長門峡の紅葉、滝橋、シャクナゲ岩、絶壁展望岩、セッコク岩、美少年の滝、阿武大橋 山口県萩市

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2022年11月6日
滝橋 →1:00→ ツルマンリョウ雌株 →0:25→ セッコク岩 →0:20→ ガイシ

→0:15→ 絶壁展望岩 →0:40→ 美少年の滝 →0:50→ 阿武大橋 →0:40→ 滝橋

全歩行時間 4時間10分
登山行程図(地図をクリックすると拡大)

 昨年11月柳井市平郡島住みます芸人の「ぶるぼん」さんが北浦自然観察会「山道開拓団」の永井要明さんの案内により長門峡の滝橋から阿武大橋まで踏破された。この時の登山道の状況を山口県のKRYテレビが放送していたのをたまたま見ていると、以前この場所に行ったことを思い出した。
県道から南に重塀岩を眺める 絶壁展望岩は霧の中

 以前というのは平成21年(2009年)6月13日、今から13年以上前の事である。テレビ放送は丁度一年前だったので、当時はすぐにでもこのルートへ行こうかと思ったが、紅葉の時期は終わっていたため、次の予定は今年の6月頃のシャクナゲ・セッコクのシーズンだったがいつの間にか忘れていた。

切籠切窓 長門峡隧道を潜る

 最近紅葉の季節に入ったのでこの長門峡の秘境のことを思い出した。登山口は萩市川上長門峡隧道の滝橋側である。隧道の反対側に駐車スペースがあるので車を置いて登山を開始した。なお、駐車地の向かい側には阿武川を挟んで切籠切窓がそそり立っていた。

長門峡隧道先から登山道に入る 入口に掲示された案内

 長門峡隧道を潜り出たところが滝橋で、この左側が絶壁展望岩を経て阿武大橋へ続く本日の登山口である。手製の案内には絶壁展望岩・ツルマンリョウ・シャクナゲ・美少年の滝・阿武大橋方面と表示されていた。
 全行程図も置かれているので位置関係を頭に入れて登山道に入ることができる。ただし全行程に配置されている補助のロープについては安全を保証するものでは無いとあり、自己責任において安全を確かめないといけないのは言うまでもない。

登山道に入る 一旦下って登り返す
岩の横の急登に取りかかる 補助のロープを使う
 さて登山開始、橋の横からわずかに下って登り返す。テレビでも永井氏が話していたが最初の200mがきついとのこと。少し登ると左右にロープがあり、右が正しいルートと表示されていた。左は落石があるそうだ。進路はロープに沿って高度を上げる。従ってロープに沿って登れば間違いないようだ。
ツルマンリョウ・シャクナゲへ向かう 急登が続く
見上げるほどの大岩 急斜面なのでロープがありがたい

 途中で右に絶壁展望岩への近道(ツルマンリョウ・シャクナゲにも行けるとある)が分岐するが、順路なのでツルマンリョウを眺めるため左の道をとる。岩の上に続くロープを辿るため登山口からストックはリュックに入れたままで、これは水平道へ着くまでこの状態が続き、両手を使って補助ロープを辿る。

ハシゴを使って岩を乗り越える
更に急登が続く 足下が細いのでロープが無いと不安

 目印は赤または黄色のテープが木に巻かれているが、色があせ始めてわかりにくいところが目立ち始めていた。やがてアルミ製のハシゴを登り更にロープを伝って高度を上げる。この先の左右の分岐は右へ向かうと目印のテープに出会った。当日は目印が解らなくなると進んだ先で突然目の前に目印が現れた。

時折現れる手製の案内 目印のテープが残っていた
左右の分岐に着いた ツルマンリョウを見るため右(東)へ進む

 ツルマンリョウ・シャクナゲの案内を過ごし、少し足下が歩きやすくなった。坂の傾斜を感じながら尾根へ向かって高度を上げる。やがて突然という感じで左右に続く水平道に着いた。これで一安心で、ここまで一度も道を間違えることは無かった。それだけ慎重にルートを探していたと言うことだろう。

足下が細い ツルマンリョウ自生地の案内
ツルマンリョウ雄株 雌株への案内

 ツルマンリョウ・シャクナゲを鑑賞するたる進路を左(東)へとる。山腹につけられた足下の細い道が続き、足を踏み外せば下まで転がり落ちそうだ。慎重に足場を選んで進み、尾根の端に着いた。足下にはツルマンリョウの雄株が群生しており自生地の案内が置かれていた。実のなる雌株を鑑賞するには高度を上げないといけない。

