船上山(せんじょうさん) 鳥取県琴浦町

2007年9月22日

船上山・甲ヶ山

東坂登山口 →0:30→ 船上山行宮之碑 →0:10→ 船上神社 →0:45→ 天王屋敷跡分岐

 →0:50→ 勝田ヶ山三角点 →1:00→ 甲ヶ山山頂 →0:50→ 勝田ヶ山三角点

 →0:35→ 天王屋敷分岐 →0:35→ 船上神社 →0:10→ 船上山行宮之碑

 →0:25→ 東坂登山口

全歩行時間 5時間50分

 船上山少年自然の家に行き登山口を確認する。駐車場前から続く舗装された遊歩道の先には目印の鳥居が立っており、鳥居を抜けて進めば東坂登山口に着くはずである。この場所の標高が約260m、甲ヶ山まで登ると標高差1000m以上の山歩きとなるのでとても魅力を感じるのだが、船上山ダム周辺から眺める船上山の展望も楽しみなので少年自然の家から出発し、まずはダム湖に向かう。

船上山少年自然の家駐車場 船上山登山口

 船上山ダムの手前から眺める船上山はとても素晴らしく、何回も写真では眺めていた風景だが、やはり本物の迫力は全然違い、目の前に見える断崖(屏風岩)はとても迫力があり、この風景を見るだけでもこの場所に来て良かったと感激した。

船上山ダムの手前から眺める船上山

 ダム湖を挟んで眺める船上山は本当に素晴らしく、双眼鏡を取り出し左手に見える千丈の滝を眺める。勢いよく流れ落ちる滝の迫力にも感激、見るもの一つ一つが素晴らしい発見である。

千丈の滝 船上山展望駐車場より眺める船上山

 ダム湖を出発し、少し先の船上山展望駐車場より眺める船上山も美しく、見る角度が変わるたびに全く違う展望となるのが素晴らしい。あちこち寄り道をしながら少年自然の家からは45分も掛けて東坂登山口に到着、わずかな距離にたっぷりと時間をかけてしまった。

 東坂登山口には国指定史跡「船上山行宮跡」の説明板が掲示されており、登山の前に船上山に対する知識を頭に入れておくことにする。

東坂登山口 説明板(写真をクリックすると拡大)

 さあ、いよいよ東坂登山口を出発する。横木の階段道を登って行くと眼下には船上山ダム湖が美しく、正面には船上山の手前に立ち並ぶ赤松が緑の草原に映えて更に美しい光景だ。右手には文政6年(1823年)建立の「船上山の一丁地蔵」が立ち、私を迎えてくれている。

赤松と船上山 船上山の一丁地蔵」

 すぐ右手に森林鉄道跡への標識を過ごし、美しい赤松林を抜けて行くと左手に探勝道(横手道)を見る。説明には「途中山頂へ通じる道がありますが、急峻のため健脚向きです。」と書いてある。私は健脚ではないので、そのまま登山道を進むことにした。北の方面には日本海を霞みの中に確認することが出来る。今日は天候が下り坂なので、山頂付近からの展望は望めないかもしれないので、見える範囲内の展望を楽しみながら進むことにする。

赤松林を抜けて行く 左手に続く探勝道(横手道)
日本海を霞みの中に確認する 広い船上神社への参道を進む

 広い船上神社への参道をゆっくり登っていると、途中には石に根ざす大木を過ごす。いつもながら木の持つ生命力には勇気づけられる。間もなく左右にススキと笹の茂る平坦な道が現れ、船上山国有林の標識を見る事が出来た。この付近は薄(すすき)ヶ原と呼ばれる場所のようだ。

薄(すすき)ヶ原に到着 頂上小屋

 ススキの原を左方向に進むと頂上小屋が建っており、その先には船上山行宮之碑が立っている。この石碑から南方面に下って行くと千丈のぞきと呼ばれる絶壁を見下ろす場所が待っているのだが、千丈のぞきは後に回すことにし、まずは船上山山頂を踏むことにした。船上山山頂といってもすぐ目の前であり、緑色の説明板の立つ付近が船上山615mの山頂であることは説明板の地図を見て初めて納得することになった。

