野呂山(のろさん){弘法寺山 こうぼうじやま}広島県呉市

2007年2月4日

野呂山

登山口 小田野原団地先登山口

登山口 →0:05→ 安登配水池 →0:05→ 野呂山登山道標識と分岐

 →0:15→ 三本松公園 →0:05→ 岩地蔵分岐 →0:10→ 岩地蔵上の大岩

 →0:10→ 岩地蔵分岐 →0:05→ 不動岩分岐 →0:10→ 不動岩札所

 →0:20→ 夫婦休み札所 →0:20→ 馬の背(休憩所 ) →0:15→ 仁王門

 →0:05→ かん千音札所 →0:05→ 仁王門  →0:15→ 弘法寺

 →0:05→ 野呂山三角点 →0:10→ 野呂山東の頂上 →0:10→ 氷池

 →0:05→ 野呂山ロッジ →0:10→ 大重岩→ 0:10→ 筆塚 →0:15→ 兜岩展望台

  →0:15→ 桜が谷岩海 →0:25→ 貯水槽 →0:30→ かぶと岩コース1合目

全歩行時間4時間40分(弘法寺散策時間除く)

 今日は登山計画書の中から比較的近場の極楽寺山と経小屋山を選定し、7時半に柳井を出発、広島県廿日市の極楽寺山登山口を目指す。近場といっても今日の2山は時間的にハードなので縦走登山を計画、既に下山口に配置する予定のバイクは車に乗せており、更に時間を稼ぐために玖珂インターから高速道路に乗り進む。

 小瀬トンネル抜けて大竹インターを過ぎるあたりで周囲を確認すると、どうも霞んでいるようだ。しまった。こんな展望の悪い日に瀬戸を見晴らす展望地に向かっても勿体ない気がする。いろいろな思いを巡らせながら廿日市インターを下りる。西広島バイパスに入り、極楽寺山の登山口に近づいてもまだ思案は続くが、こんな日は後で車で上れる山を選んだ方が無難なので、登山計画書の中から呉市の野呂山を選定、少し遠方であるが、山頂からの展望が無いことにより、残念な気持ちを持ちたくないので予定を変更することにした。

 廿日市バイパスから国道2号をひた走り、海田市より国道31号に入り呉方面を目指す。ただいまカーナビは修理中のため地図を横目で眺めながら進んでいる。当然交差点では地図とにらめっこ。1年前まではいつもこの姿で走っていたので地図帳に対する違和感は無い。但し最短距離を走っているとはとうてい思えず、有料道路を避けながら一般道をひた走ることになる。

 正面にはアンテナ山の絵下山が美しく、間もなくこの山の一方の登山口である小屋浦を過ごす。右手には、海を隔てて先日登った安芸小富士と手前に峠島、南方面には江田島が美しい。小屋浦地区を過ぎて呉ポートピアパークに近づくと左手に美しい岩山が見えてきた。これが有名な天狗城山だろうということは想像できた。美しい山容を眺めていると、とても嬉しくなる。

安芸小富士と峠島はやはり霞んでいる 天狗城山

 更に国道を進んでいると天応駅を過ぎる。いずれ登る予定の烏帽子岩山のある町である。このあたりの山は岩山が多く、見ているだけで楽しくなる。間もなく呉の市街に入り、走っている国道は185号となる。左折と右折を繰り返していると正面に美しい山、白く丸いレーダードームを持つ灰ヶ峰を間近で見ることが出来た。山のてっぺんには本当に丸いレーダーが施設の上に乗っている。

呉の市街から眺める灰ヶ峰と白いレーダードーム

 呉の市街を過ごして約30分でJR安登川尻駅を過ごし、その先に国立公園野呂山の標識を見る。野呂山公園入口交差点を左折し県道248号「さざなみスカイライン」を登って行く。右側を注意して見ながら進んでいると、中国自然歩道の案内板・レストハウスへの標識の立つ登山口を見つけることが出来た。

野呂山公園入口交差点を左折 標識の立つ野呂山登山口

 この標識に従って右折し、少し登って行くと山頂まで2.7km、どんどんコース1合目の標識に着く。この場所が本日の登山終了点となるので、電柱の横にバイクを配置する。周辺には既に車が2台置いてあり、目の前には2名の登山者がゆっくりと山頂目指して進んでいる。バイクを下山口に配置したので、次は登山口に向かうことにする。