陽が差してきた 雌株の自生地に着いた
ツルマンリョウの自生地と雌株

 尾根道を南へ進み、高度を上げればすぐにツルマンリョウの雌株の群生地に着いた。幸いにも3つの朱色の実を眺めることができた。これでツルマンリョウは鑑賞したので先ほどの分岐まで引き返したが、残念なことにシャクナゲ(東シャクナゲ岩)を確認することを忘れていた。ツルマンリョウの下へ向かうと東のシャクナゲ自生地があったようだ。

分岐まで戻り西へ進む 沢を渡る
炭焼き窯跡を見学 シダの多い場所に向かう
 さて、分岐を出発し西へ向かう。足下に踏み跡を確認しながら進んでいると途中で沢を渡り、この先で炭焼き窯跡に出会った。登山道はこの上に続いており、更に進むと登山道はシダの中に続いていた。すぐにシダが消えると下に向かって西シャクナゲ岩の案内が置かれていた。
西シャクナゲ岩へ向かう 急斜面はロープを補助に下る
シャクナゲに出会う

 ロープを伝って急斜面を下りるとすぐに蕾のついたシャクナゲに出会った。更にロープを伝って高度を下げると西シャクナゲ岩に到着、眼下に阿武川と重塀岩を眺めることができた。この展望を眺めるために今日は朝早くから出発したのだ。素晴らしい展望に初めて満足することができた。

シャクナゲ岩から絶壁展望地を眺める 眼下に重塀岩

 重塀岩の左上には本日のハイライトともいえる絶壁展望岩がそびえており、松の木が1本伸びていた。テレビではあの場所に着くために1時間かかると話していたことを思い出した。西シャクナゲ岩から分岐まで引き返し踏み跡を辿る。

細い道を進む 沢を詰める
岩の上に向かう 広い道に着く
白いガイシ 広く安全な道

 そのまま谷を詰め、岩の上へ向かうと明確な広い道に着いた。これは山仕事に使われた道と思われる。明確な道を辿っていると送電線に使われる白いガイシが2つ置かれていた。かつてこの付近に送電鉄塔が置かれていた名残だろう。

頭上に紅葉を鑑賞 絶壁展望岩へ向って右上へ進路をとる
分岐を左で重塀岩へ 分岐を右にとり絶壁展望岩へ向かう

 快適な道がしばらく続き、頭上に紅葉の始まりを探す余裕まで出てきた。やがて「ウスギムヨウラン」の案内のある場所で絶壁展望岩への分岐が現れた。山道から右上へ続く道に入り、尾根へ着くと左右の分岐となる。左は重塀岩で、道は悪くヤブコギ気味と案内されていた。右が絶壁展望岩へ続く道であり、「あと5分ガンバレ」と書かれていた。

少しずつ高度を下げる 絶壁展望岩へ到着
松が一本立っている 眼下に重塀岩、西に見えているのは麦谷橋

 展望岩へ向かって苔の目立つ道を辿り、頭上に広がる紅葉を観賞しながら少しずつ高度を下げればすぐに展望岩に着いた。展望岩の中央には松の木が1本だけ立っており、下から眺めたときの目印となりそうだ。展望岩から眼下に重塀岩がそびえ、北西には朱色の麦谷橋が紅葉の中に鮮やかだ。

重塀岩を後から眺める 西に出発地の滝橋、背後に切籠切窓
背後に紅葉が美しい セッコク岩へ向かって高度を下げる
 東には出発点の滝橋がやはり紅葉に映えており、その背後には切窓切籠の大岩が迫ってきている。紅葉と阿武川と橋と青空が素晴らしい。わくわくするような展望を眺めることができるのはこの場所に至る苦労が大きかったからかも知れない。少し落ち着いたところでセッコクを鑑賞するため急な坂を下ってみた。
ロープを伝って斜面を下る セッコク岩
絶壁の岩にセッコクを眺める

 一度に5名が限度と言う広さの岩に向かってロープを伝って下りてみた。岩壁にはセッコクが多く残っていたので6月頃には白い可憐な花を咲かせるのだろう。ただし松の木に咲いていたセッコクは無くなってしまったようだ。セッコク岩から重塀岩などを眺め、ロープを伝って展望岩まで引き返した。

