半四郎山(はんしろうやま)・広見山(ひろみやま) 島根県益田市匹見

2007年10月14日

半四郎山・広見山縦走

林道入口登山口 →1:00→ 向半四郎山 →0:20→ 半四郎山

 →0:50→ 広見山 →0:50→ 林道出合 →1:20→ 林道入口登山口

全歩行時間 4時間20分

 突然サイレンが鳴り響く、いったい何が起こったんだろうか?時計を見ると午前5時、この地方では毎朝こんな時間にサイレンが鳴るようだ。場所は匹見峡の道の駅、ようやく念願のテント泊をする事が出来たのだが、朝の気温は9度であり、とても寒い朝を迎えた。

テント泊デビュー 匹見峡の道の駅

 道の駅の周囲を散策すると道の駅の向かいには匹見民俗資料館と美濃地屋敷が立っている。開館時間は午前9時から16時までなので、山歩きの帰りに立ち寄ることにする。朝食の用意をする間にテントを畳むのだが、テントの表面は夜露で濡れていた。朝食後すぐに道の駅を出発、県道307号を匹見の中心街に向かって進んでいると、右手に「二ノ代の清水」のわき出す場所を見つけたのでペットボトルに汲む。これも移動の際の楽しみであり、横の木片には「通りすがりの湧き水に、心をいやし」と書かれている。まさにその通りに癒された。

「二ノ代の清水」を汲む 匹見川の清流

 左手に匹見川の清流を眺めながら進み、匹見の中心街からは国道488号を走る。少し進むと左手にレストパークを過ごし、裏匹見峡を広見川に沿って東に向かう。左手に鈴ヶ岳を眺めながら狭い道をゆっくりと進む。この国道はとても狭く、対向車が来ると離合場所まで引き返す事になるのでなおさら慎重な運転が必要だ。間もなく右に鋭角に曲がる地点に到着、この場所が半四郎山・広見山への登山口となる。正面には未舗装林道が続いているのだが、私は初めての未舗装林道は特別な事がない限り歩く事にしている。

林道入口の登山口 林道入口手前に立つ屋敷跡の石碑

 道の横にはすでに3台の車が駐車しているのでその奥の空き地に車を置き、山歩きを開始した。登山口の手前の国道沿いには「甲佐家屋敷跡」、未舗装林道に入ってすぐ左手には「中の本家屋敷跡」のそれぞれ石碑が立っており、昭和45年広見集落より移転した事等が石碑に刻まれている。

林道を進む 左に屋敷跡を過ごす

 広い林道を進んで行くと間もなく広見川に架かる小谷橋を渡り、左手に駐車スペースを過ごすとその先左手に「半四郎山登山口」の標識を見つけた。ここまで駐車場所からは5分程度の行程であるが、ここまでなら車で充分進入する事が出来るので、入口付近に駐車場所が無い場合にはここに駐車することもできる。

小谷橋を渡る 林道左に立つ登山口標識

 半四郎山登山口より山道に入って行くと足下は小石混じりの道となり、滑りやすいので慎重に進む事になる。間もなく木の間越しではあるが、右手奥に大きな滝を眺め、よく踏まれた美しい登山道に感激しながら進んで行く。途中で小さな沢を越え、足下に小さな花を眺めながら進んでいると周囲には杉の植林帯が広がり、植林帯につけられた登山道は少しずつ傾斜が増して来るので歩く速度もゆっくり歩きとなる。

小石混じりの登山道 木の間越しに滝を眺める
木漏れ日の下を進む 自然林の中を進む

 周囲が植林帯から自然林に変わると同時に道の左右には笹が目立ち始め、とても歩きやすくなる。周囲の笹はしっかりと刈り払われており、快適な登山道が続いている。高度が上がると同時に周辺の展望も広がり始め、間もなく尾根道に到着した。周囲の展望が素晴らしいので、立ち止まって景色を眺めていると、背後から単独行の登山者が追い抜いていった。

