琴引山(ことびきさん)島根県飯南町 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2008年11月30日 敷浪コース登山口の鳥居 →0:40→ 一枚岩 →0:10→ 琴の岩屋 →0:25→ 琴引山山頂 →0:15→ 大神岩 →0:15→ 十畳岩→ 0:20 →スキー場登山口 →0:15→ スキー場入口 →0:30→ 敷浪コース登山口の鳥居 全歩行時間 2時間50分 今年最後の中国百名山は島根県飯南町の琴引山。この山は島根県の沖の郷山・大万木山・等検境、一番近くでは広島県・島根県の県境の山、女亀山からも眺めている。今回はいよいよ出雲大神(いずものおおかみ)であった大国主命(おおくにぬしのみこと)の国造り構想が練られた神話の残る琴引山に向かう。 本日は「山口県・広島県・岡山県・鳥取県百名山」など著書多数の中島篤巳先生のご案内で、近くのTさんも同行。広島県三次市を通過し、国道54号沿いの「道の駅」の布野にて本日の昼食を購入。更に国道54号出雲街道を北上、県境を越えて島根県へ。琴引フォレストパークの標識に従って右折、スキー場方面へと向かう。正面には琴引山が聳えているのだが、この段階では山頂が何処だか解らない。
少し進めばとスキー場の駐車場手前に町道「琴引大万木線」への分岐が現れるので左折、そのまま舗装道を道なりに進み、佐見川に架かる「程原奥橋」を渡る。右手に琴引山を眺めていると間もなく木の鳥居の立つ琴引山敷浪コースの登山口に到着した。但し、この周辺に「琴引山登山口」などの標識はないので要注意。登山口付近の空地に車を置き、周辺を観察すれば左手には昔からの参道が続いているようだ。
登山準備の後、鳥居をくぐり登山を開始。すぐ坂道に取りかかるが、足下には落ち葉が目立ち、とても歩きやすくなっている。左右に笹の茂る広い登山道を進めば周囲に名残の紅葉が美しい。古びた登山コースの標識を右手に過ごし、冬枯れの自然林の下を進む。
この先で檜の植林帯を通過すると、左手に植林帯、右手に自然林を眺めながら進むことになる。ほとんど平坦な登山道なので疲労感無く進むことが出来る。突然冬枯れの自然林の中に出ると正面には杉の植林帯が待っていた。植林帯の下に付けられた道を過ぎればいよいよ急な坂道が始まる。
背後には木の間越しに沖の郷山、大万木山が美しく、眼下に広がる名残の紅葉を眺めながら高度を稼ぐ。周囲にも美しい紅葉が残っているのでゆっくり観賞しながら登れば、右手に植林帯を眺めるようになる。山腹に付けられた登山道を登って行くと右側が切れ落ち、苔の付いた滑り易い一枚岩の上を進む。
山腹につけられた道を進む この一枚岩の難所にはロープが渡されているので、ロープの助けを借りながら無事通過。眼下には苔の多い岩が続き、この先で沢を渡る。すぐに滑り易い丸太の橋を渡り、急な斜面を折り返しながら進む。道幅が狭く、滑り易い岩も多いので足の運びは慎重になる。背後には先程通過した沢が美しく、目の前には滑り易い岩の道が続いている。
一枚岩先の沢を越える(動画)
途中に聳える大岩を観賞、更に細い道を進んで行き、急な斜面をゆっくり登れば左手に階段が続いている。これは大国主命の御琴があったと伝えられる、八合目の「琴の岩屋」へ続く階段である。階段を登れば正面に祠が建ち、右手に琴の岩屋(穴神琴弾岩)が待っていた。早速岩屋に入ってみると中は狭く暗い。足下は階段のようになっており、伝説の御琴(みこと)を探しに少し下りてみたが、岩屋の先は狭くなっていたので引き返した。
琴の岩屋探検(動画) 出雲風土記によれば、古老の言い伝えとして、「この山の峰に岩屋があって、その中に、天下(あました)を造られた大国主命の御琴(みこと)がある。長さ七尺(2m)・広さ三尺(88cm)厚さ一尺五寸(44cm)である。また、(峰に)石神があって、高さ二丈(5.9m)周りが四丈(11.8m)。そこでこの山を琴引山という」とある。
琴の岩屋前から周囲の展望(動画) 祠の前から眼下を眺めれば、名残の紅葉が美しく、木の間越しながら三瓶山、沖の郷山、大万木山を眺めることが出来た。琴の岩屋から階段を下り、更に山頂を目指す。冬枯れの自然林の下、左右に笹を眺めながら進んで行けば周囲には時折大岩を過ごす。足下には霰(あられ)がそのまま残っており、とても寒いことがわかる。
