第三回漂流記

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第三回漂流記

 私のボートの係留地は、因縁の津海木海岸となり、海岸を出発し周辺海域で毎週のように釣り三昧を楽しんでいた。友人は忙しいので友人の親父さんと一緒に釣りを楽しむ事が多くなり沢山の釣り場所を教わりながら少しずつ釣りの腕が上達してきた(と自分では思っていた)。

正面には高塔山

 釣れても釣れなくても法師崎の景色は美しく、当時は山に興味はないものの、正面にはアンテナの立つ高塔山、遠くに見える源明山の美しさを満喫していた。

 と・・・、釣りに慣れ始めた夏の日、カワハギを沢山手づかみした上荷内島付近で釣りを始めた。当日は風もなく快晴の釣り日和で、竿を降ろすと同時に魚が釣れ始めた。今日も大漁だと確信しながら場所移動を繰り返す。

法師崎の向かいの上荷内島

 潮の流れにより、魚がいる場所を過ごすともう一度元の場所に移動する事を繰り返していると、なんかエンジンの音が軽くなり、船外機のスロットル(アクセル)の位置に違和感を感じたので振り返ると船外機がボートから外れ始めていた。

 これは大変と船外機を掴もうとしたのだが、ああ無情・・・するりと手を離れ船外機は海の中へ落ちてしまった。しまった!、船外機が無ければ大変な事になる。と・・・、まだ船外機は燃料ホースで繋がっている。

 大丈夫だ、慎重に燃料ホースを引き上げればまだなんとかなりそうだ。慎重に燃料ホースを引き上げて行き、やれやれ、不幸中の幸い、なんとか船外機を引き上げる事に成功しそうだと・・・、思った矢先に燃料ホースは無情にも外れてしまった。

 船外機はゆっくりと海底に沈んで行くのが見えており、とても情けない状況になってしまった。さて、上荷内島から法師岩までは直線距離で800m、どうしようか。碇を下ろしてしばらく釣りをしながら考える。

上荷内島から眺める法師崎

 今日は大した風もなく、流れも穏やかである。また、オールも1本あるので、このくらいの距離ならなんとか帰れそうだと判断、碇を上げて出発する。ところがオール1本での船を動かすのは容易ではなく、途中で休んでいると潮に流されてしまう。

 どのくらいの時間を掛けたのだろうか、休み無くオールを動かしていると懐かしい法師岩の前まで2/3程度近づいたところでギブアップ、付近で釣りをしている船に最後の力を振り渋って近寄り、事情を話して津海木海岸まで曳航してもらった。

左端は法師崎 右端は上荷内島この間約800m

 津海木海岸に着くと同時にへなへなと砂浜に座り込んでしまった。この先1週間、毎晩船外機が海に落ちる夢を見てうなされてしまった。

 なお、船外機事件から2週間後には注文していた船外機が届き、私は再び法師崎付近を駆け回っていた。全く懲りない自分が頼もしく感じた時期である。ピーク時には週に2日海に出て釣り三昧を楽しんでいたが、ある出来事を機に海から山へ転向、現在に至っている。

彦島

 今、マイボート幹栄丸は陸に上がっている。昨年(平成18年)海に出たのは1回、とうとう今年は1回も海に出る事は無かった。でも私は海が大好きなのでいずれ海に戻る日が来ると思っている。その日まで幹栄丸は休養をしている。

法師崎と法師岩

 

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