下山口のどんどんコース1合目 バイクを配置

 再び野呂山公園入口交差点に戻り、国道を左折してJR安登駅を目指す。右手に神田造船の大きなクレーンを過ごして海岸線を離れ、JR安登駅の交差点を左折、右手に小学校を見ながら進んで行く。お寺を過ごして舗装道を進むと、右手に大きな分岐を過ごし、次の分岐手前の左手に野呂山の登山標識を見るのだが示す方向が違っているような気がする。

 この先の分岐を右(北方向)に向かうと野呂山登山道の標識を見つけるのだが、この周囲に駐車場はなく、駐車場を求めて元の道に戻り、更に道なりに西方向に向かう。安登ポンプ場を右手に過ごし、小田野原団地の道路を奥へ奥へと進んでいると舗装道が切れて地道となった。

右手に安登ポンプ場を過ごす 小田野原団地の終点、ここを登山口とする

 さすがに道を間違えているのかと心配になり、その奥で畑仕事をしている方に野呂山への登山道について聞くと、この先の水道施設の先から野呂山へ行くことが出来ると説明を受けた。ようやく野呂山の登山口に着いたことを確認、登山準備をしていよいよ野呂山登山を開始する。

 舗装道が地道となり、正面に畑を見て右折し、林道を進むとその先に安登配水池を見ることが出来る。配水池の右手を抜けて進むと左右にシダの広がる歩きやすい道を進むことが出来る。最初から周囲には展望は無く、それでもこの時期にしては季節はずれの暖かい陽差しを浴びながら快適な山歩きが始まっている。

地道を右折する 安登配水池を回り込む

 配水池を過ぎてここまで登山口の標識もないので少し不安になりかけたとき、ようやく正面に野呂山登山道の標識を見ることが出来た。右下から登ってくる道との合流点に配置してあるので、先程見た登山標識の場所から来ると、この道につながるものと想像することが出来る。

初めて登山標識を見つける 石垣を右に見て進む

 登山標識が見えたのでもう安心、この先は緩やかな坂道を快調に進んで行くことになる。すぐ正面には石垣が見えており、右手に石垣を見ながら進んで行く。左手には沢を見ることができるので夏場には涼しく感じるかも知れない。間もなく木の橋を渡りその先の道は掘れているようで、滑りやすい道が続く。この滑りやすい道をゆっくりと慎重に進んで行くと登山道の標識と出会って丁度10分、登山開始から20分程度で三本松公園手前の舗装道に出た。

 この舗装道は中切地区から続いていることが標識によりようやく判った。さて、まずは「三本松公園」の散策を開始するのだが、このまま舗装道を進むと弘法寺へ2.3km、膳棚山5.5kmと表示されている。中国自然歩道を経由すると馬の背まで1.2kmと書いてあり、次の目標地点は馬の背のようである。舗装道を道なりに進んでいると周囲には桜並木が広がり、桜の季節には素晴らしいお花見スポットであることが想像できる。

東屋 日本庭園

 左手上には東屋が立っており、舗装道を進んで行くと左手に日本庭園が広がり、「三本松札所1番〜10番」にはお地蔵様10体が並ばれている。この三本松公園には駐車場も整備されており、ここを登山口とすることもできるようだ。すぐ先にあるお籠もり堂にお参りし、周囲を眺めていると、池の背後には「いろは水」の標識や弘法大師像も見ることができる。

「三本松札所1番〜10番」 お籠もり堂

 登山口には野呂山登山道歴史コースの案内板が立っており、三本松公園から弘法寺まで「野路山八十八ヶ所」となっており、10番ずつを1ヶ所にまとめてあるそうだ。これなら合計9つの札所を回ることにより八十八ヶ所巡りをすることができそうだ。いよいよ野呂山登山口の標識を横に見て三本松公園を出発することにする。

いろは水 三本松公園から野呂山を眺める

 三本松公園のすぐ先には十八丁の丁塚があり、この場所から弘法寺まで1.98kmの距離があるそうだ。登山口を出発すると左手に平らな腰掛け岩を過ごし、少し進むと左からの広い道に合流し、その先の左手に道案内のお地蔵様を過ごし、広い道を進んでいると右上に岩峰を見ることができる。大きな岩峰なので見ているだけで嬉しくなってくる。正面に「岩地蔵」まで200mの標識を見て一旦通り過ぎるが、やはり気になるので岩地蔵に向かって進んで行くことにした。