尾根道に到着、笹が綺麗に刈り払われている

 笹原の登山道が美しく、ススキが風に揺れている。空には薄雲が広がっており、坂道を登る際には汗をかくのだが、じっとしていると寒くなってくる。山歩きには最適な気温のようだ。美しい登山道を進むとすぐに平坦な山頂に到着、この場所は1118mピーク、向半四郎山である。

向半四郎山から左に広見山・正面手前に半四郎山・半四郎山の奥に恐羅漢山・その右奥に十方山の展望

 向半四郎山からは北方向に春日山、北東には恐羅漢山・旧羅漢山、東に十方山、南に冠山、南西には青野山・十種ヶ峰、その右手には三子山と過去に登った山々が美しく聳えている。久しぶりに登った山の同窓会を開いているようだ。

向半四郎山から南方面の展望、左端には冠山・右端には青野山と十種ヶ峰

 西方面に集落が見えているので双眼鏡をのぞくと匹見の町並みを眺める事が出来た。向半四郎山からは素晴らしい展望が広がっており、東の正面に聳える恐羅漢山の手前にはこれから向かう半四郎山、半四郎山の左手には最終目的地の広見山が待っている。

向半四郎山の標識 匹見の町並み

 さあ、充分に展望を楽しんだので半四郎山に向かう事にする。風に揺れるススキを眺めながら笹原につけられたジグザグな道を下りて行く。この道のなんと美しい事だろう。鞍部まで下りて振り返ると、今まで下りてきた道がいかに素晴らしい道であったかを再確認する事になる。

向半四郎山を出発、正面には広見山が待つ ススキの道を振り返る
半四郎山への道が続く 向半四郎山を振り返る

 さて、鞍部からは半四郎山に向かって登り返す事になるのだが、この先は大した苦労はなく、坂道を登って行くとすぐに半四郎山の山頂に到着、半四郎山から振り返る向半四郎の笹原につけられた登山道は、まるで字を書いたようにくっきと浮き出ているようだ。

半四郎山山頂 向半四郎山

半四郎山から恐羅漢山

十方山の展望

 相変わらず冠山・青野山・三子山ははっきりと見えており、素晴らしい展望を楽しむ事が出来る。また、半四郎山からは恐羅漢山がますます近くなり、その奥に控える十方山もはっきりと見えるようになってきた。ここからは日本海が近く、海岸線を確認する事も出来た。以前十方山から日本海を眺めたような気がしていたのだが、これで間違いなく日本海を見ていた事がわかった。半四郎山からの展望に満足したのでいよいよ最終目的地の広見山に向かう事にする。

半四郎山から向半四郎山の展望

半四郎山から広見山

広い半四郎山山頂

 半四郎山から美しい笹原を左右に見ながら下りて行き、笹原から後を振り向くと笹に日が差してとても幻想的な美しさだ。風に揺れる笹原を楽しみながらゆっくりと下りて行く。正面には広見山が美しく広がっているのだが、間もなく広見山は樹林の中に隠れてしまった。

笹原から半四郎山を振り返る 美しい自然林の中を進む

 登山道脇の真っ赤な実を眺めながら下りていると大きな杉の木を過ごす。とても大きな幹回りにびっくりした。この先美しい樹林を眺めながら鞍部まで下り、鞍部付近から眺める広見山は一段と美しい。背後の半四郎山を振り返ると、下りてきた登山道が緑の中にくっきりと浮かんでおり、これは言い様の無いほどの美しさだ。

鞍部から見上げる広見山 鞍部から半四郎山を振り返る

 さあ、鞍部から広見山に向かおう。最初は急な斜面が続き、左右の木々を掴みながらゆっくりと高度を上げて行く事になる。左右の笹は綺麗に刈られており、とても美しい道が続いている。高度が上がると同時に視界も開け、背後には半四郎山・向半四郎山が並んでとても美しい展望だ。また、途中で過ごした杉の大木も確認する事が出来る。