大岩を左に過ごし、少し平坦な道に着けばスキー場より合流する道と出会う。 更に坂道を進めば正面上に切り立った2体の大岩が見えてきた。これが伝説の石神か・・・と思いながら進むと大岩の下に到着。琴弾山神社と由来について書かれた説明板を眺める。
「出雲風土記」所載の古社なり。御神祭は大国主命(出雲大神)にして対立する女夫岩(めおといわ)の奥に鎮座。と書かれ、安産と子児のちりけ(疳の虫)封じに霊験あらたかなり。と説明されている。この大岩の途中にはつららが垂れ下がっており、本日はとても冷たいことがわかる。
階段を登り女夫岩の間に鎮座する琴弾山神社に参拝、更に山頂へと向かう。もう山頂へは50m、霰の残る広い登山道を進み、最後に岩の露出した道を登れば岩の積み重ねられたモニュメントの立つ琴引山山頂に到着。雲天ではあるが周囲を見晴らすには支障がない。
まず目立つのは北西に三瓶山、北に沖の郷山、その横に等検境、更に右には山頂に雪を頂いた大万木山、東にはやはり雪を頂いた猿政山、南には女亀山も眺めることが出来た。周囲の展望を眺めた後は恒例の記念写真、風が吹いてとても寒いので早々に山頂を出発する。説明にもあるとおり、山頂付近には古くは四十二坊の寺院があり修験場とされていたそうだが、いまは礎石が残っている程度である。
大万木山から猿政山へ向かう稜線 琴引山山頂からの展望(動画) 琴弾山神社の下で風を除けながら昼食を摂るが、なにせ寒い。熱いコーヒーを煎れて飲むとようやく体が温かくなってきた。但し、座っていると冷え込むので、いつの間にか三人とも立ち上がり、体を動かしながらコーヒーを飲んでいた。
コーヒータイムの終了と同時に神社前を出発、時刻は午後1時半。少し下りて空に聳える女夫岩を観賞、岩が真っ二つに断ち割られたような大岩を、振り返りながら歩いていると周囲の景色の変化に鈍感となる。あれ、この岩来るときにあったかな・・・?、と周囲を眺めると全く見たことのない景色。下山時の分岐に気付かずスキー場への分岐に入っていたことに気が付いた。これには中島先生もあきれていた。
更に周囲を観察すれば笹の上には霰が残り、なんとも言えない美しさ。急な斜面を下りて行けばすぐに杉の植林帯へ入る。間もなく眼下に大岩が見えてきた。これが有名な大神岩、注連縄の張られた大岩をいろいろな角度から観察し更に下りて行く。滑り易い道を下りて行けば今度は弦の清水。銘水なのだが本日はあまりに寒すぎる。昨日来の雨の事も考慮し飲むのは差し控えた。
周囲に特徴的な岩を眺めながら植林帯を下れば右下に美しい滝を眺める。山頂へ800m・1000m標識を過ごし、滝を観賞しながら下りれば木の間越しに三瓶山が美しい。間もなく広い十畳岩を過ごし、この下から眺める滝が更に美しい。この先で細長く美しい龍のような滝?を眺め、もう少し下れば飯石郡有林の石碑を過ごす。
この付近から周囲に自然林の紅葉が美しく。今年最後の紅葉を楽しみながら下りて行く。フカフカの落ち葉の絨毯が気持ち良いので快適な下山が続く。山頂へ1500m標識を過ごし、正面に三瓶山が大きくなればもう登山道は残りわずか。大国主命弾琴の峰登山口の標識兼説明板・ツキノワグマの生息区域標識を過ごせばスキー場のゲレンデに到着。琴引山登山口に到着した。
そのままゲレンデを下りて行けば人工降雪機が稼働しており、ゲレンデの一角には雪が積もっていた。正面には三瓶山、背後には琴引山、とても贅沢な展望に満足しながらスキー場の入口まで下り立った。これから先は何も問題のない舗装道歩き、周囲に広がる名残の紅葉を観賞しながら歩けば、スキー場入口から丁度30分で駐車地に到着した。
本日の温泉は頓原の加田温泉、オレンジ色の炭酸泉に入りゆっくり温まった。この温泉は湯上がりがポカポカでとても良い温泉だった。温泉を出発し、出雲蕎麦が食べたくなったので国道54号を少し引き返し、出雲蕎麦処「一福」にて蕎麦を食べた。手打ち蕎麦がとても美味しく、心身共に温まることが出来た。
登山口 紅葉 一枚岩 琴の岩屋 大岩 琴弾山神社 琴引山山頂 山頂から三瓶山 山頂から大万木山 大神岩 弦の清水 十畳岩 スキー場から三瓶山 スキー場から雪を頂いた大万木山 前の山 三ヶ岳 を見る 次の 源明山〜嘉納山(岩屋観音巡り) を見る 登山口周辺の地図はこちら 島根県飯南町 琴引山 登山口付近のMAP |