岩峰を見る くぐり岩

 分岐を右に取り、沢を渡ると正面に「くぐり岩」の標識を見る。標識の先には大きな岩のトンネルが待っており、岩を潜って先に進むことができる。背を低くして岩のトンネルを潜ると道は更に上に向かって続いており、大きな岩が見えてきた。ふと足下を見ると可憐な花が咲いており、この時期にも花が咲いていることに気がつき花の生命力に脱帽した。

 その先には石でできた灯籠を過ごし、先程登山道から眺めていた大きな岩が目の前にあることに気がついた。この大きな岩の下に祀られているのが岩地蔵であり、11番から20番のお地蔵様にお参りをする。さて、岩地蔵にお参りしたので引き返そうかと思ったのだが、ついでに周囲の散策をしようと反対側に行くと、目の前に石の階段道が出現、右手を振り返るとお地蔵様が鎮座されていた。

石の灯籠 「岩地蔵札所11番〜20番」

 急な石段を登って行くと登りきった右手にもお地蔵様が鎮座されており、この岩自体がお地蔵様のような気がしてきた。岩の上から眺める展望は当然素晴らしい。南方面には瀬戸の展望が霞んでおり、空気の澄んだ日の展望は素晴らしいものと想像される。岩の上からの展望を楽しみ、岩の上にある特徴的な三角岩に感激した。岩の上の散策を楽しんだので岩地蔵から戻ることにする。

急な石段を登る 特徴的な三角岩

 急な石段を下りて潜り岩を通り抜け、岩地蔵の分岐に戻ると、次の分岐は正面に向かって進んで行くことになる。左手には道案内のお地蔵様を過ごし、緩やかな坂道を進んで行くと岩の転がる道を過ぎ、その先では左後ろから来る道と合流した。登山道はこの先でゆるやかに右にカーブし、16丁の標識を過ごすことになる。

 この先で道は分岐し、右に向かえば「不動岩札所」、左に向かえば野呂山となる。本日はゆっくり山歩きを楽しむため、不動岩札所に向かうことにした。分岐を右に取り少し進んだところで分岐標識に従い左に折り返す。その先で不動岩札所には右手へ0.2kmと標識に記載されており、札所に向かってゆっくりと進んで行くのだが、この0.2kmはとても長く急な斜面なので途中でくじけそうになる。

不動岩岩所への分岐 0.2kmの標識に従い急坂を登る

 それでも踏ん張って登っていると左上に21番〜30番の不動岩札所が現れた。なかなか手強い坂であり、少し休憩を取る。札所にてお参りと沢山のお願いをし、最後に石の灯籠らしき場所をしっかりと眺めて下りて行く事にした。急な斜面を下りて行くので、すぐに下の分岐に到着、この標識によると左に引き返せば岩地蔵となっているので、岩地蔵札所からそのまま不動岩札所に抜けることができるのかも知れない。

不動岩 「不動岩札所21番から30番」

 さて、この分岐を右の「夫婦休み札所」に向かって進んで行くと、先程の登山道とすぐに合流した。寄り道が多いので時間を掛けているが、少し前に不動岩に向かって右に向かった場所はすぐ目の前だった。このあたりの地理に詳しければもう少し要領よく進んでいたのかも知れない。とにかく私は欲張りなので、いろいろなものを見たり眺めたりするための労を惜しむつもりはない。

 この時点で三本松公園からは400m、弘法寺までは1,690m残っている。少し進むと石の道に入ることになり、この道は苔むしているのでとても感じが良く、木漏れ日の中の素晴らしい風景を見ながら高度を上げて行くことになる。

 左右に沢の音を聞きながら美しい木漏れ日の中を少しずつ進むと、道は真っ直ぐに続いており、その中腹付近に夫婦休み札所見ることができた。この夫婦休み札所は31番〜40番の札所であり、苔むした石の道がとても幻想的で素晴らしい。夫婦休み札所を過ぎるとすぐに13丁のお地蔵様を右手に過ごす。更に進むと平坦な道は終了、この先は自然石により作られた荒れた石段道に取り付くことになる。

