金郷渓 猿渓瀑布と金松岩観光 山口県山口市阿東

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2021年6月5日
2021年11月20日の金郷渓の紅葉を見る
駐車地 →0:25→ 長門峡林道終点 →0:25→ 下降開始点 →0:40→ 金郷渓(猿渓瀑布)

→0:10→ 金松岩下の河原 →0:30→ 水力発電施設跡 →0:30→ 金松岩下の河原

→0:50→ 下降開始点 →0:25→ 林道終点 →0:30→ 駐車地

駐車地 →0:09→ 奧沢田 →0:06→ 駐車地

金郷渓 歩行時間 4時間25分

奧沢田往復時間 0時間15分

登山行程図(地図をクリックすると拡大)
 萩市川上・山口市阿東の阿武川上流に位置する峡谷、長門峡は萩市出身の画家・自然科学者の高島北海により名付けられた。はじめは大分県の耶馬渓より素晴らしい渓谷として長門(ながと)耶馬渓と名付けられていたが、北海は渓谷の探勝後、その景観が耶馬溪とは異なり、日本一の美景であること、岩の壁が長い門のように続くことから「ながと」峡ではなく「ちょうもん」峡と読ませたそうだ。今回向かうのは長門峡の支流の蔵目喜川(金郷川)の金郷渓探勝で、山口県に残された最後の秘境を訪ねる旅である。

 参加させて頂いたのは、北浦自然観察会の金郷渓陸上ルートの行程で、ヤマザキYショップJA山口中央生雲店へ集合し、北浦自然観察会の16名に我々Kグループ7名参加して総勢は23名、今回は大人数である。ヤマザキYショップを出発して県道11号を西へ進み、次の分岐を左折し県道310号に入る。

ヤマザキYショップJA山口中央生雲店を出発 川上への案内を見て左折し県道310号に入る
県道横に立つ「生雲渓へ6.5km」の案内先を右折 県道から1km地点の分岐を右折 終点が登山口
登山口駐車場 登山口駐車場に立つ案内

 分岐から県道310号を1.8km南下すると左に生活バスの「西ヶ原バス停」、右には「生雲渓6.5km・生雲中2.0km」の案内が立っている。この案内先の右側へ続く分岐に入り、1km進むと右に作業道が続いている。この作業道を辿り終点まで行けば、広い駐車場が用意されている。駐車場には「長門峡国有林分収育林契約分収林」の案内が置かれていた。

長門峡林道に入る 金郷渓猿渓瀑布の案内

 駐車場を出発し西へ続く長門峡林道に入る。入口には車止めが設置され、一般車両進入禁止と案内されているので、これから先には車で進入できない。手作りの「金郷渓猿渓瀑布(かなごうけいえんけいばくふ)」の案内を眺めて林道を進む。すぐに新設作業道が右へ分岐するが、主路をとる。

途中で林道は分岐するが主路をとる 「長門峡国有林分収育林契約分収林」の案内を過ごす
ヌタ場 長門峡林道終点に着く

 しばらく林道を辿れば登山口の駐車場で見たのと同様の長門峡国有林分収育林契約分収林の案内(面積は違う)を過ごす。花やイノシシのヌタ場を眺めながら林道を進むと、駐車地から25分で林道終点へ着いた。

山道に入る 林道の工事跡を過ごす
植林帯を進む 要所に案内が設置されている
 小休止の後、作業道の右側から北へ続く山道に入る。シダの茂る道を進むと左には人工的な崩落防止措置の工事の跡が残っていた。間もなく周囲は植林帯に変わり、細い道を一列縦隊で進む。手製の金郷渓の案内が要所に置かれているので、道に迷うことは無い。
案内に従い進む ヌタ場
金郷渓への下降開始点 ロープ使用についての説明

 更に猿渓瀑布の案内を通過、この先ではイノシシのヌタ場を見る。更に進み標高330m地点で川へ向かって下り始める。この付近に掲示されている注意書きには「これから先の歩行補助用ロープについては安全性を保証するものでは無い」と記載されている。当然のことなが登山中の行動は全て自己責任であり、自分の身は自分で守るしかない。

植林帯を下る 道が険しくなる
内務省の名勝境界碑 ロープを補助に下る

 さて、植林帯の下に続く道を200m以上高度を下げる。ヤセ尾根や急斜面の岩場は見どころ満載だが、昨日の雨により足下が滑りやすくなっているので慎重さが求められる。この途中で名勝境界の石碑に出会った。裏には内務省と彫られており、かなり昔のもののようだ。

