猿政山(さるまさやま) 島根県奥出雲町 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2007年5月20日 猿政山 参考コースタイム 内尾谷無住の民家 →0:10→ 鎖の渡された場所 →0:30→ 林道分岐 →0:50→ 林道終点 →0:50→ 最初のロープの場所 →0:20→ 尾根到着 →0:05→ 猿政山山頂 →1:00→ 林道終点 →0:30→ 林道分岐 →0:20→ 鎖の渡された場所 →0:10→ 無住の民家 全歩行時間 4時間45分 島根県の猿政山に向かう。私にしては珍しく、事前に登山情報を調べるが、登山初心者にとっての詳しい情報を得ることが出来なかった。とにかく登山口まで行ってみようと言う思いで柳井を出発、高速道路を通り中国自動車道三次インターで下りる。 登山口付近の可部屋集成館は15年前から何度も通った松江への通り道であり、今は三次市となった旧君田村・口和町を通っていると、左手にフジの花の綺麗な場所を見る。あまりに綺麗なので立ち寄ると「大欅(おおけやき)と三宝荒神(さんぽうこうじん)」の標識が立っていた。三宝荒神にお参りし、本日無事に山頂に立てることをお願いする。
更に国道を進んでいると道路脇に猫車が置いてあり、「持って帰ってください」と書いた札が立っている。何だろうと思い、立ち寄ると美味しそうな竹の子がたくさん置いてあった。この地域の方の心配りが嬉しくて、心が和む風景に出会えたことにより、とても幸せな気持ちになってきた。 美味しそうな竹の子 更に国道を進んでいるとぽつりぽつりと細かい雨が落ちてきた。空を眺めると先程まで快晴だったことが嘘のように曇っている。あれ、こんなはずでは・・・しまった!天気予報を見ていなかった。遠くの山を見ると山頂付近が雲に覆われて見えない。最悪の場合は猿政山を諦めて他の山に向かう選択肢を取ることにする。 間もなく今は庄原市となった旧高野町を通過、島根県奥出雲町(旧仁多町)との県境である王貫峠を下る。以前この峠を下りる時、スピードを出しすぎていたため、カーブでスピンをしてしまい、半回転の後、道路の中央に停車し、事なきを得た思い出の場所を無事通過する。 王貫峠を下りて行くと、間もなく右手に特徴ある可部屋大橋が見えてくる。この橋の手前から南東方面を眺めると猿政山が見えるのだが、山頂付近は霧に覆われている。とりあえず登山口まで行くため可部屋大橋を渡る。可部屋集成館手前の駐車場を見ると大型バスが止まっており、約30名の登山者が準備をしていた。
これで少し安心、この団体の後をついて行けば確実に山頂に着くことができそうだ。ただ、可部屋集成館から歩き始めると、林道歩きが長そうなので更に先に向かう事にする。可部屋集成館先の鎮守橋を渡ると左手に鎮守神社が立っているので登山の無事をお願いする。鎮守神社先の右手にも駐車場らしき場所があり、猿政山の標識を見る。
ここまでは以前下見をしているので難なく到着、この先の未舗装林道に向かう。この林道は車でゆっくり進めば大丈夫、内尾谷川に沿って進むと内尾谷2号橋を渡り、その先の右手に民家が見えてくると次の3号橋を渡ることになる。民家の前を過ぎて4号橋を渡り、更に林道を進むと右手に民家を過ごす。
この先更に未舗装林道が続くのだが、左手に無住の民家を過ごすと林道の段差が増してきたので、大事を取ってこの民家横の広い場所に車を置き登山を開始する。この場所は可部屋集成館からは約2km入った地点の内尾谷地区であり、目の前には中電電柱[阿井(支)306H1]の立つ地点である。
向かいの鯛の巣山の山頂付近は、まだ霧に包まれているようだが周囲には青空も見えている。登山準備の間に1台の車が林道を通過、この車は車高の高い車なので最奥まで行くはずである。この人たちの後をついて行けば山頂まで無事行けそうなので、ものすごく気分が楽になった。