苔むした石の道 「夫婦休み札所31番〜40番」

 苔むした石の道を進んで行くのがとても心地よく、すぐ右手に12丁の道案内のお地蔵様を過ごす。まだまだ石の道には入ったばかり、素晴らしい周囲の雰囲気を楽しみながら登って行けるので、ますます嬉しくなってくる。苔むした歴史の道を一人でゆっくり歩いて行くのはとても贅沢な気がしている。道は真っ直ぐに続いており、前方も後方も視界が遠くまで広がっているのだが、歩いているのは私一人だけ。まるで映画の中のワンシーンを見ているようだ。

苔むした歴史の道 10丁の丁塚

 更にゆっくり歩きで10分、一回り大きな10丁の丁塚を右手に過ごす。三本松公園から990m、弘法寺までは1,100m地点、ようやく弘法寺までの中間地点を過ぎたようだ。登山開始から既に1時間40分以上経過今日は本当にゆっくりしている。10丁を過ぎても苔むした道は続き、木漏れ日の差す歴史コースを楽しむ。

 10丁のお地蔵様から5分も歩いているとそれまで樹林に囲まれ、細かった日差しは次第に明るい日差しに変わり、正面に休憩所(馬の背)への標識が見えてきた。馬の背50mの標識に従い登山道を離れて左折し、緩やかな坂を下りて行くとそこには東屋の立つ展望地が待っていた。

馬の背に向かう 東屋のある展望地(馬の背)

 馬の背の展望地からは東方面に大崎上島・大崎下島・南方面には上・下蒲刈島の展望が広がり、晴れていれば当然しまなみ海道から四国まで見渡すことができるようだ。本日は霞んでいるため、蒲刈島の蒲刈大橋を確認できる程度である。また、大崎上島方面を見ると海の上に真っ白い煙突が浮かんでいるように見えている。時刻は既に午後1時前となっているので遅い昼食を取りながら周囲の展望を楽しむ。

安登の町並み 蒲刈島は霞んでいる

 と・・・、林道三本松線の標識が気になり、東屋の左横に続く道を下りて行くと間もなく駐車場の整備された林道終点に着いた。この道は登山途中に立ち寄った三本松公園から続いているようだ。足に自信の無い方はここまで車で来ることができるので、急な石段を踏み越えなくても大丈夫なのだ。林道を確認したので、東屋まで戻り昼食後のコーヒーをゆっくりと楽しむ。

林道終点駐車場 馬の背から登山道に戻る

 東屋にて休憩していると、地元のご夫婦が休憩を取るため、登山道から下りて来られたので少しお話をする。このご夫婦は三本松公園に車を置いて登ってこられたそうであり、三本松公園からこの馬の背までは30分程度の行程とのことである。私はと言うと、登山開始から既に2時間を軽く超えており、これは欲張って道中あちこち散策をした時間の積み重ねの結果である。

 約40分の昼食及び休憩タイムを終えいよいよ馬の背を出発する。先程の分岐まで戻り、「仁王門」に向かって左に進路を取る。標識には仁王門まで0.4km、弘法寺まで0.9kmと表示されている。また、三本松公園からは既に1.2kmを歩いてきているようだ。登山道は馬の背分岐を過ぎるとすぐに横木の階段道となり、少し階段道を踏ん張ると再び岩の点在する道に戻る。昔からよく踏まれた歴史の道なのだろうか、歩いていると気持ちまで穏やかとなりそうである。

苔むした道を踏みしめる 道案内の丁塚(5丁)

 左手に7丁の丁塚を過ごすともう弘法寺までは770m、三本松公園の案内板に1丁は約110mであると説明してあったことを思い出した。やはり周囲には展望はなく、ひたすら苔むした岩の道を踏みしめながら古道散策を続ける。7丁の丁塚を過ごした先は左に6丁、右に5丁と丁塚を確実に過ごして行く。

 5丁の丁塚を過ごした先に屋根の明るい建物が見えてきた。ようやく仁王門に到着である。仁王門の左右には仁王様が立っており、この建物も歴史を感じさせてくれる。周囲の標識を確認すると仁王門に向かって左側に「かん千音岩札所」の標識を確認、30m程度の行程なので左の道を取る。

仁王門 「かん千音岩札所41番〜50番」

 やはり札所には急な斜面が続いており、がんばって坂を越えて行くと間もなくかん千音岩札所第41番〜50番に到着した。早速札所にお参りをして周囲を見回すとかん千音岩の大きさに感激する。