ヤセ尾根が続く
大岩を超える 大岩の横を通過

 この先から補助のロープが続き、慎重に下るため歩行速度が遅くなる。やがて直進と巻き道の案内があり、我々は巻き道を選択し補助のロープを伝って高度を下げた。最後の坂を一気に下れば左右に分岐へ到着。左は江毛九郎堰、右は猿渓瀑布と案内されており、我々は最初に最大の見どころ、猿渓瀑布へ向かう。

ロープがなければ下りられない 分岐へ到着
炭焼き窯跡を過ごす 金郷渓に到着

 左下に炭焼き窯跡を過ごし河原に下りる。昨日の大雨により水量を増した蔵目喜川が我々を威圧するように流れている。上流を眺めれば岩の間から流れ落ちる滝が素晴らしい。川全体が滝という感じで、川幅いっぱいに続く岩場から白い布を垂らしたように水が落下している。これぞ正しく猿渓瀑布である。豪快な滝の流れはいつまで眺めていてもその迫力に見飽きることはない。

見る角度により印象の違う猿渓瀑布
古い遊歩道 目線の位置に瀑布を見る

 蔵目喜川の右側につけられた古い遊歩道を辿る。足下には苔が多く滑りそうに見えるが、意外と苔がしっかりしているので良いクッションになっている。足下が狭くスリルを楽しみながら上流へ移動する。すると滝を真横から眺める場所へ着く。これは豪快だ。ごうごうと流れ落ちる音を聞きながら水流を眺めることは初めての経験である。

瀑布を見下ろす 瀑布の上に出た
猿渓瀑布の上流は穏やかな流れ
 更に遊歩道を辿れば滝を上から見下ろす場所を通過し、瀑布に流れ落ちる手前の穏やかな蔵目喜川の流れを眺める場所に着いた。足下には多くの花が咲いており、花を眺めているだけでも楽しい。猿渓瀑布の上流を出発、いろいろな角度から瀑布を鑑賞しながら河原まで引き返した。
金郷渓の河原を出発 炭焼き窯跡を過ごす
渓谷を眺めながら江毛九郎堰を目指す

 何も整備されていない自然そのものの渓谷で、これほど豪快な滝は初めてである。猿渓瀑布見学を終え、遊歩道を辿り下流へ向かう。渓谷を眺めながら進んでいると、北浦自然観察会の皆さん達が遊歩道を整備する際設置されたハシゴの前に着いた。今回の踏破について事前に調べていた際、ネットに掲載されていたハシゴで、ようやくこのハシゴに出会えたことが素直にうれしい。

昔の遊歩道を辿る 遊歩道へ登るための手製ハシゴ
歴史ある鉄製の手摺り 金郷渓を見下ろす

 このハシゴが無ければ段差ある遊歩道に取り付くのはとても苦労しそうだ。右に朽ちた古い手摺りを見る。高島北海達が長門峡開発の際に整備した手摺りで、この渓谷を鑑賞するため、昔は多くの人々が観光に来ていたことが偲ばれる。渓谷を見下ろす景色も素晴らしく、見るもの全てが美しい。

金郷門へ向かう階段 落石が予想される金郷門
金郷門を下る 河原に着く

 やがて岩と岩の間につけられた階段を登ると左上の岩が落ちそうになっていた。この岩の間の風景が大正期の吉田初三郎による「長門峡鳥瞰図」に描かれた金郷門だろう。慎重に金郷門を通過する。補助のロープを伝って石段を下れば右下に河原が現れた。中央には大岩が座り、この岩上にはロープを伝って上がることができる。

清流蔵目喜川(金郷川) 大岩の上は登れる
大岩上から見下ろす風景
長門峡鳥瞰図に描かれた金松岩 金郷門の岩

 周囲の岩壁にはセッコクが多く咲いているが、距離があるため双眼鏡で眺めた方が良さそうだ。河原から対岸にはそびえるような大岩を見上げる。この大岩が長門峡鳥瞰図にある金松岩だろう。岩の切れ目には白いセッコクが咲いており、まさに自然の織りなす芸術そのものである。

手彫りのトンネルに入る トンネルの先に遊歩道が続く
古地図の猿渓の風景 遊歩道が続く
小滝を見る 足下が狭く渓谷が近い

 小休止の後、河原を出発し江毛九郎堰(えもくろうぜき)へ向かう。最初に現れるのが岩を手彫りでくり貫いて作られたトンネルで、ロープを補助にトンネル入口まで進む。手彫りのトンネルを抜ければ右に穏やかな渓谷を眺め、この先で左に小滝を眺める。