さあ、出発しよう、快適な林道をウォームアップ代わりにゆっくりと歩いて行く。少し進んだ先から北西方面を振り返ると鯛の巣山の山頂付近はまだ雲に隠れているが、青空が見る間に広がってきている。今日は絶好の登山日和となりそうだ。左手にはピンクのタニウツギの花が美しく、林道歩きの最初から嬉しくなる。左手に駐車場所を見た先に「ツキノワグマ生息地」の標識を見つけ、熊よけの鈴を用意する。
この先で少し林道は荒れてくるのだが、車で進入する場合でも慎重に運転すれば充分進むことが出来る。左右に笹が目立ってくると間もなく鎖の張られた場所に着いた。鎖の手前の王子製紙社有林の標識が立つ場所には既に数台の車が停まっている。ここまで私の車の駐車地からは1km程度歩いてきている。
鎖の場所を通過、更に林道を進んで行く。林道をただ歩いているのだが、この林道から眺める青葉が素晴らしく、最初から感動しながら歩いている。何気なく眺める青葉がこんなに美しいものだとは気がつかなかった。少し進むと道は左に折り返すように曲がり、その先には先程のグループがゆっくりと歩いている。下から尾根方面を眺めるとまだ頂上部は雲に隠れているが、周囲の青空を見ていると間もなく雲も晴れそうな予感がする。 青葉が美しい 少しずつ高度を上げて行き、背後を振り返れば・・・素晴らしい。やはり見えている山は鯛の巣山だろう、遠くに美しい展望が広がっている。眼下には最奥の民家、ん・・・大団体が歩いている。時間差にして25分、このグループはとても歩く速度が速いようだ。
青葉の美しい林道をゆっくりと進んで行くと、そのうちに前のグループに追いつき、ご一緒させて頂くことに了解を頂いた。皆さんは山口県の下松市から来られたグループで総勢7名、とても気持ちの良い方なので安心した。 美しい林道を進む 鎖の場所からゆっくり歩きの30分で林道の分岐に到着、この分岐は右に取るのだが標識らしき物は一切無く、赤いテープが貼られているだけなので要注意の場所である。分岐を右に取って進んでいると、正面の山の上に突然猿政山の山頂がぽつんと見え始め、北西方面には鯛の巣山が障害物なしに見えてきた。これは感動する展望である。
明るい林道をゆっくりと団体で進んでいると周囲の展望に感動、写真を沢山撮るため少しずつ団体から離れて行く。これが最近の歩くスタイルである。猿政山の全景が少しずつ明らかになり、目指す方向もわかってきた。林道周辺には崩壊地が目立っており、眼下の絶壁を眺めると足が竦んでしまうようだ。頭上にフジの花が美しい場所にて小休止、ここでミカンの配給を受けたので一緒に頂く。季節はずれのミカンは甘く美味しいものである。 林道から猿政山の山頂を眺める 背後には鯛の巣山方面の展望 久しぶりの団体登山がとても嬉しくなる。小休止の後林道歩きを続け、この先左手に沢を過ごすので夏場の水分補給には最適の場所と思われる。更に青葉を眺めながら林道を進んで行くと左手に滝を見ることが出来た。水量は多くないのだがこの林道に入らなければ見ることの出来ない展望である。
この滝の先では崩壊地を通ることになり、この崩壊地から眺める展望も素晴らしい。新緑の季節なので何を見ても素晴らしいのだが、この猿政山だからこそ美しさが増しているのかも知れない。下松グループの方より花の紹介を受けながら進むので、いろいろな花を見ることが出来た。
崩壊地からの展望 周囲の展望に満足しながら林道を進んでいると左手に清水が湧いている。不思議なことに自然石を彫ったような場所だ。何が彫られているのかよく見てみると「泉恵のとみ」と彫られている。読み方は右から読むのか左から読むのかわからないがこんこんと清水が湧いている。一口飲んでみるととても美味しい水なので、下山時にお土産として頂くことにする。