 仁王門に向かって下りようとすると正面に「毘沙門岩札所」への標識を見る。と、言うことはそのまま真っ直ぐ近道ができると言うことなのだが、仁王門を潜っていないので仁王門に引き返すことにする。再び仁王門に戻り、左右の仁王様にお参りして仁王門を潜る。

 仁王門の先に道は続いており、すぐに4丁の丁塚を左に過ごし、その先では先程お参りしたかん千音岩札所の標識が立っていた。従ってかん千音札所に行くには、仁王門を潜った先から進めば効率的に札所にお参りすることができるようだ。また、更に0.5kmで毘沙門岩札所に向かう事になる。

 この標識のすぐ先で3丁の丁塚を過ごすがやはり周囲には展望は無く、相変わらずの樹林の中を進んでいると、左の足下に2丁の丁塚を過ごす。この丁塚を過ごすとその先には正面と左の分岐が現れる。左に向かうと弘法寺と毘沙門岩札所、正面には「玉すだれの滝」を経由して弘法寺へ15分の標識を見る。弘法寺に向かう前に周囲の散策を楽しみたいとの思いから、正面の玉すだれの滝方面に向かって進んで行く。

上には弘法寺の展望所が見える 「釈迦岩札所の第61番〜70番」

 上を見上げると弘法寺の展望所が見えており、どんな展望が楽しめるのかと想像するだけでワクワクしてきた。まずは「釈迦岩札所の第61番〜70番」にお参りをする。釈迦岩も特徴的な大きな岩だ。釈迦岩の上には大きな岩が乱立しており、見上げているとその風景に感激し、いつまでもたっても前に進むことができない。

 目の前には「岩見の場 龍頭岩と御大師像、岩の中ほどに御大師様のお姿が見えます」と書いてある。御大師様のお姿は正面方向の岩なのか、上の方向の岩なのかと周囲を探すのだがよくわからない。しばらく上を見ていると岩にできたシミのような場所が御大師様に見えてきたので多分この岩の事を説明しているのだろう。

龍頭岩 「観世音菩薩」

 龍頭岩を眺めて更に先に進んで行くと、左手に玉すだれの滝を見る。水量が少ない滝であり、下に氷が落ちているので、朝の早い時間には滝自体が凍っていたものと思われる。滝の横にある「観世音菩薩」にお参りし、次は「勢至岩の札所」に行き第71番〜80番のお地蔵様にお参りをする。その上にある「不動明王」のお参りを済ませるといよいよ弘法寺に向かうことになる。

「勢至岩札所71番〜80番」 不動明王

 先程の分岐まで戻り弘法寺に向かうと、長い道のりを道案内したきた丁塚も最後の1丁を残すだけ、最後の丁塚を左に見て岩の道を踏みしめる。道の左に立つ「毘沙門岩札所」の標識に従い、第51番〜60番にお参りをし、元の道に戻り改めて毘沙門岩を眺めると、大きな毘沙門岩に圧倒されてしまった。これで「野路山八十八ヶ所」巡りも残すは81番から88番となる。

「毘沙門岩札所第51番〜60番」 鐘突堂

 前方には弘法寺が見えており、右手には木の間越しに安登の町並みが見えてきた。左手に弘法寺の「鐘突堂」が見えてきたのでまずは鐘突堂に向かい、勢いよく鐘を突くと美しい鐘の音が周囲に響き渡った。あーようやく弘法寺に到着したんだ。長い道のりであっただけに感激も一入である。

 弘法寺にお参りをし、本堂右手に向かうと霊水「弘法水」が本堂の中にあるとの説明を見る。本堂に入り、お参りを済ませて本堂の中の右手に流れている弘法水を頂くことができた。のどが渇いていたこともあり、弘法水は冷たくてとても美味しく、お代わりを頂いた。本堂の奥には岩があり、お堂の中に自然の岩が祀られているようだ。

伊音院 弘法寺に到着

 本堂から出て周囲の散策を続ける。弘法寺からは眼下が一望で、特に東の方面の展望が素晴らしい。「飛び岩」の上に立てば遠く大崎上島・蒲刈島・しまなみ海道の島々まで見渡すことができるようだが今日は霞の世界である。弘法寺から左側経由で下りて行くと正面右手に「屏風岩」を眺める。その下には先程お参りした観音堂があり、もう一度周囲を一周することになってしまった。