広見山への縦走路途中から半四郎山・向半四郎山を振り返る

 美しい樹林を抜けた先には赤い実が沢山なっており、その先には待望の広見山山頂が待っていた。広く平坦な山頂には広見山の山頂標識と足下には恐羅漢山・十方山・冠山など周囲の山々の方角を示す木が並べられている。この標識の示す方向は大体正しいようである。

広見山山頂

 山頂標識の後ろに立つ三角点にもタッチし、いよいよ正面に広がる恐羅漢山と十方山の展望を楽しむ事にする。広見山はこの両山を眺める指定席にある山で、特にこんなに近くに恐羅漢山を眺める事は初めてだ。双眼鏡を取り出し山の周囲を眺めていると旧羅漢山の山頂の岩を見る事が出来た。

広見山から恐羅漢山

 以前大きな岩の上に立ちこの広見山を見た事があるのだが、その頃には広見山の名前さえも知らなかった。時が過ぎて沢山の山々に登ったからこそ、こうして周囲の山の名前が分かり始めてきたのだ。恐羅漢山に登ってもう5年の年月が過ぎているのだが、まだまだ登りたい山が沢山残っている。この先いったいいくつの山に登る事が出来るだろうか。

十方山

 広見山にて正面に広がる恐羅漢山・十方山を眺めながら昼食を取る。本当はお湯を湧かしてコーヒーを飲みたいのだが、山頂周辺の草が乾いているため火は使わない事にした。山頂に腰を下ろして取る食事は鳥取県の甲ヶ山以来であり、周囲の展望を楽しみながら取る昼食は格別だ。

旧羅漢山山頂の岩を眺める

広見山から眺める展望(動画)

 ゆっくりと昼食を取ったので、いよいよ広見山山頂を出発することにした。下山はそのまま縦走路を下りて行き、林道を経由して出発地まで戻ることにする。左右に笹の広がる道を下りて行くと、すぐに自然林の中に入り、その先は急な斜面を一気に高度を下げることになる。

笹の広がる道を出発 美しい樹林を観賞する
急な斜面を慎重に下る 杉の植林帯が見えると緩やかな下り道となる

 周囲の樹林がまた美しく、緑のシャワーに感動しながら高度を下げて行く。間もなく杉の植林帯の中に入ると同時に足下に湿地が増えてきた。この先は幾分坂の傾斜が緩くなり、周囲に花や木の実などを眺めることができる。どうやら広見川の源流の一つから下りてきたみたいで、湧き出していた清水は小さな沢になり、少しずつ水量が増えてきた。沢の透明度が高く、美しい沢を眺めていると広見川の主のような大きな魚が住んでいるような気がしてきた。

広見川に向かう沢 平坦な登山道を下りて行く

 この先沢を渡りながら下流に向かい、渓谷を楽しみながら下りて行くのがとても気持ち良い。そのうち、沢を2つ連続して渡った先に林道が繋がっていた。林道の先にはロープが渡してあり、この先は進入禁止という意味だろうか。沢には登山口の標識が掛けてあり、これが唯一の広見山への標識のようだ。

沢に掛けてある登山口標識 林道にはロープが渡してある

 とても美しい林道を沢に沿って下りていると間もなく左手に恐羅漢山方面への分岐を過ごし、その先に架けられた橋を渡る。この先も大きな滝を眺めたり渓谷を楽しみながら下りて行くのだが、紅葉・新緑の時期には素晴らしい美しさだと思われる。

橋の手前左手には恐羅漢山へ続く林道が続く 遠くに大きな滝を見る

 いくつかの橋を渡り、林道横には集落の跡と思われる石垣を過ごす。以前この場所には沢山の人が住んでいたことが分かる。渓谷と美しい花を眺めながらの散策は時間の過ぎる事を忘れさせてくれるようで、林道を歩く事1時間半程度で登山口に到着、半四郎山の登山口の付近にはバスが停まっている。沢山の登山者が半四郎山・広見山に向かっているようだ。