船上山行宮之碑 船上山の説明板

説明板には次のように記されている。

歴史と景勝の山「大山隠岐国立公園 船上山」

 船上山(615m)は、南に連なる勝田ヶ山(1149m)甲ヶ山(1338m)矢筈ヶ山(1358m)と共に、古期大山(約100万年前)の外輪山と云われている。頂上は広く平坦で、東西及び北は柱状節理による高さ100m以上の崖(屏風岩)で天然の城塞をなしている。この屏風岩の南端に、勢い良く流れ落ちる雄滝と雌滝があり、この二つの滝を総じて千丈滝と呼ぶ。船上山は、平安時代の初期(約1100年前)から山岳仏教が栄え、大山、三徳山とともに伯耆三嶺と呼ばれ、修験者の霊場であった。また、元弘の乱により隠岐へ流された後醍醐天皇が1333年に隠岐を脱出、名和長年に助けられ船上山合戦に勝利し建武新政の礎となった歴史の山である。

千丈のぞきへの標識 滑りやすい斜面を下りて行く

 船上山の山頂を踏んだようなので、船上山行宮之碑の右手から続いている千丈のぞきへ向かって下りて行くことにした。少し下りると急な斜面となり、慎重に下りて行くこと5分で岩の張り出した場所に着く。

屏風岩の上に着く 千丈のぞきより見下ろす

 安全な道を選び、張り出した岩の上に立つと周囲には断崖絶壁が広がっており、思わずへっぴり腰になっしまった。眼下には船上山ダム湖が広がり断崖の上に立つ赤松が一際美しい。しばらく岩の上からの絶景を眺めた後、急な斜面を慎重に引き返した。

千丈のぞきから眺める屏風岩

 船上山の山頂を過ごし、更に登山道を奥に向かって進んで行くと、左手に水の流れている施設が見えてきた。ガラスコップが横に置いてあるので、この水は飲めるのかなと近寄ってみると、飲料水ではありませんと書いてあった。船上神社の手水用かな?等と考えながら歩いていると正面には石段が見えてきた。この場所は一の木戸と呼ばれる場所のようで、石段の手前には苔むした石塔の跡が残っている。

一の木戸 石塔の跡

 石段を過ごし緩やかな坂を進んで行くと右手には船上山古石塔群が立ち並んでいる。苔むした石塔群を眺めていると、平安時代からの時の流れは今に引き継がれ、更に未来へと繋がっていることを感じることが出来た。

船上山古石塔群 説明板(写真をクリックすると拡大)

 古石塔群を出発するとすぐに広く平らな寺坊跡を過ごし、船上神社前に到着した。神社手前には西坂登山口への分岐標識が立ち、その横手には後醍醐天皇が即位された文保2年(1318年)の年号を刻んだ石塔の台石があり、年号を持つ現存の塔では鳥取県内最古のもので、石造美術史上貴重なものであるそうだ。

寺坊跡を過ごす 西坂登山口への分岐

 船上山付近は後醍醐天皇の史跡が多く、この付近は正しく歴史散歩そのものである。いよいよ船上神社に参拝することになるのだが、船上神社の由来については神社手前に智積寺(ちしゃくじ)と船上神社の説明板に簡単に記されているので、しっかりと知識を頭に入れて神社に向かう。このように少しずつ歴史を学びながら散歩を続けるのも悪くない。

船上神社に参拝 説明板(写真をクリックすると拡大)

 船上神社に参拝し、奥宮へ向かって船上神社の右手に進むと樹高23m、周囲(地上1.5m)5.6mの杉の大木が立っている。この木は船上神社のご神木だろうか、大きな木を眺めた後、神社から180m先に立つ奥の院へ向かう。

神社横の大木 奥の院

 平坦な道を進んで行くと、先ほど説明のあった智積寺の本堂跡を左手に、右手には後醍醐天皇行宮跡を過ごすと正面に船上神社奥の院が現れた。2本の木の間に立つ奥の宮はとても威厳のある祠のようだ。祠前にて記念写真を撮り、周囲を散策し智積寺本堂跡と後醍醐天皇行宮跡をゆっくりと眺める。智積寺は470年前、後醍醐天皇は670年前の遠い昔、この地にて歴史は確かに動いていたようだ。

智積寺本堂跡(写真をクリックすると説明文を表示) 後醍醐天皇行宮跡(写真をクリックすると説明文を表示)

 奥宮にお参りした後、船上神社まで引き返し、いよいよ勝田ヶ山・甲ヶ山に向かって大山縦走路に入る。縦走路は船上神社の左手から続いており、縦走路入口の標識が立っているので道を間違えることはない。

 

甲ヶ山への縦走路入口

 以下甲ヶ山へ続く

 

船上山ダムから眺める船上山

展望駐車場から船上山

ススキヶ原

船上山行宮之碑

屏風岩

千丈のぞきから見下ろすダム湖

一の木戸

船上神社

奥の院

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歩いた足跡  

登山口周辺の地図はこちら 鳥取県琴浦町 船上山 登山口付近のMAP

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