飛び岩から眼下の展望 「屏風岩」

 弘法寺から一旦駐車場方面に向かって行き右手を見ると、弘法寺の祭壇の後ろに見えていた岩に続く岩が外に出ていることがわかった。その先右手には「愛宕神社」への階段道が続いている。そして最後の9番札所、「弘法寺札所の81番〜88番」にお参りをして三本松公園の案内板に書いてあった「野路山八十八ヶ所」のお参りが終了した。

祭壇の後ろに見えていた自然石 「9番札所81番〜88番」

 その先に設置してある「白旗観音如来」にお参りをした後、いよいよ野呂山の山頂にむかう。野呂山へは愛宕神社への階段を登って行くことになる。まずは愛宕神社に参拝し、その先の広場に向かうと右手には弘法大師の供養塔が立っている。その先に立つ「野呂山三角点へ90m」の標識に従い右上に向かって進んで行くと間もなく「三等三角点野呂山」の説明板の立つ野呂山山頂に到着した。既に登山開始から4時間が経過している。

愛宕神社に参拝 弘法大師の供養塔

 野呂山からは東方面が刈払われており、晴れていればしまなみ海道の島々の多島美に感激するのだろうが、本日は眼下の安登の町並みをようやく眺めることができる程度だ。いずれ快晴の日にこの地を踏んで素晴らしい展望を眺めてみたいものである。さて、野呂山の山頂を踏んだので次は「野呂山東の峰」に向かうことにする。

三等三角点野呂山 野呂山からは東方面が開けている

 三角点から北方面に向かって進むと左手にキャンプ場を過ごす。その先正面に空池が見えてくるので、池の反対側に向かうと鞍部に着くことになる。鞍部の先に木の階段が見えてくるのでこの階段を上り「ひのきの森」に向かって行く。

 左右にキャンプ場跡を眺めながら進んでいると周囲に檜林が広がり踏み跡を辿りながら進んでいると、間もなく左手に「野呂山東の頂上(標高約820M)」の標柱を見る。木漏れ日の中に立つ標柱を見て、いま野呂山にいる事を実感する。

キャンプ場を過ごす 野呂山東の頂上標高約820M

 山頂にて記念写真を撮った後、先程来た道を引き返す。帰る途中から南側に道が続いていることが判ったので南方面に向かって進み、木の階段道を下りて行くことにした。周囲はキャンプ施設が整備されており、調理場や体験用の五右衛門風呂まで設置されていた。更に「セントラルロッジ」の前を通り、そのまま舗装道を西方向に向かうと、「氷池」が見えてきた。

 氷池は文字通り本当に凍っており、瀬戸内海に近い場所でも標高800m付近では池も凍ることを目の当たりにして本当に驚いてしまった。氷池を左に見ながら木道を進んで行くと「国民宿舎野呂高原ロッジ」に到着、ロッジ前の野呂山の説明板を見るのだが野呂山最高点の「膳棚山」への行程がよくわからない。

氷池は凍っている 鴨が泳いでいる

 ロッジに行き膳棚山への道順と所要時間を聞くと「膳棚山の山頂付近は私有地になっており、近くに行くことはできるかも知れないが中には入れない」と説明を受けた。この一言により膳棚山に向かうことを諦めた。ロッジにて周辺案内図を頂いたので眺めてみるとロッジの後ろに「野呂山 中の頂上」があるそうなのでロッジの裏に向かって出発する。本当にロッジの裏に標柱が立っており、「野呂山中の頂上(約810M)」と書いてある。

国民宿舎野呂高原ロッジ 野呂山中の頂上(約810M)

 この場所でも記念写真を撮り、本日最後の散策は「大重岩」を目指す。ロッジの裏に標識が立っており、標識に従って進んで行く。最初は大重岩まで500mの表示だったのだが、途中から580mに距離が伸び、なんか遠いなあと言う感覚で平坦な道を進んで行く。いくつかの分岐を過ごして行くのだが、親切な標識が沢山設置してあるので不安になることも道に迷う心配もない。