集落跡の石垣が点在している 清流が美しい

 リュックを車に積み込み屋敷跡を出発、匹見方面に向かって出発する。途中には清水の湧き出す場所があるので、ペットボトルを取り出し水を汲む。石碑には「鈴ヶ岳の清水」と彫られており、赤いペンキで「長命水」と書かれている。但し、鈴ヶ岳は広見川を挟んだ対岸に聳えているので、この清水は鈴ヶ岳から流れ込んでいる水ではないようだ。ペットボトルを車に積み込みしばらく美しい鈴ヶ岳を眺めた後、清水の場所を出発する。

鈴ヶ岳の清水 長命水 鈴ヶ岳

 間もなく匹見のレストパークの手前に着き、美しい清流を観賞する。レストパークに寄り紅葉の時期について聞くと、今年は紅葉が遅れており、見頃は1ヶ月程度先になるだろうと話されていた。もうしばらくは紅葉を求めて歩く事が出来そうだ。レストパークを出発し、次の目的地は旧美都町にある美都温泉、この温泉はアルカリ温泉という事なので泉質に期待して向かう事にした。

レストパーク手前の清流 匹見レストパーク

 次は朝出発した匹見の道の駅の手前にある美濃地屋敷を見学する。大きな茅葺き屋根の下には立派な屋敷が立ち、左手には民俗資料館も併設されている。民俗資料館には古い農機具などが展示されており、大昔に実際に見た道具などが展示されていた。しばらく展示物を観賞した後、美濃地屋敷を出発し国道191号を北に向かう。

県道307号から見上げる春日山 美濃地屋敷

民俗資料館には昔の農機具が展示してある

 道の駅の「サンエイト美都」の手前に美都温泉の標識を確認、標識に従い進むとすぐに美都温泉「湯元館」に到着した。この温泉は室内に大浴場、外には露天風呂もあり、とてもゆったりしている。早速に温泉に入るとやはりPH8.65はすごいものだ、体全体がムズムズするくらいのヌルヌル感、本物のアルカリ温泉である。これで400円はとても安い気がする。しっかりと温めのお湯に浸かっていると、一日の疲れも吹き飛ぶようだ。

炊事場 道の駅匹見峡

 昨日は「匹見峡温泉安らぎの湯」にて弱アルカリ温泉のヌルヌル感を楽しんのだが、二日続けて温泉を楽しむ事が出来たのはとても贅沢な気分である。美都温泉からの帰りには日晩(ひぐらし)山の登山口を確認するため遠回りをして帰る。国道191号を益田方面に向かい、途中から県道54号を南下すると間もなく日晩山が見えてきた。いずれこの山にも登る事になりそうだ。

美都温泉 湯元館 日晩山

 日晩山の登山口を過ぎて、そのまま県道を進んで行くと道が極端に狭くなり、苦労して曲がりくねった道を進んだ先は国道488号、そのまま西に向かうと以前登った益田天狗山を左手に過ごす。この先は国道187号を南下し、途中吉賀町にて寄り道、六日市交差点の角にあるラーメン店にて大好きな味噌ラーメンを食べて帰った。昨日の夕食時にもこのラーメンを食べており、この付近に立ち寄ると必ず食べて帰るお気に入りの店である。

 今回は山歩きの前後で良質の温泉を楽しみ、一日一山のゆっくり歩きであり、心身にも余裕を持った大満足の山旅であった。

広見山で眺めた花や木の実

向半四郎山から春日山

鞍部から向半四郎山を振り返る

半四郎山から十方山

半四郎山から広見山

広見山への途中から半四郎山・向半四郎山を振り返る

広見山から恐羅漢山

広見山山頂

広見山の主 

 前の山 宝仏山 を見る

 次の 天杉山 を見る

歩いた足跡  

登山口周辺の地図はこちら 島根県益田市 広見山 登山口付近のMAP

登山リスト(あいうえお順)に戻る

登った山のリストに戻る

トップに戻る