二つ目のトンネルに入る
長門峡開発の際の遊歩道が残っている ガレ場を通過
コンクリートの橋を渡る 補助のロープがないと通れない
 足下の狭い道を進むと二つ目のトンネルに入る。右下が崖なので足がすくむ。トンネルを抜け、足下がコンクリートの遊歩道に変わり一安心。ところがすぐに足下が細くなり、滑りやすいガレ場は補助のロープを伝って無事通過。コンクリート製の橋を渡り、岩の転がる難所を通過すれば五右衛門風呂の置かれた旅館跡に着く。この旅館跡も長門峡鳥瞰図に書かれたそのままの位置である。
ガレ場が続く 古地図の旅館跡に残る五右衛門風呂
鉄製の施設が残っている 周囲は塀に囲まれている

 当初の計画では、この付近で昼食の予定だったが、当日は草が生い茂っていたため、金松岩下の河原に変更した。左上に鉄骨で囲まれた施設跡を眺め、もう少し先へ進むと対岸の県道が見えた。県道右側に江毛九郎堰を眺め、本日の最終目的地を確認した。

対岸に県道と江毛九郎堰
発電所跡に残る鉄製パイプ 発電所跡を引き返す途中の渓谷

 山側には鉄製のパイプがはるか上まで続いており、これが発電所跡だった。最後に江毛九郎堰を眺めて元来た道を引き返す。目指すのは古地図に描かれていた金松岩の下に広がる河原である。再び足下の細い道を慎重に進み、手彫りのトンネルを二つ過ごす。間もなく金松岩下の広い河原に着き、昼食後すぐに金郷渓を出発した。

再び手彫りのトンネルを通過 足下が狭い
見た目以上に危険な道 トンネルを無事通過
昼食会場の河原

 壁のような大岩を右に見ながら細い階段を登る。更に進み手製のハシゴを下れば急斜面へ向かう。今回の金郷渓探勝が普通の登山と違うのは、最後に急斜面を登り返さなければならないこと。急斜面に渡された補助のロープがありがたい。

金郷渓を出発 金郷門へ向かう
手製のハシゴを下る 長門峡林道へ向かって登り返す
通常の登山と違うのは、最後に急傾斜を登り返すこと

 ロープを伝って高度を上げれば少しずつ出発点へ近づく。標高差230mを登り返せば標高330m地点まで引き返した。ここまで引き返せば残りはわずか。平坦な道を辿り長門峡林道終点まで帰り着いた。この先からはほとんど平坦な林道なので一安心、のんびり談笑しながら駐車地まで引き返した。

長門峡林道終点へ到着 2列縦隊で引き返した

 ここで北浦自然観察会の皆さんと別れ、我々は近くにある363.3m峰へ向かった。駐車地から東へ進み、右に保安林の黄色い案内を確認して急登へ向かう。すぐに平坦な山頂の端へ着くが周囲に木々の背が高い。

四等三角点の363.3m峰へ向かう 保安林の案内の場所が登山口
最初から急登へ向かう すぐに傾斜が緩まる
四等三角点 点名奥沢田 黒獅子山は樹幹越し

 わずかに南へ向かうと、足下には四等三角点が置かれていた。点名は奥沢田、山頂からは樹幹越しに黒獅子山が見えている。今回登った三角点の点名をこの先覚えているか疑問だが、楽しい仲間と山頂に着いたことは何時までも覚えているだろう。
 再び駐車地まで引き返し、北浦自然観察会の皆さんと別れてJAヤマサキショップまで引き返し解散した。

内務省による名勝境界碑
金郷渓の猿渓瀑布
少し角度を変えて鑑賞
蔵目喜川(金郷川)の上流へ移動
目線の高さの瀑布
猿渓瀑布の上流
金郷渓探勝
河原の大岩の上に登る
大岩上から眺める猿渓
金松岩
手彫りのトンネル
トンネルは二つ
ガレ場を通過
トンネルを引き返す
金郷門を通って登山口へ

 前の山 兄弟山・岩戸山・鋤尖山周回 を見る

 次の山 右田ヶ岳 塔之岡コース〜直登谷コース を見る

歩いた足跡  
登山口周辺の地図はこちら 山口県山口市 金郷渓(猿渓瀑布) 登山口付近のMAP
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