 間もなく正面に岩を重ねたような大重岩が見えてきた。近くに寄ってみると平らで大きな岩が規則正しく積み重ねられたような形をしており、真ん中が空洞になっているのがとても不思議だ。大重岩の回りを一周し、重岩の上に乗って眺めてみるとますます不思議な岩であることが判った。なお、説明板には「大重岩にキスをすると幸せになれると言われているそうだ」と書かれている。

大重岩

 しばらく不思議な岩を眺めた後、引き返すことにした。ロッジの裏まで戻り標識を眺めていると付近に「筆塚」があるので最後に筆塚にも寄ることにした。とにかく私は欲張りなのだ。ロッジと反対側の未舗装道に入り少し進むと左手に立派な筆塚が立っている。筆塚の下の池はやはり凍っているようだ。

 筆塚の由来記によると、川尻筆の起源は天保年間、川尻村の家内工業として始まり、今日まで140年の長い歴史を持っており、その間に幾多の名職人を生み、現在では高級銘筆の産地として広く全国に知られているそうだ。この筆塚は原材毛を提供した数多くの獣類の霊を祭り、既に姿無く使命を全うした無数の毛筆に感謝するため建立されたとの事である。

筆塚

 池の中に渡された飛び石づたいに筆塚の近くに行く事ができるので、筆塚の上に行き、大きな石碑を間近で眺めた後、筆塚を後にすることにした。氷池の中を通り抜ける途中には日が西に傾き掛けている。さあ夕暮れまでには登山口に戻らなければ。

 氷池の先に設置されている中国自然歩道の標識に従い、舗装道を南方面に向かいレストハウス「絵のある休憩室」を目指して進んで行く。左右に樹林を見ながら舗装道を5分も進むと右手に絵のある休憩室が見えてきた。

「絵のある休憩室」 かぶと岩展望台

 先程大重岩から引き返す途中、野呂山の案内図を見ながら歩いていると豪快に転倒、その際に案内図が泥だらけになったので、この施設の方にお願いして新しい案内図を頂く。更に南方面に少し下りて行くと整備された「かぶと岩展望台」に到着、展望台に登り周囲の展望を眺める。

 まずは西方面のアンテナ山、膳棚山を見る。山頂には行けないので今回はここからの眺めで良しとしよう。いままで遠くからこの山を眺めてきたが、今一番膳棚山に近い場所にいることになる。次は霞んだ南方面の展望だ。うーんやっぱり霞んでいるのでよく見えない。地図を開いて周囲を眺めてみるのだが、晴れていれば上・下蒲刈島は当然のこと、四国までも見えるはずだ。それでも蒲刈大橋だけはなんとか確認をすることができた。

アンテナの立つ膳棚山 蒲刈大橋

 ここでどうも気になることが、西方面に展望台らしき場所が垣間見え、双眼鏡で確認してみると人の姿までが見えている。案内図を見てみるとこの方向には「星降る展望台」があるのでこの展望台なのだろうか。周囲に展望を楽しんだ後、いよいよ下山を開始することにした。時刻は午後5時前、夕暮れまでに登山口に帰り着くのだろうか。

 岩の点在する道を急いで下りて行く。展望台から400m下った地点から右手に「大滑岩」へ0.3km標識を過ごし、その先で「桜が谷岩海(がんかい)」へ0.5km標識を見るので標識に従い、分岐を右に取る。

 まずは横木の階段道を下りて行き、階段道は石畳みの道となり、石畳の道が再び階段道に変わると間もなく前方に木道の橋が現れ、待望の桜が谷岩海を見ることができた。初めて見る岩海に感激、本当に岩が海のように広がっている。上にも下にも岩だらけだ。案内板によると、大きな岩石が谷の斜面から落ちたり、流されたりしたため、一ヶ所にごろごろと重なっている現象を「岩海(がんかい)」と言うそうだ。

桜が谷岩海(がんかい)

 しばらく岩海を眺めた後、更に下山を続ける。左手にどんどんコースの分岐を見てその先には再び岩海が広がっており、岩海の先には駐車場が見えている。南方面を見下ろすと柏島とその先に上蒲刈島の展望が広がっている。さあ、どんどんコースに向かって下りて行こう。岩の転がるどんどんコースを下りているとすぐに7合目の標識を過ごす。