清水の場所を過ごし、その先ではホウチャクソウが沢山咲いており、ゆっくりと写真を撮っているとグループはもう先に進んでいた。更に林道を進んでいると再び崩壊地を通り過ぎ、猿政山がますます近くなってきた。イカリソウの葉っぱも見えているのだが、もうイカリソウの季節は終わっているようだ。林道のゆっくり歩きも間もなく終了、林道の終点が見えてきた。
林道終点の手前に、赤いテープの貼られた手製の猿政山の登山口が見えてきた。いよいよここから登山道に入る。鎖の場所から80分、林道の分岐からは50分の行程である。林道から杉の木の間に入って行くと足下は細い道となり、最初は滑りやすいガレた岩道を歩く事になる。
山道に入っても花の説明を受けながら進んで行き、沢山の花の写真を撮りながら最後尾にてゆっくりする。美しい花を眺めていると完全にグループから取り残されていた。間もなく尾根に着くと笹が繁っており、久しぶりに藪の血が騒ぎ始めた。
美しい笹藪をかき分けながら進んで行くのは久しぶりである。足下にチゴユリを眺め、青葉の中を進んでいると再び足下にはイワカガミが美しい。周囲の樹林の青葉が美しく、感動しながらの山歩きが続いている。本当に美しい樹林帯を進んでいるとようやく前方に猿政山の全景が木の間越しに見えてきた。
広島方面の展望も木の間越しながら開けており、遠くに特徴的な山頂が見えているが山名までは不明である。足下に大きなユキザサが咲いており、じっくりと眺める。その先ではムシカリの白い花が美しく、グループからだんだん離れていることがわかった。そのうち少しずつ笹藪の道は坂道に変わり、右手にはツツジが美しく咲いている。
足下にはチゴユリと白い花の競演が続き、美しい花を楽しみながら進んでいると背後の山が美しく広がって来た。更に足下にエンレイソウ・ネコノメソウ等の花を眺めながら進んでいると傾斜はますますきつくなり、登山道は滑りやすい土質に変わってきた。右手を見ると白い花が沢山咲いている。白く可憐な花を眺めていると心が和むようだ。
この付近にはロープもなく、滑りやすい急斜面なので三点確保の要領にて慎重に登って行く。登山道は水分を含んでとても滑りやすいので一歩一歩、足場を確認して高度を上げて行くことにした。下松グループも慎重に進んでおり登る速度も極端に遅くなっている。高度を上げる度に周囲の展望も広がるので景色を眺めながら進んで行くことが出来る。
間もなくローブの渡された場所に到着、これでようやく安心して登ることができる。足場を確保し、片方の手でロープを掴み、反対側の手で周囲の根っこなどを掴んで登る。手当たり次第に根っこを掴みながら登って行くと間もなくロープの終点に到着、最後は木の根っこに両手を掛けて上の段にたどり着いた。ここには白いムシカリの花が咲いており、眼下に素晴らしい展望が開けている。 急な斜面が続く 東方面の展望 遠くには玉峰山らしき稜線が広がっており、しばらく美しい展望を楽しむ。足下にはイワカガミ・ミヤマシキミが咲いており、一息つくには丁度良い場所である。展望地を離れて更に上に向かうと、丁度良い場所にロープが渡されており、周囲の草や根っこを頼りに高度を稼いで行く。2本目のロープが終わると次は3本目のローブが渡されており、細い道を慎重に進んだ後、最後の急な傾斜に取り付く。
最後の傾斜を登りきるともう尾根は近い。背後に広がる展望を楽しんだ後、尾根に向かう。尾根は笹原となっており、分岐を右に取り進んで行く。背の高い笹原の踏み跡を頼りに快適に進んで行く。久しぶりの笹藪歩きがとても新鮮で嬉しくなる。すぐに左手が開けてくるので展望を楽しむ。開けている方向は南方面である。美しく広がる稜線に疲れも吹き飛んでしまいそうだ。この付近にもムシカリの白い花が咲いており、とても美しい。
