旦坂を下り、再び登り返すと西の展望が広がってきた。特に宮島方面が素晴らしい。正面には尖った岩が近づいてきた。何という岩だろう。早く近くまで行きたい。

宮島とカキ筏の展望 尖った岩が見える

 坂を登っているといきなりコンクリートの階段道となりびっくり、更に坂を進んで行く。背後の南方面には古鷹山が美しく、尖った岩はますます近くなり美しくなっている。と、分岐が現れ右に山頂、左には帆立岩・・・・・、帆立岩だったのだ。

コンクリートの階段を上る 帆立岩を見上げる

 帆立岩に向かうとその大きさにびっくり、背丈の倍以上ある岩に感激、しばらく岩と戯れる。帆立岩からは南から北にかけての展望が素晴らしく、特にカキ筏が眼下に並んでいる展望は見惚れるほどである。帆立岩からの展望に満足しいよいよクマン岳の山頂に向かうことにした。

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帆立岩

帆立岩から宮島方面の展望

 階段道を登りながら高度を上げて行くと東に呉の町並み、南に古鷹山の展望が広がり歩く速度が極端に遅くなっていることを自覚する。すぐにクマン岳の山頂に到着、平坦な山頂を奥に向かい、三角点と山頂標識を確認、少し引き返して展望の岩の上に立つ。展望岩の上からは、東から南方面の展望が開けており、呉の市街から南の古鷹山に至る展望を確認する。

クマン岳展望の岩から呉方面の展望

クマン岳展望の岩から古鷹山と南方面の展望

1

 その後、山頂標識の立つ、西方面が開けた展望地に向かう。帆立岩から見えた展望が更に広がっており、いつまで見ていても見飽きない景色である。

クマン岳山頂 クマン岳から眺める似島方面

 と、山頂ノートを見つけたので書き込みをする。北方面に降りることが出来るのかと言う書き込みを見る。確かに北の方面に続く道を確認することが出来るが、少し草が茂っているようだ。フェリーの中で江田島の方と話す機会があり、「古鷹山に行くならクマン岳まで行くと良い。クマン岳からは切串港に抜ける道がある」。「少し荒れているかも知れんが・・・」と言っていたことを思い出した。

 時刻は午後3時半、夕暮れまで1時間半、万一道が無くなっても林道に引き返せば大丈夫・・・、と言うことで北の道を取ることにした。うまく行けば切串港まで周回することが出来るかも知れない。

クマン岳の展望地 山頂右手の踏み跡に向かう

 おっかなびっくりでクマン岳を出発、少し進むと目印の赤いテープを確認、これは大丈夫だと少し安心する。冬枯れのこの時期なので踏み跡もしっかりしており、目印のテープを確認しながら快適に進む。途中には大岩を迂回したりで楽しい下山が続く。岩場を抜けていると突然展望が開けることもあるが、総じて木の間越しの展望であり、いつ道が終わるのかという不安を感じながらも、踏み跡を確かめながら快調に尾根道を進んでいる。

大岩の横を抜ける 広島方面の展望が広がる
クマン岳を振り返る 東の展望が広がる

 そのうちに足下に目印の赤い杭が続いていることが判り、この杭がこの先の道案内となりそうだ。杭とテープを確認しながら一気に平坦な尾根道を進んでいる。心細い思いの中で突然開ける展望が元気の源となる。黙々と尾根を外さずに進んでいるとシダの茂る地点となり、ピラカンサスの赤い実がたわわに実った付近から切串港方面に向かって降りる道となる。この時点でクマン岳まで引き返す必要が無くなったことを確信する。

道案内の赤い杭 眼下に似島を見る
分岐点のピラカンサス群生地 分岐を右折し下りて行く

 この先は滑りやすい落ち葉に気をつけながら慎重に降りることになる。シダが左右に茂る場所を抜け、山腹の岩場を通り過ぎ、木のトンネルを潜り抜ける頃にはシダの姿が周囲から消え、間もなく林道終点に降り立つことが出来た。

シダの茂る道を下りる 山腹の岩場を通り過ぎる
林道に到着 林道横の堰堤

 後はもう切串港に向かって降りるだけ、左手にみかん畑を過ごし、突き当たりの分岐を左折し緩やかな坂を下りていると江田島三丁目にいることが判った。なおも道なりに北に向かって坂を下りて行くと間もなく切串港のフェリー乗り場に到着、古鷹山・クマン岳の縦走が終了した。

ミカン畑の横を進む 切串港に到着

 素晴らしい休日を一日中江田島で過ごすことが出来たことに感謝、フェリーに乗り込み江田島を後にした。フェリーからいつまでも江田島・古鷹山を眺めていた。

フェリーに乗り込む 江田島を振り返る

さらば江田島

 夕日は今まさに宮島方面に沈もうとしており、素晴らしい夕日に感動、古鷹山から最後のプレゼントを頂いたようだ。

宮島に沈む夕陽 夕暮れの安芸小富士

安芸小富士

縦走路途中から東の展望

クマン岳

古鷹山への岩の急斜面

鎖を伝って登る

宇品方面、眼下には切串港

宮島方面とカキ筏

帆立岩

クマン岳の展望岩から東の展望

夕陽

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歩いた足跡  

登山口周辺の地図はこちら 江田島市 古鷹山 登山口付近のMAP

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