 と・・・・、その先にすごい、岩海だ。

 いま、岩海の中にいる。

 いま、岩海の中を歩いているのだ。

岩海への入口 岩海の中を歩く

 岩海の真ん中で立ち止まり、感動をかみしめている。本日一番幸せな瞬間かも知れない。下りてきた方向を振り返ると一気に高度を下げてきたことを実感する。さあ、夕陽は山に隠れてしまった。下山を急ごう。最後に岩海終点から岩海展望所を振り返り更に下山を続ける。

岩海に道ができている 桜が谷岩海を振り返る

 どんどんコースは急な斜面の連続で、下山はまさしくどんどん下山コースだ。岩の上で転倒しないように慎重に下りて行く。岩の道をハイペースで下りて行くので気分的には快適だ。間もなく沢に下り立ち、この先沢に沿って下りて行くことになる。沢の中も岩海のような状況になっており、とても嬉しくなる。

岩海のような沢に下りる 小滝を見る

 展望台から2kmの標識を過ごしたので残りは1km程度、少し安心する。この先で小滝のような場所を過ぎ、その先には貯水槽のある舗装路に着いた。貯水槽を過ぎ、舗装路を少し下ると檜林が待っており、どんどんコースはこの林の中を左に向かう。時刻は午後5時半を過ぎており、薄暗い林の中に入るのは少し勇気が必要だが、踏み跡を見てみるとしっかりとした道なので安心して下りて行くことができる。

貯水槽に着く 薄暗い林の中に入る

 林に入って5分もかからずにスカイラインの手前の道に着く。その先は左下にどんどんコースは続き、更に沢沿いに下りて行くことになる。相変わらずの岩の道を慎重に下りて行く。要所要所に標識が設置してあるので薄暗い時間帯でも充分大丈夫、4合目の標識を過ごすともう舗装路までは後わずか。すぐに舗装路に到着、舗装路に着くとここは登山コースの案内板の立つ、どんどんコースとかぶと岩コースの分岐点のような場所である。

 登山終了点へは舗装路を右に取り、コンクリートの橋を渡って下りて行く。すぐ先で分岐の標識と出会い、この場所がかぶと岩コースの3合目になっている。標識に従い川尻駅方面に向かって下りて行くと5分足らずで2合目の標識を右手に過ごし、更に5分下るとあらかじめバイクを配置しておいた1合目に到着した。

 時刻は丁度午後6時、7時間近い野呂山散策の終了である。登山口である安登の小田野原団地までバイクで帰れば登山終了であるが、無い!。

 バイクの鍵がない!。まさか車の中にバイクの鍵を置いてきたのだろうか。河平連山の際に鍵を車の中に置いてきたため、登山口まで歩いた苦い記憶がよみがえる。

 だが、今回なにせ距離がありすぎる。もう一度落ち着いて鍵を探すと、・・・・あった。鞄の底に鍵があった。ようやく安心してバイク用の身支度をする。バイクを組み立て登山口まで引き返す。さすがに冬本番、とても寒い。ぶるぶる震えながらバイクを走らせること25分、登山口の小田野原団地に到着、バイクを車に格納して家路を急ぐ。時刻は午後7時、いよいよ安登地区を出発する。

 呉を経由、広島を抜けて廿日市を過ぎ、宮浜温泉べにまんさくの湯にて休憩、最後に階段道や岩道をハイペースで駆け抜けたため足腰に多大な負担がかかっていたようだ。ゆっくりと暖かい温泉に浸かり体をもみほぐす。このことにより疲労が格段にとれたような気がする。

 柳井には午後11時前に到着、温泉に入っているのでそのままバタンキューである。一日たっぷりと過ごしても、野呂山のすべてを知ることはできなかったような気がする。それほど野呂山は魅力のある素晴らしい山であることを痛感した。

 

 なお、野路山八十八ヶ所巡りのお地蔵様は「野呂山と野呂山八十八ヶ所巡り」フォトに載せておりますので、興味のある方はとうぞご訪問ください。

 

三本松公園

三角岩を見上げる

中国自然歩道

仁王門

釈迦岩札所

弘法寺

氷池

大重岩

岩海遊歩道

 前の山 多賀山(国木) を見る

 次の 道後山奮戦記 を見る

歩いた足跡  

登山口周辺の地図はこちら 広島県呉市 野呂山 登山口付近のMAP

登山リスト(あいうえお順)に戻る

登った山のリストに戻る

トップに戻る