鬼ノ城山(きのじょうやま)岡山県総社市

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2009年8月30日

ビジターセンター →0:05→ 西門跡 →0:15→ 南門跡 →0:15→ 東門跡

 →0:15→ 屏風折れの石垣 →0:08→ 北門跡 →0:07→ 市道出合

 →0:20→ 駐車場 →0:10→ 皇の墓 →0:10→ 鬼ノ差上げ岩

 →0:10→ 駐車場 →0:15→ 市道出合 →0:15→ ビジターセンター

全歩行時間 2時間25分

鬼ノ城山

 赤磐市の熊山登山口の駐車場を出発、時刻は午後1時40分。次は温羅伝説の残る古代山城跡、総社市の鬼ノ城山へ移動する。県道79号を進み熊山橋を渡り松木交差点を左折、県道96号をしばらく進む。この先で瀬戸橋交差点を右折、山陽インターから高速道路に入り、山陽自動車道を西へ向かう。岡山ジャンクションから岡山自動車道に入り、総社インターで高速道路を下りる。

遠くからでも分かる鬼ノ城山 砂川公園を過ごす

 県道180号を左折、その後岡山県立大学の案内を目印に右折すれば、遠く山頂付近に鬼ノ城山の西門が見えてくる。この先からは砂川公園への標識を案内に進み、砂川公園を過ごせば、今度は鬼ノ城の案内に従い進む。道路が狭いので対向車をやり過ごしながら慎重に運転を続ければ、間もなく鬼ノ城のビジターセンター駐車場へ到着した。

ビジターセンターに到着

 センター前に掲示してある国指定史跡鬼城山(鬼ノ城)の案内を見て、これから向かう史跡の知識を仕入れる。

 鬼ノ城は標高397mの鬼城山に築かれた壮大で堅固な古代山城である。吉備高原の南端に位置しており、眼下の総社平野には集落が営まれ官衛(役所)、寺院などが造営された。また、古代の山陽道が東西に走り吉備の津(港)から瀬戸内海への海上交通も至便であり、正に政治、経済、交通上の要地を一望できる。

 鬼ノ城の山容はすり鉢を伏せたような形状をし、山頂付近はなだらかな斜面となっているが、山の八〜九合目より以下は著しく傾斜している。この山頂部との傾斜が変化する部位に城壁が築かれ、全周2.8kmに及んでいる。

 城壁は版築工法により築かれた土塁が主体をなし、城門が四ヶ所、排水機能を持つ水門が六ヶ所、また、石垣などにより構成されている。

 特に復元整備を実施している角楼から第0水門までの城壁は、巨大な西門や、揺るぎなく突き固められた土塁が復元され、当時の雄大な姿や精緻な築城技術を窺う事ができる。

 場内はおよそ30haという広大な面積があり、これまでに礎石建築跡、溜井(水汲場)、土取場などが見つかっているが、今後の調査によりさらに新たな発見が期待できる。

 築城の時期については諸説あるが、大和朝廷が朝鮮半島の百済軍救援のため出兵した白村江の海戦(663年)において大敗した後、唐、新羅連合軍の日本侵攻を恐れ、急ぎ西日本各地に築城した城の一つと考えられている。鬼ノ城は当時の東アジア情勢を鋭敏に反映した遺跡である。

遊歩道を進む 西門と角楼

 ビジターセンターを出発、遊歩道を進む。最初から坂の傾斜がきついような気もするが、これは最初だけのようだ。良く整備された遊歩道を進めば、前方に建物が見えてきた。これは麓からも見えていた建物である。ビジターセンターから遊歩道を5分も歩けば、左手に最初の建造物「角楼」が現れる。

角楼跡

 この施設は、城壁から凸型に張り出し、正面と側面から攻撃出来る優れた防御施設である。「角楼」の先には復元された三階建ての「西門」があり、一階は門扉のある石敷きの通路、二階は城壁の連絡路、三階は見張り及び戦闘の場に想定されている。なお、「角楼」から西へ少し坂を登ればこの付近が鬼ノ城山の山頂(397m)で休憩舎が設置されている。

復元された三階建ての「西門」

鬼ノ城山山頂に位置する休憩舎 休憩舎から眼下に広がる展望

 展望地から眼下を見下ろせば、岡山の市街地から遠く四国までを見晴らすことが出来るようだが、本日は霞が掛かっており、四国までを見晴らすことはできないようだ。休憩舎を出発し、「西門」まで戻り遊歩道を反時計回りに周回する。

角楼から眺める西門 遊歩道を反時計回りに周回

西門先から眺める周囲の展望(動画)

 「西門」からは少し坂を下るようになり、「敷石」の説明を見る。「敷石」は多くの区間に敷かれており、石畳のような敷石は雨水等により城壁が壊れるのを防ぐために設置されている。なお、「敷石」は日本の古代山城では鬼ノ城にしかなく、朝鮮半島でも数例知られるだけの珍しいものらしい。

石畳のような敷石 第二水門

 「敷石」の説明板を過ごし、もう少し進めば第一水門と第二水門の場所に着く。周囲の展望を眺めながらの遊歩道歩きなのでとても快適な時間が続く。間もなく南門跡に到着、南門は規模や構造が西門と類似しているため、同じ設計の下で構築されたそうだ。