尾根から南方面の展望 更に笹藪を道なりに進んでいると一等三角点の立つ猿政山山頂に到着した。山頂には下松グループの外2〜3組のグループが休んでいた。山頂からは北方面が開けており、松江の宍道湖中海を霞の中に確認することができた。東方面には玉峰山らしき山が見えており、その奥に大山が見えそうなのだがこれは霞んでいるので識別が出来なかった。
足下にはサンカヨウが沢山咲いており、この山に登って本当に良かったと思った。山頂標識は「天そそりたつ 猿政の・・・」から始まる湯川小学校の校歌の彫られたモニュメントであり、足下には3番までの校歌が書かれた標識も立っていた。周囲の展望を眺めた後、昼食を取っていると、下松グループの方より美味しい山菜料理を頂いた。山頂にて美しい展望を眺めながら頂く昼食は本当に美味しく贅沢の極みである。 サンカヨウ 山頂から北方面の展望 右奥に玉峰山 しばらく山頂にてゆっくりしていると、とうとう約30名の広島グループが山頂に到着、静かな山頂はとても賑やかな山頂に様変わりした。昼食後再び周囲の展望を楽しんだ後、下松グループの方にお礼を述べて、いよいよ下山を開始することにした。笹藪をかき分けながら山頂を出発、途中の広島方面の展望を眺めた後、下山分岐に到着、このまま真っ直ぐ進んで行くとなだらかな下山道が待っているようなのだが、急な傾斜をもう一度楽しみたいので来た道をそのまま引き返すことにした。
ロープの渡された道を慎重に下りて行くのだが、この急な斜面を下りる経験は、いずれ先で役立つことだろう。2つのロープを下りると展望地に到着、展望地には30名のグループの内、2名が登ることを諦めて残っていた。展望地から周囲の展望を充分に楽しんだ後、更に下りて行くことにする。 下山時の東方面の展望 この下からは最後のロープを伝って下りて行くことになり、滑りやすい土質の道を慎重に下りて行くと、間もなく笹原に下り立った。新緑の尾根道を楽しみながら下りて行くのは素晴らしい。明るい青葉の中を快適に下りて行き、鞍部に下り立った。右手には広島側の登山道が見えているが、島根側に下りるには鞍部から少し登り返した先に向かうことになる。
赤いテープを確認して下山道に入る。細く滑りやすい道を慎重に下りていると間もなく林道に到着、この先は何の問題もない林道を下りて行くことになる。少し下りて行くと清水の場所に到着、冷たく美味しい水を沢山飲み、更に下山を続ける。
背後を振り返るとさっきまで居た猿政山がとても美しい。あの山に登ったことがとても嬉しく、幸せな気持ちのまま林道を下りて行くことが出来る。素晴らしい景色の鯛の巣山方面を眺めながら下りて行き、再び振り返る猿政山も美しく、とても贅沢な散歩をしているようだ。 林道から鯛の巣山の展望 間もなく林道の分岐を過ぎ、周囲にフジの花を楽しみながら下りて行く。やはり下山は早く、鎖の場所を通過するとすぐに内黒谷に到着、無事猿政山の登山を終了した。下松グループのおかげで楽しい猿政山登山が出来たことに感謝し、車にリュックを入れて林道を慎重に下りて行く。民家の横から山頂方面を眺めると、先程までこの民家を見ていた場所を特定することか出来た。
最後の民家から猿政山方面を振り返る やはり一旦山に登ると自分が居た位置がよくわかるものである。この民家の下でまむし草を見掛けたが、これは本当にまむしの色をしていた。林道を下りて行き、鎮守神社にお参りし、可部屋集成館を出発した。
猿政山で見た花 タニウツギ エンレイソウ ヤマシャクヤク サンカヨウ ネコノメソウ ムシカリ ユキザサ チゴユリ ホウチャクソウ イワカガミ ツツジ 山頂の標識 湯川小学校校歌 今年の冬に麓から眺めた猿政山
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