まさに絶壁 展望地まで引き返す
分岐まで引き返し美少年の滝・阿武大橋へ向かう 補助のロープを伝う

 時刻は少し早いようだが展望を眺めながら昼食を摂り、展望岩を出発した。分岐まで引き返し快適な道を西へ向かう。進路は途中から一旦北へ向き、やがて南へ向かってつづら折れの生活道を下る。基礎の石組みがきれいに残っており、かつては牛馬が荷物を運んだと言われている。

石組みが残っている かつて牛馬の通った生活道
炭焼き窯跡 美少年の滝へ向かう
炭焼き窯跡の横を通過 沢沿いを進む

 広い道を下っていると炭焼き窯跡を左に過ごし、更に下っていると美少年の滝への案内が現れた。案内に従い左側へ向かうと草に覆われた炭焼き窯跡を左に見送り前方に沢が現れた。この先から沢に沿って少しずつ高度を上げるとすぐに全長20mと言われる大きな滝に到着、これが雁の瀬の滝(美少年の滝)である。

雁の瀬の滝(美少年の滝)
案内に従い坂を下る ロープが渡されていた

 水量は少ないが見上げるほどの大滝には感激、しばらく頭上の大滝を眺めて小休止。さて、いよいよ最後の行程で阿武大橋へ向かう。分岐まで引き返し次の方向は少しヤブ化した下の方向で、草を分けて進むと左側にロープが現れた。今日は迷いそうになったときに向かった所がそのままコースとなっていた。

沢を横切る 山口県の標識の所から道は続く
細い道にロープが渡されている 足下は切れ落ちている

 沢に下りてここでも向かう方向を失う。下を見ると阿武川なので水平方向を探すと山口県の石杭が見えたのでこの方向へ向かうとロープが続いていた。この先からは水平道を辿れば大丈夫なのだが、足下が細くその下は奈落の底状態。一層の緊張感を保ちながらロープを伝って進む。

ペットボトルがリュックから落ちて途中で止まっている
補助のロープが無ければ怖くて進めない
 余り緊張したのでリュックの横に着けていたペットボトルが阿武川に向かって転がったが途中の不安定なところで引っかかっていた。ペットボトルを放置することもできないので危険な斜面を下り、無事にペットボトルは回収したが、片手にペットボトル、片手に木をつかんだところで足下が滑り宙づり状態、何とか体勢を立て直して事なきを得た。やはりこのコースの足下は滑りやすい。
足下の狭い道 補助のロープを使う
危険な道が続く
阿武大橋が見えてきた 最後の難所を通過

 右側に朱色の阿武大橋が見えてくれば終わりが近い、足下が歩きやすくなったと思ったらすぐに阿武大橋の横に下り立った。このときの達成感はすごいものだった。阿武大橋を出発、これから2.8kmの鋪装道を歩いて滝橋の先まで引き返す。

阿武大橋の横に下り立った 阿武大橋を渡る
長門峡の紅葉
阿武川 麦谷橋

 阿武川の先に広がる青い空と紅葉を眺めながら麦谷橋に着き、重塀岩を眺めその上にそびえる絶壁展望岩の位置をさがす。松の木が1本見えているのが展望岩の印で、この木はすぐに見つかった。更に鋪装道を進み展望岩を眺めていた人が立っている場所に立ち、展望岩の上にいる人が見えるか確かめたが、肉眼では見えそうに無かった。

重塀岩 絶壁展望岩を見上げる
紅葉を観賞
絶壁展望岩には松の木が一本立っている
切籠切窓 登山口の長門峡隧道に戻った

 この先も道の左右に紅葉を眺め、滝橋まで帰り着いた。再度登山口に入ってみたが、よくもこの場所から取り付いたものだと感心した。周辺の写真を沢山取って駐車地まで戻り登山を終了した。その後もう少し阿武川の上流へ向かってみると左側に堰が設置されていた。何の気なしにこの道を下り周辺を眺めて引き返した。ところがこの堰こそが秘境金郷渓の端に位置する江毛九郎堰だった。残念、もう少し丁寧に写真を撮っておけば良かった。

切籠切窓 江毛九郎堰の先の金郷渓
ツルマンリョウの実
絶壁展望岩
紅葉と滝橋
麦谷橋と重塀岩
重塀岩
セッコク岩へ続く道
当日のセッコク
開花時期のセッコク
今は無くなってしまったセッコク岩のセッコク(2009年撮影)
炭焼き窯跡
雁の瀬の滝(美少年の滝)
阿武大橋へ続く道
重塀岩
絶壁展望岩
紅葉
金郷渓の先の江毛九郎堰

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歩いた足跡  
登山口周辺の地図はこちら 山口県萩市 滝橋 登山口付近のMAP
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