南門跡

 この先の突出部からは眼下に広がる田園地帯、正面には緑の芝生が眩しいゴルフ場、遠くには岡山空港の施設も見えている。この場所は遊歩道の一番東側に位置しており、北には「屏風折れの石垣」が見えてきた。

眼下に広がる田園地帯

遠くに「屏風折れの石垣」 岩に刻まれた仏像

 岩に刻まれた仏像を鑑賞し、少し坂を下って第四水門跡を過ごせば、すぐに東門に到着。この東門は鬼ノ城で最初に発掘調査された城門跡である。東門の先には阿弥陀原登山道が上がってきている。

第4水門跡 東門跡
 阿弥陀原登山道との合流点 「屏風折れの石垣」が近くなった

 東門を出発すれば遊歩道の傾斜が少し増し、坂道を登り始める。高台に着けばこれから向かう「屏風折れの石垣」が近くなった。周囲に広がる展望はますます美しくなり、少しずつ進む速度が遅くなる。間もなく第五水門を過ごせば、いよいよ「屏風折れの石垣」に到着。石垣は城外へ鋭く張り出した城壁の一部で、石垣積みになっている。

「屏風折れの石垣」

石垣の上

 「屏風折れの石垣」は鬼ノ城で最も著名な高石垣であり、血吸川の急崖上に舌状に構築されており、内側列石や敷石が残っていることから、建物等は存在しない可能性が高いと考えられている。しばらく珍しい石垣を眺めていたら、岡山空港に飛行機が着陸してきた。タイヤを出した飛行機を眺めた後、「屏風折れの石垣」を出発する。

石垣を眺める 石垣を出発

 少しの坂を進めば左に昭和12年に建てられた温羅旧跡の石碑を過ごす。千年以上も前、百済からやってきた温羅一族がこの地に居住し、周囲に城塁を築いたと伝えられている。よく知られている桃太郎伝説では、『百済の王子と称する(温羅(うら)』という鬼が、鬼ノ城(きのじょう)に住みつき悪事を働いていた。この温羅を退治するため、大和朝廷から吉備津彦命(きびつひこのみこと)が派遣され、壮絶なる戦いの末、温羅を破った。ここで言う吉備津彦命が桃太郎であり、温羅が鬼である。

温羅旧跡 土塁を右に過ごす

 この先では長さ49mの土塁を右に過ごす。そのまま進めば進路は左に向き、南へ向かって進み始める。間もなく立派な北門が現れ、そのまま南へ進めばビジターセンターへと続いているがここでは岩屋へ向かって進路を西に採る。

北門

 北門を抜けた先から「総社ふるさと自然のみち」を下りて行けば、間もなく舗装道に着き、少し右に向かえば岩屋へ向かう未舗装道に入る。ここから岩屋までは1500mと案内されている。

北門を出発 岩屋へ向かう

 自然林の下を進めば、間もなく田園地帯に着き、岩屋の案内に従って進む。丁度この時期はイノシシ除けの電線が張り巡られされているため、進路は迂回路を採ることになるが、迂回路が少し荒れ加減に見えたのでそのまま棚田方面へ向かう。棚田を眺めた後、奥の民家手前まで行き、次の分岐を右に採り、舗装路を進むと広い駐車場に出た。

田園地帯を進む 迂回路への案内
棚田 広い駐車場

 岩屋寺の案内に従い坂道を進み、右下に民家を見て左上への道へ向かう。次の分岐は皇の墓方面へ向かって左の道を採る。そのまま案内に従って進み、間もなく皇の墓に到着。この墓は岩屋寺の開祖、善通大師の墓と伝えられており、大師が文武天皇の皇子であることから、皇の墓の名もこれに由来している。

案内標識を確認 皇の墓

 皇の墓から引き返し、今度は岩切観音へ向かう。大きな岩が立ちはだかるように聳え、岩の中に仏像が刻まれていた。岩切観音を眺めた後、今度は鬼の差上げ岩へ向かう。

岩切観音

 先程の分岐に戻り、案内に従って進めば石垣の横を抜け、右にお地蔵様を過ごす。間もなく正面に岩屋寺の奥の院が現れるが、まずは左手の差上げ岩へ向かう。長い石段を登れば豪快な岩屋の前に到着。時刻は午後5時半を過ぎ、周囲は少々薄暗くなっているが、岩屋の雰囲気はとても良い。

鬼の差上げ岩

鬼の差上げ岩(動画)

 神秘的な岩を暫く観賞した後、岩屋を出発する。階段を下り、岩屋寺の奥の院へ参拝後駐車場へ向かって引き返す。もう帰りは元来た道を引き返すだけ。少々薄暗い道だが田圃の横に付けられた快適な遊歩道を下りて行けば、間もなく舗装道に着いた。

鬼の差上げ岩の社 岩屋寺の奥の院

 これから坂道を登って行けば、やがて鬼ノ城のビジターセンター駐車場に到着。到着時間は午後6時20分、今日も朝早くから遅くまで良く歩いた。鬼ノ城を出発、近くの温泉を探すと国民宿舎の「サンロード吉備路」という場所が見つかった。広い温泉に浸かり、ゆっくり汗を流せば、疲れは翌日に残らない。

案内図

角楼と西門跡

西門跡

屏風折れの石垣

北門跡

岩切観音

鬼の差上げ岩

 前の山 熊山 を見る

 次の山 天神山 を見る

歩いた足跡  

登山口周辺の地図はこちら 岡山県総社市 鬼ノ城山 登山口付近のMAP

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